2回
2024/06 訪問
鮮やかな皿のコース
地下鉄烏丸線丸太町からのんびりと10分ほど歩くと、風情がある入口に出会う。
この通り、割と人通りは少なめだが、かなり良さげな店が並ぶ。
中はすべてカウンターで10席ほど。
店主の田川さん含め、3,4名で回している。
最初に玉露のお茶が出てきた。まずは、そこで一呼吸おく。
*先付け 水無月豆腐
胡麻豆腐にじゅんさいの入った出汁を張り、上に小豆と雲丹をのせている。胡麻豆腐の風味は柔らかく、胡麻のいがらっぽさがない。出汁が美味しい。暑い日だったので、この先付けは落ち着く。
*椀物
汁を張ったなかにスズキ、薄くスライスした冬瓜、茗荷、木の芽をのせたもの。
出汁がさっぱりしており、淡白なスズキに茗荷や木の芽の香りが良く合う。出汁を吸った冬瓜も美味しい。
*鯵の刺身
梅肉とオクラを混ぜた物で頂く。鯵が特別なもので鬼鯵のように大ぶりのもの。ただし、身が白いので鯵である。脂も適度にあり旨みも濃い。梅肉オクラのタレがピッタリ。
*金目鯛の刺身
千葉産の金目鯛。皮目を炙っている。皮ぎしの脂が美味い。ネギ醤油と塩で頂く。特に塩で頂くと金目の甘さがよくわかる。
*とりがいの鮨
とりがいは能登のもの。寿司飯に松の実、大葉を混ぜてその上にとりがいをのせている。とりがいが甘い。寿司飯の松の実の歯ごたえと香ばしさが合う。
*盛り合わせ
もずく酢に火入れしたトマト、鮎から揚げにとうもろこしの素揚げと枝豆にさつまいもの甘煮を取り合わせた皿、たこの卵と小芋の煮物、京都産牛肉のローストビーフ。
どれも様々な味わいで、楽しく美味しい。特にたこの卵と小芋の煮物はかなり好きな味である。
*天草の岩ガキのフライ
岩ガキのフライは中はレア。これをちり酢(ポン酢)と大根おろしでさっぱりと頂く。私はカキはフライが一番美味しい食べ方と思っている。このちり酢で頂くのはなかなかいい。カキの甘さを引き立てる。
*南高梅の青梅の甲州煮
カキのフライの後にこのさっぱりとした甘酸っぱさはいい塩梅である。梅の味わいと葡萄の風味が口直しにピッタリ。
*炊き合わせ
にしんと賀茂茄子の煮物。賀茂茄子には煮汁がしっかり含んで美味しい。にしんも定番であるが、甘辛の味がしみて美味しい。これはしっかりと醤油と砂糖をきかせているので私好みの味わい。
*ご飯
白米、蒸しレンコンと油揚げの炊き込みご飯、オオマスの炊き込みご飯の3種類。
米は京都産コシヒカリ。香の物、ちりめんじゃこ、湯葉の赤だしがお供。
お米が美味しい。甘さがさっぱりとしているので、ご飯のお供と一緒に頂くと、これだけでもいいくらい。炊き込みご飯も当然美味しい。オオマスの炊き込みご飯は出して頂くときに卵黄を混ぜてくる。これが良く合う。レンコンと油揚げは出汁の風味、レンコンの甘さと油揚げのコクがバランスよく、これが一番好きかも。
ちなみに余ったご飯は最後におにぎりにして竹の皮で包んでお土産で頂いた。これがまた美味しかった。
*甘味 黒豆のアイスクリームと讃岐のブランド姫いちご
黒豆のアイスクリームは、さっぱりとした甘さでお腹いっぱいの私にはちょうどいい。姫いちごは、甘味だけでなく、酸味もしっかりある。
こちらのお店はミシュラン一つ星であるが、とても寛げる雰囲気がいい。料理も店主の田川さんのこだわりも感じ、特に香りを活かした皿はどれも鮮やかで美味しい。また、味つけも私好みであり、こちらのお店は是非再訪したいと思っている。
2024/06/28 更新
4月のみ花山椒のコースになる田がわさん。今回は花山椒のコースを狙って予約。
少しは予約がとりやすくなったようだが、まあ、土日祝日は難しいだろうか。
・まずは玉露からスタート
・飯蒸し
餅米の上に宍道湖の白魚、そして青のり、まわりに百合根を焼いたものを添えてある。白魚の塩味と風味、青のりの香りがとてもたつ。百合根の甘さがアクセント。
・椀物
魚はおこぜ。卵豆腐に山菜のわらび、上に白髪ネギを添えてある。出汁の風味が素晴らしい。おこぜも出汁を吸って美味しい。卵豆腐の風味とわらびの風味、白髪ネギがなかなかいい仕事している。
・刺身
明石鯛に鯛の白子を和えて、蕗のとうの揚げたものをふりかけたもの
白子の濃厚な美味しさに鯛の歯ごたえと甘さ。蕗のとうはバラバラにして揚げてある。このほろ苦さもアクセント。
・毛蟹のポン酢ジュレ(写真撮り忘れ)
毛蟹の身をほぐし、蟹のミソと角切りの長芋を合わせたもの。ポン酢のジュレと大葉を添えてある。
毛蟹の甘さとミソのコク、長芋の甘さもいい。ポン酢をジュレにしたのは正解。大葉の爽やかな香りも合う。
・筍のわかめあんかけ
筍の下の部分は醤油を塗って焼いてある。先の柔らかいところは細かく刻んで上に。徳島のわかめをあんかけにして。木の芽を添えてある。筍が甘い、香りがいい。わかめのあんかけの味わいもよく、木の芽の香りも合う。
・八寸
稚鮎の唐揚げ、こごみの胡麻和え、生姜で炊いた鯛の子、ホタルイカと蛇腹きゅうり、もずく、菜の花の漬物の巻き寿司、近江こんにゃく、粟麩の田楽
どれも、味わいが変わり、楽しい八寸。特に鯛の子はやや甘めの出汁と生姜の香りがよく、この中で一番気に入った。
・きすの揚げ物
きすにおかきを細かくしたものを衣にして揚げたもの。焼いた野蒜を添えてある。それに出汁をはったもの。おかきが衣だと歯ごたえがいい。きすのさっぱりとした味に野生味のある野蒜。出汁も少し甘めで私好み。
・青森の行者大蒜のおひたしに焼いた帆立
行者大蒜は大蒜ではないが大蒜の香りのする栄養価の高い野菜。帆立を軽く焼いて、一緒におひたしに。行者大蒜の香り、帆立の甘さ、贅沢なおひたしである。
・花山椒と鳥取田島牛のしゃぶしゃぶ風
奈良の吉野の花山椒と田島牛をしゃぶしゃぶにして、出汁と一緒に頂く。花山椒の素晴らしい香りと爽やかな痺れ、田島牛の美味しさ。言う事はないだろう。出汁の味わいもいい。
・ご飯
京都のコシヒカリのご飯に筍ごはん、桜エビとせりの炊き込みご飯。これに漬物、ちりめん山椒に、さらに先ほどの花山椒と田島牛。
何と贅沢なご飯、、、。やはり、白いご飯から。ご飯が美味しい。そして、これを花山椒と田島牛と一緒に食べる、漬物と食べる、、やっぱり日本人だなぁ、と感じるひと時、、笑
次は筍ごはん。筍の風味と出汁の香りがいい。旬の材料のごはんというのは、本当にそれだけで美味しい。最後に桜エビとセリのごはん。まず、桜エビの香ばしい香り、食べると桜エビの甘さとセリの爽やかな香りが広がる。漬物やちりめん山椒が本当にいいごはんの相棒である。ごはんの時にほうじ茶が出てくるが、ごはんの後はやっぱりほうじ茶がいい。
・甘味
アーモンドのアイスクリームにキャラメルソース、和歌山のまり姫といういちご
こちらでは甘味も色々と考えている。アーモンドのアイスクリームとキャラメルは当然合うのだが、和ではなかなか出ない。そういえば、昨日のラボンヌターシュのデザートはアーモンドブランマンジェにキャラメルソースだったな、、、
これにまり姫いちごの香りと酸味が合う。最後まで工夫されている。
IT企業から料理人の世界に飛び込んだご主人。アイデアと工夫された料理は田がわさんの代名詞だろう。どうしても京都の日本料理店と思うと、背筋が伸びて寛ぐのがなかなか難しい。しかし、田がわさんではリラックスしながら頂ける。ご主人との会話もなかなか楽しい。
外国人でも"和食"が有名になっている。しかし、本格的な日本料理店は敷居の高い店も多い。無論、お客様の事を考えると敷居の高さは必要だろう。しかし、肩肘張らずに入店できる、そんなお店も必要と思う。肩肘張らずに本格的な日本料理を頂ける、それが田がわさんだろう。
京都も気楽に行けるところではないが、少なくとも年に一回以上は訪問したいお店である。