2回
2016/10 訪問
美味しさが静かに、はっきりと語りかけて来る
こんばんは、皆様。
先日、美味しい和食をいただくことができたので、その時のことを簡単に書き記しておこうと思います。
秋を飛ばしてしまったのではないか?と思えるほどの冷え込み、あいにくの霧雨の中、新宿御苑駅に着いた。駅の新宿門方面改札出口の真ん前に佇んでいる、「いまゐ」さんにて、食事をする事になったのだ。
以前から気にはなっていたお店ではあり、ようやく訪問することができ、嬉しい限りであった。
先に書いてしまうが、「先延ばしにせずもっと早くから通っていればよかった」というのが今日の結論であった。
さて、階段を降り、地下に向かうとお店の入り口が見える。そのまま入店。
席は小上がりに四人がけの卓が二つと、カウンターに8〜10席ほど。大人数で詰めかける事は難しいかもしれない。
さて、小上がりへ向かい、先に待ってもらっていた方々に挨拶をした後に飲み物のメニューを見る。やや迷った後、お昼の時間が遅くずれ込んだことを考慮して、最初から日本酒で。銘柄は「而今」。
今回、お食事はお店側のおまかせコース。というよりも、食事に関しては6500円のおまかせコースしかない。
お酒が先に来て、少しした後にお通し(呼称が合ってるかは分からない)が来る。猪口を選ばせてくれるのも面白い趣向だ。
而今は全体的にすっきりとしていて、甘みを強く感じるがふわりと軽やかに広がり、引き方もすっと引けていく。香りはやや静けさがあり、吟醸香だけでなく、何か木の香りを微かに感じた。やはり飲みやすい酒だ。
キノコのシャッキリとした食感の中に、アクセントで混じる固めのプチっとした食感。(おそらく、数の子?)さっぱりとした味わいのお通しであり、これからの料理に対する期待も膨らんでいく。
お次は前菜。鮭の手毬寿司、イカの塩辛、柿、ギンナン、枝豆、揚げたムカゴ、イチョウの形に切られたサツマイモのチップス。
まさに秋を感じる一皿(一膳?)で、彩りも良い。改めて季節を確認したような心持ちだ。この前菜の中で特に印象に残ったのはムカゴ。初めて食べたがとてもほっくりしていて、美味しい。
その次は、鱧と松茸の吸い物。これが目を見開くほどにうまかった。松茸の匂いがくっきりと香り、飲んでみれば鱧の品のある味がじわっと舌に浸透して来る。作り手の丁寧な姿勢を伺える、素晴らしい品だった。
その次は、魚の名前を失念してしまった(確か鯛の一種だったはず)が、焼き物。
こちらは外側は驚くほど軽やかにパリッと仕上がっているが、中はふんわりとしており、美味い。付け合わせのなますやお浸しにも満足。
次の刺身は、間八とカマス。カマスは皮側を炙ってある。カンパチの脂のノリも申し分なく、カマスは炙ったことによる香ばしさがアクセントになり、酒のお供に丁度良い。
この辺りで次のお酒へ。「天の戸」を注文。
こちらは而今よりもコメの旨味と舌へのインパクトを強く感じた。
お酒を切り替えたところで、戻り鰹が来た。
やはり夏の鰹よりも秋の鰹の方が自分好みのように思う。脂も程よく入っており、またさっぱりとした味付けにされたことで飽きが来ない。
細く切られた長芋や芽ネギとともに食べるとますます美味い。
シシャモの素揚げとホタテのフライ。これは文句なし。ししゃもは柔らかくしっとりふっくらな仕上がり。そしてホタテは中心部分に生の食感を残してあることで、すっと歯の通る部分と弾力とを一挙に味わうことができる。
そして、いくらの醤油漬け。漬け込み具合がよくて、美味。ご飯と一緒に食べられなかったのが残念に思う。
秋刀魚の炊き込みご飯。これがまた驚くほどに美味い。まずは炊き上がり方が一番に良いと感じた。というもの、コメを口に含んだ瞬間、艶やかさをはっきりと感じ、噛めばハリのある食感が楽しい。そして、秋刀魚がそこに上手く調和している。今日の料理の中では吸い物と同じレベルで驚き、印象に深く残った。
最後はりんご、ブドウ、マスカットのコンポート。甘酸っぱく、さっぱりと食事を締めることができた。
ごちそうさまでした。とっても、美味しかった。
その後、のんびりと話に興じた後、お会計。
一人当たり9000円、酒の量が少し多かったから額面は高く見えるが、料理の質を考えると決して高いものじゃないと思う。
また接客も人当たり柔らかで心地よく、よく気がついてくれる。この辺りも、格式張ったとこよりも安らいで食事ができる所以であろう。
ただ、一つ気をつけてほしいのは、料理の提供スピードはゆっくり目であることだ。最後の料理を楽しみきったところで、大体3時間くらいが過ぎていたか。そのことを踏まえ、食事を楽しんでいただきたい。
改めて、このお店にはとても驚かされた。次回の訪問が既に楽しみである程だ。一月に一度、料理が変わるそうなので、出来れば毎月一回は食事を楽しみに行きたいものだ。
それでは皆様、良い食楽を!
2016/12/03 更新
こんばんは、皆様。
先日、いまゐさんの所へ再訪する機会を得られましたので、その時のことについて書き残しておきたいと思います。
祝日の月曜。夜19時。
半年を経て、やっと再訪することができた。
ここへ来ない合間に冬の季節をまるまる通り越してしまった事が心残りだが、それは今年の冬への楽しみにしたい。
さてさて、今回も前回と同じ小上がり席へ迎えてもらった。
3人で談笑しながら、料理を楽しむ事ができた。
以下に、料理のコースを記していく。
◯セリとホタルイカ
なるほど、と、心の内で呟く。確かに、どちらも春が旬の食べ物だ。また季節を感じさせてくれるコースになると、このとき既に手応えを得ていた。ホタルイカのまったりとした濃い旨みに、セリのしゃきしゃきとしてサッパリとした味わいが重なって、完全に食欲が起き上がった状態に。美味い。
◯膳
手前からバイ貝、白魚の天ぷら、イイダコ、ちらし寿司、なまこ酢、グリーンピース二種。
なんとなしに富山を思い起こすようなラインナップだ。前菜のホタルイカといい、この膳のバイ貝や白魚といい……ちょっと懐かしく思う。
バイ貝、くるっとうまく引き抜きながら。ああ、富山で食べた時と同じだ。うんまい。あと2、3個並んでたとしても嬉々としてくるくる引き抜いていただろう。肝の部分も酒のアテになって好きなのは、食べた当時と違う所か。
白魚の天ぷらは、さっくり軽やか、清らかな味。これも良い、美味い。
イイダコ。これは今回最初の驚きポイント。タコの味が濃ゆーい上に、染みている煮汁の味も調和されてる。こんなにうまく調理をされたタコは、初めて食べたかもしれない。
ちらし寿司。そういえば、ひな祭りなんて行事があったな…と口にしながら思う。男ばかりの家族だったから、ひな祭りという行事はとかく忘れられやすい。口の中でプチっ!と小気味好くいくらが弾け、サヤインゲンと酢飯が程よく交わってくる。うむうむ、良い良い。
なまこ酢。なまこは初めて食べた。なんというか、奇妙な感じだ。なまこ自体の味がどこにあるのか掴み損ねたまま噛み続けていた。
グリーンピース二種は、粒の茹でたものと、スープ状になったものと。どちらもグリーンピースの穏やかな甘みがして、美味い。
◯ハマグリとアイナメ、菜の花の吸い物
今回の椀物も素敵だ。前回は鱧のお吸い物で、その上品で澄んだ味わいに魅了されたが、今回の吸い物も、ハマグリのじんわりとくる旨みがよく引き出されていて、グッと心を掴まれた。やはり、いまゐさんの椀物は良い!と確信した。
◯マナガツオとふきのとう、アスパラ
今回の焼き魚はマナガツオ。これもまた程よく脂がノっていて美味い。添えられている山菜やアスパラも、えぐみなど一切感じず、口からうまっ!と言葉が漏れるほど。
◯ヒラメとアジの刺身
さてさて、お刺身類。ヒラメ、身が本当にしっかりしてる!良いモノが使われてるなぁ…とシミジミ。アジもうまいぞ、青臭さなく、脂のノリをよく感じられる。
◯エビとたけのこのしんじょ
二度目の驚きは、いまゐさんは揚げ料理の手腕も確かなことを、前回書き洩らしていたかもしれない事だ。
このしんじょ、エビの香りがふんわりと、豊かに香っていて、それでいて身の部分は味もぎゅっと凝縮されている。それがたけのこにのっかって来るのだから、たまらない。絶品だ。
◯クジラのベーコンと漬けカツオ
クジラのベーコンは、以前他の店で食べた時の乳臭さを感じず、おいしく食べる事ができた。漬けカツオは美味しかったけど、今回のラインナップの中では、個人的に感動具合は平凡だった。まあ、全部が全部感動度Maxだったら心臓が止まってしまうかもしれないので、これはこれで良い。
◯鯛飯
今回のご飯ものはなんと鯛飯!おこげの部分もたっぷりできていて、ニンマリ。
鯛の旨味をたっぷり吸ったご飯を口に運べば、あ〜…幸せ…。香り良し、味良しで、もう他に何を言えというのか。
◯イチゴと金柑
〆のデザート。イチゴも金柑も自然な甘酸っぱさで、後味もさっぱり。今回も素晴らしいコースだったな…と余韻に浸る。
ごちそうさまでした。
今回は私が日本酒を3合強は飲んで、他の人も5杯近くは酒を飲んでたので、一人当たり9000円くらいだったかな。
一緒に来てくれた人も満足してくれたようで、何よりだ。
素晴らしい料理を食べに、また参りますね。
それでは皆様、良い食楽を!