4回
梅市 7月
心斎橋の千年町にある表記の老舗和食店を友人と訪問。江戸時代からの関西料理を今に伝える関西割烹会のレジェンドと言われる個性的なキャラの奥田氏のお店。警察の西側のビルの2階に位置する。
今週の月曜日にお店から「鮎づくし料理を18.19の両日に行うよ」という知らせをいただいて早速予約をして訪問。毎年席の取り合いになるようでこの日も4組のお客をお断りしたとのこと。
ビルの階段を上がり引き戸を開けると昭和感のある独特の空気。広いオープンになった調理場を囲む奥行きのあるL字型の白木のカウンター席、奥には個室もある。調理場は高齢の奥田氏と若い板前さん2名、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。こちらのお店で修行された弟子さんも多くミシュラン店も2店ある。
こちらのお店は旬の最高級の食材を使用し素材の持ち味を損なわない程度の「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさ。使われる器も上質なものばかり。
ご主人は弟子の指導をしながら豪快に料理を作り、客の話相手もする。その日使われる食材の話、独立して繁盛している弟子の話など経験値が多いためどれも面白く、喋り出したら澱みなく止まらない。。
最初にビールをいただく。座付きは鮎の昆布締めからスタート。あしらえは瓜の雷干し。酢の加減が素晴らしい。この日使用する鮎は四万十川、球磨川、天川の3種類。料理によって使い分けるとのこと。
前菜盛り合わせはガラスの器に辛子の入った鮎の白和え、鮎の卵巣を炊いたもの。錦糸卵と鮎の内臓(子うるか)を叩いたものの煮凝り、鮎の苦うるか味噌焼き、鮎唐揚げ、酢の塩梅が完璧な鮎の南蛮漬け、山椒の実を入れて炊いた有馬煮はかなり優しい味わい。(うるかは鮎の塩辛)どれも細やかな仕事に敬服。これだけでお酒が進みまくる。
繊細極まりない花火の蒔絵の煮物椀には一夜干しされた鮎と冬瓜。
こちらのお店に出汁は薄味なんだけど明確な味のフォルムを感じさせる。使用する昆布のクオリティにこだわり一口いただくだけで凄みを感じさせる味わい。この店以上の煮物椀はないと思わせるピントの合い方にはいつも度肝を抜かれる。
刺身は皮目を炙ったものと背越し。酢味噌と醤油でいただく。久しぶりに鮎の背越しをいただくが癖や骨は全く感じない。本当に「美味しい」と感じる逸品。
冷酒を頼むと浦霞の四合瓶が一本ドンと置かれる。
鮎の塩梅煮(あんばいに)は酒と梅干しと味醂少々だけで作る。この料理こそがこちらのお店の醍醐味の生成りの仕事。
「素材の持ち味以上の味をつけないこと」なんだけど塩味の加減は食べ込んでいる人にはよくわかる熟練の技「薄味を超えた薄味」という変な表現しか私にはできない。
塩焼きは四万十川のものを使用。かなり背の高い鮎で天然鮎ならではの野生味を感じさせる。放し飼いにしている地鶏を食べているような感あり。琵琶湖由来のものとは食感をはじめモノが全く異なる。
こちらのお店のスペシャリティーの味噌の入った煮浸し。6時間以上炊き込む伝統的な上方料理。見た目よりも味は濃くない。あしらえは一緒にとろとろに炊き込んだ茄子。こちらも味の調和もさながら素材の味わいが後からふんわりと蘇るような余韻を感じさせる。
鮎にご飯を挟んで油で揚げた天むすのようなもの。これは生まれて初めていただいた。どの鮎料理をいただいてもため息が出る美味しさ。
冷たい出汁のかかる鮎素麺。
最後はさっぱりとした青梅のシャーベットでフィニッシュ。お酒を少しいただいて会計は一人40000円也。
帰りはお店の近くの島之内サンボアでハイボールをいただく。ごちそうさまでした。
過去の梅市はこちら
大阪市中央区東心斎橋1-6-3ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576
2025/06/14 更新
梅市 4月
東心斎橋にある表記の和食店を先月に引き続き訪問。この日は福島のミシュラン和食店のご主人も一緒に相伴いただく。
こちらは江戸時代からの関西料理を今に伝える関西割烹会のレジェンドと言われる奥田氏のお店。心斎橋駅から徒歩7分、長堀橋駅から徒歩5分、島ノ内の南警察署の西側向かいの千年町のビルの2階に位置する。
階段を上がって店内に入ると広いキッチンが見える昭和を感じさせるL字型の白木のカウンター、そして、入り口の手前奥には座敷の個室がある。調理場は奥田氏と若い板前さん、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。料理はコースのみですべて時価。この日は28000円で支払いはお酒をいただいて32000円でした。
料理は手に入る最高級の食材を使用し素材の特徴をしっかりと見極め「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさと言われる。使われる器も上質なものばかりで見ているだけでため息が出るものばかり。
個性的なキャラのご主人は弟子の指導をしながら料理を作り、客の相手もされる。その日使われる食材の話、独立して繁盛してミシュランの星を取った弟子の話など森羅万象にわたる話題で喋り出したら止まらなくなる。
座付きは若芽と筍を合わせたもの(写真なし)。若芽は10分くらい炊き込んでいてぬるぬるの状態で提供。筍は貝塚の木積産のものを使用。素材の味を引き立てる「しんみり」とした出汁の美味しさは秀逸。
続いての前菜は筍と自家製の味海苔を合わせたもの、鯛の子の玉子寄せ、一寸豆のクリームチーズ挟み、独活白煮、河内鴨ロース煮など。
この日の煮物椀は筍の真砂寄せと煮あわび。鶴菜と柚子の花が添えられる。
真昆布を使用した出汁は塩分がかなり少ないけどしっかりとした明確な味の骨格を持ち、薄味という簡単な言葉では言い表すことはできない凄みを感じさせるもの。漆絵が緻密に描かれた椀は輪島産で当時で30年前に50万円でオーダーしたとのこと。この椀を見るだけでこの店に来た価値がある。
今まで見たことのない大きさの伊勢海老に包丁を入れて身を取り出して氷で締める。それを大きくカットして供される。大きな伊勢海老の甘い身を口いっぱいに頬張っていただく幸せは初めての経験。
刺身の2皿目は明石の鯛とハリイカ。それぞれ最高の品質であることは見ただけでわかる。
百合根饅頭はかなり濃密な食感。百合根だけでは味が足りないので山芋と卵白を合わせて蒸して仕上げる。それをエンドウ豆のすり流しに浮かべる。出汁の効いたすり流しの出汁と塩気の塩梅も素材の良さが引き立てられる程度に抑えられている。本当に美味しいなあと思う逸品。
天然ヒラマサの焼き物。これも店主の奥田氏が考える「生成り料理」。魚の味を最大限引き出すことに主眼を置いた味付けに脱帽。添えられた大根おろしに醤油を垂らしてそれを焼き魚につけていただく。
続いて鯛の白子をポン酢で和えたもの。日本酒がさらにすすむ合肴である。
この季節の奥田氏のスペシャリティーの「筍メバル」登場。これは少々しっかり目の甘辛い味付けだけどさっと炊き上げている。木の芽が全体の味を引き締める。筍は異なる部位を3種類使用。魚と筍のしんみりとした味の調和が素晴らしい。あくまで素材の味を生かすことに主眼を置いた関西料理ならではの味付け。熟練の技と凄みさえも感じる逸品。
ここで白いご飯が供される。メバルの出汁を上から掛けていただくのをご主人に勧められるがお腹いっぱいだったのでスキップする。
デザートは前回と同じ抹茶アイスに小豆の炊いたものを添えたもの。
前回の梅市はこちら
大阪市中央区東心斎橋1-6-3ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576
2025/05/17 更新
梅市
東心斎橋にある表記の和食店を数十年ぶりに訪問。江戸時代からの関西料理を今に伝える関西割烹会のレジェンドと言われる奥田氏のお店。心斎橋駅から徒歩7分、長堀橋駅から徒歩5分の千年町のビルの2階に位置する。
階段で2階に上がり店内に入ると昭和の空気感を感じながら広いキッチンが見えるカウンター席に案内いただく。調理場は奥田氏と若い板前さん、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。
料理はコースですべて時価。この日は25000円で支払いは32000円でした。奥田氏はたくさんの弟子を輩出され。ミシュラン店もその中で2店ある。最高級の食材を使用し素材の特徴を見極め「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさと言われる。使われる器も上質なものばかりで見ているだけでため息が出る。
個性的なキャラのご主人は弟子の指導をしながら料理を作り、客の相手もされる。真昆布が不漁で難儀しているという話やその日使われる食材の話、独立して繁盛している弟子の話など喋り出したら澱みなく止まらない。。
座付きの白和え。こういった普通のものがびっくりするくらい美味しい。
大阪料理は2品目に前菜を出すのが正式。軸のついた金柑はかなり綺麗に炊かれている。牡蠣の時雨煮、大根と生姜の砧巻き、サーモン、昆布しめにした鯛の酒盗和えなど。
綺麗な蒔絵の描かれた煮物椀は蛤真薯。かなり柔らかく仕上げられる。脇には鶴菜と梅人参が添えられる。出汁の綺麗さと塩気の塩梅はお見事で塩味は薄いんだけど明確な味わいがある。これぞ生成りの料理なり。隣の高齢の客の出汁はさらに塩味を落としたものと言っていた。
続いての刺身は旬の平目に肝を添えて蛤の器で供される。手前にはパツパツ食感の甲烏賊と車海老。界隈でよくある熟成等はかけずにコリコリの状態で提供。刺身もこのお店ならではの切りつけと盛り付け。醤油には強いこだわりがあり生醤油を使用。それを出汁で割ってからさらに醤油を足すという作業。隣の高齢の客にはたまり醤油を出していた。
佐渡島の鰤を使った鰤大根。鰤の持ち味以上の味はつけない。鰤の旨みと脂の甘みが口いっぱいに広がる。魚の青臭さは当然皆無。残った出汁はそのまま飲めるほどの濃さでこれも滋味深い。。
ご主人が「今日は鮑が美味しいで」と言っていた鮑料理。仕入れ値が一つ7500円という徳島産の大きな鮑を丸ごと7時間蒸して少し炊いて最後に地をかけて焼いて仕上げる。大ぶりにカットされた身は出汁の味を含みながら鮑の旨みと水分をしっかり保ってプリプリ以上の食感でこれ以上美味しい鮑料理は食べたことがないと思えるもの。これぞ浪速千年の味。これには久しぶりにびっくりした。。
お酒はご主人が毎晩、夜飲んでいるという浦霞をいただく。その後で隣席の常連さんが持ち込んだ青森の豊盃を一緒にどうぞと勧めていただく。
カラスミ大根で日本酒が進みまくる。
揚げ物はクエ。潤や蕾菜などが添えられる。このクエも秀逸。。
食事はご主人自家製の生海苔を使った磯自慢ご飯をいただく。
名物の鯖寿司も一切れ。鯖の締め具合が素晴らしい。これも今までで一番好きな棒寿司かもしれない。
デザートは抹茶アイスと粒餡。ご主人の話も面白く楽しい時間を過ごせました。常連しか来なくて敷居が高い店だけど私は大阪ではもっとも美味しいと思う和食のお店です。
お店のHPはこちら
大阪市中央区東心斎橋1-6-3ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576
2025/05/05 更新
心斎橋の表記の和食店を久しぶりに友人と訪問。知人のSNSを見てあまりにも蟹料理が美味しそうだったので触発される。
南警察の西側の千年町に位置する。心斎橋駅から徒歩5分。江戸時代から続く関西料理を伝承する関西割烹会のレジェンドと言われる個性的なキャラの奥田氏のお店。
ビルの階段を上がり、店内に入ると昭和感の空気感。広いキッチンが見えるL字のカウンター席に案内いただく。調理場は奥田氏と若い板前さん、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。こちらのお店で修行された弟子さんも多くミシュラン店も2店ある。こちらのお店は現在手に入る旬の最高級の食材を使用し、素材の持ち味を損なわない生成りの料理。特に「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさ。使われる器も上質なものばかり。
勢子がにからスタート。カニの酢の塩梅が素晴らしい。飲めるような味でした。国産の雌の蟹は12月で終了。
ずわい蟹は兵庫県浜坂産の1.2kgオーバーの蟹を使用。。目が飛び出るほどの値段と思われる。これを目の前で豪快に包丁を入れる。
キャラの強いご主人は弟子を弄ったり、指導をしたりしながら豪快に料理を作り、客の話相手もする。その日使われる食材の話、独立して繁盛している弟子の話など森羅万象の経験値が多いためどれも面白く、喋り出したら止まらない。
大阪料理は2品目に前菜を出すのが正式。ふわふわ食感の穴子寿司 牡蠣のオイル炊き、鮭を大根で巻いたもの、ちしゃとう、鯛の酒盗など。。お酒は好きなものを好きなだけいただける。
綺麗な蒔絵の描かれた煮物椀。この日は蛤真薯でとても柔らかく仕上げられる。真昆布を使った出汁の綺麗さと塩気のバランスはお見事。これ以上薄ければ白湯のような味わいだけど味に骨格がある。これぞ生成りの料理なり。
刺身は冷水で締めた蟹の脚、ハリイカ、鯛の3種盛り。味の乗った鯛が秀逸。。こちらの店は刺身の美味しさも突き抜けている。
烏賊が美味しいと申し上げると更に追加で出していただいた・・・
鰤大根はどこにでもある料理がけどどこよりも美味しい。大根の食感を残しながら中心まで同等に味を入れるのが難しいといっておられた。鰤のおいしさは言わずもがな。
焼き蟹は見ただけで満足。。活蟹ならではのおいしさ。
大量の蟹身と味噌が入った蟹茶碗蒸し。。お酒が進みまくる。。
鍋の中で仕上げられる鯛かぶら。
煮崩れ一切なし。鯛の味を纏ったかぶらを食べる料理。
鯖寿司は持ち帰りもできる。綺麗な断面は奥田氏の仕事。持ち帰り用は強めに巻くのがコツとのこと。
新潟産の高級洋梨のルレクチェ。
食感はとてもなめらかで甘い果肉と芳醇な香り。ご主人の話を聴きながらさながら舞台を見るように楽しく美味しくいただきました。。
過去の梅市はこちら
大阪市中央区東心斎橋1-6-3ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576