2回
2023/06 訪問
ミシュラン星付きの天麩羅を中目黒で
天ぷらを食べに行こうとなり、美味しいと聞いて予約しました。何でもインバウンドもあって、天麩羅店は予約が取れなくなりつつあるとか。
食べログ100名店でありながら、ミシュラン。
天麩羅店で星付きのお店を訪れるのは初めてで期待値が上がっておりました。
中目黒駅から5分弱ほど…この辺りなんだけど…と思っているとお店の方が出迎えて下さいました。
いらっしゃらなったら通り過ぎていたとこでした。
古い民家をリノベーションした造りなので、外観は有名天ぷら店とは気が付きません。
店内は明るく、L字型のカウンター席。ガラス越しに天ぷらを揚げている様子も伺えます。
席に座ると、雨の中伺った事を労って下さり熱々のおしぼり。
堅苦しくない店主さんと店員さんでホッとしました。
飲み物は抹茶入りの玄米茶。
途中で、ホーリーバジルの香りがする和紅茶も。
素敵なグラスで色も鮮やか。
ノンアルドリンクにも気をかけてくだっています。
先付けから始まり
・北海道毛ガニ わらび
蕨は、山の中に入って摘んで下さった方がその場で火入れをして送ってくださるそうです。
アクがなく食感も新鮮でした。
・梅雨イサキ
まさに梅雨入りした日に頂けた、この時期にとれるイサキ。
一切れ目はキャビアの塩味で頂き、二切れ目は泡醤油とワサビで楽しみました。
ここから天麩羅が始まるのですが、大根おろしと天つゆ、そして自家製の塩で頂きます。
この茶色い塩が手間暇かけて作られているだけあり、めちゃくちゃ美味しいのです。
普段、塩辛いものはあまり食べないのですが、これは好みでした。
・車海老
先程まで美しい海老が横たわっていたのですが、いつの間にか躍動感ある天ぷらになって目前に…。
さすがの油の切れとエビの食感です。
・車海老天の海苔巻き
風味豊かな海苔にご飯と海老天、甘めのタレを一塗りして下さっているので、天むすと天丼の良いところを味わえます。
・エビの下顎
この部分を下顎と初めて知りました。サクサクに揚がっていて高級感ある煎餅のような贅沢な香ばしさです。
・愛知のトウモロコシ
初夏ですものね、期待していました!嬉しいことに二段になっています。
・アワビのシャブシャブ
熱々のキモソースの中でシャブシャブして鮑に火を通すのですが、火通しの時間によりアワビの食感が変わります。
その後に、小さい丸いご飯の天ぷらをキモソースに入れて、スプーンでほぐした所にウニを投入。
リゾットのようになり、濃厚な旨味の強い肝ソースが最後まで楽しめました。
・高知のミョウガ
大きな茗荷でしたが、揚げると少しホクッとして目先が変わりますね。
・琵琶湖の稚鮎
ガラス瓶の中で泳いでいた稚魚でしたが、その姿を綺麗に留めたまま。苦味も旨くフワフワな貴重な鮎を頂きました。
・ジュンサイ 甘海老
蓮の葉の上に乗ったジュンサイ。葉を両手で持ち上げると、下の器に甘海老とマイクロトマトや出汁の上にジュンサイが落ちていきます。
その趣のある趣向。蓮の青さの下に甘海老とトマトの赤が対比して目にも焼き付きました。
・泉州の水なす
茄子好きなので、泉州の物を使っておられて嬉しいです。
・千葉の太刀魚
お腹の部分は塩をお勧めされたので、その様に。背は天つゆで頂きました。
・浜名湖の鰻
蒸さずに火入れされたものは弾力があるのですね。ワサビが合いサッパリと頂きました。
・椎茸
肉厚の椎茸を揚げたあとに醤油を吹き付けられたのですが、椎茸の旨味の余韻が凄いです。
私的に、この日のMVPでした。
キノコ類って油を吸うので、油っぽくなると思っていましたが、全然ですね。フレッシュさが閉じ込められています。
・和牛の湯葉包み
間に紫蘇を巻いて揚げてあります。
食べる前にブラックペッパーを噛んでからその余韻も含めてお肉も頬張ると旨味が口の中に充満。
美味しいも何も…贅沢にもシャトーブリアンですからね。
・海苔天にマグロ
実は実家で天ぷらをしてくれる時、一番好きなのは海苔でした(笑)
パリッと揚がった海苔に叩いたマグロ。
同席者は、ここでご飯を挟まなったのが成功!と言ってました。確かにです。
・アスパラガス
驚くほど太いアスパラですが、穂先から食べることを勧められ、ホクホクを味わえました。
根元にいくほどシャキッとしていて瑞々しくもあり、一本で2度の美味しさです。
・アスパラの根元
2度どころか3度でした。
更によく揚げておられて、同じアスパラと思えない食感の違いを楽しみました。
・熟成キス
見が締まった食べごたえのあるキスでした。熟成のなせる技ですかね。
・名物のトマトご飯
プチトマトの炊きたて出汁ご飯を目の前でしゃもじで切ってくれるのですが、ほんの少しの煮えばなをお茶碗によそってくれます。
それが、トマトの酸味があってシンプルで美味しいのです。
更に芝海老やアスパラ、帆立で作ったかき揚げを解して、天ばらにして、ご飯と混ぜ込まれます。
思い出しただけでも、また食べたくなる絶品の〆ご飯です。
この通り、コースでこれだけ食べてきているので、それほど食べられないのですが、お客ごとにご飯も1つづつ炊いて下さっています。
でも「安心してください!」
お握りにして持ち帰らせて下さいます。
手土産の中には「揚げ玉」も入れて下さっていました。
さすが、日本を誇る和食、文化遺産です。
連客の外国人のお客さんにも胸を張りたい気持ちでした(私が作ってないけどね…)
香の物と、しじみの赤出汁椀もそつなく寄り添ってくれてます。
・塩羊羹とお抹茶
信じられない事に甘味まで手作りです。
塩羊羹って名ばかりで、何処に塩入ってますか?と思うものしか食べた事が無かったのですが、こちらの羊羹はちゃんと塩が良い仕事してます。
しかも夏や冬とでは塩の加減を変えていらっしゃるそうです。
しかも、目の前で立てて下ったお抹茶付きですよ。
このコースに文句言う人がいたら連れてきて欲しいくらいです。感動で泣きそうになりながら帰りました。
帰ってから気が付いたのですが、あの茶色い塩が気に入り過ぎてかなり使ったのですが、全然喉が乾かなかったのです。不思議です。
そして翌朝、お握りを食べると、これは「悪魔のオニギリ」途中でやめる事が出来ずに6個もあったのに完食でした。
2023/06/11 更新
家人と記念日に美味しい天ぷらを食べに行こうとなり、ここなら安心と思って予約して訪れました。
以前に伺った時に、ミシュランでありながら奢ったとこがなく、とても丁寧にお料理を作り提供して下さる姿に感銘を受けたのが余韻として残っています。
天ぷらだけでなく、一品料理も旬の食材を使って鰹出汁にも拘っていらっしゃるのが気に入っています。
まず、お店の前に着きましたら、前回は分からなくてお店の方が待っていてくださったのですが、ちゃんと覚えていました。
とても印象的な玄関ですから。
築100年の昔の長屋を変えることなく使っていらっしゃる事に 連れの者もいたく感動していました。
店内は見事な木材を使ったカウンターなのも、外からは想像つかないので意表を突かれて楽しい瞬間です。
仕入れは、築地の目利きの仲買さんと共に行われているそうです。
揚げ油は、太白胡麻油と米油をブレンド。
この日のおまかせメニューは下記の通り
少しずつ感想など記しておきますね。
・無花果のワイン煮 胡麻ソース仕立て
ネットリした完熟の無花果の甘みと、胡麻の香ばしさが冷たいのもあって喉越しが良い前菜です。
・お造り 関アジ
ネギ醤油 カイワレと茗荷のサラダ仕立て
・天ぷら 車海老
動きのある海老の天ぷらは、カウンター並びの外国人のお客様からも歓声が上がっていました。
・車海老天海苔巻き
手渡しでいただける、豪華ミニ天丼って感じです。
・天ぷら 車海老顎脚
サクサクに揚がっていて、まるでお菓子のようで海老の香りも一段と華やかです。
・天ぷら 銀杏
同席した家人が銀杏好きで一足早い秋の味覚に喜んでいました。
・小鍋 鮑の肝ソース 鮑シャブシャブ
数十秒しゃぶしゃぶと泳がせて、早めだと食缶が楽しめ、長めだと柔らかくなると聞いて両方試してみました。
私は柔らかいのが好きかな。
・肝ソースを揚げご飯でリゾット風
丸く握ったご飯を天ぷらにして、残った肝ソースに入れて解してリゾットの陽に楽しみます。
コクがあって美味しいです。
・天ぷらブータン産の松茸
「ブータン?」と聞き返してしまいました。
何にも聞かないで食べていたら、てっきり国産だと思います。それほど、日本の松茸と似ているそう。
・天ぷら 甘鯛
鱗を付けたまま松笠のように揚げていて、鱗がザクザクでこの上ない美味しさ。
同席の外国人の方々も驚いていました。
・温物 夏鴨と揚げ茄子の治部煮
鴨に包丁が美しく入っていて、それを見ていても丁寧なお仕事ぶりが垣間見られます。
濃いめの味で揚げ茄子との相性が良かったです。
・太刀魚
揚げた太刀魚に更に、熱くした備長炭を焼き付けていきます。
焦げ目が付くと共に炭の香りもご馳走。
腹と背を別に切ってくれます。
お腹の方は脂が多いのでスダチと塩で。
背は、さっぱりと大根おろしを勧めて下さいます。魚のプロの気高さを感じました。
・箸休め 雲丹素麺
冷たくした三輪素麺に、雲丹を絡めて。
こんな贅沢な素麺を食べられるなら暑かった夏も愛おしいです。
・栃木県産椎茸
前回来た時に一番 記憶に残っているのが、この椎茸です。
きっと食べた人は皆、椎茸ってジューシーだったんだって思いますよ。
・天ぷら シャトーブリアンの湯葉焼き
大葉も一緒に巻き込んであります。
粒胡椒が4粒、これを噛んで口腔内で香りが広がってからお肉を頂くと、鼻から香りが抜けて柔らかなシャトーブリアンが一段と気高く感じます。
・海苔天中トロ醤油漬け ウニ キャビア
前にも書きましたが、家天ぷらで一番好きなのが海苔なので、また食べられて良かった。
あんなにパリパリに揚がる海苔も不思議ですが、これを考案した方と私はめちゃくちゃ食の好みが合うと思います。
・天ぷら グリーンアスパラ
高知県産のしっかりと野性味溢れるアスパラは、部位によって最も美味しく食べれるように工夫してくれます。
穂先から食べていって、その間に根元にも火が通っていくしくみ。
穂先はまるで「そら豆」のような味わいです。
・天ぷら キス
1週間ほど熟成させたキスは旨味が増していて、天ぷらにした時にダレていないと思いました。
・トマトご飯
お鍋を開けられた時に、可愛いミニトマトが3色並んでいました。まるで水玉模様。
それを杓文字で少し潰しながら混ぜられます。
最初はお茶碗に一口をよそってくれます。
これって茶事の懐石料理みたい、最初の炊きたてを食べてもらうことで「貴方をもてなす為に今炊きあがったばかりです」と言うしるしだとか。
それだけでなく、この後に海老と帆立の入った大きなかき揚げを鍋のご飯に混ぜ込みます。
ザクザクと揚げたてのかき揚げが混ざっていきます。
これが「やみつき飯」かきあげの中には、先程のアスパラの更に根元も使われていました。
こういう精神、大事ですね。
もちろん勿体ないだけでなく、その旨味も全部食べて欲しいと思われての、おもてなしなんてしょう。
・自家製塩羊羹と お抹茶
絶妙に塩の効いた、もちろん甘い羊羹は売って欲しいほどです。
いつの間にかお抹茶も点てて下さっていて、心の中で「日本人の心意気をみたか!」と1人胸を張っていました。
一緒に行った家人も、共に食した外国の方々も皆、満足な顔をして席を立ちました。
それは、ただ美味しいものを食べただけではない満ち足りた気持ちかな。
美しい所作で天ぷらを揚げながら、軽妙にお喋りをして下さる大将も素晴らしく、一生懸命に目を配りながら大将の動きと客の食べ具合を配慮してくれるお若いお弟子さん。
しっかり英語でも対応されていて、若い方の力も目にした素晴らしいお店でした。
やはり天ぷらを含めた日本料理は文化遺産ですね。