美肌ちゃんさんが投稿したイナリ食堂(長野/飯山)の口コミ詳細

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イナリ食堂飯山/ラーメン、食堂、中華料理

1

  • 昼の点数:4.9

    • ¥2,000~¥2,999 / 1人
      • 料理・味 4.9
      • |サービス 4.9
      • |雰囲気 4.9
      • |CP 4.9
      • |酒・ドリンク 4.9
1回目

2019/05 訪問

  • 昼の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.9
    • | 雰囲気4.9
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク4.9
    ¥2,000~¥2,999
    / 1人

変わっていく事・変わらない事 ~絶品モツ煮が繋ぐ風景~

今となっては遠い昔

元海軍の、泳ぎ自慢の力自慢
越後に住む働き者の、その名は渼平!

越後の国から信濃の国へ
乳牛を運ぶ仕事をしていたそうな〜

そんな渼平が懇意にしておった一軒の食堂


店「やあ!渼平さん!いつもんでいいかい?」

渼「あぁ、今日はさーみぃっすけ、熱いの頼むわ〜」

店「距離もあるで、ずく出さんと大変だ〜」

渼「なぁ〜ラジオで吹雪く言うろ?おわっちの牛も凍えちまうこてぁ(笑)」


そう言いながら渼平さんは
店主が差し出した

七輪で生からコトコト煮込んだ、モツ煮に舌鼓をうっていたとさ〜

時は流れ

子沢山な渼平さんところの次女、媄代!

信濃の国に嫁いで暮らしておったが、
ある日のこと、
知人から近所にある食堂のお手伝いを頼まれたんだ〜

媄代は身籠っていたが
何せ幼少期よりおてんばで体を動かすのが大好きでな

大きなお腹で元気に手伝っていた〜

そんな媄代の楽しみは
食堂の店主が作る

手打ち麺と煮干しのスープが美味しいラーメンと

七輪で生からコトコト煮込んだモツ煮

そう!

媄代が旨い旨いと食べていたモツ煮のある食堂は、
何と奇遇なことに

むか〜し自分の父親
渼平が懇意にしていた食堂だったとさ〜

少し時は流れ

媄代は薔薇のような、見目麗しき赤子を産んだとな

赤子はすくすく育ち
やがて小学生になる頃には

媄代に連れられ、
一緒にラーメンと冷やしつけ麺とモツ煮を楽しんだと〜

暫く経った頃には
食堂の店主は自分の息子に後を任せたという事じゃ〜

さらに時は流れ流れて・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


爽やかな青空の中

幾星霜ぶりかにこの店の前に、母と立つ

創業100年にもなるであろうこの店の
現在の店主は4代目

かつて祖父と母が仲良くしていた店主は、3代目である

いつの間にやらデカ盛りで有名になったようだが
本来は、そんなもので話題にならなくても
十分な実力店であるのを私たちは知っている

念のため開店30分前に来たら先客1組

私たちの後から次々人がやってきて
開店直前には15人くらいだろうか

扉が開いた

まるでセピア調の場面の中に
そこだけ色をおとしたかのような
鮮やかなブルーのバンダナが良く似合う、青年スタッフが大事そうに暖簾を出す


「いらっしゃいませ」


青年はまず、1組目の客を招き入れ
好きな席についてもらい
オーダーを聞き
厨房に通す

次に私たちの番

好きな席につき
あらかじめ決めていた

モツ煮2つ
中華そば1つ
冷やしつけ麺1つ
餃子1つ
を、オーダー

心なしか、モツ煮を口にした時の
青年スタッフの顔が一瞬変わった気がした

ここは
店主と奥さんで切り盛りしている為
1組ずつ案内しているのだ

繁盛店にありがちな
流れ作業のように、端から客を詰めさせてオーダーを取るなんて事はしない

席につくまで
料理がくるまで

待てない人は行かない方が良い

趣のある、町の食堂を愛せない人もだ


外で待つ客が、度々店内の様子を見に、
入っては出るを繰り返すが
それは野暮ってもんだ

店もよほどの事がない限り
中で待たせる事はしないのだろう

ゆったりくつろいで食べてもらう事に
重きを置いてるようにも見える

様子を見てると
ほとんどが、カツ丼目当てのようだ

10〜15人くらい立て続けに頼んだだろうか
青年スタッフが外で待つ人たちに


「すみません、カツが品切れになりました」

と、一言

「えー?そうなの?カツ定食も?カツ煮も?」

不満げな客

「はい、すみません」

謝る青年スタッフ


そりゃカツが品切れなんだから
カツ定食もカツ煮もダメやろ

と、心の中で突っ込む私

話題のカツ丼は原価もかかるのだろう
おそらく数量限定にしてるのかもしれない

品切れを聞いて帰る客もちらほら

デカ盛りで話題になってから来る客なんて、そんなもんだな
何もわかっとらん

と、心の中で思っていたら


「わかってないわよね〜」


と、不敵な笑みの母

あんたはエスパーか!
一瞬焦る(笑)

壁際に誇らしく飾られた
ボロボロになった昔の暖簾を見つめながら待つ

1組目の客にカツ丼が運ばれる
周りの客の注目を一気に浴びている

続いて私たちのオーダーが運ばれる


「わー!来た来た!やっぱこれよこれ!」

「ここに来たらモツ煮食べなきゃね〜!」


思い切り喜んでる私たちを見て
青年スタッフからも、嬉しそうに笑みがこぼれる

あーそっか

オーダーした時のあの顔は

デカ盛り系には目もくれず
真っ先にモツ煮を頼むなんて、意外に思ったんだなぁきっと

それだけデカ盛りの陰に、
身を潜めた存在になってしまったのだろうか、モツ煮は


「これこれ!このモツ煮用の皿も変わらないわぁ」


嬉しそうに食べる母

新鮮な生のモツを時間をかけて煮込んだこれは
箸に取るまではかろうじて形を保っているが

口に入れた途端

まるでその時を待っていたかのように
ホロリと崩れてしまう

僅かな甘さと肉の旨味だけで、味付けは殆どされていない

なのに
深い深いコクと味わい

一口目でごく僅かに感じるモツのクセも
いつしか堪らなく癖になってしまう

これに七味をたっぷりふるとまた格別


あれから色々なモツ煮を食べたけど
それなりに美味しいと感じてきたけど

これを食べると
やはりここのモツ煮は絶品

唯一無二だと思い知らされる


冷やしつけ麺は、昔より野菜を増やして
つけ汁の味を薄めたかな?

しかし甘さのない汁も、手打ち麺も、旨い
嫌味なく煮干しの効いた中華そばも、旨い

食べきれなかった餃子は、包んで持ち帰る事にした
こちらは、言えば食べきれない分を包んでくれる

お会計の時、母は
母が手伝っていた頃は、まだ学生だったであろう4代目と
その奥さんと少し会話していた

実はあの青年スタッフは、
4代目の息子だという事も母はすぐ気づいたらしい
3代目の面影があるようだ


時代の流れと共に、客の思考も嗜好も変わる

それに合わせて、変えなくてはならない部分があるのは
仕方のない事かもしれない

ただ、変化の中にも変わらず残る
何か、一本芯の通った何かがあれば

そこに懐かしさや安心感を感じる事ができる気がする

そしてそこに惹かれる客は決して離れない


大正、昭和、平成、令和と

4つの時代を繋げてきた自信と誇りを持って

これからも在り続けて欲しいと

願ってやまない


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「いゃ〜渼平さん、おらたの息子もずく出して頑張ってるがーどうかね」

「いぃねっかー、孫もいるろぉ、安心して高見の見物でもするこてぁ、なぁ?」

ワッハッハ・・・

2019/05/27 更新

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