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乃り英一乗寺、修学院、茶山・京都芸術大学/日本料理
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昼の点数:4.2
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¥5,000~¥5,999 / 1人
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料理・味 4.2
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|サービス 3.9
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|雰囲気 3.5
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.2
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| サービス3.9
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| 雰囲気3.5
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク- ]
正統京料理の伝統を継承する
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2022/12/21 更新
冬至も過ぎ、洛北には本格的な寒さが訪れる季節。今日のお目当ては修学院離宮。後水尾院が造営された壮大な王朝庭園。上、中、下の三つの離宮で構成され、それぞれに趣向が凝らされています。借景は遠くに比叡山、正面に御茶屋山、そして周りの田畑、中でも鱗雲亭から見る浴龍池と京都の街並みは素晴らしく圧巻でした。
そしてもう一つのお目当てがこちら、今はなき祇園の名店の正統京料理の伝統を継承するお店。暖簾をくぐって、中庭を見ながら玄関に着くと、お店の方が笑顔で温かく迎えて下さり、火鉢が置かれたお庭の見える掘り炬燵のお座敷に通して下さいました。今日はおまかせコース(5400円)をお願いしています。
一つ目は京湯葉です。引き上げ湯葉に鼈甲餡を掛けて、その上に雲丹をのせています。餡のお出汁の味がしっかりしていて、湯葉の柔らかくて円やかな味を引き立てます。
二つ目のお椀は蟹真薯です。すり身が柔らかくふわふわな感じです、そしてその中に蟹の素材を大事に旨味と共に閉じ込めています。お出汁は昆布や鰹節が効いていて本当に美味しいです、京野菜と真薯とのバランスが良く、五臓六腑に染み渡る、心がホッとするそんな心温まる優しい逸品です。
次は向付のお刺身です。ぶりとひらめでした。白身は鯛かなと思っていましたら、上にエンガワがのっているのはひらめですよ、と女将さんが教えて下さいました。ぶりもひらめも新鮮でとても美味しい。またエンガワがコリっとしていて歯ごたえがあり違った食感が粋です。
いよいよメインの八寸です。左上から鰆の焼き物、蟹の茶碗蒸し、とろの握り、左下から鮑の煮凝りとじ、胡麻豆腐、カズノコと菜種の和え物です。特に左右の鮑と和え物は柚子の皮を器に設え、柚子の葉が添えられています、冬至のこの季節を上手に表しています。女将さんから、温かい茶碗蒸しからどうぞと進めて頂きます。味は濃厚です、しかし、しつこく無く蟹がしっかり主張していて美味しい、まさに京の味です。鰆に目立たなく添えられているのは生姜の鼈甲煮、三日三晩昆布と煮詰めて作るのだそうです。鰆の苦みを生姜が打ち消してくれて、今まで味わったことのない味に出会うことが出来ました。胡麻豆腐も胡麻本来の風味が際立ち、もっちりとした食感、とろけるような舌触り、丹念に時間を掛けて練り上げてきた証しでしょう。また隣の数の子の和え物との相性も抜群です。
炊き合わせは、京の味覚の代名詞、かぶら蒸しです。まるで雪のように白く、かぶの摺おろしと白身魚のすり身が、淡雪を食べるような食感です。その中にゆり根と蟹の身が果肉のように、しっかりと存在感があり味わいがあります。そして出汁の効いた餡と良く合っていて、体が心底暖まり、ほっこり出来るそんな素晴らしい逸品です。また添えられた銀杏も味に深みを出すアクセントになっています。
ご飯は希少な白甘鯛をふんだんに使って土鍋で炊いた鯛めしです。昆布と鯛の出汁が染み渡った本当に素晴らしい味です。女将さんがこの季節をあしらって柚子を削ってご飯に香りを振り掛けて下さり、一層趣を増します。また、香の物も妥協のない自家製です、昆布もかぶらの漬物も本当に美味しい。お腹一杯にも関わらず、思わずお替りせずにはいられないそんなご飯でした。
そして、水菓子はゼリーと季節の果物です。お腹一杯の後、口がサッパリ出来て、落ち着くことが出来ました。
どのお料理も派手さこそそんなにありませんが、丁寧に時間と手間暇を掛けた素晴らしい季節感溢れる京料理の数々でした。京都ならではの奥ゆかしさと趣を感じさせてくれる逸品ばかりでした。
また、お料理は勿論のこと、それを入れる清水焼の器も素晴らしく、女将さんにそうお伝えしたところ、女将さんの叔父様は、料理も器も芸術であると、お金に糸目を着けず、素晴らしい器を求めてらしたと、伝説の料理人の昔話も少し聞くことが出来ました。きっとそれらの清水の器もこちらに継承されているのでしょう。
最後は、玄関先まで丁寧にお見送りまでして下さいました。伝統ある素晴らしい京料理と心温まるおもてなしに、とても幸福なひと時を過ごすことが出来ました。また必ずお邪魔させて頂きたいと思います。大変ご馳走様でした。