レールモントフさんが投稿した草喰 なかひがし(京都/出町柳)の口コミ詳細

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レールモントフの " Bon Appetit "

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レールモントフ (50代後半・男性・兵庫県) 認証済

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草喰 なかひがし元田中、茶山・京都芸術大学、出町柳/日本料理

1

  • 昼の点数:4.6

    • ¥6,000~¥7,999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 3.8
      • |雰囲気 3.3
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 3.2
1回目

2020/12 訪問

  • 昼の点数:4.6

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.3
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク3.2
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

お竈はんの御飯に、炭火の肴と山野草を添えて

師走の枯れ葉舞う吉田山。銀杏の黄色と紅葉の紅が映える。谷川茂次郎の吉田神楽の街並みに魅せられ散策。丁度正午、今日のお目当ては念願のこちら。暖簾を潜り、一番奥に座らせて頂く。割烹のような造りでカウンター席からはお竈さんが見える。お昼のコース(6600円)に、飲み物はエビスビール(880円)をお願いする。大将の挨拶と共に料理がはじまる。

◆「前八寸」は、唐紅の趣のある木の器に、ヒトデのように大きな唐楓の濡れ落ち葉を蓋に見立てている。大将は、その蓋を外すとヒトデなしとジョークを飛ばされていた。中には色とりどりの京の山野の幸が、宝石箱のように散りばめらている。

左奥から柚子皮を器にして南瓜と蕪のすりおろしみぞれ和え、柚子の絞り汁をかけるとこのように赤く発色するのだそう、その上には金時豆と貝割れが添えられている。来週には冬至、無病息災を祈って混ぜ合わせて美味しく頂く。

その右横には、ブロッコリーとカリフラワーの蒸し焼きに諏訪地方の特産凍餅を削って降らせ、初雪をイメージさせる。

そしてその前やや中央に、林檎で挟んだ鹿肉の燻製。香ばしさと林檎の酸味のある甘さが良く合う。そしてその上には、抹茶を掛けた味女泥鰌(アジメドジョウ)と鰹の腹皮の炙り焼き。味女泥鰌は全く泥臭くなく、ビールの肴には最高。

その左下には、栗きんとんに銀杏を入れて、クワイ煎餅を挿して、サザンカに見立てた愛らしい一品、栗きんとんが甘すぎず美味しい。

そして、その右がさやごと乾煎りした黒豆、素材が生きていて、固めで噛めば噛むほど味わい深い。

◆「凌ぎ」は、いい色が出ている焼き物の蓋付き縦長湯呑に入った、零余子(むかご)と餅米に蟹の餡掛けをかけた一品、蟹味噌がアクセントになって味を繊細なまま引き締めている。

◆「椀の物」は、器が凝っていて、蓋を表裏二つ合わせると、晩秋の天王山、夜空には三日月、蓑傘を着た船頭が淀川で引き船をしている様が何とも情緒豊かな京の風情に。金町蕪と栃餅が入った白味噌仕立て、甘すぎず出汁も効いていてコクもあって本当に美味しい、心が温まる絶品の味。

◆「焼き物」は、塩断ちした新巻鮭を酒粕に三日三晩漬け込んで、赤大根で挟んで朴葉で捲いて蒸し焼きにしたもの。和歌山の摘果みかんのジャムと酒粕を味りんに漬けて焼いたもの、枯葉をイメージした乾燥させた大根の葉が添えられている。皿にはカワセミが枝にとまっている様が描かれていて、その枝でまるで蓑虫が巣作りをしているかのようにそれぞれの料理が盛り付けられている、想像力を掻き立てられる逸品。

◆「向付け」は、鯉の平造り。はつか大根の貝割れ、辛子水菜、自然薯、岩魚の卵、辛味大根のおろし、野蒜(のびる)と鯉の骨切りから作った煮凝りが添えらている。上から醤油を掛けて混ぜて頂く。地下水で三ヵ月泳がせた鯉は全く癖が無く食べ易い、自然薯の粘りがすごく、また辛味大根の辛さが際立つ。

◆「煮えばな」として、ホクホクのご飯が少々。瑞々しく、甘みがあって、米の美味さを改めて実感する。

◆「炊き合わせ」は、長方形の器に入った、里芋、堀川牛蒡、金時人参、壬生菜、聖護院大根に柚子味噌を掛けて風呂吹きにしたものに、名残り紅葉の生麩を添えた逸品。出汁が良く効いていて、繊細で優しい味、野菜も柔らかく、柚子味噌が美味しく、季節感たっぷりに仕上がっている。

◆「止肴」は、風格のある焼き物皿に入った、しゃくし菜と油揚げのお浸し、味付けが鮭を燻製する時に出た出汁を使っていて、一風変わった味に仕上がっていてこれはこれで美味しい。

◆「ご飯」こそが、こちらの真骨頂。先ほどは煮えばなを頂いたが、一志郎窯の羽釜で蒸らし炊きあがったほくほくつやつやのご飯を美味しく頂くために、いわし雲の絵皿で飛んでいるかのようなめざし、畑にあった最後の唐辛子を全て抜いて干し椎茸と炊いた煮物、琵琶湖の冬の味覚の氷魚(ひうお)、そして、昆布の佃煮や赤かぶ、大根、白菜の漬物など香の物が所狭しと置かれ、メインのご飯が来るのを待つ。一杯目はほっかほかのご飯を頂く、本当に美味しい。二杯目はお焦げを塩と山椒オイルでパリパリと頂く、う~んこれもいける。三杯目は梅と一緒にお茶漬けにして。大将曰く、一杯目は日本で、二杯目は中東(オイルと掛けて)を経由して、パリに飛んで(パリパリとお焦げを)、三杯目は大西洋を渡って、ニューヨークで、お茶漬けはハドソン川に浮かぶマンハッタンだとか。(笑)

◆「水菓子」は、雪の結晶の様に見える皿の上を、サンタがソリを走らせている。ソリはラフランスと干し柿、クリスマスツリーは人参の葉をシャーベットにして、その上に冬いちご、引っ張る荷物は、大原で採れたキウイと橘、トナカイはドライトマトで表しているキャラ水菓子の大作。

全九品、どの料理にも力強さと命を感じずにはいられないものばかりだった、ひとつの余りも無駄もそぎ落とす点も無かった、高級素材を使うのではなく、京の山々にある旬の山野草ばかり、しかし今まで頂いて来たどんなに豪華な料理よりも、美味しく感動を与えてくれた。そして、季節感たっぷりに名残りや走りもちゃんと表現されていて、手間暇を掛けて最高の味に仕上げられていた。ふと暖簾を潜る前に消えそうな手書きの看板が思い出された。「お竈はんの御飯に、炭火の肴と山野草を添えて」大将の想いに触れた気がした。目の前の命ある食べものとは、その瞬間が一期一会。美味しく全てを頂いて成仏を願ってご馳走様をした。また是非伺わせて頂きたい。


  • 絶品の炊き合わせ

  • お竈はんのご飯に

  • 淀川の引き船

  • 鯉の平造り

  • エントランス

  • お竈はんのある風景

  • ヒトデ楓(唐楓)

  • 前八寸

  • 凌ぎ

  • 零余子と蟹

  • 椀の物

  • 白味噌と栃餅

  • 三日月の天王山

  • 焼き物

  • 新牧鮭

  • 向付け

  • 煮えばな

  • ベジタブルボックス

  • 炊き合わせ

  • しゃくし菜のお浸し

  • ご飯のお供

  • 氷魚

  • 香の物

  • 空飛ぶめざし

  • 唐辛子菜の煮物

  • 御飯

  • ハドソン川にマンハッタン

  • 雪の結晶とサンタ

  • ソリに乗るサンタ

  • 色付く紅葉

  • 旧三井家下賀茂別邸

2021/02/20 更新

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