2回
2025/07 訪問
ディナーは季節の食材が主役でした。扉を開くと静かなでモダンな空気に迎えられました。ここは和の流れを汲む軽やかなフレンチがテーマで、食後に疲れが残らないコース構成が心地よいです。
序盤は群馬のとうもろこしの甘みを生かしたひと皿で、香りがふわりと立ち上がり期待が高まります。温の段で宮崎の妻地鶏の骨汁が登場し、滋味が体にすっと染みて次の皿への橋渡しになります。徳島の鮎は苦みを優しく包み込み、北海道の毛ガニはセルバチコのほろ苦さと重なって奥行きが出ます。主菜の都萬牛は火入れが繊細で旨みが静かに膨らみ、心がほどける瞬間でした。締めは桃のグラニテで口を澄ませ、玉露とピスタチオのムースが静かな余韻を描きます。
素材を主役に据える姿勢と香りの設計に、店とシェフの美学を感じました。大切な人と過ごす夜にも自分を整える時間にもふさわしい、記憶に残るディナーでした。
2025/09/06 更新
ランチタイムに2名で利用。
普段はコース料理のデザートとしてしか提供されないクレープサレをこの日は単品で注文できる特別営業が行われており、それを知って訪れた。
店内は常に8〜9割ほどの混雑で、常連と思われる人から初来店の人まで幅広く、入れ替わりも多かったが落ち着いた空気が流れていて居心地が良い。シェフの対応が丁寧で、カウンター越しの距離感もちょうどいい。
カウンターの前で一枚ずつ仕上げられるクレープサレは、バターが溶けていく香りと生地の焼ける音が心地よく、その過程を眺めているだけでも満足度が高い。焼き上がりは表面がパリッと香ばしく、中心はしっとり。甘みは控えめで、素材そのものの香りが立つ。
合わせたブランデーは樽香のある柔らかい甘さとほのかな苦みがあり、クレープサレの香ばしさを引き立てて相性が抜群だった。
普段はコース料理の一部としてしか味わえない一皿を単品で楽しめるのは貴重で、焼き立てを最良の状態で提供する姿勢に店のこだわりを強く感じた。イベント的な特別営業でありながら雑さがなく、料理と雰囲気の両面で満足度が高い。次に同様の機会があれば必ず再訪したいと思える内容だった。