ここのお団子は米の粉の食感を感じさせるようなザラリとした生地が特徴だ。団子中毒の母にはそれがたまらないらしい。同じ桐生市内の近所の餅菓子屋で買ったなめらかな生地の串だんごは母の好みでは決してない。店によっては羽二重のようななめらかな餅生地で串だんごの団子をこねる。それはそれでとてもおいしい。ほうじ茶が美味しいのか、煎茶が美味しいのか悩むようなもので、両者とも目指しているものが違う。提供しようとしている味覚がそもそも違うのだと思う。大野屋のだんごはハグハグと噛んだ時の食感からして「 savoury type 」と言えると思う。お食事だんごだ。ほのかに焼き目をつけ生醤油をたらしたり海苔をまいてもイケてしまう。一方つるりと飲み込めてしまうようなきめの細かいなめらかな生地のお団子はさしずめ 「 dessert type 」。お上品な甘さの漉し餡や心をくすぐるような香りのみたらしのたれががねっとりと絡みつくような餅生地によく合っている。
(2016年10月)
この店に関しては辛口の評価もあるようだが、わたしの母はここの団子の根強いファンである。いや、絶対的なファンである。信奉者ですらある。
ここのお団子は米の粉の食感を感じさせるようなザラリとした生地が特徴だ。団子中毒の母にはそれがたまらないらしい。同じ桐生市内の近所の餅菓子屋で買ったなめらかな生地の串だんごは母の好みでは決してない。店によっては羽二重のようななめらかな餅生地で串だんごの団子をこねる。それはそれでとてもおいしい。ほうじ茶が美味しいのか、煎茶が美味しいのか悩むようなもので、両者とも目指しているものが違う。提供しようとしている味覚がそもそも違うのだと思う。大野屋のだんごはハグハグと噛んだ時の食感からして「 savoury type 」と言えると思う。お食事だんごだ。ほのかに焼き目をつけ生醤油をたらしたり海苔をまいてもイケてしまう。一方つるりと飲み込めてしまうようなきめの細かいなめらかな生地のお団子はさしずめ 「 dessert type 」。お上品な甘さの漉し餡や心をくすぐるような香りのみたらしのたれががねっとりと絡みつくような餅生地によく合っている。
しかし。大野屋は日本で現在絶滅の危機に瀕している数少ない正統派「お食事だんご」の店だ。
何気なく普通っぽく作っている所においても本物らしさが漂っている。・・・・・・君はこの事に気が付けるだろうか?
ちなみにこのお食事だんごの個性になんの飾り気のないあんこをこすりつけた串だんごはどうやらだんご通の母を心酔させるものがあるらしい。昔々その昔・・・・・きっと食べたに違いない、味。きっと、どこかで何気なく食べたに違いない、家庭の味に限りなく近いだんごなのだ。餅菓子ではない、米の粉で作るだんご。だんご、だんご、だんご甘いかしょっぱいか。
八兵衛さんが腹いっぱい食べたに違いないだんごの味の様にも思う。
このような他店との個性の違いを明確に意識した後、大野屋のだんごは食すべし。
ただ漫然と食すと真価を理解するに至らない。