2回
2020/02 訪問
清らかな凛とした空間で過ごす肩の力を抜いた時間
4年前に元麻布から銀座に移転してきたお店。
しかし、「移転間もない」と言われても納得出来る程、清潔で美しい店内だった。
高級店が並ぶ並木通りに面し、ビルのエレベーターを上ると入り口。
引き戸を開ける前に、コートとマフラー脱ぎ背筋を伸ばして入りたくなる静寂さを感じた。
意を決して引き戸を引くと、柔な笑顔で着物の女性が出迎えてくれた。
先に着席していた友人の元に案内され、まずはアルコールで乾杯。
走ってきた私は、ビール。
手入れの行き届いた、冷たいビールが注がれている。
友人は大将オススメの日本酒。
ふくよかでありながら食欲を掻き立てる香り。
食前酒として成立。
☆皮剥の肝蒸し
生湯葉、白子あん、ふり柚子
皮剥と生湯葉が二層になった上に、皮剥の肝が乗っている。
それを囲むのは、なめらかな白子あんと爽やかな柚子の皮。
白子は、旬で味が良くなってる北海道の鱈の物を使用。
柚子の香りが鼻腔と日本人の和の心をくすぐった。
熱すぎず程良い加減の蒸し物で、気持ちも和らいだ。
☆九絵のスープ
九絵の旨味が染み出したお出汁に九絵の椀種。
シンプル。
だからこそ、直球で九絵を堪能出来た。
☆雲丹パン
雲丹には目が無い。
香ばしいカリカリパンと濃厚な雲丹の組み合わせが最高。
パンの芯の部分はほんのりと、柔らか。
ビール、ワイン、日本酒どれも合いそう。
☆お造り
海の近くに住んでいるので、都内で生魚を頂く時はハードル高い。
でも、このお造りには感服。
どれも一手間掛かっており、「単なる生魚の切り身」では無く「料理された生魚」。
特に鯨はなんとも言えない旨味が良かった。
☆京人参のエスプーマ
京人参のピュレをアワアワにしたやつ。
京人参以外の味は加えておらず、素材そのものの味が濃厚で美味しかった。
身体が喜ぶ味。
☆本鮪の手巻き寿司
海苔に酢飯、その上に棒状に切られた鮪。
左から3口で食べると「旨味の詰まった赤身」「程良い脂ののった中トロ」「トロけるトロ」と三種類の鮪が楽しめる。
☆牡蠣の蒸し焼き
うるい、牡蠣のソース、オイスターリーフ、北海蛸の酒炒り、この子まぶし、煎り豆腐
一皿にいくつもの味が。
「海と畑の牡蠣の共演」で驚かせてから、「海の珍味の旨味」で幸せのてっぺんに昇らせて、「懐かしさを感じさせる煎り豆腐」でホッと夢見心地。
様々な幸せを噛み締める一皿。
☆白魚の天婦羅
出て来た器を見て「煮物かな?」と思った上品な器。
蓋を開けたら、白とピンクが可愛い揚げ物。
サクサクしつつホロホロした、白魚の天婦羅。
瑞々しく口直しになる、ピンクの大根。
ローズソルトの角の無い塩味が程良い。
大根も白魚の天婦羅が無限ループしちゃう。
☆尼鯛の若狭焼き
焼き筍、木の芽味噌
甘鯛は完璧な焼き。
サクサクの鱗と、上品なのに脂の乗った白身にうっとり。
同じ皿に載った、焼き筍は瑞々しくサクッとした歯応え。添えられた木の芽味噌は清々しい香りと、ほのかな苦味。
バランスの取れた一皿。
☆鱶鰭の姿煮和食仕立て
まず、ビジュアルに驚かされた!
中華な装いだから、良い意味で驚かされた。
鱶鰭の太い繊維にお出汁の旨味がとても良く合っている。
☆食事
4種類から選べる。
散々迷ったけど雲丹の誘惑には抗えなかった、
粒の立ったお米、程良いトロミの出汁餡、トロトロな湯葉、旨味凝縮で口の中で溶ける雲丹。
レンゲで掻き込みたく美味しさ。
赤出汁はなめこだけで無く、湯葉が忍ばされていて嬉しいサプライズ。
これだけで一品ものとして成立。
お椀と香の物も味と食感のバランスが最高によい。
あと3杯食べたかった!
あっ、お椀も。
友人の選んだ手打ちそばも、そこらの蕎麦屋より美味しかった。
☆デザート
こちらも4種類から選べる。
私が選んだのは、季節の柑橘類のグラス。
爽やかさ、まろやかさ、クリーミーさが三位一体。
この日のお食事がきれいに閉まった。
大将、女将さんとの会話も心地よく、お店自体の雰囲気も柔らか。
最初は銀座のお店だから、緊張したけれど、ゆっくり温泉浸かっている様な気持ち良い、のんびりした時間を過ごせた。
2020/02/13 更新
お料理が最高なのは一目瞭然。
写真の佇まいからも醸されている。
前回訪れた時から程なく再訪。
なぜなら、月が変わり献立が変わったので。
一、焼き河豚
穂付き筍、蕎麦がき、蕨、そばつゆあん
一、真鯛スープ
一、本日のお造り
一、蛤のエスプーマ
松葉蟹
一、本鮪の手巻き寿司
一、きんき、生湯葉の煮物
蕗、木の芽
一、白魚の天婦羅
たらの芽、ローズソルト
一、鱶鰭の姿煮
赤粒胡椒
一、食事
仙台牛のそぼろ丼を選択
一、デザート
京人参のゼリーに白餡のエスプーマ
前回も感動の美味しさだったけど、味覚だけではなく五感と脳味噌に響く美味しさ!