13回
2018/12 訪問
12月の桂太~冬の訪れ
【つまみ】
◉姫路産真鯛 海月
◉香箱蟹
◉鰯巻
◉皮剥肝和え
◉横須賀産真蛸
◉鮟鱇肝和え、山葵菜漬け
◉タチ蒲
【握り】
◉大間2w5d鮪赤身
◉大間2w5d鮪中トロ
◉佐賀産小鰭
◉大間2w5d鮪中トロ
切ってからの表情の変化が素晴らしい
◉白烏賊
甘味の開花が早く酢飯との馴染みも早い!
◉蛤
◉銚子産真鯖
◉車海老
◉いくら
◉鰆の漬け
◉青柳
紐も一緒に噛ませて風味倍増
◉宮城産細魚
脂に頼らないグッと来る昆布の様なグルタミン酸の旨味に仄かな酸味が宮城の特徴みたいだ。
酢飯と合わせて甘味も増す。
◉落石岬産蝦夷馬糞海胆
◉佐渡産迷い鰹
◉穴子
◉玉子
【追加】
◉真鯛腹の身
◉鮪、喉黒エシャロット巻
【日本酒】
◎一白水成
◎貴
2020/05/31 更新
2018/11 訪問
11月の桂太~冬の足音
ずっとアーカイブに溜めちゃっていた記録だけ残しておこう。
【つまみ】
◉青森産鮃
◉香箱蟹
香箱自体美味しいのは当たり前だが、他店には無い器の趣向が楽しい気分にさせてくれる。
◉秋刀魚海苔巻
◉皮剥肝和え
◉真鯛カマ焼き
紅葉鯛を過ぎつつあるこの時期の真鯛のカマは滅茶苦茶美味しくなって来ているなぁ。
◉真蛸
◉鰊漬け
【握り】
◉大間産160kg鮪赤身
◉佐賀産小鰭
◉大間産160kg鮪中トロ
◉蛤
◉真鯖
◉中国産赤貝
中国産と言われなければ、国産の味わいの中々興味深い一品
◉大分産天然車海老
◉いくら
◉秋刀魚
◉青柳
◉落石産蝦夷馬糞海胆
◉墨烏賊 4日目
◉鰆
◉鰹
◉穴子
◉玉子
【追加】
◉鰤 10日目
◉真鯛 腹の身
◉秋刀魚祭り
ヒバスモークE&酢〆
【日本酒】
◎石鎚
◎貴
◎11月の生け花
かすみ草
金魚草
ガーベラ
2019/11/11 更新
2018/10 訪問
10月の桂太~あはびおわりてたちかまきたる
この日は来店者との語り合いでメモが無い。
本レビューは基本的に写真から起こしている。
【つまみ】
◉真鯛
◉鰯巻
◉皮剥肝和え
◉歯鰹
きつね鰹ともいう。
本家の鰹よりもヘモグロビン、血の風味が足りない気がする。
◉タチカマ炙り
これは市販ではなく、桂太親方が自分で真ダチ(雲子)を仕入れて不純物を取り除き、塩だけで練る。
良い品質、鮮度の物ではないとうまくフックラと仕上がらず、とてもお客さんには提供出来ない物まで格下げていく
◉真蛸
◉鮟鱇肝合え、鰊麹漬け
【握り】
◉鮪赤身
◉鮪中トロ
◉小鰭
◉鮪大トロ蛇腹
◉白烏賊
◉車海老
◉〆鯖
◉いくら
◉蛤
◉秋刀魚
◉青柳
◉鰹
◉釧路産蝦夷馬糞海胆
◉春子
◉水松貝
◉鰆漬け
◉穴子
◉秋刀魚、鮪半巻
【日本酒】
◎惣誉(そうほまれ) 栃木
2019/05/13 更新
2018/09 訪問
9月の桂太~出逢いの味
【つまみ】
◉房州真鯛
◉鰯巻
◉房州黒鮑 大黒 600g以上
◉ナガスクジラ
◉鰹塩叩き
◉皮剥肝和え
【握り】
鮪は双方とも大間の160kg級。
赤身と剥がし1W程、中トロは1日前の仕入れもの。
前日仕入れた鮪は、赤身は焼けて使い物にならなかったものだが中トロが狙いで調達してみたと。
言葉違えぬ素晴らしい味わいだった。
◉赤身
◉中トロ
◉新子2枚付け
◉〆真鯖
◉新烏賊
◉新物いくら
◉車海老
◉秋刀魚ヒバ燻(エシャロット:E ヒバスモーク:HS)
◉青森産紫海胆
◉鰆漬け
鰆の握り(漬け)は当方と桂太の出逢いからのモノ。
鮪の漬けダレとは別物で柔らかい甘味を持たせたもの。
口に入れた瞬間酒の香りがファンと来るので酒と味醂を煮詰めた物に煮切り等を合わせているのかな?
当初は酒の匂い、癖が強く残っていて違和感が些か残っていたのだが、何と言おうか酒の風味のエッジは立っているのだが嫌味な棘棘しさは削げて来ており、鰆の個体によってはそれがビタッと来る時も有り面白い仕事。
鰆の身質とマッチした他では味わった事のない調味漬けである。
◉真鯛
◉対馬産穴子
◉シャリ 玉子添え
【追加】
今日は赤海胆が有ると言うので握ってもらった。
築地でお眼鏡に叶う品があった時のみ仕入れているという赤海胆。
今回は2種用意されていて食べ比べさせてもらった。
どちらも美味い!
もちろん支払いは今までの最高額となるのだが、海胆は心意気価格で提供いただいているので、他処でいただくよりもグッとLOW PRICEだ。
しかも、自分の好みのキリッと酸味の立った酢飯で、自分の好みを知ってくれている職人が握るのだから、それはそれは超力好みと成る事は自明の理である。
◉福岡藍島
ミョウバン有り
粒がしっかりしている
旨味が濃く円やかで余韻が長い
◉淡路由良島
ミョウバン無し 無添加
常温になる毎に溶けてくる
爽やかな柑橘系の風味にスッキリとした旨味で余韻はスパっと切れる
◉秋刀魚巻き E HS、フレッシュ&肝ダレ
【日本酒】
◎秋桜 広島
◎たかの井 新潟 本格辛口
トップフォト 新子
秋桜 広島
真鯛
鰯巻
大黒
ナガスクジラ
鰹塩叩き
たかの井 新潟 本格辛口
皮剥肝和え
ここから握り♪
赤身
中トロ
新子2枚付け
背トロ剥がし
蛤
〆真鯖
新烏賊
新物いくら
車海老
秋刀魚ヒバ燻
青森産紫海胆
鰆漬け
真鯛
対馬産穴子
赤海胆祭り♡
福岡藍島
淡路由良島
秋刀魚巻
ヒバスモーク、フレッシュに肝ダレ。共にエシャロット。
シャリ 玉子添え 焦点がシャリへw
2019/04/29 更新
2018/07 訪問
7月の桂太~初夏の味
【つまみ】
◉鮎魚女 海月(くらげ)
◉蒸し鮑
◉鮑肝 一週間味噌漬け
◉泉州水茄子
◉茶豆
◉横須賀産真蛸
◉鮟鱇共和え
◉皮剥肝和え
◉鰯巻
◉鰊麹漬け
大根、白菜、人参に身欠きニシンを麹で漬け込む。
やや甘目だがほんのりと生姜が利いて美味。
大根は本当は干した方が美味いのだが、諸般の事情により現在は生の大根で漬け込んだものだ。
【握り】
◉塩釜産腹上130kg中トロ
◉天草産新子
淡い儚さと皮のトゥルンとした舌触りと柔らかい身質を愉しむ。
◉小鰭
新子と小鰭の双方を用意してくれているのが難い。
良く分かってるね~♪
キリッとした〆仕事にグッとくる旨味が応える。
◉塩釜産腹上130kg赤身漬け
◉塩釜産腹上130kg大トロ腹上
夏の鮪は酸味はあるのだが旨味成分が欠けるため、酢飯と合わせる事を考慮して腹上部を使用したとのこと。
◉白烏賊(剣先烏賊)
◉どんちっち鯵(島根県浜田産真鯵)
白眉!
脂質含有量が13%と言われいるどんちっち鯵であるが、鯵の平均は3.5%だそうだ。
◉蛤
◉〆鯖(胡麻鯖)
◉車海老
◉鰆
独特の漬け仕事
◉鰹
◉北海道産紫海胆
◉羽田沖の穴子
やはり江戸前の穴子は最強最高!!
◉玉子 シャリ添え
【追加】
◉煮帆立
伝統と革新と
◉道東産トキシラズ
素晴らしい脂の乗り
◉淡路島由良産赤海胆
独特の柑橘の香りさえ漂うヤバい美味さ!!
◉〆鰯E巻
言うに及ばず!
【日本酒】
◎萩の鶴 猫ラベル
◎津島屋
◎鶴齢
◎播州一献
※2人で4合
2018/12/27 更新
2018/06 訪問
6月の桂太~最高に美味い時鮭(トキシラズ)
先月には居なかった新弟子が5月より入店したとの事。
彼についても折を見て少しづつ紹介していこうと思う。
この日は何といっても時鮭(トキシラズ)が超白眉!!!
【つまみ】
◉横須賀産マコカレイ 2日
◉房州産蒸し鮑(黒)
◉蛍烏賊の炙り
◉稚鮎
◉鮟鱇肝味噌和え
◉鰯巻き
◉真蛸 城ヶ島産
◉ツブ貝 鮑肝ソース
◉鳥貝炙り
【握り】
◉塩釜産本鮪赤身漬け
◉塩釜産本鮪背トロ
◉小鰭
◉蛤
◉浜田産どんちっち鯵
生のままで身と脂の旨味で戴く
◉白烏賊
◉車海老
甘味が上がって来ている
◉釧路町昆布森産時鮭(トキシラズ) 7kg
これは•••
途轍も無く•••
う、ま、い、ぞぉ、おおおーーー!!!
切り身は舌触り滑らかで強過ぎない程良い脂と身の旨味に溢れる。
驚く事に、後口でいくらの粒が弾けた時に香る卵の黄身の様な香りが喉奥から鼻腔へと抜けていく素晴らしい魚体。
皮目のみ炙ったトキシラズの身には山葵だと強過ぎるので辛子を噛ませたとのこと。
秋鮭には無い若くも脂の乗りが抜群で光輝く味わいはトキならでは。
少し解説すると、秋は産卵の為、初夏は餌を求めてと鮭も違う目的でやってきているため、脂や身の栄養分が卵巣や精巣にまわらず身に旨味が回っている。
当方初夏にも北海道は道東にもよく出掛けるが、これ程の生命力溢れるトキにはお目に掛かった記憶が無いほど本日の巡り合せは僥倖と言えよう。
ちなみに釧路と根室の間に位置する昆布森で漁獲されたというのとは、ロシアのカムチャッカ半島あたりから南下してきた魚体であり、予定としてはアムール川へ戻る。
6月に北海道へ行って来た時にはトキシラズと出逢う機会に恵まれなかったが、帯広の先の広尾から日高あたりから根室までの沿岸の定置網に掛かる。
日本の川で誕生した魚体であれば、北太平洋の沖合いを回遊している頃合いである。
◉金目鯛 エシャロット ヒバ炙り
◉釧路産大羽鰯
先月より旨味が素晴らしく上がっている
◉蝦蛄
◉岩手産蝦夷馬糞海胆 平川水産
◉韓国産水松貝
身の厚みと噛んだ時の歯応えに甘味は国産品と遜色のない優れた個体。
グラインドで食べたら絶対に韓国産とはわからない程良質な種で面白かった。
以前大阪のおおはたで済州島の赤貝の握りが提供されたが、それも身の厚みといい、甘味と風味が抜群国産品と遜色無く驚いた事を思い出した。
◉子安産穴子
2018年間随一の美味!
江戸前独特の穴子の土の様な風味に乗り過ぎない質の良い脂のコクのバランス良き旨味。
◉鰊麹漬け ほんのりと生姜の香りと麹と野菜の甘味が鰊を美味しくしてくれている。
◉玉子
【追加】
◉トキシラズ E巻
◉鰯 E巻
◉穴キュウ巻
◎乾坤一0.5
◎石鎚0.5
◎雪の美人0.5
2018/11/29 更新
2018/05 訪問
5月の桂太~伊佐木の美味しい時期へ
【つまみ】
◉マコカレイ
塩して一晩寝かせて脱水した身は昆布を舐めている様な旨味が溢れ出す。
◉房州産蒸し鮑(黒)
◉干し蛍烏賊の炙り
◉三重県産鳥貝 炙り
もう終盤で前回より小振りですと。
◉鮟鱇肝味噌和え
◉鰯巻き
◉小樽産蝦蛄雄と雌
◉ツブ貝 鮑肝ソース
◉真蛸
◉水茄子
【握り】
◉鮪赤身漬け
◉小鰭
◉鮪背トロ
◉蛤
◉真鯵 酢洗
◉白烏賊
◉車海老
◉出水産伊佐木
今日一の白眉!!!
流石梅雨伊佐木と言われるだけ有って、入梅時期の伊佐木はひと味もふた味も違う。
◉青柳
◉余市産海水海胆(紫)
こちらでは初お目見えの海水海胆。
親方の好みは紫の方だそう。
◉平貝
◉春子
フワリとした身の柔らかさ
◉愛知産蝦蛄
◉鰹
脂控え目の身の旨味
◉穴子
これから尻上がりに良くなってくる予感♡
◉玉子
◉〆とフレッシュの鰯巻き
銚子産大羽と酢〆のものを半々で
フレッシュな荒削りの旨味と脂がエシャロットによって美味しさが倍加していく。
役者に例えるなら•••
〆鰯も絶品だが、枯れた旨味の技巧派の演技。
フレッシュは今売り出し中の脂の乗り切った俳優の様。
トップフォト 今宵のお供
紀土
マコカレイ
房州産蒸し鮑(黒)
干し蛍烏賊の炙り
海老で鯛を釣る
鳥貝炙り
鮟鱇肝味噌和え
鰯巻
小樽産蝦蛄雄と雌
ツブ貝 鮑肝ソース
真蛸
泉州水茄子
赤身
小鰭
背トロ
蛤
鰺
白烏賊
車海老
出水産伊佐木
青柳
余市産海水海胆(紫)
平貝
愛知産蝦蛄
鰹
穴子
玉子
今宵の海苔巻
2018/11/03 更新
2018/04 訪問
春の移ろい
新年度を迎え、魚も春の様相を呈して来た。
【つまみ】
◉真子鰈
◉房州蒸し鮑
◉蛍烏賊炙り
◉鰯巻
◉鳥貝炙り
◉横須賀産真蛸
この日の本鮪は塩釜170kgの背の身で本日のフレッシュ。
鮪は石司(いしじ)から入れているとのこと(修行店の太一と同じ)。
赤身は焼けが始まっていたが、中トロがいけそうと予想して決断したという。
ギャンブル的な要素もあったが、捌いてみたところ大当たりで調達してから即日提供出来るほどバッチリのタイミングであったという。
もう何も手も付けず寝かせもせずで提供出来る170kg超えってそうは無いよ。
鮪がフレッシュだと魚体の個性がより引き出されて鮪本来の鮮烈な香りと華やかで艶冶な旨味に溢れる。
そして行き過ぎ無い脂の濃さと乗りで酸味とのバランスが神憑り。
背トロ剥がしと赤身は同じ塩釜産でも160kg程の魚体を1週間程度寝かせたもの。
剥がしはまるで牛のザブトンの様な様相で、これでシャブシャブしたら大層美味いであろうなと思った。
上品な脂の旨味とコクのある身質で殆ど噛まなくても良い程の綿菓子の如く口内の熱でシュッと溶けて無くなる様。
そして酢飯との融合の初速も前回(10月の腹上)以上に早く旨味の味蕾への到達も早い。
以前は腹上も入れていたのだが、親方は筋の具合が好みで無いらしく最近は専ら背の身の方の部位を調達されている。
更に筋を剥がす徹底振りに、値段は掛けないが手間は掛けるという丁寧な姿勢がよく観えて大変結構である。
奇しくも調達初日のフレッシュと、一週間寝かせた身との味比べが出来、身の食感、旨味の醸成感、喉越しから余韻と愉しめた。
これは銀座あらい以来の経験ではあるが、あちらは100kg以下の89kgだったのに対し、桂太のは170kgという大きさで更に難易度が増していたところに注目したい。
通常これだけ大きい魚体で仕入れて当日の物など身も筋も硬く食べ頃とは言えない。
あらいでもこのサイズのフレッシュは当方は戴いた事は無く、ギャンブル性も非常に高いので寝かせるのが無難(魚体が重ければ基本寝かさないと身が強張って、旨味も出て来ないので食えたものでは無い。特に鮨など一体感の形成を重視する料理には向かない)。
実際焼け始めた赤身の部位全ては賄いに回し、客には一切提供されていない徹底振り。
基本的には仕入れに踏み切るのもロスを考えると困難であろう。
下手したら中トロ部位まで焼けて身がグズグズとなって駄目で全てが賄い行きの可能性だってあったわけだから、これはおいそれと手を出す訳にもいかぬ。
そしてこう言った魚体が毎回出てくる訳でも無い。
また出てきたタイミングでリスクを孕んでいる事を承知しつつも先の美味さの予想を立て、経験値からゴーサインを出された若き親方の度胸と心意気に当方も感じ入る事があった。
正直フレッシュとの出会いは正に神から与えられた縁ものであるため大変貴重な体験に思う。
また、前月の290kgという当方的には有り得ない、鮨に適合しないと思われる魚体も捌いてみると、
こりゃまた猿股ステテコパッチ!
だった訳だ。
こんなの下手したらブロック丸ごと賄い行きの憂き目に遭う事だって有り得ないことでは無いのに(または造り位の提供は可能か)、これまた凄い貴重な体験をさせて貰った!
【握り】
◉赤身 1W
◉中トロ フレッシュ
◉小鰭
しっかり〆だが少し朧も噛ませて調和の取れた美味さ。
◉背トロ剥がし 1W
◉野付産青柳 紐噛ませ
◉車海老
◉山陰の真鯵 前回は宮崎 生姜と分葱
◉蛤
◉青森産桜鱒
大助と同様の寄生虫対処かうかがうと、同じですと。
1日冷凍して〆て寄生虫対策を施した後に解凍し、皮目を軽く炙っているとのこと。
本日はこのやり方でと、軽く酢橘を絞るのでは無く果肉で撫でる程度の微量を添加して。
仄かな柑橘の香りが儚くも春の芳醇で豊かな桜鱒の旨味を演出してくれる。
◉鰹
白眉!
皮目に軽いヒバの薫香を纏わせて。
稲藁だとやや苦味もあるとのことなので、こちらではヒバを使っている。
今日の身の質や状態から辛子と迷ったのだが、僅かな生姜と叩いた分葱と合わせることにしたと。
薬味が良いアクセントで身の旨味を開かせる。
これは後程おかわりを所望した。
◉青森産紫海胆 ダイセン
やはりこちらの海胆軍艦を戴くと海苔は絶対必須の物と確信出来る。
飽くまでも海苔の質、相性次第だがこちらのは別格だ。
◉白烏賊
◉蝦蛄
◉穴子
◉玉子
◉桜鱒の潮汁 大和芋
この日は桂太では珍しく汁物が提供された。
桜鱒のアラで潮汁作ってみました~と。
当方まだまだ物足りぬと申したところ、丼で提供しましょうかと(笑)
それは御辞退申し上げた(;^_^A
それでも大き目な器で提供され、何か丁度良いくらいに腹が膨らんで来た。
ご夫妻の作戦に引っかかってしまった(*´艸`*)
【追加】
◉鰹
◉鮪背トロ剥がし E巻
【日本酒】※半合
◎北島 純米吟醸
◎大信州
2018/09/06 更新
2018/03 訪問
弥生の端境期
3月ももうすぐ新年度を迎えそうな日に訪問。
鮨屋の端境期でも一番キツイとされている3月をどうされて、どう切り抜けるかという逆の視点から物事を観てみると面白いし、各店の其々の力量がわかってくるきっかけとなろう。
こちらでそんな弥生の夜を愉しむ。
お酒はどれでも1合1,200円との事で半合からでも可。
風香 純米吟醸を今宵の共に据えて。
【つまみ】
◉真子鰈
◉紀州勝浦産291kg 血合下
小さな部位だが巨体の鮪なので血合いもそこそこあったという(寝かせる程の大きさでも無い)
◉茹で立て横須賀産真蛸
◉鮟鱇 身と肝の共和え
◉花ワサビの酢漬け
辛味と酸味が絶妙な合わさり具合
◉愛知産鳥貝炙り
身も厚みが出て来て、甘味や風味が上がって来た。
◉千葉県産鰯巻
◉蛍烏賊チョイ炙り
◉子持ち槍烏賊
食べる直前に茹で上げて提供。
トロリとした子の風味が一時置いた物より断然強い。
温度によって口内の感じやすさが如実に現れ始めた
【握り】
この日の本鮪は和歌山は紀州勝浦産291kgのモノの血合近くの赤身、中トロ。
下手したら牛位の大きさとなって本当に美味いのかよ、と甚だ疑問をかんじたのだがこれが驚くべき美味しさで、これには正直驚愕した。
一番の難題の身の質だが、強張って硬いと思われた身は柔らかくシットリとしていた。
風味も強過ぎて酢飯と合わないのではと思ったが、こちらの酢飯にビタっとアジャストしていた。
親方も210kgまでしか経験した事が無いという今までの最重量級の鮪だとのこと。
ここまでいくと魚ではなく牛肉の様な獣肉の部類であろうが、漁れ方やそれまでの時間の経過、身の状態等々色々と頭の中で計算して算出された答えがイケると判断されたと。
仕入れは時に博打みたいな面もあるのだが、今回は大正解!
まぁ人間もそうだけど、鮪だって其々個性はあるし、全てを十把一絡げに扱うのもどうかなという事だ。
突然変異の凄い奴だって居たっておかしくない。
そこを見極められるかられないかの勝負ではなかろうか。
水谷の親父さんの元で薫陶を受けて来た訳だが、それをベースにしつつも師匠とは別な嗅覚を持って臨まれていると観た!
また鮪ばかりを追いかけていたら値段が天文学的になってしまうので程々にしているという考えも大変共感出来、正に我が意を得たりのご返答でこちらも嬉しくなった。
◉紀州鮪赤身漬け
◉鮪中トロ
◉小鰭
◉蛤
◉青森産桜鱒 ライム絞り
酢橘等他の柑橘だと桜鱒の繊細な味わいが消されてしまうため、一寸酸が柔らかめなライムを1dashほど絞って。
◉水松貝
◉茨城産細魚
◉静岡産〆真鯖
◉車海老
◉蝦夷馬糞海胆
◉喉黒
◉赤貝
◉真鯵
◉小柴産墨烏賊
◉鳥貝炙り
◉穴子
◉玉子
★追加
◉喉黒、羅臼産13kg大介
トップフォト 茹で上げ子持ち槍烏賊
風香 純米吟醸
今宵のお供
真子鰈
血合下
真蛸
鮟鱇共和え 花ワサビの酢漬け
鳥貝 炙り
鰯巻
蛍烏賊 炙り
子持ち槍烏賊
赤身漬け
中トロ
小鰭
蛤
桜鱒
水松貝
茨城産細魚
〆鯖
車海老
蝦夷馬糞海胆
喉黒
赤貝
真鯵
墨烏賊
鳥貝
穴子
巻物
玉子
2018/06/21 更新
2018/02 訪問
平成30年2月の夜訪問
初の夜訪問。
おまかせはコンパクトながらも上手く纏まっている。
その中でも一番美味しい所を食べてもらいたいという思いを感じ取れるのが茹で立ての煮物。
例えば真蛸。
客の数に合わせて脚を茹で上げ、ホカホカの状態から少し冷ました頃合いで切る。
ここよりもっと最高級な価格の真蛸を仕入れている店も何店かあろうかと思うが、この茹で上がりの真蛸の美味しさは比類無き美味さだ。
海老は先述の通り頭から先に茹でたり、穴子は煮上がって冷めた物を軽く蒸らして温度を上げて握られたりと人間の味蕾センサーが一番美味しく感じそうなピンポイントを狙ってる来るかの様に素晴らしい温度手当だ。
花ワサビの酢漬けやたちかまなど何気無い庶民的な食べ物かもしれぬが、ここぞというポイントで提供してくるのもよくわかっている。
鮟鱇の濃厚な旨味を味わった後にさっぱりとしてキレのある優れた一品が花ワサビ。
たちかまは北海道民ならスーパーで売っている場所もあるので馴染みも深いであろうが、北海道を出るとたちまち珍味に早変わり。
雲子の蒲鉾で、軽く炙りを入れたりなんかすると香ばしくなり旨味も活性化してきて良い酒のアテになる。
【つまみ】
◉竹岡産魴鮄
◉房州産黒鮑
◉鮟鱇 身と肝の共和え
◉花ワサビの酢漬け
◉鳥貝炙り
◉北海道産毛蟹 卵黄醤油
◉茹で立て石川産真蛸
◉佐島産新若布
◉たちかま
◉石川県産鰯巻
【握り】
本日の本鮪は以下の通り。
和歌山は220kgを赤身で
銚子は100kg程を背トロで
◉鮪赤身漬け
◉小鰭
◉鮪中トロ
◉蛤
◉〆鯖
◉墨烏賊
◉車海老
◉羅臼産蝦夷馬糞海胆
◉赤貝
◉細魚
◉大介 和芥子
◉喉黒 エシャロット噛ませ ヒバ燻し
◉穴子
◉玉子
★追加
◉喉黒、背トロ巻き
◎荷札酒 生詰原種
◎山形正宗
お酒はどれでも1合1,200円
半合づつ戴く
夜はまた落ち着いて親方や女将さんの人柄も含めて味わい愉しめるので、今後は夜で通ってみる。
2018/05/23 更新
2017/12 訪問
平成29年最後の鮨
年末に鮨納めをこちらで。
【握り】
◉大間産鮪赤身漬け
◉大間産鮪中トロ
◉小鰭
◉蛤
◉淡路島産真鯛
◉いくら
◉〆鯖
◉細魚
◉間八16kg 10日目
今まで未体験の食感と旨味。
これまでの間八経験(笑)の中でもトップクラスの美味しさ。
これは和喜智の仕事が源流かな?
◉車海老
頭から立てる様に茹でる。
頭の味噌は先に火を通し、身の部分には火が通り過ぎず甘味を最大限引き出す様に工夫した形だ。
味噌は脂なので先に固めてしまうという発想は有りそうでなかったので、この時間差茹では緻密な計算からの答えなのだろう。
もちろんそれはお味にも反映されている。
◉落石産蝦夷馬糞海胆
海胆の時のみに使う丸山こんとび(海苔)は旬の青海苔が混ざりあっており、野趣溢れてほろ苦い香りが海胆の風味を更に引き立ててくれている。
親方は見た目によらず結構強かに計算してきての組み合せである。
当方の海胆と海苔との相性への好みと非常にマッチしており、それを具現化してくれているかのような握り。
親方の考え方も非常に共感を得るところである。
◉墨烏賊
◉鰆の漬け
皮目を軽く炙り、漬けにしたもの。
余分な水分は巧く抜けており旨味が凝縮した握りだ。
◉閖上産赤貝
◉長崎産迷い鰹
コクとキレが半端無い!
こういった化け物もたまにひょっこりと姿を現わすのね。
◉皮剥肝噛ませ
◉玉子
【追加】
◉帆立
◉鉄火巻き
巻物には丸進の海苔で。
こちらも鮪の風味を素晴らしく引き立てる名バイプレーヤーぶりを発揮している。
改めてこちらの店主と店の紹介を。
北海道は岩内出身の青山桂太さんは高校生の時に札幌は円山にある和喜智でアルバイトをしたのが始まりで、そのままここで就職するかと思われたらしいが色々とあって料理専門学校を繋いで結局東京は銀座に出て2008年に日航ホテル前の水谷の門を叩くこととなる。
その後太一に移り修行を重ねて右腕的存在となる。
ただし太一では握りは親方のみが提供し、弟子はサポート役となるため最終的に握りの修練は仕事後や退店する数ヶ月前のお店が休みの日に出てきて鍛錬を積んで来たという。
築地でたまたま出物の物件があり決断され、満を持して30歳という節目の年で今年の9月に自分の城を築かれた。
酢飯は横井と私市の赤酢をブレンドし、お砂糖を少々入れているとのこと(太一では私市)。
キリっとエッジの立った酢飯ではあるがどことなくイキ過ぎていない感じは微量の砂糖のおかげか。
赤酢一辺倒だと後半飽きが来て口が疲れるのを考慮してとのこと。
次回からは夜の訪問で愉しませてもらおう。
2018/05/04 更新
2017/10 訪問
江戸前名店のハイブリッド型だが胡座をかかず、オリジナルの秘策を組み込む若き握り手
某店の親方からこちらのシャリはかなり尖った酸味で際立った酢飯だとお聴きし、どれだけ酸っぱいのか居ても立っても居られなくなり、直に確認しにこちら今年の9月1日にオープンしたばかりの新店に初訪することとなった。
信頼の置ける知り合いの食べ手より、鯖が大変美味だったと聞き及んでおり、鯖好きの超力としては少しだけ期待して。
店の雰囲気だが、親方も女将さんも朗らかで柔らかいため、鮨を愉しむ環境としては申し分無い。
お茶の飲む量を親方が具(つぶさ)に湯呑みを観察しており、差し替えもこまめに行われ、女将さんも継ぎ足しではなく湯呑み毎差し替える素晴らしい対応。
そして茶の濃さはもう少し濃くても良いかなとは思うが十分満足出来る品質のものだ。
店の造りも流行りの◯×工務店の△◻︎の檜の一本物で氷冷庫も檜で等ゞケバい位に豪奢と言うより軽妙洒脱。
庖丁も使い込まれた精悍な物で、妙に飾り気たっぷりな庖丁は皆無で好感持てる。
その分鮨を適正な価格でたっぷりと堪能させて貰えたという感想。
ここの成り立ちや詳細な点はその食べ手が痒い所に手が届く程に説明されているので割愛する。
当方は店の根幹であるシャリ(酢飯)と調味について感じた事を少し語らせてもらおう。
酢飯は確かに一貫目の鮪赤身漬けを戴いた際に、グッと来る酸味と張りのある硬めに炊かれた米のアグレッシブな様相に少々驚く。
「色々と食べていくと酸味が物足りなくなって来ますよね」と親方の現在の仕入れや自分の仕事や趣向から編み出されていったシャリだが、修行先の太一のシャリとは変えているとのことだ。
また、水谷のシャリはここまで酢の酸味は立っていなかったし水分含有量もここまで抑えられて張りのある仕様では無かったので、これは桂太オリジナルである。
個人的にはもう少し米の水分含有率を高め、瑞々しくもパッツンとさせた歯触りを残せると化けるなと思わせる。
友人の話だと、修行先の千葉の赤酢に横井醸造の赤酢を2種を加えたものらしい。
酢飯は少量づつ藁櫃から手桶によそって温度を保たれていた。
本山葵はしっかりと目を立たせた金おろしで丸く擂ってネットリと柔らかく、それでいてキリっと辛味を利かせている。
鮨を食べ続けて感じたのが、これ程際立った酸の利いた酢飯が、こちらの仕込まれた鮨種と合わさると、思っていたより酸が暴れていないのに驚いた。
初手の鮨種は本鮪の様な濃い目で風味ある物と合わせて酢飯を舌に馴染ませていき、後半で酸度耐性が確立させたところで細魚や松皮などの白身と合わせて融合度の補正を舌の惰性(悪い意味では無い)を巧く利用してアジャストさせて旨味のマリアージュを愉しむ仕掛けが込められていると観た!
例に挙げて悪いのだが、とかみの初めの頃は初手の鮃や鰈など酢飯の酸の強さから繊細な白身の味わいが損なわれてシャリを味わう様相を呈していたが、こちらはそこまででは無いということだ。
それは松皮鰈を食べても不思議にシャリが尖らないのだ。
しかしこれを初手や前半に提供されていたら、とかみと同じ様な感想を持っていたかもしれぬ。
握りはシャリ玉をネタに乗せて小手返しの5〜6手で握られる。
捨てシャリは一度も無く握りの所作や動作も淀みなく流れており、当たり前だが独立前に相当握られて来ているのだなと分かる。
張りのある酢飯なのでニッチャリと米が粘る握りは無かったが、たまに握りの圧がやや強目で口内での酢飯とネタのバラける感じが阻害された物もあったが、総じてネタとシャリとの相乗効果や喉元に同時に流れ込み一体感は申し分無いと言えよう。
こちらでの大きな収穫は、〆物の仕事が秀逸で嬉しくなった点。
近頃の若手や新規の鮨屋は鈍(なまくら)か、物足りない〆方の店が少なくない。
こちらでは小鰭はしっかりと〆るガッツリタイプで珍しい部類ではないか?
しみづや日本橋吉野鮨の様にガッツリと小鰭の脂と旨味を引き出した小鰭が戴ける。
親方も小鰭はしっかり〆ないと、小鰭独特の癖のある臭いが取れないし、旨味も存分に引き出せないという。
もちろんそれは個体や環境に応じてだが、鋭角で研ぎ澄まされた〆に耐え得る小鰭あっての物だ。
でないと九段下の様な身が薄くて脂が少ない個体にガッツリと〆たらこれは拷問にしかならない。
鯖にもしっかりと手当されているが、やや酸度を落とした仕様。
いわば小鰭が補助無しの峻嶮な岩山やキレットとすれば、鯖はもう少し難易度が低い鎖や梯子か付いて安全に登れる山や稜線と言ったところか。
少し気になった点は、調味に酒の香りが立ってしまっている物があり、やや顔を出してしまっていること。
それは日本酒が利き過ぎているという事では無く、他の調味料と素材とのバランス感で顔を出しているなという程度という意味だ。
漬けの煮切、鮑や穴子の煮汁に日本酒の個性的な香りが見えてしまう尖(とが)りとでも言おうか。
当方的には問題無いが、酒の苦手な人や鼻が利く人だとこれを癖とも取られるやもしれぬ。
酒の風味を際立たせた調味がこちらの目指す所であればそれは店の一つの個性として受け止めよう。
ただ、尖った部分は削ぎ落とし、もう少し味をまぁるい円形に近づけた方が味のバランス、素材との調和という観点は格段に上がるだろう。
とまぁ色々と書き連ねたが、まだ開店して1月半が経過したばかりだ。
魚とどう向き合うか、仕事をどう施していくかで酢飯の加減も色々と試行錯誤されていかれるであろう。
少しづつだがその経過も観ていきたいと思わせてくれる一軒である。
【この日のおまかせ(10月下旬)】
◉鮪赤身漬け(即席)
いきなり鮪とは正直驚いた。
魚河岸の寿司屋だと鮪から提供する店も少なくないが、銀座のそれなりの江戸前鮨店で修行を重ねた店で初手から鮪というのは当方には記憶が無い。
それは酢飯の個性な調味がいきなり淡い魚だと厳しいのだろうなぁと思えた程際立った酢飯だった。
鮪赤身の酸を落ち着かせるかの様に軽くだが煮切に切身を投入して即席漬けを仕込んでシャリと合わせる。
甘味の無い煮切に漬けた鮪で好ましい味わい。
これからどの様なストーリーを構成されていくのか非常に楽しみとなったスタートだ。
◉鮪中トロ
これはピシャっと鮨種と酢飯の凹凸が噛み合ってきたぞ!
酸味が利いた酢飯が鮪の脂を纏って軽やかな表情に切り替わった。
そして1つの完成体の高みへと昇華していく。
◉小鰭
小さめのサイズを2枚付けで。
しっかりと〆てあり、小鰭の脂の旨味が出てくる。
酢飯が強目なので人によっては賛否両論あるだろう。
当方は大好きだ。
◉鮪大トロ剥がし
昼のコースで剥がしとは手の込んだネタを戴いた。
その身、正に真綿の如しフンワリとした舌触りで軽い。
そしてすぐにベースのシャリとの融合の初速が早くて味蕾へすぐ旨味が到達する。
咀嚼不要な程シャリとのマッチングが素晴らしい。
今はまだ何も考えずに良いものを提供させてもらっていますと親方の言からも、ここの酢飯の可能性を見出すためにも多角的に観察して新たな一面が発見出来れば面白いだろう。
そして客も喜ぶという図式が完成する。
◉蛤
レアな仕上がりなので煮るというよりは潜らずという表現の方が正しいか。
そのためか、僅かに蛤の癖が残置されていたが当方的には許容範囲内。
ツメは穴子の物では無く別の物をほんの少しだけ添える程度にチョンと。
これは蛤や帆立から射出された物を煮詰めたトモツメ(ハマツメ)か?
◉いくら
先日の鈴木のマ印のいくら程濃厚な黄身の味わいは無いが、酢飯とのマリアージュは申し分無い。
海苔の歯切れと風味が素晴らしい。
◉蛸
真蛸の煮汁は9/1の創業から継ぎ足しで使って旨味に深みを与えている。
それ以外は塩と酒のみで煮ているのだと。
開店時に合わせて蛸足を煮上げてあり、ほんのりと暖かみが落ち着いてきた頃に握られる。
真蛸特有の香り、甲殻類の香りがふんわりと鼻から口一杯に広がる。
咀嚼していくと甘味が出てくる。
◉〆鯖
白眉!
小鰭の〆仕事と比べるとやや穏やかな加減だが、利かす所はキリッと利かせている点は当方の好みとピッタリだ。
力強い鯖にはそれなりの手当をしなければ青臭さが出てくるし、脂の状態も落ち着かず、第一水っぽい弛れた鯖になってしまう。
親方曰く、〆を強くして身質が硬くなってしまうのが嫌なのだが、鈍では癖が出てダメなので〆はしっかりとしますが、そこは自然界と相談しながらと。
戴いてみてそれは酢飯とのマリアージュを考え、シットリとした表面に咀嚼した時の柔らかで滑らかな口当たりなのだと観た!
この酢飯あっての〆方だ。
◉馬糞海胆
軍艦で使っている海苔は厚みがあるので反り返って直ぐに剥がれやすいのだと言う。
おっ!これは友人の言っていた海胆だけには丸山のこんとびだなと思い出す。
こういう風味があって香ばしいが主役を邪魔しない良質な海苔を使えば、どこぞの海苔が海胆の味わいを邪魔するなどという言葉は薄く感じる。
当方は海苔無しでもそれは店の個性だから構わないが、個人的な好みから言えばこちらの様な素晴らしく質の良い海苔であれば巻いて貰った方が海胆のポテンシャルを1も2も上げると確信している人間の一人だ。
先日も礼文島で漁師とも話をしたが海苔は海胆と非常に会うと太鼓判を押していたし、船泊漁協の店では海苔と合わせて食べる事を推奨された程だ。
要は素材同士のマッチング、凸と凹がキチンとハマり合うかの問題だ。
合わなければどこかが尖るし阻害要因にもなろう。
しかしビタッと交わり合った時には単体では味わえぬ組み合わせで別の1つの完成体を形成するのだ。
◉鰆
これは面白い。
先程の鮪とは別の煮切の漬けで、少し甘味が添加されており、それが鰆の風味を引き立てている。
そして漬け汁が身質を変化させてネットリとした舌触りとなり、酢飯との馴染みの深度も増す。
◉車海老
特製の筒状の物が煮たった鍋に立てられ、そこに車海老を頭から茹でるべくやや斜めに立たせる。
頭から茹で、程良い時間で筒を取り上げ、腹から尾も茹でて行く。
しっかりと茹でられた頭の身と味噌、腹から尾は少しだけレアな感じも残して完全に茹で上げない仕様。
甘さを抑えた芝海老の朧を少しだけ噛ませて握る。
車海老とは別の海老で車海老の風味を立たせて輪郭をはっきりと示し出す。
同じ様な握りだが、他店の車海老の握りとは別物の一味違った桂太オリジナルの仕様だ。
◉小柱
粒も大きめでしっかりと甘味溢れる小柱で、シャリとのマリアージュも酸の尖りは感じなかった。
◉細魚
酢飯を食べ慣れて来た後半で初めて白身側の細魚が出たのだが、これが悪く無いのだ。
早蕨でチョイと芝の朧を乗せているところなど水谷の親父さんの仕事が蘇ってくるよ。
◉煮帆立
これは驚いた。
修行先でこの仕事はあったのか伺ったところ、太一の時にたまにお出ししていたが、独自の改良を加えた煮帆立とのこと。
これにも蛤の時に少しだけ塗られたハマツメの様な物がチョンと塗られて提供。
甘過ぎ無い煮汁が帆立の持ち得る甘味という旨味が底から湧き上がってくる様だ。
◉松皮鰈
これも驚きの一貫。
これ程の酸味が際立つシャリと合わせても当方的に酸味は軽やかな爽やかさに感じ、松皮のグッとくるイノシン酸の旨味成分が酸を抑え込んでいる様。
◉小樽産蝦蛄(雄)
某所で北海道の蝦蛄は雄が人気で、東京に送られてくるのはカツブシ入りの雌ばっかりだと聞いていたのでこれは嬉しい。
同じ煮物でもこの煮方は柔らかく調味も尖り無く円い、バランスの良くとれた美味しい握りであった。
◉墨烏賊
やっと大人の墨ちゃんに成長されたのね、と思える肉厚で旨味ネットリ且つ歯触りサックリの良質な墨烏賊だ。
而してシャリの酸味も烏賊の甘味ある身が包み込んでいくため爽やかな酸味がスーッと駆けていく。
◉秋刀魚
超白眉!
エシャロットが出てきた瞬間これは!と勘付く。
これは札幌は和喜智の仕事が垣間見れた面白い仕事。
秋刀魚は軽くスモークを掛けてあり、薄くてスライスしたエシャロットと少々の和芥子を噛ませて握る。
藁ではない燻香だが、チップは何だろう。甘い香りがするでも無いがややシャープな香り。
しかし苦味は感じさせない軽い燻蒸で皮目に火が通り、内側はレアな仕上がり。
こちらの酢飯の存在が掻き消されるかの様な力強い味わい。
とはいえここが桂太の酢飯の真骨頂で、秋刀魚の旨味に完全に呑み込まれる事無く、やや硬で酸の立った粒が効果を発揮し、個性を保ちつつコメの甘味が引き立たせていた。
欲を言えば、もう少し秋刀魚の温度を上げて脂の旨味を活性化させるともっと伸びたなぁ。
◎蒸鮑(黒) ※追加
この時期なので黒は無いだろうと思っていたが本日のは黒鮑とのこと。
雌貝の様な枇杷色に柔らかい身質から黒とは思えない歯触り。
鮑を波入れて切り付けている時も庖丁と身の間から馥郁たる芳香が鼻を擽った。
やや日本酒の風味が立っていたが鮑の風味を損ねる程では無く、酢飯との相性もバッチリであった。
ちなみに漁の時期に捕獲して浜に揚がってストックしてある物を仕入れているとのこと。
◉穴子
中々美味いではないか。
〆の穴子が不味かったり満足出来ないと、全体を通してもどこか満足度と言おうか感動も一欠片削がれる。
しかしこちらの穴子は素材はもとより味付けもしっかりと甘味を立たせて穴子の風味を引き立て、旨味の輪郭がはっきりとしたもの。
こちらの穴子は笹の上に煮穴子を置き、焼くのかと思いきや、蒸し器の中に。
蒸されてフワフワの煮上がり状態に近くなったところで握られる。
穴子の煮汁は継ぎ足しの店も多いが、伺うとやはりこちらは水谷さんの店の流儀同様その日その日で煮汁は作り置きせず毎日新たな煮汁で茹で上げているとのこと。
同じ煮物でも蛸の仕事と穴子の仕事では煮汁の仕込が違うのが面白い。
ツメも思っていたよりコクがあり最近の新規店の上を行く。
◉玉子
中がシットリとカスタードの様な口溶けなので握りには不向きとのことでそのまま戴く。
トップフォト 和喜智のテイスト漂う秋刀魚の握り
表札
店構え 開店前の静かな佇まい
セッティング
鮪赤身漬け
鮪中トロ
小鰭
鮪大トロ剥がし
蛤
いくら
蛸
〆鯖
馬糞海胆
鰆
車海老
小柱
細魚
煮帆立
松皮鰈
蝦蛄(雄)
墨烏賊
秋刀魚スモーク
蒸し鮑
穴子
玉子
女将から丁寧なお見送りを受け、満ち足りて駅へ向かえる
2017/10/26 更新
【つまみ】
◉青森産鮃
◉鰯巻
◉大間産186kg赤身背中トロの山葵和え
ツマは若芽の新芽
◉子持ち槍烏賊
◉メジマグロのカマ焼き
◉鰊漬け
◉タチカマ
力の強い雲子出ないと固まらないそうだ。
◉皮剥肝和え
◉花山葵
◉宍道湖産白魚酒蒸
仄かな苦味と甘味。フンワリとした身質は正に春を告げる魚
【握り】
◉大間産186kg赤身漬け
◉大間産186kg赤身背中トロ
◉天草産小鰭
◉大間産186kg赤身背トロ
◉房州あおり烏賊
◉気仙沼産細魚 閂
◉車海老
◉真鯖
◉青柳
◉蛤
◉黒鯥
◉蝦夷馬糞海胆
◉???
◉鰆
◉穴子
【追加】
◉青森産鮃縁側
◉天草産小鰭
◉鯖ガリ半巻
◉鮃縁側E半巻
【日本酒】
たかの井 本格辛口