6回
2019/01 訪問
お好みの最高峰 平成31年睦月
喜多で北さんのお料理と酒を愉しんだ後、こちらも素通り出来ないでしょ~と喜多から歩いて祇園へ。
丁度良い酔い覚ましと腹ごなしとなり、身体を整えてからの入店となった。
先月から丁度1月という短い間隔での再訪なのでメニュー的にはほぼ同じ。
なのでここは真鯛ともろこ焼き以外は前回食べていない物をチョイス。
お初のモノもあるよ。
真鯛 刺身
もろこ焼き
【お通し】
◎ 鰻八幡巻き
真蛸柔らか煮
◎ 氷魚(ひうお)
【単品】
◉鯛刺し
うーん。
先月の真鯛が神過ぎて今回のは前回程の身震いする感動は無い。
しかし高品質の身質と脂の乗りなのは間違い無い。
そう。
今から思い返しても、先月の阪川さんで戴いた真鯛は生涯最高の美味さであった。
なので鯛兜(あら煮)も戴いた次第。
◉かぶら蒸し
これもド定番で美味い。
蓬の生麩が入っているところが超力のツボ♡
◉カニの甲羅揚げ
所謂カニクリームコロッケとの事で初注文。
北さんに教えてもらった通りのものだった(笑)
柚子のマーマレードが一捻り加えた阪川オリジナルだが、当方的には蛇足。
◉半生このこ
これもお初の注文。
実はこれ、前回の12月にお隣さんがとても美味そうに食べていたのを涎が垂れる寸前まで我慢した一品なのだ。
生の海鼠腸や乾燥品のバチコよりもこの半生加減でちょい熟成していて旨味がましている所はこの半生このこは最強の美味さでんな。
日本酒と抜群に合うし、これはファンになっちゃう!
◉もろこ焼き
喜多でも戴いて来たが、こちらの身質が勝っているからかシットリさと旨味の余韻が素晴らしい。
同じ琵琶湖のものでも多少でも違いが出るのは面白い。
◉ゆず釜むし
これも初チャレンジ。
中の果肉をくり抜いた柚子釜にグジや車海老、シメジ等入れてじっくりと蒸し上げてある。
中の具材より柚子釜の皮の身のポソッとしつつもネットリとした独特の食感を愉しむのがこの料理の真骨頂か。
当方は柚子釜に合わせ味噌に鶏挽き肉、胡桃、生麩、松の実、山椒の芽等を炭火で柚子釜の下からグツグツやって食べるのかと思ったら違ったので少々面食らったけどこれはこれで美味い。
◉焼きと白子焼き
立派な白子の個体を見せられてしまうとどうも断れない。
気がついたら私も!といつも具合。
しかし頼んだ事に後悔しない逸品。
◉すっぽんどびんむし
ここで初めて戴いた時は正直大した事無いなと思っていたのだが、2007年から比べると味わいがグッと深くなり、今となると「えっ?!以前からこんなに美味かったっけ?!」と思わせてくれるほどの名品。
すっぽんの旨味を余す事なく注ぎ込まれている滋味深い、身体だけでなく心も解きほぐしてくれる、そんな優しくもボディのしっかりとしたお味。
トップフォト 半生このこ
スタート
先付1 真蛸柔らか煮 鰻八幡巻
先付2 氷魚
真鯛刺
かぶら蒸し
自分の身の脂で揚げ焼き状態に
もろこ焼き
かに甲羅揚げ
半生このこ
ゆず釜むし
虎河豚白子焼
すっぽんどびんむし
2019/02/19 更新
2018/12 訪問
お好み料理の最高峰 平成30年冬
今年の気が付けば師走。
あと半月で平成30年(2018年)もお終い。
サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→休憩で
ととのったーーー!!!(((*\(*゚▽゚*)/*)))♡
身体も味覚も嗅覚も研ぎ澄ませて完了!
1年ぶりの京都で好き勝手に食べられる至高の食事処。
もう冬といったらこちらで絶対食べなければならないものがいくつかある。
もう何年も同じラインナップばかりでループしているが、その年その年で気候も環境も、ましてや個体が違うわけだからその年その季節の味わいの機微を味わい、愉しもうではないか!!
【お通し】
◎鮟肝と雲子ポン酢
◎ゆば煮
【単品】
◉鯛刺し
大鉄板その1!
真冬は養分を溜め初めて真鯛が一番美味くなる時期である。
そんな真鯛の絶頂期に坂川さんが選(よ)ってきた真鯛の美味しさは数ある日本の料理屋の真鯛の質、旨味を凌駕してくる。
薄い淡い味わいの多い真鯛とは全く違う、口に入れてからの真鯛の真鯛たる香りたるや一気にバーストや!
そして噛むごとに真鯛のグルタミン酸、追ってイノシン酸等のアミノ酸がグイグイと溢れ出てくる正に格が違うもの。
なので今回は刺しは真鯛だけにしてもらい、じっくりと向き合って愉しみたかった。
そして満足させてくれた。
◉こっぺかに
大鉄板その2!!
突出した旨味、即ちこっぺの味の濃さときたら、これも他店と格が違う。
こちらではずっと間人港から引いている雌蟹。
内子、胸の身の上に足の身。
更に堆(うずたか)く味噌と外子を盛り付け、他店のドレッセと比較しても独創的だ。
◉焼きふぐ
余力がある時に。
焼きと白子焼きといつも迷う。
今回は焼きで!
◉もろこ焼き
大鉄板その3!!!
何より一番京都で、阪川で食べたいものNo. 1。
こちらのカリッと香ばしく、しかもフワッとしっとり焼けたもろこを戴いた瞬間から、もうこのループから抜け出せない自分が居た。
昨年は極度な不漁だったが、今年の天然はまだ出始めだが順調のようだ。
なので3本頂戴しよう♪
◉海老芋の唐揚
軽く出汁で炊いてからカラリと揚がった海老芋は堪らなく美味い!
これも大鉄板に入れても何の不思議でもない逸品。
◉ぐじ唐揚
身も美味いが、やはりウロコのパリパリとした食感とにスナック菓子の様なジャンキーさを思わせる旨味が堪らないわ。
◉鯛あら煮
3kgの真鯛兜煮。
今回の真鯛が大変素晴らしい個体だったので、ついあら煮を頼んでしまった。
頭の半分を使うが、大将曰く「意外とペロッといってしまいますよ」というお言葉で踏ん切りがついた。
正に頼んで正解食べて美味し!
トロリとした粘度は控え目でややサラりとした煮汁。
真鯛の美味しさを邪魔せず、かつ、味を乗せてポテンシャルを引き出す的確な調味と煮炊き時間。
添えてある牛蒡の土の風味がアラの野趣溢れる風味とぶつかりあって美味しさをアップさせる。
【日本酒】
◎三千盛 辛口純米
◎土産(じゃこ山椒 大)
毎回定番の我が家のお土産。
大だけど1週間もつかもたないかで無くなる(笑)
2018/12/30 更新
2017/12 訪問
お好み料理の最高峰
★12月のお品書きより
【お通し】
◎桜えびの湯葉和え
◎鮟肝
【単品】
◉こっぺかに
間人産は風味も品格も一味違う。
◉真鯛刺
明石は二見産(加古川より西)のもの。
皮目の身の赤身の色が兎に角濃いのだ。
東の物と比較して明らかに赤の色が濃い。
広島たこつぼで戴いた糸崎の真鯛と肩を並べる程の美味さだ。
口に入れて滑らかな舌触り、噛んで湧き出る甘味、モチっとした食感、飲んで快感な喉越し。
この時期の明石界隈の真鯛はかなり旨味が上がってくるが、こちらの鯛は別格だ!
すぐに甘味が広がっていき、ジワっと出てくる鯛本来の旨味が半端無い。
これは良質な餌の味だ。
この真鯛の漁は釣りでも延縄でも無い方法で捕獲しているのだという。
罠籠の様な物で入って来た真鯛を捕獲するのだとか。
◉もろこ× 4
若いので脂の乗り、風味はまだだが流石の火入れだ。
◉若狭ぐじ糸造り
尻尾の部位を糸造りで。
じんわりと旨味が口内を駆け巡る。
添えられた柑橘は酢橘ではなく檸檬というのも狙いがある。
◉海老芋のかに身あんかけ
ホッとする美味しさ。
出汁で炊いて素揚げしたものに蟹身の餡掛けが堪らなく好きだ。
◉焼ふぐ
他の客のを観ていると、食べたくなる症候群が発症してしまう(笑)
もう説明は要らんでしょーーー!!
◉若狭ぐじ唐揚げ 皮
◉若狭ぐじ唐揚げ 身
皮も身も美味過ぎ!
塩だけで味わっても良し、出汁に浸して味わっても良し。
◉すっぽん土瓶むし
〆に欠かせない一品
【日本酒】
◎三千盛 1合
【お持たせ】
◎じゃこ山椒 お土産
トップフォト こっぺがに
先付と日本酒
こっぺがに
真鯛刺
真鯛
もろこ
ぐじ糸造り
ぐじ
海老芋のかに身あんかけ
虎河豚 焼き焼き中
とらふ蒸し蒸し中
焼きふぐ
ぐじ皮 唐揚げ
ぐじ 唐揚げ
すっぽんの土瓶むし
12月のメニュー1
12月のメニュー2
2018/01/14 更新
2017/02 訪問
厳冬は香り高いモロコを味わおう!
京都初日に阪川へ再訪。
ここは季節毎に通いたい、その時期に適合した素材が経木メニュー以外でも坂川大将と相談しながら組み立てることが可能な大人の食事処。
お任せに辟易している方、食べ慣れて自分流の食べ方や考え方をお持ちの方なら十分愉しめるであろう。
一番のりして暫し大将とあれこれ話をしながら何がよろしいかを探っていく。
何かずっと日本海側や琵琶湖の漁が時化ていてぐじや鰤、京都の冬の名物であるモロコが全然揚がらないで困っていたとのこと。
しかし3日前にやっと揚がったと連絡が入り、本日は何尾食べても良いですよとお墨付きを頂いた(笑)
とは言え今冬ばかりか平時でも稀少なモロコ、皆んなで戴ける様提供数は大将にお任せした。
以下、この日に戴いたメニュー
【先付】
◉飯蛸の煮付け
◉氷魚の山椒煮
【お好み】
◉河豚ブツ
身皮トオトオミ(三河遠江)全てが一つの鉢皿に盛られ、白子は叩いてあってソースの様。
ポン酢をぶっ掛けて、薬味も全て混ぜ合わせて召し上がってくださいと大将からのお勧めの食べ方で戴いてみる。
河豚のジワジワ来る身の旨味と白子の濃厚で円やかな旨味がポン酢(酢橘、千鳥酢等)の酸味との融合した美味しさに顔が綻びっ放しだ。
強過ぎない程良き酸味加減も絶妙。
◉白魚の天麩羅
坂川さんが唯一自ら「白魚良いですよ~」と推してきた素材。
シンプルに素揚げに近い天麩羅で戴いた。
ふんわりとした柔らかい身に湯気と共にフォンとくる白魚の優しい風味。
そして止めどない旨味が塩の塩分で立った甘味と共に口内を駆け巡るのだ。
冬から彼岸にかけての美味しい海の贈り物だ。
◉かぶらむし
真鯛、穴子、木耳、百合根、蓬麩、蕪
銀餡のサラリとしつつも旨味もしっかりと確認できる精緻な塩加減
◉海老芋のかに身あんかけ
出汁で焚いた海老芋を揚げてかに身餡に生姜を添えて。美味しい出汁餡に海老芋は身体の中から温まり活力が湧いて来る。
◉諸子焼 3尾 長葱2本
琵琶湖の固有種"ホンモロコ"の別名で淡水魚。
ずっと時化て不漁だったが琵琶湖で3日前から天然が獲れるようになったとのこと。
天候不順でずっと不漁であまりにも獲れないため、他所では養殖も提供されているという。
ここ阪川ではホンマもんの天然物を味わえる。
諸子はお腹からジクジクプチプチと旨味エキスが顔を出しつつ音も出す。
炭火でしっかりと火入れしつつもしっとりとしてホクホクした身質に香り良い身の旨味が最高だ。
上下を返したり火の場所を変えたり炭を退けたり移したり、諸子ちゃんを一度退去させたりと細目に諸子を操り、旨味を逃さず香ばしく焼き上げた技も見事た。
付け地に焼き上がった諸子を置くと、ジュッという音がして更に美味さを引き立てる。
諸子の味は他に例えようの無い味で諸子は諸子としか言いようがない。
炭火で焼いている時の香りと口に入れた時の風味が諸子の信条だ。
酸味を利かせたタレも渋い旨味の立役者。
分かりやすく言えば、鯵の南蛮漬けの南蛮地(漬けダレ)のやや酸味を利かせて甘味を抑え、鰹節で旨味を上げたモノだ。
また、状態の良い天然物は変な淡水魚の癖など無く、風味豊かな旨味が凝縮しており恍惚とする。
◉肉炭火焼
山葵醤油で 他に辛子醤油と大根おろし醤油がある
ヒレ140gの炭火焼
肉の繊維がしっかりとして適度な粘りもあり歯触り良し。
炭火で焼き固められた肉は噛んで旨味が溢れ出る。
不自然な感じはせずシンプルで素直な牛の味。
大将の生まれ故郷で馴染みのある牛舎のモノで不自然に人の手が介在していない牛の力で育った美味しさだ。
付け合せのサラダのドレッシングは醤油ベースに胡麻の風味と酸味をほんのりと利かせた口直しにピッタリな味わい。
◉かきフライ 2個
結構注文頂いているので人気なんですよ〜と大将が仰るので気になって仕方がなかった。
何故割烹でカキフライを注文するんだと自分でも逡巡したが、理由は単純。美味いから。
◉くじ唐揚げ ハーフ 万願寺
これは白眉!
10日ぶり日本海でようやく漁獲されたというぐじは香り高く揚がった鱗のパリパリから身のほっこりとした口当り、火入れによって立つ甘味からの旨味がぐじ好きには堪らなく美味い。
そのまま食べても良し、レモンを掛けて塩でも良し、吸い地の出汁に薬味を入れたモノにぐじを絡ませて食べても良しと何してもやられるわ♫
先に吸い地だけを味わってみたが、初めてきた時よりこちらの出汁の加減を愉しめるようになってきたわ。
相変わらず淡味で薄味だが、香りの立たせ方が素晴らしい。そして舌の奥に旨味の余韻を仄かに残して喉元を去る切れのある味。
◉すっぽん土瓶蒸し
酔い覚ましの〆に打ってつけで染み染みと美味!
丸の滋味溢れる旨味に生姜のホワンとしたアクセント、ゼラチン質で口がピタっとくっつく。
〆に最高な旨味の凝縮体だ。
【日本酒】
◎三千盛 一合
阪川一番の淡麗辛口とのこと。
辛味も利いているが後から旨味もじんわりやってくる。
◎二月四日 立春朝搾り 半合
香りも強く旨味がどっしりとした酒でパッと花が開くかの様(銘柄は失念)。
◎英勲 半合
どっしりとしているけどサラリとした旨味。
二月四日よりは大人しめ
トップフォト 諸子焼 良き面構えだ
店構え
先付は飯蛸の煮付けと氷魚の山椒煮
ふぐぶつ(白子入り)
ポン酢を打っ掛けて薬味も全て混ぜ合わせて♫
酒器 三千盛
白魚 素揚げに近い天麩羅で
かぶらむし
海老芋のかに身あんかけ
諸子を丁寧に焼き上げ中
酸味を立たせた付け地
諸子 長葱
ジュッという音が更に美味さを引き立てる
淡水魚の癖など無く、クリアーな旨味に恍惚とする
しゃうゆ ほんわさび
釣りの帰りに本山葵を一瞥しているかの様で配置感覚が楽しい♫
肉炭火焼
肉は処女牛のヒレ140g
付けダレは他にも辛子醤油、大根おろし醤油と3種類用意されている
本山葵と醤油でが一番美味い!と思うw
美味しい本山葵と醤油で食べてお姫様も幸せであろう♪
二月四日 ハーフ
ぐじの唐揚 2個
ぐじ唐 万願寺
大根おろしと一味、青葱、酢橘
漬け出汁(吸い地)
塩
吸い地に薬味を大胆に放り込む
こういう食べ方もあるのね♡
かきフライ 2個
もっと食べても良かった…
水
どびん
すっぽんどびん
滋味溢れる味わいとはこの事!
エンペラーも最高サー♪
この日のお品書き①(経木メニュー)
この日のお品書き②(経木メニュー)
この日のお品書き③(経木メニュー)
2017/07/22 更新
2016/09 訪問
縦横無尽に単品で愉しむべし!
【28.9.25追記】
電話するといつも満席で断られ続けて2年半も経っていた。今回台風と秋雨前線の影響から北アルプスの山々での晴天下の登山は望めない事から急遽中止し思い立って京都へ来たのだが、遅い時間なら大丈夫とのことで入店が叶った。訪問前から何食べよう、鱧は絶対だなとか思い巡らせながら入店。途中でこちらに足繁く通う京都の食べ友と合流。
いつもと変わらぬ大将の坂川さん(以下"大将")の柔和で暖かな対応で心身共に癒される。えらくご無沙汰なのだがつい先日に来たかのような雰囲気に自然と溶け込んでいく。決して広いスペースと空間の店では無いが、不思議に圧迫感や窮屈という感じは無いのだ。大将に過度なパフォーマンスは一切無く真摯に食材と相対し、的確に庖丁を入れていく。味付けは素材の持ち味を存分に引き出すことを主眼とし、適度な味の利かせ方(塩の振り方、調味ダレの塗り方等々)で足し引きされている。吸い、土瓶蒸し、鍋の出汁はかなり薄味だ。通年のメニュー構成や提供する品に変化球はあまり無いが直球の威力とキレがあり、常時150km台後半から時たま160kmを超えていくような素晴らしい食材と調理技術の折り合いが整った時などは他の店では有り得ない美味を堪能出来る。そして、チェンジアップや超スローボールも持ち合わせているため球の緩急で打者を打ち取るベテランピッチャーの老練な抑揚ある品々、味も持ち合わせている。それをどうチョイスいくかが監督である食べ手の力量が問われる、そんな店だ。
大将は基本魚の捌きや刺身を切り付けること等最重要部分以外は弟子に調理を任せ(ただし松茸だけは自らが手当)、手が空いたら食器の洗物を自ら行い、店へ掛かってきたどんな電話にも弟子や女将さんに取らせず必ず大将自らが全て対応されている。過度なおべっかやよいしょは無く、また客に緊張を強いる事も無い。例えば洗物を率先してやっている大将に客が感心していると、「私は洗物と電話に出ることしか出来ない雑用係ですから。それに洗物をしていないとやり方を忘れちゃうので。」と自然体でたわいも無い話をされて客を和ませている。これは当方初訪問の2007年時から全く変わっていない風景だ。弟子も無駄な動き無く、大将の指示をいちいち仰がないと何もできないということも無く皆が其々役割分担を的確に熟していることを実感。おまかせコース一辺倒の嫌いのある高級店のお仕着せ指向の店とは別格で、口煩い祇園の旦那衆や食べ慣れている食通、将又勘違いグルメヲタクや半可通の相手等で錬磨されているのが容易に推察出来る。ただ料理がどうこうということだけでは無く、こういった雰囲気や仕事振りを感じ取れない人には全くお勧めすることを憚られる大人の割烹店である。
今回のテーマは"鱧と松茸"をメインに当方が好き勝手に、大将と調理法等を見聞き話をしながら戴いた品を記しておこう。
◉先付
・白身の昆布締めと自然薯、グレープフルーツ
・鱧の子の玉締めと肝 葛固め
◉鱧の焼霜 酢橘 溜まり醤油で
ピンクの穂紫蘇を遇(あしら)った鱧焼霜は、淡白なようで旨味の凝縮度が半端無い。
脂の乗った韓国産の上物で皮目を軽く香ばしく炙り、余分な脂や癖を落とし締められた身は風味が増しており、締まった身と柔らかいレアな身の双方を愉しめる逸品。また、当方は脂の乗った魚は特に塩やポン酢でなく醤油で食べたい者なので、こちらではデフォルトで溜まり醤油と鱧の脂と身の旨味を最大限に引き上げるギアとなっている。大将解ってるなぁ。この一皿を戴いただけで阪川に来て良かった、いや、京都に来て良かったなぁと思わせてくれる。
◉すっぽんの東寺むし
東寺(湯葉)で煮凍りを包み込んだものを軽く揚げてすっぽんの旨味を閉じ込め、蒸し上げた一品。吉野葛でまとめた出汁餡も生姜がエグくない処理をされているのも見事!まる(鼈)の旨味が凝縮した大好きな味。
◉加茂なす(田楽)
昨夜はにしかわで山科茄子の田楽を戴いていることもあり、食べ比べてみたくなった。肉厚で茄子の持っている甘味と程良い甘さ加減の白味噌ベースの田楽味噌とのマリアージュも見事に決まっている。こういうシンプルな素材にどう対処されているかを観るに打ってつけの食材と料理法。身がグダグダになり過ぎず、形を保った火入れ具合も素晴らしく皮まで美味しい。
◉長野産松茸焼き(64gハーフ)
松茸の美味しい食べ方は焼きに限りますと、そして焼きには絶対蕾の物を使うと大将は言う。傘が開いた物とは風味や旨味、瑞々しさが別格である。力強き赤松から生命力を吸い上げた清廉な旨味と柑橘系のような独特の風味が身を割いた瞬間から癒される高貴な薫りを漂わし、食べ手を魅了すること間違い無し。塩を振った松茸は七輪の炭火でホイルを掛けられて5分もかけずに蒸焼きにする。その松茸を噛むとジュワッとした美味汁が一気に口内を迸る。塩加減が絶妙で酢橘要らずの火入れも感心する逸品。当方は長野に親族がおり昔は長野の松茸を食べる機会も有り、また大好きな信州は上田の別所温泉には学生時代何度も遊びに来て別所産の松茸は何度も戴いている。丹波篠山は別格とは言え当方は長野物は縁も深く大好きな味、というか身体に染み込まれた親和性のある味なのだ。
ここ数年松茸は出始めが遅く、終わりも早くなって来ているとのこと。今年も出始めは遅かったという。
◉鯛せんべい(大盛)
◉鱧せんべい
旨味溢れる大人のスナック菓子。其々で頼んでハーフ&ハーフで♪
鯛は叩いて薄くした身をカラっと揚げて軽やかさを、鱧はザクザクとした心地良き食感から魚其々の個性が引き立つ仕様。昨日食べた西川さんのところの鱧揚げよりこちらの方が食感、味わい、旨味と全て好み。これは日本酒に合うが、生ビールやハイボールの強炭酸の酒で合わせてみたい。
◉松茸のフライ ハーフ ウスター
◉鱧のフライ ハーフ ウスター&マヨネーズ
これぞ鍛えられたカウンター割烹の極みの味!
松茸のフライは以前こちらで戴いて一気にファンになった食べ方。鱧のフライはお初で友人が居るお陰で一品づつ頼んでハーフ&ハーフにして頂いた。この食べ方は祇園の舌の肥えた旦那衆が普通の食べ方に食べ飽きた中で産まれた遊び心もある名品。
フライの場合の松茸は傘が開いている物を使用する。其々下味で塩をしてあるのでそのまま食べても美味いし素材本来の風味、旨味をダイレクトに感じ取れる。次に酢橘を掛けてそのままでも良し、ウスターに漬けて食べても香りが別な側面から引き立てられている。ウスターはスパイシーさは程々に旨味を効かせてた物で松茸や鱧の風味の損ねるような邪魔をしない出しゃばり過ぎない味わいだが、旨味はしっかりとしているので、美味しいご飯にこのウスターを掛けて戴いても満足出来よう。マヨネーズは鱧の時に添えられる。鱧の脂と卵由来のマヨネーズとの相性は見事に合っている。
【日本酒】
◎三千盛 純米大吟醸
◎黒龍 純米吟醸 ※半合
初めに鱧松鍋を食べると宣言していたのだが,
切り身といい提供される量はボリューム有り、しっかりと味わえて満足出来る内容なので、結構お腹一杯になって来た事もあり受け入れ側のコンディションが万全で無い中で最高の物を戴くのは食材に対しても大将に対しても失礼に当たるため今回は断念しここで終了。
多客もサッと引きが良くカウンターは早目から我々だけになったので大将を交えて心行くまで話が出来たことは代えられぬ財産だ。色々な話をしたなぁ。
今年はもう一回こちらに寄せて頂き、長年の宿題である冬の鉄板"間人蟹"を心行くまで愉しみたい!
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【26.1】
初訪問は2007年で、当時から祇園の煩さ方の旦那衆を満足させる店として名を馳せていた。ご主人の坂川浩和さんは祇園地区北側にあるなか川で腕を振るった後に独立。どの店もおまかせコースのお仕着せばかりで内心辟易していた部分もあった当方だったが、こちらは単品でもOK!(他にはさか本、おかだ、藤原くらいしか単品で愉しめる店を知らない)。京都に訪れる際に予約が取れればうかがうことにしている店である。以前は開店の17時か20時過ぎだと空いていることがよくあったのだが、ここ数年はそれも難しくなってきた。なので最後の訪問は2014年1月。なんとも淋しい限りだが、かなり早めに取るか、空いている日を聞いてそこで訪問するしか手は無い。
こちらも2年前の情報になるため食べた物をサラッと記載しておく。料理はおまかせコースが3つあるが、こちらでの醍醐味は単品!おこのみで自分の思うがまま、食べたい物を自分で組み立てて注文するのが愉しい。また、当初はカウンターでの写真撮影は問題無かったが、現在は基本NGである。ただし他客がいない場合はOK!また、1枚だけなら許可してくれることあり。ご主人に確認してから撮影するのが望ましい。
【この日戴いたもの】
◉先付(鮟肝、白和え)
◉虎河豚の白子焼き
◉丸吸(すっぽんの吸い物)
◉琵琶湖産モロコ焼き
◉虎河豚の炭火焼き
◉鯛茶漬け
17時の開店よりやや前に入店させて貰えたので、仕込みを拝見しながら坂川さんと色々話しながら経木のメニューを見て食べたい物を注文。この日は山口の方から大変質の良い虎河豚が入っているとのことで、2品を構成に入れてみた。
坂川さんの切り付け方は豪快で、刺身にしろブツにしろ旨味をしっかりと味わえる最適な大きさなのが大好きだ。この日の虎河豚は白子にしても身やアラの周りにしても旨味が凝縮したもの。また特製の漬けダレも濃すぎず薄過ぎず最高の味付け具合。決して素材の邪魔をする味付けはしない。身とアラは炭火で軽く焼き色をつけた後、アルミホイルで包み込んでじっくりと蒸し焼きされた。仕上がりは外側は香ばしく、中はしっとりふっくらと仕上がっており瑞々しい虎河豚の強烈な美味さに卒倒しそうになった。旨味成分が凝縮された美味さなのだ!
琵琶湖のモロコは当方はそれ程モロコは好みでは無いが、この品はお勧めとのことで思わず注文してしまった物。坂川さんが丁寧に一尾一尾焼き目をつけ火を入れていく。特製の酢醤油を絡めて。モロコの独特の柔らかな風味がファンには堪らないのだろうなぁ。
〆の鯛茶漬けは明石の物で胡麻醤油に軽く漬け込まれたもの。ガッツリ美味い魚を食べた後でも素晴らしい味。
丸吸や丸鍋、椀物や煮物等出汁の効かせ方は比較的あっさり目で淡い。そこをどう捉えるかだ。足し算より引き算の味付けと言おうか過度な付け加えはしない。特に野菜鍋はかなりのあっさり。物足りない感も否めないが、ジンワリと野菜からの滋味を味わう一品。結構好みが別れると思う。椀物や煮物はにしむらやにしかわの方が好みかなぁ。ただこちらの良さは質の高い魚介類を豪快に炭火焼きにしたり刺身で食べたり焼いたりと縦横無尽に単品で戴ける点であろう。
次回の京都訪問では是非とも再訪して味わいたい。
鱧の焼霜 酢橘 溜まり醤油
鱧焼霜
すっぽんの東寺むし
加茂なす(田楽)
ナスラーは必ず食べるナス~♡
長野産松茸焼き(64gハーフ)
鯛せんべい(大盛)
鱧せんべい
どんな酒にも合う鱧せんべいな大人のスナック菓子♪
鱧せんべい&鯛せんべい
ウスター&マヨ
松茸のフライ&鱧のフライ
松茸はウスターで、鱧はウスター、マヨネーズをお好みでどうぞ♪
鱧松フライ アップ
電光看板
店構え
経木メニュー①
経木メニュー②
経木メニュー③
先付(鮟肝、白和え)
虎河豚の白子
モロコを炭火で焼く♪
丸吸
琵琶湖産モロコの焼き物。長葱。
虎河豚炭火焼き
アルミホイルに包まれ、蒸し焼きに…
虎河豚炭火焼きの完成♫
虎河豚炭火焼きアップ
鯛茶漬け
2016/09/26 更新
春の筍が食べたくて、前回坂川大将にいつ頃が一番美味い時期かを伺っての訪問。
鳥貝は残念ながらまだ無かったが、次回以降のお楽しみにとっておこう。
【日本酒】
◎ 月の桂 立春朝搾り 2月4日
【お通し】
◉桜海老湯葉蒸し
◉筍たいたん 鯛の子含め煮 細魚押寿司 菜の花 空豆
【単品】
◉真鯛刺し
◉塚原産竹の子木ノ芽あえ
すんごい美味い木の芽和え。
◉桜むし
道明寺粉 蓬麩 甘鯛?
◉塚原産竹の子つけ焼
白眉!
今年の京都の筍は品質は良いのだが産出量がかなり少ないとの事(仕入値もかなりのものだという)。
九州の方は特に出荷量は変わらない様だが、筍の甘味やエグ味、柔らかさ等々の美味しさは京都産、中でも塚原が断トツと仰る。
軽く下茹でした筍を細かく鹿の子に庖丁をいれて炭火焼にする。
ある程度焼けてきたところで付けダレに潜らせて再度網へ。
仕上げに香ばしさと色付けの要素か、先程の付けダレより醤油が強いタレ(もしくは醤油そのもの)に軽く浸して仕上げの焼きに入る。
焼き上がった筍に、細かく刻んだ木の芽を散らして完成。
もう香りからしてやられるね、これは。
大きめの部位を焼いて貰って塚原の筍の旬を存分に味あわせて貰った。
玉蜀黍の甘い風味と類似するが、筍独特の香りに丁寧に炭火を当てて美味しさを引き出して付焼きの香ばしさと筍の持つ風味が融合して春のトップクラスのご馳走へと昇華する。
◉真鯛白子
超白眉!!
これは広島たこつぼで戴いた真鯛の白子に匹敵する超絶的美味。
親父さんは虎河豚の白子より、うちで扱う真鯛の白子の方が数段美味いと仰っていたのを思い出す。
春も盛りの張ち切れんばかりの真鯛の白子は濃厚な味の深さにその言に得心する。
◉白魚唐揚げ
そろそろ終盤の白魚を唐揚げで。
メチャクチャ美味い。