3回
2019/09 訪問
オール十勝産の秋の夜
前回の2月同様然別湖からの帰帯の際にシェフの料理を食べたくなり予約の上再訪。
今回もホテルから歩いてリベラへ向かう。
奥さんはランチタイムでのサービス担当で、ディナでお会い出来なかったのは残念ではあるが、1人アルバイトをいれている。
調理場は田口シェフお一人で切り盛りされている上、客のお迎えにお見送り、時には料理のサーブ等忙しくされている。
でもバタバタ感が無く忙しない印象を受けないところが流石である。
料理の提供タイミングもとても1人で調理されているとは思えないスピードで、次の皿までの待ち時間も異常な遅さとかは無い。
この日は18時55分に入店し、生ビールが18時59分、初手の冷たい前菜が19時4分とまぁこんな流れだ。
当方は美味いもんは食べるのが早いので作り手も大変だろうけど、ここのシェフは当方のスピードにもしっかりとついて来てくれるのが嬉しい。
次の皿の温燻秋刀魚は19時12分でサーブされたが、葉野菜と皿はキリッと冷たく秋刀魚は熱を入れてキチンと調理されたものだ。
手際が良いのはもちろんのこと、下拵え等事前準備、段取り9分は整えて事に当たっているのだろう。
今回は要予約の8,200円(税別)をお願いしておいた。
他にはアルコール2杯を料理に合わせて。
◎生ビール(キリン一番搾り)
ホテルから歩いてきて喉が渇いたのでこいつをチョイス。
サウナ後の整った身体と中盤の秋といえどもまだ暑さが残るこの季節に冷えた生ビールは最高に美味い!
◉セモリナ粉 自家製天然酵母パン
◉焼き茄子と鮃のカルパッチョ
焼き茄子を裏漉ししたものに生クリームを合わせたディップの様なムースが下に敷かれており、これが茄子の濃厚な旨味を高め合っていた。
鮃は朝〆して夜に旨味を増した様なプリッとした食感ツルんとした舌触りと旨味に思わず顔が綻ぶ。
熟成し過ぎていないのが良い!(東京が異常なのだよ。)
この双方に上質なオリーブオイルが香り高く纏い、2つの素材を仲良く繋ぎ合わせてより一層美味しさが増している。
◉燻した秋刀魚のサラダ
秋刀魚への燻し加減、身への火入れは当方の好むところで完璧で、秋刀魚の温かさと下の葉野菜の冷たさのギャップの愉しさも味の1つ。
秋刀魚は噛むとジュッと旨味エキスが溢れて燻煙したほろ苦い風味付けとも奏功して脂がサラリとしてクドさを巧く取り除いている。
上に乗っているトマトの細切れのソースが更に秋刀魚の癖を取り除き、サッパリと食べさせてくれる。
ヴィネガーの他に搾りたてのレモンの酸味が爽やかで、重厚な秋刀魚の燻製ソテーを軽やかにも味わい深く愉しませてくれた。
◉自家製タヤリンと十勝産フレッシュポルチーニ茸の生パスタ
白眉!
正式名称はヤマドリタケやヤマドリタケモドキ。
国産の生ポルチーニ茸は海外産のフレッシュポルチーニよりも柔らかくしなやかで、しかも適度なシャクっとした歯触りが心地よい。
噛み込んでいくと適度な粘度もあって濃厚なきのこの風味が射出されて舌を艶やかに包み込んでくる。
タヤリンは平打ちの極細パスタでポルチーニ茸の旨味とよく絡んで美味い。
アクセントのトマトの小さな角切りも良い仕事をしており、旨味一辺倒に傾倒せず酸味で調整を取っている。
◉自家製干しトマトのラヴィオリ
夏のシェフのスペシャリテとも言える一皿で、開業以来毎年夏につくり続けているトマトを詰めたラヴィオリである。
この日のトマトはもちろん十勝産。
シェフのお話だと、部イタリアはトスカーナ州のマレンマ地方にあるサンヴィンチェンツォという小さな港町にある「リストランテ ガンベロ ロッソ」で作っていたものだそうだ。
しっかり乾かして干したことによりキュッと締まった酸味と糖度が増して濃縮した旨味のトマトにアッサリと仕上げた芳醇なバターソースを絡めて美味しさ倍増している。
プリッとして滑らかな食感のラビオリも干しトマトのポテンシャルが奏功してセモリナ粉の風味が存分に発揮されており、シンプルだが面白くも相性抜群な組合せにシェフの強かな目論見が垣間見れる。
◎北イタリアの白(名前失念)と合わせる
◉かすべの蒸し焼き 北あかりのピューレ
やや鋭角な酸味を利かせたシェリービネガーソースがかすべの柔らかい身から出る濃厚な脂と相まってサッパリしつつもかすべの純粋な旨味を愉しめる。
長葱の笹掻きが乗っていて、長葱の辛味とかすべの脂の甘味、ヴィネガーソースの酸味が渾然一体となって美味しさを演出している。
◉士幌町産十勝ハーブ牛のサーロイン ペペロナーザ パプリカの煮込み添え
ハーブを食べさせて育てた和牛を塩胡椒だけの調味が潔くよりハーブ牛の良さを物語っている。
正直肉の肌理細かさは今一歩だが、硬過ぎず柔らか過ぎずの程々の身質で悪くない。
赤黄色のパプリカの煮込みはトロトロで甘味が物凄い。
◉とうもろこしのカタラーナ 葡萄とワインのジュレ
とうもろこしの風味と上から火を入れて溶かしてキャラメリーゼされた砂糖の香ばしさと凄くマッチしていて美味しい。
カタラーナの芳醇なコクが堪らない。
とうもろこしはシェフの実家のものとのこと。
◎コーヒー
もう何も文句の出ない完璧な超力好みのコーヒー。
フレンチタイプの深煎りでイタリアンに近い、ひょっとするとイタリアンかも。
と思って会計後にシェフに伺ったところ、イタリアンローストとのこと(やっぱり♪)。
香ばしく深みのある焙煎香から来る重厚な苦味、珈琲豆本来の旨味がカタラーナの美味しさを引き立たせている。
もちろん単体で戴くに足る内容で、生乳と合わせてもその深みある味わいは色褪せない。
今回はオール十勝産の素材でのメニュー構成だったとシェフが嬉しそうにお話しされていた。
9月の中旬から下旬だけが全て十勝産の素材でまかなえる一年でも稀少な時期で、十勝平野も豊穣な大地と成りて、地産地消を掲げた帯広イタリアンの一番輝ける時にうかがえて当方も最高に幸せな気分にさせて頂いた。
また来よう。
トップフォト 自家製タヤリンと十勝産フレッシュポルチーニ茸
外観
セッティング
生ビール
焼き茄子と鮃のカルパッチョ
セモリナ粉 自家製天然酵母パン
鮃の切り身の中にトロトロの焼き茄子が♪
燻した秋刀魚のサラダ
自家製タヤリンと十勝産フレッシュポルチーニ茸の生パスタ
自家製干しトマトのラヴィオリ
かすべの蒸し焼き 北あかりのピューレ
士幌町産十勝ハーブ牛のサーロイン
とうもろこしのカタラーナ 葡萄とワインのジュレ
コーヒー
ドリンクメニュー1
ドリンクメニュー2
夜のコドリンクメニュー3ース 玄関先に掲示
ごちそうさまでした!
2019/12/03 更新
2019/02 訪問
地に根のついた実直な帯広イタリアン
帯広で一通りのお料理を戴いてきたが、イタリアンやフレンチはまだ未食である。
帯広をはじめとする十勝の素材をふんだんに使用した地産地消の地元イタリアンを戴きたくなり数年前よりリサーチを開始。
こちらのシェフのブログを発見し、為人、食材、調理法etcを拝見して是非うかがってみたいと思い数年経過してしまった。
昨年の帯広訪問時に2度チャンスがあったのだがいずれも満席で残念な思いをした。
今回は早目に電話してみたのだが、当方が予定した希望日の夜は団体予約が入っているとの事で一度は諦めたのだが、昼はどうかうかがってみたところお席ご用意出来ますとのお返事。
やっと訪問する事が出来た。
駅からは結構離れていてGoogle先生からは徒歩21分とのお返事。
雪道なのでスリップに気を付けながらも15分弱で到着。
店のドアノブには『本日満席』とのプラカードが。
この店は予約必須である。
店内に入るとやはり暖かめの設定。
この日は今世紀最大級の大寒波が北海道をはじめ北日本から日本列島を包み込んだ事から帯広の外気温も−10℃。
今朝の然別湖では−25℃を観測していたので恐ろしい酷寒である。
もちろん北海道の家の中はガンガンにエアコンが効いているのでここだけの話ではない。
店内は天井空間も高く広めなので余計に暖めておかないとすぐに冷えるであろうから光熱費も大変であろう。
それでも外気温が異常に冷えているので中に居ると段々と馴染んでくる(笑)
もっと詰めれば客も入れられるだろうが、席間はかなり広めでゆったりと寛げる空間作りを心掛けられている。
これもオーナーシェフ夫妻のお人柄が存分に発揮されており、ゆっくりと食事と会話を楽しんでもらいたいという現れと受け取れる。
都心のイタリアンやフレンチの店は席間が狭過ぎてとても寛いで食事など出来ないし会話も隣客と近過ぎて少々気も使わねばなるまい。
しかしこちらはそんな事気にしなくても済む(笑)。
ランチ、ディナーともに回転は考えておられない様だ。
料理もオーナーシェフのお人柄が存分に出ており、手抜きや抜かりは一切無い実直なもの。
◎北イタリア ピノ ビアンコ (白)
甘味は仄か、酸味と渋みのバランスが良く飲み口爽やか。
【昼のおまかせコース 3,800円】
◉公魚と芽室産カステルフランコのサラダ
カステルフランコとはカステルフランコ種のリーフチコリのこと。
カステルフランコの軽いビターテイストと公魚の少しほろ苦い風味とマッチし、レモンを利かせたドレッシングが胃を活発にさせてくれる。
◉芽室産赤チコリの軽いソテー パルミジャーノ掛け
日本では非常に栽培難しい野菜の1つだそうだ。
軽くオイルでソテーされたチコリは苦味が和らぎ旨味が花開く。
舌の両脇からの柔らかな苦味がジンワリとやって来て、パルミジャーノチーズのコクとの出逢いで口福へと誘ってくれ、白ワインが進んでしまう。
赤チコリへの火入れも絶妙で、入れ過ぎて個性を殺す事なく、また躊躇して浅目の火入れで癖の除去が巧くいかずでも無い過程からの風味豊かな力強い旨味を愉しめた。
◉芽室産トピナンブール(菊芋)のスープ 帆立
菊芋自体あまり食べた記憶が無いが、柔らかい甘さと里芋の様なトロリとした軽い粘度を伴って少し牛蒡の様な風味もある。
軽い火入れでレアに仕上げた帆立の甘さとフレッシュな香りのエキストラオリーブオイルがトピナンブールの風味と寄り添って甘さを増している後口もスッキリで余韻も良い。
また、意外な事にトピナンブールはジャガイモに備わっているデンプンを殆ど含まないのでじゃがいもの半分位のカロリーだという。
◉アニョロッティ デル プリン トマトソース
色々なお肉を詰めたラヴィオリ。
シェフにうかがったところ、牛、豚、鶏、子羊をミンチにして様々な野菜と香草を擦り潰し、練り込んだ物を包んだものを"プリン"と言うピエモンテ州ランゲ地方の伝統的なパスタなのだそうだ。
初手にオレガノの風味がプーンと来て、お肉の癖は全く無く野菜と合わさった旨味だけが口腔内に届く。
トマトソースは柔らかくも酸味もキリッと利いていて、プリンの素材達の甘味と調和の統制をとっていた。
◉北あかりのニョッキ クリームソース
今まで戴いてきたニョッキとは形状と舌触りが違う一品。
見た目ペンネかと思いきや、よく見るとニョッキ。
じゃがいものボソボソ感は全く無く、口に入れれば滑らかな表層にムチっとした弾力も心地良く生パスタの一種かと思わせてくれる出来栄え。
北あかりは通常のじゃがいもより糖度が高くて甘味と独特の風味が堪らない。
クリームソースは重たく無くライトな仕上がりで、口当たりを重くさせない。
◉新得牛頰肉の赤ワイン煮 人参のピューレ
ナイフは抵抗無く入っていくが、ムチッとした弾力も手に返ってくる。
戴くと頰肉の濃密で濃厚な旨味が
◉ブネー 、生姜のジェラート
アマレッティというイタリアのクッキーを射込んで作ったプリンで、トリノのお菓子"ボネー"と呼ばれるものだが、ピエモンテでは"ブネー"と呼ばれている。
基本形はチョコレート風味のココアパウダーを入れるのだが、こちらでは純粋に素材の卵の風味を生かしたタイプ。
イタリア滞在中にココアパウダーが入っていないタイプもあり、シェフはそのままのタイプが好みという事だ。
プリンの中が結構な台形部分をアマレッティが占めていたのは、硬いアマレッティを力強く前面に打ち出したいというコンセプトから完成させたリベラオリジナル。
戴いてみるとシットリとしたクッキー生地とプルンとした滑らかなプルンが見事にマリアージュ。
ハードなクッキー生地のアマレッティはプリンの卵液を適度に吸って甘さ控え目でシットリとしており、甘味濃度も其々の素材からの足し算があるのだが、見据えている終着点のトータル面でバランス良く配合されており、丁度良いテイスト。
また、蒸されることによって硬さが丁度良くなるのだとか。
ジェラートは生姜の風味が食後の余韻を断ち切るスッキリとして好ましい。
◉コーヒー
しっかりと苦味と渋味を利かせたボディがドッシリとしたコーヒー。
クリームは乳脂肪低めで滑らかよりサラリとした口当たりだが風味豊かな本物の生乳。
会計後にシェフ夫妻とお話させて頂いたのだが、真面目で実直な客思いのお優しい人柄が滲み出ていた素敵な方々。
気になっていたプリンやブネー等について聴き損じた点をうかがったところ、丁寧に御説明くださり、料理に対する情熱や愛情も垣間見れた。
例えば、わざわざ実際仕込んでいるアマレッティを拝見させてくださり、より分かりやすく説明頂いたり。
ちなみにこれは"セッキ"と呼ばれる硬いサロンノ風のモノとのこと。
これは小麦粉の代わりにアーモンドプードル(パウダー)を使用したもので、通常のクッキーやビスケットで使われているバターやショートニングが入っていない事も教えて頂いたり、当方の全く知り得ない事がまだまだ沢山あるという事の一例であり、まだまだ食への興味が湧いて仕方がない。
2007年に開業されたこの店も来月で一干支になるという。
この先もイタリア料理が大好きだというシェフの精進の末の一皿を戴きにあがりたい。
※現在、クレジットカードの取り扱いはされていませんのでご注意の程を。
トップフォト1 新得牛頰肉の赤ワイン煮
トップフォト2 ブネー 、生姜のジェラート
店構え
入口
セッティング
グラスワイン(白)
公魚と芽室産カステルフランコのサラダ
カステルフランコ
芽室産赤チコリの軽いソテー パルミジャーノ掛け
芽室産トピナンブール(菊芋)のスープ 帆立
アニョロッティ デル プリン トマトソース
北あかりのニョッキ クリームソース
ニョッキ 形状
新得牛頰肉の赤ワイン煮 人参のピューレ
ブネー 、生姜のジェラート
ブネー
生姜のジェラート
コーヒー
お昼のメニュー
広々とした空間作り
ゆったりとした2人掛けスペース
ごちそうさまでした!
またね!
2019/03/21 更新
6月に入り、やっと激務から解放された超力がオーバーホール先に選んだうってつけの場所。今回もサウナでしっかりと身体をととのえて、田口シェフの渾身の料理を味合わせていただいた。
今回改めて思ったのが、どの皿にも絶妙な酸使いが施されており、老若男女どの世代が食べても口に障る様なものを感じさせないバランス感覚に長けた料理であること。
北ピエモンテ州の料理はビネガーを上手く使った料理という概念を抱いていたが、田口シェフは基本的にはレモンをはじめとする柑橘でととのえておられるとのこと。
今回もその点に注力して料理を観て愉しんだ。
◎生ビール キリンラガー
サウナ上がりの一杯は先ずはこれから!
美味いに決まってる♪
◎白グラス ルクレッツェビアンコ(中部イタリア)
軽い微発酵のやや辛口の後口爽やか
◉焼き茄子と天然鮃のカルパッチョ
焼き茄子の香ばしく凝縮した旨味が淡白な鮃の味わいを底上げする。
焼き茄子のディップの様なソースも柑橘の酸味が絶妙に利いており、お腹がととのう。オリーブも良い香り。
◉芽室産土盛り白アスパラガスのソテー 卵黄のソース
超白眉!
香りが半端無い素晴らしさで、食べる前からちょっとした感動もの。
白アスパラガスの優れた力を極限に引き出された火入からジュースが溢れ出し、素材の甘味が口一杯に広がる。
これだけで今回レビューに残そうと直ぐに思わせた逸品。
卵黄ソースが想定していたものの上をいっていた。軽やかな酸味とオリーブオイルの融合からマヨネーズの様なものかと思いきや、そこまでのマリアージュでは無い。卵黄の個性を活かし、コクが強くなり過ぎぬ様に柑橘(レモンとのこと)で統制を取り、オイルでまとめ上げている素晴らしいソース(ホワイトアスパラガスには卵のソースというのが定番らしいが卵黄だけは初見)。
単体同士でも美味いのだが、白アスパラガスに卵黄ソースを絡めて戴くと美味さ倍増、3倍、4倍~♾と増幅していく、正に美味さの増幅装置。
ちなみに白アスパラガスは土を盛って遮光して育てた手間暇のかかる農作物で、さらに露地物となると5月中下旬から6月上旬が旬という希少品。
正にギリギリだが一番美味しい時期に十勝の地物をいただけて、正に食の僥倖だ。
◉花ズッキーニ、海老詰めフリッター
こちらも仄かに添加されたレモンが良い仕事。中の海老の絶妙な熱入れで甘味が増し、ズッキーニの甘味と溶け合う。
下に敷かれた葉野菜(ルッコラ、ズッキーニの葉、黒っぽいのがわさび菜とのこと)がそれぞれ違った苦味を演出して良い口直し。特にわさび菜が良い役割を担っていた。
しかし、この皿で一番超力の目を引いたのは何気なく添えられた青物野菜。
えんどう豆の糖度が凄くて、今まで食べた事がない程の感動食材であった!
後程シェフにうかがったところ、十勝清水の農家が育てている、1年でもたったこの時期の2週間だけの素材であるため、シェフも毎年楽しみにしており優先して卸してもらっているとのこと。
軽く茹でただけとのことで特に味付けが施されていたわけではないのに、あの糖度はありえない。
◉芽室産土盛白アスパラガスの冷製スープ、帆立のタルタル
軽く焼いて?または蒸し焼きしてから漉しているのか仄かな香ばしさと生では味わえない甘味と旨味を味わえる。
帆立も甘くて、微量の酸味とオイルで香り高く旨味の層を作り上げている。
単体でも一緒に食べても楽しい一品。
後程シェフにうかがったところ、ホワイトアスパラガスは玉葱と一緒に蒸し焼きにしたものとのこと。
◉音更産ズッキーニと鶏肉のキタッラ
相変わらずのキタッラの切れ味。
ズッキーニと鶏肉の取り合せも申し分無い。
◉五穀鶏のアニョロッティ、トマトソース
アニョロッティからはオレガノがフワッと香り、五穀鶏の癖を取り、旨味を引き立て、トマトソースの酸味とマリアージュ
◉十勝ハーブ牛のソテー、緑アスパラガス添え
的確な火入れから噛むとねっとりと滑らかな舌触りに障ることのない口当たり。
臭みの無い、かと言ってしつこ過ぎる挿しも無い適度な旨味を保持している。
同じ芽室の露地栽培というグリーンアスパラガスのソテーが添えられており、何ともまぁ憎い演出。
当方の大好物のアスパラガスをここまで堪能させていただき、田口シェフに感謝である。
この緑がまたレベルの高さが半端無く、現巨人の中田翔選手が言えば一言"レベチ"だが、超力から言わせれば"ダンチ(段違い)"である。
熱々の皿から牛の香りに負けないグリーンアスパラガスからの芳香。
それはフェロモンにも似た、人を虜にするかの如し芳香なのだ。
牛、アスパラと交互にそれぞれ戴いた後、一緒に食べてみると物凄い相乗効果を発揮!
グリーンアスパラガスが牛を食っちゃう程の旨味成分と香りの高さでビックリ。グリーンアスパラガスの質の高いアスパラギン酸の含有量が牛のイノシン酸と合わさって凄い事になって(笑)
当方はグリーンアスパラガスにはちとうるさい方で、ちょっと前までは5月に入ると名寄がハウスから露地物に切り替わる頃によーく食べに出掛けていた程の大のアスパラガス好きなのだ。そんな超力が、今回このリベラで正に絶頂期である白と緑の露地栽培ものを戴けたということはこの上ない僥倖である。
ホワイトアスパラガスもそうであったが、こんなに香り高く美味いグリーンアスパラガスは食べた事ない。
◉ マスカルポーネチーズを噛ませたクレープ
パイナップルと青紫蘇を混ぜたシャーベット
ドレッセ(盛り付け)がまるで鳥が羽ばたいているかの様(笑)
これは目を瞑って食べたら間違いなく青梅のシャーベットと言ってしまうであろう。良い意味でバナナの個性を出し過ぎない様統制されている。
マスカルポーネのクレープも涙ものの美味さ。
最後まで隙無く、抜かりが無い。
◉コーヒー
超力垂涎のダンチな深煎り