3回
2025/05 訪問
しみぺディア 上野・御徒町エリア
「牛に生まれていたらここに納品されたい」
そう思わせるほどの焼肉体験、それが富士吉である。
もう何回もリピしている。
まずはタン。
程よい厚みと繊維の流れが舌に吸い付くように絡み、
噛むごとに**「生きてる証拠」**が口内にあふれ出す。
そして刺し物──
すべてが低温でギリギリの命綱にぶら下がっている。
鮮度は東京の中でも屈指。
ハーフ&ハーフで挑んだミノ刺し。
赤のピリ辛が前面に来て…
白の塩味が奥からじんわり染みる。
「これは…ミノが口内で踊ってる!」
本件、即完捜査。
刺し物・タン系のプロ捜査官には一度は経験してほしい案件です。
ご馳走様でした。
2025/07/17 更新
東上野の裏路地。
俺の靴底には、毎月のようにこの店の煙と油が染みついている。呼ばれるんだよ、富士吉に。理屈じゃない。
今回は新店舗の別館へ。
カウンターの隅に座れば、まずは上タン塩。
厚みのある一枚を鉄板にのせ、焼ける音と同時に心がざわつく。
歯を入れた瞬間に、塩と脂がじわりと滲み、
「ああ、今月もここに帰ってきたな」と思う。
続いて上ハラミ。
肉の繊維がひと噛みごとにほぐれ、
昼間の汗も、仕事の憂さも、一緒に溶けていく。
これが富士吉の真骨頂。
肉が旨いだけじゃない、心の鎖まで断ち切ってくれる。
ミノ刺し、赤と白。
赤は濃厚なタレに沈み、白はコリコリとした生命力を残す。
箸でつまむたび、まるで俺自身が二つに裂かれるようだ。
泥臭さと清廉さ、その両方が口の中で出会い、
一瞬のうちに、肉という詩になる。
そして最後はマノスペシャル。
卵かけご飯の上でニラが踊り、白スープがやさしく包む。
ここでしか食えない〆、ここでしか終われない夜。
俺の一ヶ月は、この一杯で区切られる。
富士吉は「焼肉屋」じゃない。
俺にとっては「通過儀礼」だ。
毎月、泥だらけの心を洗い、また泥に戻っていく。
その繰り返しが、生きるってことだと思う。
また来月の予約を入れて帰宅。
もう常連であろう。