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1回
夜の点数:3.8
2024/11 訪問
夜の点数:3.8
イロモノじゃない!様々な塩とオイルで頂く全く新しい寿司
2024/11/06 更新
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この夏、JR大阪駅前にはKITTE大阪とバルチカ03という大きめの飲食店街がいっぺんにオープンし、新店オープンラッシュに盛り上がっている。最近やっと涼しくなったので、今回(平日夜)フラっと覗いてみた印象では、気軽に入りやすい飲み屋街を演出しているKITTE地下とバルチカ03に呑兵衛たちが集中していて、落ち着いて座れるレストラン街であるKITTE 4~5Fの平均的な集客は全体的におとなしいかな、という印象だ。(個々には行列店もあるのだが。)
そんなKITTE 4Fに位置するこちらのジャンルは「寿司・イタリアン」という公式情報になっているが、実態としては創作寿司屋と考えてほしい。ただし、醤油は使わず、様々なオイルと塩を使い分け、ネタ(魚)とのマリアージュを細かく計算して提供しているお店で、正確には「オイル寿司」という表記が適している。
今回、オイル寿司10貫のコース、ビオのオレンジワインの飲み比べをセットでつけたが、オレンジワイン好きでよく買う私でも余り馴染みのない産地のワインが多く、またお酒のセレクトがオイル寿司の味も更に際立たせてくれて、大満足だった。結局、アラカルトメニュー(握りのほか、おでん等もある)を幾つか、更にワインの追加も加えたので一人1万円を超えたが、普通に注文していたら夜でも一人数千円で収まるはずだ。
注意が必要な点としては、どれかコースメニューを頼まないとアラカルトに進ませてもらえないので、この点は不満に思う方もいるだろう。だが、例えば、今回僕が頂いたメニューでいうと、能登ブリ×チェントンチェ(オイル)×月の雫(塩)、甘エビ×ベルガモットシードのオイル×ハワイアンアラウェア(塩)、ホタテ×アーモンドオイル×羅臼の塩、といった組み合わせで、細かく味の足し算を調整して一貫一貫を提供されている。ここにはコースで一つの味物語を流れにして完結させたいというお店側の意図がある訳で、更に、オイル寿司十貫コースは税込み3800円という安さである。この値段でやるには、コースオーダーを求めたいという商売上の計算が勿論あるだろうし、僕はそれを受け入れる。
アドバイザーとして名前が出ている奥田政行シェフは、世界のリーダーが集まるダボス会議で料理長を務めたこともあるホンモノ中のホンモノである。オイル寿司の系列店は銀座にも一軒あるそうだが、全く新しい創作寿司の世界がこの立地と値段で頂けるのは、かなり嬉しいことだ。
普通に高級店として北新地か西天満に出店していたら十分成功していたはずだが、庶民が通える値段帯でKITTEに出店されているだけに、有難く今後も通わせて頂きたい。
P.S.
このオイル寿司、カルパッチョの進化系という位置づけもできるだけに、もしかしたら欧米には既に出現しているかもしれないし、そうでなくても近々外国で定着するスタイルになる可能性を感じる。(醤油や味噌など、発酵食の匂いが苦手な外国人は多い。)そうなる前に、世界の料理人の指針となるべきホンモノが日本から現れている、という事実が頼もしい。