ふたえアゴさんが投稿した草如庵(長野/滋野)の口コミ詳細

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ふたえアゴ (40代後半・男性・埼玉県) 認証済

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草如庵滋野/日本料理

1

  • 昼の点数:4.7

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.7
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク 4.6
1回目

2024/11 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.7
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.6
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

安寧でいて絶頂

東御市の外れ、養蚕農家だった150年を超える古民家を食事処として活用している草如庵。
以前伺い、自然を直接的に感じられる店づくり、滋味深いお料理に感動と癒しをしただきました。

今回はじじばばの喜寿のお祝いに美味しいものを食べに行きたいねという事で一族でこちらへ。
伺うには車か、最寄の滋野駅からだと徒歩20分位でしょうか。

まずお店までの動線が素晴らしい。秋という季節もありますが、色とりどりに色付いた葉に囲まれながら古民家の玄関へ。
土間で靴を脱いで着席の机席へあんないされます。ここまでで食事を楽しむ土台が出来上がります。

当店は6,600円か8,800円の献立のみ。それなら8,800円でしっかり堪能したい。てか、本格的な摘み草和食がこのお値段でいただけるって、もはや感謝しかありません。
山菜や茸など、ご主人が自ら採取しているとの事です。最近は山菜や茸を取るにも熊などとの接触可能性もより増えてますからね…

まずは先付け。
湯葉で包んだ栗と飯蒸しに葛餡をかけて。
葛餡は昆布基調の出汁でしょうか。香り高く、飯蒸しも麹っぽい香り、栗の仄かな甘味が感じられ、のっけから和食の繊細な妙に触れられる。

続いて造り。
縞鯵の炙りと石鯛の造り。これを液体醤油の代わりに昆布醤油で。昆布の旨みが加わった造りは魚体の旨みが引き立てられて口内に粘り強い旨みとして余韻が残る。
縞鯵は炙りの香ばしさ、石鯛の脂乗りがそれぞれ個性的で山間部でこの造りをいただける有り難さを改めて感じる。

お椀は蕪蒸しと甘鯛。
甘鯛の旨み、出汁がジワジワ身に染みてほっこりとはこの事か。蕪への味の染み方もじゅわり。柚子の香りも爽やか。滋味深き一品。

八寸は色とりどりで美しい。せ
5品並ぶのですが、聞いたことのない茸なども有り、興味が湧き立てられる。
霜降りしめじ、なずなと栗茸の胡麻和え、ムキタケの紅大根おろし、クロカワ、海老と葉山葵の酢漬。
全般に大地の旨みや香り、季節感が口内と鼻腔に広がり、摘み草料理の本髄たる素材の強みを確認。

お魚料理はかますの燻製塩焼き。
妻さんや子供は人生最高の焼魚と言っていました(子供何歳だよ、生きてるの)w
確かに旨い。かますは骨が多いのですが、ただの一本も骨を感じません。そして薫香が鼻腔をくすぐり鼻に抜けます。
身を丸めて焼いているので、内側の身はふっくら。塩加減も抜群でいぶし銀のおいしさ。人生最高でもおかしくはないです笑
付け合わせの花梨のシャッキリした食感と青々しい甘みが燻製されたかますとの比較で良い脇役。

炊き合わせはオレンジ白菜の摺流しを里芋の揚げだしとセイコガニに合わせたもの。
オレンジ白菜は葉物臭さが無く、コクと甘味を押し出して来ます。里芋は香ばしくカラリと揚がっていて、風味も豊か。カニ旨みが詰まっており、外子のプチプチとした食感がアクセントとなる。
使っている食材は珍しいものもありますが、素朴で正統的。

お待ちかねのご飯ものは香茸と人参の炊き込みご飯。高級茸の代表格。収穫の時期は1年のうちでたった1週間程度と言われており、巡り合わせと経験が必要な茸です。
これが前回来た時も個人的には激賞するほどの美味しさでした。めちゃくちゃ嬉しい。
土鍋で登場し、女将さんが取り分けてくれます。お代わりもできますし、残ればお握りにしておもたせにもしてくれます。
香る茸と書くだけあり、土鍋を開けた瞬間から得も言われぬ香りが漂います。香りだけで脳髄を刺激して食欲を掻き立てる。
一度乾燥させているであろう香茸はバターの様な旨味と香りが増して旨みも増して、箸が止まらない。
他の具材も人参は本当に甘く、少しだけ見え隠れする鶏肉は動物性の旨みを加えて味の多層性を演出。お焦げもあってこれも嬉しい。
個人的には世紀の傑作認定をしたいです。
ウチの家族はお代わりしつつ、それでもかなり大きなお握り一個分が残ったので、こりゃ幸せ…

最後に焙じ茶や抹茶をいただきながらの甘味。
こちらの甘味が個人的に好きなんです。
本日は焼き芋のムースと栃餅の善哉。
焼き芋のムースはほぼ焼き芋?という位のネットリとした舌触りと甘味が日本料理屋さんの域を超える程の上々な仕上がり。
栃餅は香ばしく、善哉の小豆はほっこり炊いて甘さ控えめ。米だけの餅よりも粘り気が少なく、さっくりとした歯触りでいくらでも食べたくなる。
栃の実はアク抜きに手間暇がかかると言われていますし、仕事が丁寧なんだろうなと甘味でも感じられます。

お料理は全体を通して優しい味わいで素材を楽しむ事に主眼を置きながらも、徐々に味わいの強さを強める事で飽きずにいただける事で最終的には絶頂を迎える。
コース全体のストーリー構成が緻密で繊細。素晴らしいです。

お酒はビール(ラガー)小瓶、地酒3合。どれも千円前後でかなり良心的。素晴らしい料理のコースの価格設定も含めて1万円強程度と、儲ける気があるのかといった余計な心配をしてしまう素晴らしい費用対効果です。

雄大で荒々しい山々に囲まれ、千曲川の近くという大自然に囲まれた豊かな自然を楽しみながら、その時々で輝いている食材を活かした四季折々のお料理。悠久の時を過ごしたかの様な古民家で静謐な空間で心を落ち着けながら安寧な時間を過ごす。
素晴らしいお店です。これこそが地方でしか味わえない価値。

  • 湯葉で包んだ栗の飯蒸し 葛餡

  • 店頭

  • 刺身(自家製昆布醤油)

  • 蕪蒸しと甘鯛のお椀

  • 八寸

  • かますの燻製塩焼き

  • オレンジ白菜の摺流し 里芋の揚げだしにセイコガニ

  • 香茸と人参の炊き込みご飯

  • お焦げ

  • 栃餅の善哉と焼き芋のムース

  • お店までのアプローチ

  • 暖簾

  • 季節感

2024/11/24 更新

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