3回
2019/09 訪問
食欲の秋、星野の秋
【再訪④】2019/9/10(火)dinner
instagram「@mitomi_emon」/ブログ「http://ameblo.jp/nobuhiromitomi」
秋の日本料理といえば松茸が主役。今回はフライに鍋にと楽しませていただきました。だが、この日の1番の感動は「鯛のお刺身」。昆布締めにしているのだが、昆布の風味が絶妙で出汁の引き方の素晴らしさが伝わります。お刺身もまた料理であると再認識させていただきました。恐れ入りました!
食欲の秋らしく食事のお代わりが止まらない。犯人はやっぱりこの牛肉の時雨煮。今回は特別に瓶詰めでお持ち帰りさせていただきました。笑 結局、食欲は家に帰っても止まらなかったことは秘密です。笑
食欲を満たしてくれたラインナップ
「焼き茄子と胡麻豆腐」白味噌したて
「さごし寿司、ばちこ、ただ茶豆」
「芋茎の吉野煮」
「天然鰻の八幡巻」甘めのアメが日本酒へ誘う
「無花果の田楽味噌」
「松茸のフライ」フライにしても風味が抜群
「鰹のたたき」
「鯛(明石)」
「鱧と松茸の鍋」
「マナガツオ」
「飛竜頭」
「渡り蟹ともずく」
「食事」牛の時雨煮最高
2019/11/30 更新
2019/03 訪問
新しい店には春の料理がよく似合う。
2019/3/12(火)dinner
instagram「@mitomi_emon」/ブログ「http://ameblo.jp/nobuhiromitomi」
移転後の初訪問の『新ばし 星野』。
まだまだ真新しい白木のカウンターが眩しい。昨年の8月末の移転ではあるが、まだまだ新しい店には春の料理がとても似合います。料理は出会いものである「若竹煮」から。淡いながらもしっかりした味付けで鹿児島産の筍を楽しませてくれます。歳時の名物でも季節を感じさせてくれます。錦糸卵の上の車海老は華やかさを、下のどんこ椎茸は旨味を提供。特に焼き穴子の香ばしさがたまらない風味を作っております。
冬の名残には河豚。醤油も適度で、焼いたことによる風味がふくよかな「焼き河豚」、クリーミーで同じくふくよかな「焼き白子」と続きます。前者ではアラと身の食べ比べさせてくれますが、骨の周りの部分に旨味が集まっているよう。気持ちを察してか、手掴みで食べちゃってください!というお言葉。それでは遠慮なく!笑
今回の特にお気に入りはこの2つ。1つは蛤の真薯のお椀で、これがまた手品のような料理。最初は純粋に秀逸な出汁の旨味が堪能した後、真薯に箸を入れると色に大きな変化が。お椀の中に蛤の旨味エキスが白く波紋のように広がっていくのです。もちろん味もこれに呼応して旨味がお椀を支配していきます。これは素晴らしい。もう1つはこの紅瞳の焼き物。誰か、これが白身だというのは嘘と言って!脂が信じられないほどに滴り落ちます。特に皮の境の部分の旨味は唯一無二。
食事には山椒雑魚と漬物、それに定番の「牛の時雨煮」が。味付けもかなり強いので、ご飯を4杯も食べてしまいました。笑 淡い味付けの若竹煮から始まり、濃厚な味付けの時雨煮で終わる。計算されつくした構成にもうっとり。素晴らしい食事をいただきました。ご馳走様です!
その他の料理はこんな感じ。あー、もうすでに行きたい気持ちになってる自分がいる。笑
「吉野煮」
「グジと蕗の薹」
「鯛(明石)、赤貝(山口)」
「黒メバル、筍、蕨」
「かすご鯛と菜の花」
2019/03/18 更新
〈ミトミえもん、インスタもやってるよ!「@mitomi_emon」〉
銀座からもほど近い新橋の路地に佇む『新ばし 星野』。料理人・星野芳明氏は、日本料理の最高峰と謳われた名店「京味」で十二年の修行を積み、その薫陶を受けて2012年に独立。以来、瞬く間に「日本最高峰の日本料理店」として広く認知され、今では予約困難店の代表格に位置している。
にもかかわらず、星野氏は研鑽をやめない。出汁の研究のために毎年礼文島を訪ね、昆布の源流を学び続ける。さらには新潟の鴨料理の名店に足を運び、仲間と勉強会を重ねる星野氏の姿を目にしたこともある。頂点に立ちながらもなお高みを目指す探究心。その姿勢こそが『新ばし 星野』を唯一無二の存在へと押し上げているのだ。
冒頭の「冷やし素麺」は氷で締められた細い糸が喉を駆け抜け、生姜と茗荷の清涼感が夏を映す。続く「新銀杏」はほっくりとした食感に塩を効かせ、次の料理への導入に最適。
「鱧の炙り」は自家製梅干しと合わさり、香ばしさと酸味が重なって京の夏を想わせる。「芋茎の吉野煮」は定番ながら安定感抜群。さらに「鮑」は味付けを排し、そのものの旨味と余韻を堂々と示す。「肝」を揚げて供する趣向は、他で出会ったことのない驚きだ。
「ぐじ」や「玉蜀黍」の天麩羅は軽やかに仕上げ、油の存在を感じさせない。清らかな「キジハタ」と「車海老」の洗いが流れるように続き、「鰻と冬瓜」では、香りを主体に仕上げた出汁に、強い塩で引き締めた鰻の旨味がじわじわと溶け出す。その重なりによって初めて料理が完成するのだ。
そして「鮎」。富山から届いたものを骨抜きにし、筒で頬張るよう指南される。頭から尾まで一気に食べれば、香ばしさと川魚ならではの涼感が一気に広がる。こうした食べ方の提案すらも料理の一部なのだ。「鰊茄子」では濃いめに炊かれた鰊とシンプルな茄子を一緒に頬張ることで完成するバランス。お椀と同じ思想が貫かれている。
食事は「牛しぐれ煮」「鰹節卵黄」「昆布茶漬け」。気づけば夢中になっていて、手元には鰹節卵黄の写真しか残っていなかった。笑 それほどに食欲をかき立てる存在感があったということだろう。
全体を通じて印象的だったのは、出汁と具材の役割をあえてずらすことで、時にガツンと、時にしみじみとした美味しさを同居させていたこと。素材を生かすだけでなく、構成によって満足感を高める。まさに一つ上のレイヤーに到達していると感じさせられた。ここには、日本料理の未来を背負う確かな研鑽と、唯一無二の美学がある。訪れる人を必ずや魅了してくれるだろう。ご馳走様でした。