5回
2024/02 訪問
すっかり絹の虜。
ミトミえもんのグルメサイト、はじめました。
Homepage「https://blog.33inc.jp/」
instagram「@mitomi_emon」
完全に定期訪問のレストランとなった『yama』。
目当ては「絹」。あまりの人気に半年間も提供を始めたそうだ。何度食べても目減りすることのない名物、ぜひ何度でも食べさせてほしい。相変わらずのしっとりとした口当たりで、お粥がシロップもその水分の印象を強めます。追熟した甘味が優しく口の中に浸透していく、唯一無二の名物でございます。
その他の料理のラインナップはこちら。
「栗と蕎麦」
「カプレーゼ」
「苺のミキュイ」
「牛蒡と胡桃」
「喜界島の風」
「白胡麻のアイス」
「林檎のスフレ」
「初雪」
2024/02/28 更新
2023/11 訪問
『Yama』に恋したきっかけは、栗。
【再訪】ミトミえもんのグルメサイト、はじめました。
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『Yama』に恋したきっかけは、栗だ。
お店のことを好きになったのに止まらず、スイーツのコースというカテゴリーへの興味まで喚起してくれた、素晴らしい体験だったのを思い出す。あれから2年経ったが、感動は1つも目減りすることなく、年に一回楽しませていただいております。特に毎回涙が出そうな程に感動を与えてくれるのが「絹」。
文字通り、まるで絹のようなしっとりとした食感。栗は水分を奪われる代表格だが、卓越した保湿能力がその印象を全く感じさせません。下に隠れたお米のピュレとの相性も抜群で、唯一無二の栗ご飯であり、唯一無二のモンブランを完成させております。ちなみに、初めて知ったが、絹の由来はシェフのお祖母様のお名前らしい。どこまで素敵なエピソードがくっついてきます。
その他のコースのラインナップはこちら。至極の料理をご覧ください。
とその前に、コースが始まる前に栗の旨味だけを伝えるプレゼンテーションから始まる。栗の煮汁を塩で整えただけのものだが、これの旨味に驚くばかり。追熟をかけた栗の旨味がどういうものなのか、これを伝えるのに言葉は必要ありません。
「栗と蕎麦」
栗の出汁に蕎麦の香りをつけたもの。シルキーなタッチはさすがとしか言えない。
「カプレーゼ」
定番の逸品。何度も食べて気づいたが、スイーツコースなのに、適度に塩気を感じさせるのがポイントなのかも。メモメモ。
「柑橘と果汁」
全ての繊維を取り除いたという蜜柑がやばい。完全に口の中でとろけます。キャラメリゼして香ばしさもつけて、最後は山椒のニュアンスが跳ね返します。昭和感のあるアイスを添えて。
「洋梨のマリネ」
ラフランスを柚子と蜂蜜で香り付けしたソース。なんだこのしっとりした食感は。なんだこの中から溢れ出す果汁は。驚き。
「紅玉のグラニテ」
ピンク色の正体は林檎の皮。林檎のアイスと林檎のジュレを重ねて、林檎よりも林檎のグラニテを作り出す。
「洋梨の春巻き喜界島の香りと」
これも定番のアプローチだが、毎度驚かされる。洋梨にはほぼ火が入らないので、洋梨がジュース状態で口の中に飛び込んできます。
「白胡麻のアイス」
これも定番の逸品。カプレーゼの時と同様に、この塩気がコースを引き締めているに違いない。
「初霜」
このシルエットは今年の冬に、初雪という名前でデビューしたが、今度は初霜だ飴細工で作った美しいシルエットに、栗や堀川牛蒡、さらに柿が隠されます。
2024/01/09 更新
2023/07 訪問
パティシエが作るフルコース。今回のテーマは「桃」
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パティシエが作るフルコース、それが『Yama』のアイデンティティーだ。
前回も同じフレーズから始めたが、これが本当にすごい。ミシュランのジャンルの中にはアシェットデセールは存在しないが、いつかエントリーされるならきっとそれはyamaの力でしょう。このレベルの料理を掲載することは、むしろミシュラン側にとっての誉だ。と、感じてしまうほどの感動的な食体験が待っております。先般いただいた熟成栗への感動が強く、その季節ばかりを狙っていたが、今回は初めて「桃」を主役にしたコースをいただきます。
桃が主役ながら、最初の感動を届けてくれたのはトウモロコシ。「トウモロコシの三重奏」と名付けた一品に度肝抜かれます。
パティシエのお父上が自家栽培で作ったもの。ビジネス的に始めたものではなく、ここだけのために栽培しているもの。つまり、生産量は少ないので一本一本に目が届き、こだわりを尽くしたものが生まれる。そのこだわり、この子にしてこの親あり。すっきりと甘味の強い素材が完成しております。これをアイスやソースにテクスチャーを変えて、口の中にハーモニーを作り出します。ここまではありがちだが、最後がやばい。熟成した胡桃オイルをかけるのだが、この香ばしさが、焼きとうもろこしよりも焼きとうもろこしを作り出します。美味すぎる、、、
またまた、桃以外の話になるが、白胡麻のアイスもすごい。以前も頂いたが、自給率がたったの0.1%の国産の白胡麻を使ったアイス。香りの豊さや味の強さもさることながら、揚げ物とは思えぬほどの食後感に驚かされます。
さぁ、そろそろ桃に目を移してまいりましょう。
「ラベンダーのアイスと桃のソース」
これも驚いた。桃はあくまでソースとして登場するのだが、ラベンダーのアイスの風味の強さが圧巻。余韻が1つも2つも続き、ドリンクの後まで続いていきます。実は、花の咲いたものでなくつぼみを使っているのだとか。トライアンドエラーがエグくないですか?笑
「桃のミキュイ」
ミキュイとは、半分火が通った半生というような意味ですが、これを桃でやるのはびっくり。桃で火入れを語るシェフはきっと勝俣さんしかいない。笑
「桃のベニエ」
ベニエとは、フランス発祥のお菓子のことですが、もはやフランス料理のメインディッシュと言われても違和感がない。パティシエが作るフルコースの主役にふさわしい。桃を揚げてるわけだが、ミキュイと違って香りはどうしても分散してしまうもの。そこを梅干しのジャムが塩味や酸味を足して、マンゴーやパッションフルーツはフルールらしい酸味を足します。きっと温かい桃の食べ方では、これが最上でしょう。笑
「Kurenai」
X JAPANじゃないですよ。笑 でも彼らが好きそうな薔薇が主役の1つでございます。薔薇の花をたっぷり重ねてその香りを楽しませます。桃はソルベの形で登場。
その他のコースメニュー。
「豆のコンポート」豆の香りをシンプルに。これでビールは飲めないほど上品です。笑
「カプレーゼ」定番の一品。バジルのブランマンジェ、トマトのジュレ、天草のオリーブオイル、トマトのグラニテ。罪悪感ゼロのデザート。
「カボス餅」日本料理の柚子釜のような提供。味の前にカボスのくり抜き方の繊細さに感動。ぎりぎりを攻めた薄さっぷりなのだ。勝俣イズムがここにもしっかり隠されます。メロンのグラニテに、実山椒の刺激を合わせます。
2023/11/19 更新
2023/02 訪問
お菓子なレストラン、白金へ。
ミトミえもんのグルメサイト、はじめました。
Homepage「https://blog.33inc.jp/」
instagram「@mitomi_emon」
パティシエが作るフルコース、それが『Yama』のアイデンティティーだ。レストランのスイーツといえば、食事の最後を飾るのが一般的だが、最初から最後までデセールのみで設計されております。まさに、ここは常識破りな”お菓子な”レストランなのだ。移転前から恵比寿で完成度の高いコースを提供していたが、移転後には空間を含めた世界観がアップグレードしております。ミシュランにデセールのジャンルはないが、もし設立されればきっと最初に獲得するのはここだろう。
今月のテーマは「熟成栗」。料理は順を追ってご紹介してまいりましょう。
「胡桃/栗」
北海道産の胡桃。胡桃の真ん中にはビスケットのような生地を挟みこむ。ローストされていないだけに、胡桃本来の香りを堪能できる一品でスタート。ペアリングのティーは栗のお茶。
「caprese/胡椒と昆布みかん(温)」
カプレーゼはスイーツに。カプレーゼは、バジルのパンナコッタ、トマトのジュレ、天草のオリーブオイル、トマトのグラニテへと因数分解されます。極め付けは、ペアリングされたティーの胡椒。これでカプレーゼの完成だ。
「シークーの香り/胡椒と昆布みかん(冷)」
鹿児島の離島の在来種であるシークーのデセール。シークヮーサーとは違うもので、酸味の強さやベルガモットのような香りが特徴です。柚子釜のようなシルエットで登場し、中にはブラッドオレンジや桶柑などの柑橘類や蕨餅などが隠される。どこをとっても、シークーの程よい酸味と苦味が感じられる。蕨餅のもちもち感は食感のアクセントに。
「初雪/レモンバーベナとミント」
これは凄い、、、霜柱の上に降った雪を表現しており、春への期待感はその下にある蕗の薹のアイスに追わせます。さらにその下に苺を重ねているが、これも甘さを抑えて全体のバランスをとる。雪のエッセンスからなのか、蕗の薹からなのか、どうしてこんな料理が思いたのだろうか。答えは、ドラマの初恋からなんですって。世界観を料理にするアプローチに、天才度の高さを再認識。
「熟成栗/焙煎焙じ茶」
今度の世界観は田舎。グラスに藁の香りをつけて、まるで野焼きしている田んぼを想像させます。熟成したしっとり感のある栗には蕎麦のソースを重ねる。
「白胡麻/玉露と抹茶」
胡麻油のような強烈な香りを提供しつつも、すっと消えていくニュアンスに驚くばかり。星野製茶の玉露も、味を都度都度きる役割を担います。
「Kinu/ジャスミン金木犀茶」
初めての訪問で震えるほど感動した逸品。2月に栗料理?となりますが、答えは熟成しているからです。その結果として、驚くほどしっとりした食感に仕上がり、栗にありがちな水分を奪われるようなことは一切なし。その下に隠された米のピュレの旨味も抜群で、唯一無二の世界一繊細なモンブランを完成させております。
「レモン」
口直しのグラニテ。サウナにおける水風呂のような働きか。
「林檎のスフレ/モンターニュドールと薔薇」
ふわふわなスフレの下には自家製レーズン、お供にはタヒチのバニラアイス。お茶は香水にもなろうかというほど、花の香りいっぱいのティーを合わせて。
「苺飴」
苺の中にピスタチオのカスタード。程よい飴感がモダンなスイーツの中に懐かしさも散りばめてくれます。
2023/05/05 更新
〈ミトミえもん、インスタもやってるよ!「@mitomi_emon」〉
白金の静かな街角に佇むデザートレストラン『Yama』。
ミシュラン一つ星を獲得し、日本のアシェットデセール界を牽引する存在として知られる。過去の記事でも触れているが、その向上心は止まることを知らない。シェフ・勝俣孝一氏が手がけるコースは、単なる甘味の枠を超え、温度、食感、味覚を駆使しながら、一皿ごとにストーリーを紡ぐ。今回の主役は「苺」。あまおう、とちあいか、古都華の3種をメインに、定番の「絹」や「胡麻のアイス」、野菜を絡めながら、最後まで飽きることなく楽しませてくれる。
例えば「苺とカプレーゼ」。見た目は完全にカプレーゼなのに、グラニテがトマト、苺はまるで甘いフルーツトマトのような味わい。脳が混乱するほどの巧妙なバランス。「苺のマリネ」は、外周だけに火入れし、中は生のまま。フランボワーズとピノ・ノワールのソースを纏い、深紅のシルエットが美しい。「春のにがみ」は、菜の花と水と塩のみで仕上げた一品。出汁を使ったかのような旨味の凝縮度。抹茶椀で提供される演出も粋だ。「せとかと喜界島柑橘の冬巻き」は、シークーで香り付けされたせとかがぎっしり。驚くべきは、中の柑橘に一切火を入れず、ピュアな風味をそのまま閉じ込めている点。
定番の「絹」は、もはや説明不要のスペシャリテ。驚くべきテクスチャーと甘みのバランスは健在。途中で黒トリュフオイルをかけることで、さらに奥深い味わいへと変化する。「胡麻のアイス」は、胡麻の濃厚な風味が衝撃的な一皿。さらには「初雪」。飴細工が雪のように繊細で、昨年よりもさらに進化。まるで本物の雪のような口溶けを実現するため、いくつものアプローチを試したという。その探求心には頭が下がる。
『Yama』がなぜ特別なのか。それは、単なるデザートレストランではなく、食の可能性を押し広げる挑戦の場であるからだ。白金という立地にありながら、ここには格式ばった空気はない。シェフの情熱と遊び心が詰まった一皿一皿が、訪れる者を魅了し続ける。名実ともにアシェットデセールのトップを走るこの店が、次にどんな驚きを見せてくれるのか。今後も目が離せない。ご馳走様でした。