この口コミは、休日料理人さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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昼の点数：4.1
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￥3,000～￥3,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 3.9
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|CP 3.9
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|酒・ドリンク -
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［ 料理・味4.0
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| サービス4.0
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| 雰囲気3.9
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| CP3.9
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| 酒・ドリンク- ］
心ほどける和の真髄、七日町の隠れ名店
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2025/06/18 更新
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日本料理EAST2025百名店
◆今回の品◆
お昼コース料理 3,500円
◆評価◆
食べログ全体評価29人 3.70
個人評価総合4.1
味4.0
サービス4.0
雰囲気3.9
コストパフォーマンス3.9
◆こんな方にお勧め◆
丁寧な和食を味わいたい方に
◆注目ポイント◆
味・サービス 4.0
一品一品が素材本来の味を引き立てるよう丁寧に仕立てられており、派手さはなくとも記憶に残る滋味深い味わいが魅力です。特に土鍋で炊き上げられた「つや姫」は、炊き加減、香り、粒立ち、どれを取っても秀逸で、個人的にはここ数年で最も美味しい白米と感じました。また、料理の提供タイミングや器の温度管理まで行き届いた心配り、予約対応から最後の見送りに至るまでの礼節ある接客は、まさに料理と同様に真摯で丁寧。静かに心を打つ、完成度の高いもてなしが印象的でした。
◆本文◆
山形県で2025年の「日本料理百名店」に唯一選出されたのが、こちらのお店です。今回は事前に予約をして伺いました。お電話は固定回線から店主のもとへ転送される仕組みで、ちょうど仕入れ先にいらしたにもかかわらず、とても丁寧な応対をしてくださり、その時点で料理への期待がぐんと高まりました。
予約制となっており、お昼は3,500円コース一択で基本的には前日までの予約が必要とのこと。ただし、状況によっては当日でも受け入れていただける場合があるそうです。
お店は七日町の中でも、やや人通りが落ち着いた一角に位置しています。専用の駐車場はありませんが、一軒挟んだ西隣にコインパーキングがあるので、お車での訪問も安心です。
建物の外観は、歴史を感じさせる趣のあるたたずまい。小さな看板のみの控えめな表現なので、見落とさないようご注意を。扉を開けると、外観からは想像できないほど洗練された和の空間が広がり、静謐な雰囲気に包まれます。
店内は、7席のカウンターと奥に1卓のお席。特筆すべきは、目の前に広がる一枚板の国産檜を使った見事なカウンター。店主のお話によると、地元の大工さんが長年保管していた貴重な材を譲り受けたものだそうで、温もりと重厚感を感じさせます。
店主の所作や姿勢は非常に丁寧で、美しい立ち振る舞いにも好感を覚えます。
今回は、ちょうど同じ時間帯に予約されたお隣の方と一緒のタイミングで料理がスタート。私が少し遅れてしまったようで、お待たせしてしまったことが心残りです。
ランチはその日の仕入れに合わせた「おまかせ」形式。予約時に苦手な食材やアレルギーを丁寧に確認してくださる配慮も嬉しいところです。
つき出し：えんどう豆のお粥
お粥から始まるコースは初体験でしたが、えんどう豆の風味を活かす醤油だれが優しく効いており、静かに心をほどくような一品でした。
椀物：似鱚（にぎす）のつみれ汁
似鱚はおそらく初めていただいた魚ですが、骨まで砕いて練り込まれたつみれは、優しい味の中にもしっかりとした旨味が感じられ、食感も心地よい仕上がりです。
お造り：鶴岡産石鯛
柵のまま目の前で切り出してくださり、わさびもその場ですりおろして提供されます。石鯛の引き締まった身はプリッとした食感で、添えられた海苔と醤油の和え物との相性が抜群。素材そのものの味を損なわず、むしろ引き立てる見事な組み合わせでした。
煮物：スナップエンドウ・おかひじき・黒バイ貝
スナップエンドウの皮がまるで弾けるような食感で、清々しい歯応え。黒バイ貝も自然な味付けで、素材の持ち味が活きており、初夏の爽やかさを感じる一皿です。
焼き物：鶴岡産スズキの幽庵焼き
個人的に好物の幽庵焼きがいただけて嬉しい驚き。お酒の芳醇な香りが鼻をくすぐり、焼き加減もふんわりと絶妙。醤油控えめの幽庵地により、スズキ本来の繊細な旨味が際立っていました。
ご飯と汁と香の物：土鍋炊き つや姫・ちりめん山椒・漬物・わらびの味噌汁
味噌汁は提供直前にわらびを切って加える丁寧なひと手間。赤みのある濃い味噌が用いられており、しっかりとした味わい。ちりめん山椒は年に一度まとめて仕込まれるそうで、香りも味も非常に濃縮されております。
そしていよいよ土鍋で炊かれた「つや姫」が登場。一組ごとに土鍋が用意され、タイミングを見計らって炊き上げられているとのこと。一杯目は艶やかで粒立ちがよく、ふっくらとした炊き上がりに思わず感嘆の声が漏れました。
個人的には、ここ数年でいただいた白米の中で最も美味しく感じられたほどで、ひと口ごとに噛みしめたくなるような旨さがあります。
二杯目には香ばしいお焦げも加わってまた違った味わいに。三杯目をいただいた時点でもなお、土鍋にはご飯が残っていました。計算された味噌汁や山椒の濃さも、すべてはこの白米を主役に据えるためだったのだと納得しました。
甘味：自家製水羊羹・佐藤錦・抹茶
食後の甘味は、自家製の水羊羹。しっかりとした甘さがありながらも上品な後味で、柔らかすぎず固すぎず、絶妙な食感。佐藤錦の甘酸っぱさと抹茶の渋みが加わり、心地よい余韻を残してくれます。
気づけば、食事が始まってから1時間以上が経っていました。一品一品、料理の説明も丁寧にしてくださり、質問にも親しみやすく答えてくださる姿勢に、料理人としての誠実さと温かみを感じました。
提供される器も、温かい料理には温もりを、冷たい料理にはひんやりとした清涼感を最後の一瞬まで保っており、徹底された細やかな心配りが随所に感じられます。
お食事の後は、名刺を添えて店先までお見送りいただき、最後に残った私には、コインパーキングから車が出るまでお見送りしてくださいました。
決して派手さを追わず、一皿ごとに真摯に向き合う姿勢と丁寧な仕事ぶりに、心から感動しました。次回は、ぜひ家族を連れて再訪したいと思います。
静かに実力を重ねるこのお店は、いずれ確実に評判となり、予約困難になる日も遠くないでしょう。落ち着いた雰囲気の中でこの味とおもてなしを体験できる今こそ、訪れる絶好の機会です。
ご馳走様でした。