休日料理人さんが投稿したレストラン パ・マル(山形/山形)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

かけがえのない時を、彩る力に

メッセージを送る

この口コミは、休日料理人さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

レストラン パ・マル山形、北山形/フレンチ

1

  • 昼の点数:4.2

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 3.9
      • |CP 3.7
      • |酒・ドリンク 3.9
1回目

2026/01 訪問

  • 昼の点数:4.2

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気3.9
    • | CP3.7
    • | 酒・ドリンク3.9
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

山形の恵みを芸術へ—ガストロノミックに昇華する県産素材と至高の技

◆今回の品◆
LAUNCH Menu Chef 8,800円(税込)
+ドリンク
+サービス料5%

◆評価◆
食べログ参考:3.96点(98人)

総合:4.2点
味:4.2点
サービス:4.0点
雰囲気:3.9点
コスパ:3.8点

◆注目ポイント◆
味 4.2点

コース全体を通して印象に残ったのは、「濃さ」を誇示せずに旨味の輪郭だけを澄ませていく組み立てです。
甘味は素材由来の品の良さで立ち上がり、余韻は重たく残るのではなく静かに伸びる。
香りは強さで押すのではなく、みずみずしさを損なわない最小限の輪郭として添えられ、酸は要所で差し込まれて脂やコクをきゅっと整える。
濃厚さは層を重ねて深度を出しつつも、塩気と温度で後味がきれいに整列し、火入れは繊細さを守りながら香ばしさを一点に集めることで、食感と香りに立体感を生む。
最後は果実の酸が甘みを軽やかにほどき、全体の余韻を清潔に畳んでいく——こうした“流れ”まで含めて味わえるのが心地よく、自然と山形の[ガストロノミーを感じる]ランチです。

◆本文◆
妻の誕生日にこじつけて、念願のお店へランチ訪問です。
山形を代表する一軒として名が挙がることも多く、食べログでは山形県のフレンチで最高得点を保持。さらにフレンチ百名店(EST 2023・2025)に選出され、ゴ・エ・ミヨにも2023〜2025まで掲載。ヒトサラのベストシェフにも2024、そしてつい先日は2025にも選出された村山優輔シェフのお店です。実績が積み上がっていくほど期待値も自然と上がりますが、評判に引っ張られすぎず、あくまで目の前の一皿で判断したい——そんな気持ちで伺いました。
結果からお伝えすれば、山形県で400店以上のレビューを書き続けた中、現状あるお店で2位タイ。強くお勧めできるお店でした。

場所は七日町の角地。ソイイソノさんやプチ・ノエルさんと同じ通りで、良いお店が並ぶ一帯です。駐車場は無く、近くのコインパーキング利用が前提。

外観は看板や窓が控えめで、一見すると一般住宅のような佇まい。ところが扉を開けると空気が変わり、白を基調とした清潔感のある空間がすっと広がります。
1階はカウンター席と厨房、2階がテーブル席で、今回はそちらに通していただきました。

最低限のドレスコードはありますが、タンクトップやハーフパンツ、サンダルが不可という、フレンチとして一般的な範囲。コートも自然に預かってくれました。接客は丁寧かつ気さくで、距離感が上手い。特にソムリエの方(シェフの弟さんと思われる)が、上品で柔らかな話し方ながら説明は要点が明確で、こちらを急かさず、間延びもさせない。“当たり前を高い水準で保つ”ことが一番難しいのに、そこが崩れないのは安心材料でした。

まずはノンアルコールのワインを注文。本物のシャルドネからアルコールを飛ばしたタイプとのことで、甘さに逃げず、酸の骨格と香りの輪郭が残る。料理に合わせて成立するノンアルは意外と少ないので、ここは素直に嬉しいポイントです。テーブルに並ぶカトラリーも上品で、見た目だけでなく握りやすさも良い。ポルトガルのクチポールだそうで、道具の選び方にも隙がありません。

アミューズ
木目の美しい板の上に2つのリエット。竹炭を使った黒い小さなマカロンのように整えられ、もうひとつは葉脈を模したチュイルで挟まれています。最初から視覚が楽しい。
マカロン風は地鶏レバーのリエットに東根産苺。レバーの濃度が苺の酸で整えられ、もう一つは庄内豚のリエットをチーズ菓子で挟んだもの。少量でも豚の旨味が丸く、塩気が強すぎず、余韻が綺麗に伸びます。重さだけで終わらない。導入でいきなり“濃い”方向に寄せず、期待だけを置いて次へ渡すのが上手いと感じました。

ズワイ蟹
小さな器の中、琥珀色のコンソメジュレが艶をまとい、その下に雪下人参のムース。上には柚子の香りと河北町の秘伝豆が顔を出します。器越しに光を受けたジュレがきらりと見えて、写真映えするのに嫌味がない。
蟹へ目が行きがちですが、主役級なのは雪下人参のムースでした。素材由来と思える上品な甘味が、しつこさなく、しかし余韻だけが長く続く。甘味が“残る”のではなく“伸びる”。コンソメの澄んだ旨味がそれを邪魔せず、口の中で静かにまとまっていきます。


鰤のたたきを燻製にし、ビーツの赤をまとわせた一皿。ガラスの器の中で、紅大根の薄い輪やイタリア野菜が色を添え、ビーツが粉雪のように散る。透明感のある盛り込みで、ランチの明るい光がそのまま美味しさに加担するタイプです。
燻製と聞くと水分が抜ける印象がありますが、これはみずみずしさを保ったまま香りだけを的確に乗せてくる。スモークの“良いところ”だけが残る感覚がありました。そこへビーツの酸味が、鰤の脂の輪郭を締め、味の像がくっきり立ち上がります。

白子
酒田の鱈白子を揚げ焼きし、ブルーチーズのソース。石肌の器の中央に香ばしい焼き色の白子が置かれ、下には白いソースと青菜。近づけなくても立つ揚げの香りが食欲を呼びます。
外側はカリッと香ばしく、中はとろり。白子だけで濃厚なのに、ブルーチーズで“追い濃厚”。大胆な掛け算ですが、塩気と香りで余韻がだらけず、濃厚さがきちんと一つの完成形になっています。狙いは明確で、料理として破綻しないバランスでした。

平目
平目の上に、ピスタチオ・パン粉・バターを混ぜた層を乗せ、そこから平目へ間接的に火を入れます。
皿の余白が大きく、中央の焼き色が端正に映えます。トップの香ばしさが視覚からも伝わるのが良い。
魚へ強い火を入れない分、境目はレアにしっとりしながら、側面と下はふんわりほどける。食感が一枚岩ではなく層として立ち上がるのが面白い。ソースは白ワインとスダチのブリュノワーズで、酸味は軽く、しかし要所を押さえている。繊細な旨味を守りながら、次のひと口へ進める推進力になっていました。

仔羊
赤みの美しい断面に、フキノトウが入ったマデラソース。芽キャベツやスナップエンドウの青い香りが差し込み、脂の甘さが単調になりません。
臭みはなく、繊維はほどけやすい柔らかさ。ソースはフォンドヴォーの親和性を感じつつ、仔羊の出汁も思わせる奥行きがあり、フキノトウの苦味がとても良い広がりを生みます。メインとしての重心がここでしっかり定まります。

KISS
白い皿の中央に、艶やかな赤い唇の造形。ソースが滴るように落ち、少し挑発的で、それでいて品がある。スプーンを入れるのが惜しい、という気持ちが先に来る見事さです。
見た目が強い分、味が置いていかれないか気になりますが、フランボワーズのムースは酸が立ち、甘味の凝縮感を軽やかにほどいてくれます。香りの輪郭が最後まで崩れず、食後に向かって口の中が整っていく感じがありました。

カフェ/小菓子
カカオニブを敷いた器に小さなカヌレ。外は香ばしく、中はしっとり。ほろ苦いカカオニブが甘みの余韻を締め、食後のテンポが整います。
別皿にはラ・フランスのパート・ド・フリュイ。砂糖の輪郭で押すのではなく、果実の香りが最後に残るタイプ。
飲み物はカモミールのハーブティーを選択。余計な苦味がなく、純粋な香りを楽しめる良品で、コースの情報量を静かに片付けてくれる締め方でした。

全体として、見た目の華やかさだけに頼るのではなく、皿の順番に意味があり、一品一品に個性がありつつも、コースとして一本の線が途切れにくい構成でした。スタッフの説明も軽快で、地産素材の良さが“食べる前から”伝わってくる。結果として、食べる側の気持ちまで整えてくれるのが、この店の強さだと思います。
服装は過度に構える必要はありませんが、少しだけ気持ちを整えて行くと、料理とサービスの良さがより素直に入ってきます。

山形の素材と技術がコース全体で確かめられる時間でした。そういう意味で、結論はとても自然にここへ着地します。
まさに山形の[ガストロノミーを感じる]お店ですね。

⌘最後に⌘
「いただきます」の一言に込めた感謝を忘れず、
日々の食に敬意をもって、その魅力を丁寧にお伝えできれば幸いです。
皆さまのかけがえのない食の時間を、より心豊かに彩るお手伝いができればと願っております。
長文を最後までご覧いただきありがとうございます。
ご馳走様でした。

2026/01/20 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ