black631650さんが投稿した菊乃井 本店(京都/東山)の口コミ詳細

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菊乃井 本店東山、祇園四条、蹴上/日本料理

1

  • 昼の点数:5.0

      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2025/08 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-

五感で味わう至高の京懐石

「“美味しい”なんて言葉だけでは語り尽くせない」ー。そう五感で実感したのが、この度訪れた京都の老舗店で頂戴した夏の京懐石です。


2025/8/30、二十四節気の1つの処暑を過ぎ、暦のうえでは暑さが収まってくる時期とされているものの、この時の京都市は日中の最高気温が35℃以上の猛暑日でなかなか秋の気配が近づいているという実感がありませんでした。そんな日に私が訪れたのは、この度『まいまい京都』というミニツアーを通じて食事の機会を得た、東山に構える京料理の名店であるここ『菊乃井』でした。
【~夏を彩る京懐石、最高の素材・技術・しつらえ…“きれい寂び”の世界~】がテーマのこの度の食事会、案内された2階の客間に入った時点で私は驚きました。その理由は、その部屋にかの尾形光琳作の硯箱・文箱、伊藤若冲作の掛け軸など、国宝・重要文化財クラスの調度品がショーケースも設置せずにそのまま飾られていたからです。なんでもお食事部屋は他にもあるそうなのですが、光琳や若冲といった作品が飾られているのはこの度の客間だけとのことだそうです。一流の美術品を美術館・博物館でもまず体験出来ない、ガラス越しではない正真正銘そのままの姿を鑑賞することが出来、それだけで目で非日常の贅沢気分になりました。この度の食事場所にこちらの部屋にするようにしてもらった『菊乃井』主人の村田吉弘氏には感謝の気持ちでいっぱいになりました。ちなみに、他のお食事部屋も文化財クラスとまではいかなくても上品な調度品を飾っているそうです。
席に案内された後、店側から冷たいお茶とミントゼリーのサービスがありました。ミント味のゼリーは初めてでしたが、思っていたよりも優しい印象の味わいでした。
それから食事会の参加者全員が集まった後、女将さんからの店の歴史等のお話、料理長からのこの日の料理の説明を聞いてから食前酒にと山椒入りの酒を頂いてから以下の料理の数々を頂きました。


◆八寸
茗荷寿司 ささげ黒胡麻和え 鱧胡瓜巻き 胡瓜辛子酢和え 山桃葛饅頭 穴子八幡巻き 翡翠銀杏
お盆月にちなんで鬼灯を器にした八寸。竹筒や笹の葉などを器に用いた盛り合わせは他所でも目にしたことがありましたが、この度のような鬼灯は初めてでした。どの品も上品で、個人的には6月頃に収穫したものをワイン漬けにした山桃の葛饅頭が特に印象的でした。
◆猪口
トマトすり流し 湯葉クリーム  順才 浅葱 花穂紫蘇
トマトのすり流し・豆乳みたいな湯葉のクリームの2層に分かれた冷製スープ。混ぜにそっとスプーンですくって口に入れてみると、一般的な豆乳では味わえない爽やかな風味と優しいコクを堪能出来ました。
◆向付
一、明石鯛 太刀魚焼霜 あしらい一式
鯛と太刀魚のお造り盛り合わせ。鯛もさることながらポン酢ジュレと一緒に頂いた太刀魚も想像以上に存在感がありました。
二、鱧落とし 花穂紫蘇 梅肉醤油
鱧の皮を炙って仕上げにほんの少しだけ出汁に潜らせて直ぐに提供されたもの。一般的には氷水で冷やすため皮の弾力感も残りやすい鱧のお造りですが、この度の鱧はほんのり温かくふわふわで、より淡白で上品な印象を受けました。他所の京料理店でも鱧でここまで手間暇かけているところはそうそうない気がします。
◆蓋物
冬瓜蒸し すっぽん 小芋 青万願寺唐辛子 露生姜 柚子
小ぶりの冬瓜を半割にし蒸し、そのまま大胆に器とした逸品。すっぽんなどの具もさることながら、じっくり火を通し皮のギリギリまで美味しく頂けた冬瓜がとても印象深かったです。
◆焼物
鮎塩焼 蓼酢
一般的な蓼酢は蓼に酢を合わせたシンプルなものが多いですが、この度のものはクレソンやオリーブオイルなども加えた現代的な物でした。これで鮎を頂いてみたところ、酸味は幾分控えめでコクがあるなぁと実感しました。これならば酸味やほろ苦さが苦手な方もイケるかもしれない、そう思いました。
◆強肴
豚の角煮 じゃがい芋餡 青ずいき 辛子
薩摩の黒豚で作った柔らかい角煮にじゃが芋の味がすしっかりじ感じられる特製餡をかけたもの。肉じゃがや煮っころがし以外で、それも今回のような懐石でじゃが芋を使った和食の逸品は初めてでしたが、濃厚な角煮にもよく合って美味でした。
◆御飯
もずく雑炊 胡瓜 おくら 花穂紫蘇 山葵
冷たい和風出汁に沖縄産もずくや胡瓜などを合わせた雑炊。懐石で土鍋御飯以外の御飯物は初めてでしたが、酸味も控えめで宮崎名物の冷や汁御飯とは異なる食べやすい味わいでした。
◆香物
青瓜糠漬け 茄子辛子漬け 割干し大根 塩昆布
自家製の漬物と塩昆布。個人的には比較的癖のない青瓜の糠漬けが特に好印象でした。
◆水物
宇治金時 抹茶アイス 白玉 小豆
『菊乃井』本店の近くにある系列店の軽食・甘味処の『無碍山房 サロン・ド・ムゲ』名物の[無碍山房濃い抹茶パフェ]に近い宇治金時。抹茶専門店の冷たいスイーツにも引けを取らない濃くて上品な味わいでした。


日本独自の美意識である“侘び”は質素さや不足に趣を見出す心、“寂び”は時間の経過によって古びて趣深まる様を指します。そして、“きれい寂び”は“侘び寂び”にある種の華やかさや洗練された明るさを併せ持つ美風のことで、この度の『菊乃井』の空間や料理の数々はまさにそれを体現したもので、夏を彩る京料理を目で楽しみ、食して口福を頂くという日常とは違う、貴重で贅沢な時間を過ごせました。そうそう気軽に食べに行くのは厳しいですが、一生に1度は訪れる価値は十分あると実感しました。皆さんもよろしければ参考にして下さい。

  • 8月末でも猛暑日が続く京都の東山地区

  • 店は高台寺の近くにある

  • 菊乃井本店

  • 今回案内されたお食事部屋の客間

  • 尾形光琳作の文箱

  • 尾形光琳作の硯箱

  • 伊藤若冲作の掛け軸

  • 板谷波山作の香炉

  • とても貴重な青い壺(詳細は忘れてしまいました)

  • 菊乃井の由来にちなんだ欄間

  • 東山の風景を題材にした欄間

  • 着いて早々に冷たいお茶とミントゼリーのサービス

  • 今回の献立

  • 山椒入りの日本酒

  • 鬼灯を器にした八寸

  • 八寸(茗荷寿司 ささげ黒胡麻和え 鱧胡瓜巻き 胡瓜辛子酢和え 山桃葛饅頭 穴子八幡巻き 翡翠銀杏)

  • この日使用の琵琶湖の鮎

  • 猪口(トマトすり流し 湯葉クリーム 順才 浅葱 花穂紫蘇)

  • 向付 (明石鯛 太刀魚焼霜ポン酢ジュレ あしらい一式)

  • 向付(鱧落とし 花穂紫蘇 梅肉醤油)

  • 蓋物(冬瓜蒸し すっぽん 小芋 青万願寺唐辛子 露生姜 柚子)

  • 焼物(鮎塩焼 蓼酢)

  • 金色の腕で提供の強肴

  • 強肴(豚の角煮 じゃがい芋餡 青ずいき 辛子)

  • 今回の御飯物は冷たい雑炊

  • 御飯(もずく雑炊 胡瓜 おくら 花穂紫蘇 山葵)

  • 水物(宇治金時 抹茶アイス 白玉 小豆)

2025/09/03 更新

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