3回
2024/11 訪問
福岡最高峰のフレンチ
天神駅や中洲川端駅からも徒歩圏内のフレンチの名店「レストラン アレナ」さんへ。
今回も白皿をキャンバスのように扱う、有馬シェフの独創的な感性やそのセンスに脱帽でした。
料理の着想の視点のオリジナリティーさも見入ります。
◯Rhum Rasin
Arenaさんの始まりの一皿はこちらのRhum Rasin。フォアグラのアイスをスペイン産のマルコナアーモンドで作ったクッキーの間に挟んだもの。手前側がラムレーズン、奥がフランボワーズのソースを敷いていました。はちみつハンターで有名なポニィさんのはちみつも添えてありました。
サクサクとした香ばしいクッキー生地に中のフォアグラのコクが絶品です。
フランボワーズのソースも、ラムレーズンのソースも果実の香りがしっかりあり、甘すぎない大人の味わいでした。
見映えも最高ですね。
◯Arome dHiver
お皿と共にゆずの香りがテーブルに運ばれます。蕪や早生キャベツをバターで焼き、イカや金目鯛や車海老を散りばめてありました。
蕪のトロトロ感と早生キャベツを含めた野菜の甘みに、イカの歯切れのよい食感、金目鯛の柔らかさ、ダイス状の車海老のプリプリ感と一皿で様々な顔つきを魅せてくれます。
全体的にバターのコクをどの食材からも感じられるのがまた美味でした。
◯Largo
作曲家ドボルザークの新世界の第2楽章の「家路」から着想を得たという一皿。ペコロスやじゃがいも、サトイモをポワローと呼ばれるネギのスープと合わせてありました。
じゃがいも、サトイモ、ペコロスのそれぞれの美味しさを感じられ、ネギのスープも野菜の旨みが詰まっていて、ひたすら美味しいと思う一品でした。
◯Preparation
イシガキダイにビネガーと白ワインで味付けしたホタテや根セロリを添えてあります。真ん中にはフェンネルのクリームソースと全体的に白色で統一されていました。
イシガキダイの皮のパリッとした食感は、思わずうわっと声が出る程絶妙な食感で、プリッとした身の柔らかさも際立ちます。フェンネルのソースとも相性抜群です。揚げてあるピーナッツもやしも食感、風味のアクセントに最高でした。勿論ホタテ、根セロリも良い意味で癖がなく、完成度に感動の一品です。
◯Le Terroir
庄内鴨と庄内平野のゴボウをペアリングを楽しめる一皿。鴨肉は手前に胸肉、真ん中にももの部位でした。奥のゴボウはりんごや生ハムと一緒にパウンドケーキのように焼き上げてありました。
ゴボウは今まで頂いたことのないスタイルで、ゴボウの香りとダイス状のリンゴの素朴な甘さ、生ハムの塩味と旨みが組み合わさり、これを鴨肉と合わせることで更にお肉の甘みを感じることができます。
胸肉は柔らかくて、お肉の味わいをしっかり感じます。もも肉も弾力がジューシーで、皮目のパリッと感もより一層感じられました。
◯Caresse
鴨と夏の蝦夷鹿のコンソメに牡蠣、刻まれた松茸、春菊、そして聖護院大根と様々な食材を鮮やかに飾られています。
まずは何よりコンソメの旨さがとてつもないです。その旨みの中に牡蠣や松茸等の風味が顔を出すハーモニーがたまらないです。
◯La Foret
冬の蝦夷鹿のロースのグリルとどんこ椎茸の中に肉詰めされていました。肉詰めはマスタードで風味づけされ、大和芋や菊芋を組み合わせてありました。
蝦夷鹿のロースはお肉の風味を豊かに感じられ、その弾力がありながらの柔らかい食感は衝撃的でした。
肉詰めはお肉の旨みと椎茸の旨みが相まって、病みつきになる美味しさでした。大和芋のツルっとしたアクセントも最高です。
◯Mille:Fort
南仏の羊の乳で作ったブルーチーズであるロックフォールが主役の一皿。そのブルーチーズをリンゴやローストしたナッツと一緒にクレープで挟んでミルフィーユ仕立てにしていました。下には柿、上にハーブを飾ってあります。
ブルーチーズのような癖のある食材を、その癖を活かしながら他の食材とここまでうまくバランスをとれることに衝撃を覚えました。クレープ生地の食感に、リンゴやナッツの食感と風味、ブルーチーズの特徴的な味わいがマッチしており、これまた素晴らしい完成度でした。
◯Legerement
栗の皮を加えたタルト生地の中に栗の軽いムースを閉じ込めてありました。上には梨を薄くスライスしたものをレースリボン状に載せてあり、周りにはホワイトチョコやメレンゲ等が飾られています。
空気のようなムースとタルトのパリパリとした食感のアクセントに、鼻に抜ける栗の甘さが心地よいですね。
◯Femme Fatale
ギュスターヴ・モローの「岩の上の女神」をモチーフにした一品。
薄いパン生地の間にショコラとリンゴ、ドライフルーツ、ナッツを挟んだもの、焼きリンゴのアイスクリームを添えています。
パリパリとした食感がまず癖になりますが、その中の複雑な味わいが何とも表現しがたい美味しさとして口の中に広がります。焼きリンゴのアイスクリームも大人な甘さを感じます。また、フランボワーズのパウダーの酸味も良いアクセントでした。
どの料理も視覚的にも、嗅覚的にも、そして味覚的にも上質なものばかりで、アレナさんだからこそ成せる食体験でした。
今後も定期的に伺いたいお店です。
Rhum Rasin
Arome dHiver
Largo
Preparation
Le Terroir
Caresse
La Foret
Mille:Fort
Mille:Fort
Legerement
Femme Fatale
paul gadiot 2014。ドライ。
サロンの作られない年の100%シャルドネ。
2024/12/02 更新
2023/11 訪問
白の世界へ
西中洲エリアの中でも天神寄りの場所にある『レストラン アレナ』さんへ。
地下鉄天神南駅や中洲川端駅、天神駅からも徒歩圏内です。
メニューはおまかせコース1つのみで、現在25000円(税込)の価格です。
こちらのオーナーシェフである有馬シェフはフランスの星付きのお店で研鑽され、2016年にこちらをオープンされたようです。
目の前を何度か通ったことがあり気になっていたお店で、今回初めて利用させて頂きました。
店内は白を基調としており、シンプルながらも結婚式場のような華やかさも感じます。テーブル席全10席のようで、しっかりセパレートされていました。
全部白皿で提供され、まるでキャンバスに描いた絵画のような芸術性を感じます。余白の部分の使い方を含めて、料理の映え方、見せ方がとても綺麗ですね。
○Rhum Rasin
アーモンドのクッキーにフォアグラのムースを挟んだお菓子的な一皿から。アレナさんのスペシャリテでもあるようです。
下のソースはラムレーズンのソースで、はちみつハンターで有名な緒方さんのはちみつを使用されていました。
さっくりした薄手のアーモンドのクッキーはとても上品な口当たりで、ほのかな甘みと香ばしさが心地よく感じられます。
中にサンドされているフォアグラのムースはバターのような食感で、口に入れるととろりととけ、フォアグラの香りと風味をたっぷり楽しめました。
○Arome d' Hiver
ちりめんキャベツや蕪をバターで蒸し焼きにし、豚足や穴子とイカを合わせて、柚子で香り付けされた一皿。
じっくり火入れされたちりめんキャベツは肉厚ながら柔らかく、優しい甘さを感じます。また、野菜に豚足やイカ濃い旨味が凝縮したとろりとしたスープがよく絡んでおり、大変一体感があります。イカの大変柔らかい弾力があり、細かく刻まれた豚足の食感のアクセントが良いです。ゆずの香りが冬の訪れを感じます。
○Chasseur
ツキノワグマのバラの部分やきのこと下仁田ネギが付け合わせてあり、セップ茸のコンソメを合わせたものでした。猟師が山の幸で山賊鍋を食べているイメージで作られた一皿とのことです。
ツキノワグマは薄切り肉で柔らかく煮てあり、脂身の豊かな甘みを大変美味しく感じます。甘辛い煮込みの味付けが熊の旨みを底上げしてています。またツキノワグマの脂が溶け込んだスープをよく吸った下仁田ネギときのこも美味でした。
○Plage et Vert
ふっくらと火入れしたクエと牡蠣の一皿。水晶文旦とベルガモットのソースを合わせてありました。
意外な組み合わせでしたが、それぞれの美味しさも感じられ、牡蠣の芳醇な磯の香りがクエの上品な味わいを更に深めていました。クエの身離れが良い身質は大変美味で、ハーブの香りも合う味付けでした。
○Le Double
カリッと焼き上げた天草地鶏のもも肉とふっくらと火入れした胸肉の1度に2度美味しい一皿。地鶏から出た出汁のソースとマッシュルームのソースに、付け合せの野菜はケールでした。
天草地鶏のローストは焼き目がカリッとしており、中のもも肉のジューシーさが際立ちます。むね肉もパサツキを感じさせず、火入れの技術の高さを感じました。
○Crusnag
魚介のビスク。外側をカリッと焼き上げたじゃがいものガレットとオマールやホタテを合わせて、ソースはオマール海老のソースでした。
オマール海老のソースがコク深く旨いのは勿論のこと、じゃがいものガレットの食感がとても好みでした。オマール海老の切り身は小サイズながらも存在感のある美味しさです。
○Une...
羊の月齢が12ヶ月から24ヶ月未満であるホゲットと呼ばれる時期の非常に珍しい一品。子羊のミルキーさとマトンの独特の風味の両方を味わえるのが特徴で、部位はロースの部分であるセルでした。
ソースはエストラゴンのソースに、クミンやフェンネルを加えたものでした。
今までラムやマトンを食べたことはありますが、ホゲットの状態を食べるのは初めてで、衝撃的な肉質でした。羊肉の独特の風味はあるも、いわゆる羊臭さとは異なり、ハーブ味を感じるような爽やかさでした。繊細な肉質で、旨みもしっかりあり、メモリアルな食材でした。とても貴重なお肉のようで、また食べられる機会を楽しみにしたいです。
○Croque Murols
白カビのチーズであるサン・ネクテールをクロックムッシュとトリュフに挟み、上にはハーブのサラダやマッシュルーム、クルミのパウダーをかけてありました。
まるで菜園のような料理で、チーズのクリーミーさとトリュフの風味にワインが進む一品でした。
○Legerement
栗の皮を加えたクッキー生地の中に栗のムースを詰め、和梨のスライスを重ねて、ホワイトチョコのディスクを添えてありました。
秋を感じる構成で、栗のムースの濃厚さが印象的でした。和梨のスライスは良い意味で梨っぽさの無い、シャキシャキとした食感が特徴的で、下のクッキーやムースにさっぱり感を付け足していました。
○Vitis
葡萄にマンジャリというショコラのムース、上にはカシスのムースを載せたもの、横にはシャルドネの構成でした。
チョコレートとブドウという珍しい組み合わせですが、完璧な合わせ方でした。カカオの効いたチョコレートは軽く仕上げてあり、フレッシュなブドウから弾けるジューシーさが癖になります。
白皿に映える赤ワインのような深紅の色味がまぶたに焼き付きます。視覚的にも上質なデザートでした。
全体を通して、どの料理も個性的な特徴がありかつ美味しいのが衝撃的でした。文頭に記載した通り、白皿の使い方がアーティストそのもので、五感を刺激するお店でした。
間違いなくまた再訪したいです。
2023/12/14 更新
まるで白亜の美術館のような「Restaurant Arena」さんへ。
定期的に伺いたいお店の一つでありますが、今回のコースも感動でした。
◯Rhum Rasin
アレナさんのスペシャリテであるRhum Rasinから。
フォアグラのアイスをスペイン産のマルコナアーモンドで作ったクッキーの間に挟んだもの。手前側がラムレーズン、奥がフランボワーズのソースを敷いてあり、フランボワーズの飴を乗せてあります。はちみつハンターで有名なポニィさんのはちみつとアマランサスが添えてあります。
やはり美しく、美味ですね。フォアグラのアイスのコクがあり、上品な味わいが絶品です。
◯Promenade
春の散歩道をイメージした一皿。鮮やかな緑色に目を奪われ、春らしさを体感できます。
天然のセリや山菜、那珂川のグリーンアスパラガス、セルフィーユのソースを合わせており、しっかりしたアスパラガスの食感と味を感じながら、山菜やセリ、ソースの風味でより爽やかに感じます。
◯Printemps Blanc
「白い春」という一皿。タイトルの通りの見た目だと思いました。
先ほどがグリーンアスパラガス、こちらがホワイトアスパラガスという構成も面白いですね。
甘海老や百合根の優しい甘みがホワイトアスパラガスの酸味に合わさり、美味しくまとまっていました。
◯Imitation
マナガツオに花わさび、ハーブを組み合わせ、下にはイカと黄ズッキーニを麺状にしたものを添えた一品。
ソースは鶏とハマグリの出汁にレモンバームの香りを加えたもので、この旨みと爽やかさの共存が心地よいですね。
マナガツオの焼き加減も絶妙で、中は柔らかく上品な甘みを感じられ、外はパリパリとした食感でした。ズッキーニのシャキシャキ感にイカの旨みも絡み合い、ハーブの香りで更に上品な仕上がりになっています。
◯Primitif
富山の猪の肩肉、筍、山菜、古代米を混ぜたリゾーニの一皿。ソースはセップ茸のソースで、そら豆のピューレやマスカルポーネと生姜のピューレの彩りも鮮やかです。
猪肉はあえて、スジ周りが美味しいためあえてスジをとらずに仕上げているそう。
嫌な口に残るような嫌なスジ感は全くなく、とても柔らかい肉質で、噛めば噛むほどお肉の旨みが口いっぱいに広がる美味しさです。
筍のシャキシャキ感のアクセントも良く、古代米のプチプチ感のあるリゾーニとセップ茸のソースの旨みも混ざり合い、どれもこれもが一皿のクオリティを高めていました。
◯Saucer
ソーセというのは、フランスの食文化である、ソースを堪能するためにパンでソースを拭い取るという意の言葉から。
海の幸と山の幸をソースで繋いで一体感を楽しむというコンセプトの一皿。
細かく刻んだ牡蠣、白ミル貝、クラゲに豚タンのコンフィを合わせ、中央はケイパーとハーブのアイスクリームの構成です。
貝と豚タンの旨みが組み合わさるのも美味しいですし、クラゲのコリコリとした食感が癖になります。
複雑な味わいながらも爽やかに感じるまとまりで、香りが鼻に抜ける時の心地よさも好みでした。
◯Mont Perdu
モン・ペルデュというピレネー山脈中央の山で育った乳飲み仔羊のフィレとロースを鶏のすり身で包んだメインの一品。
周りには春キャベツや蕾菜、新じゃがいもと春の訪れを感じさせる食材が添えられています。
鶏のすり身の包んだ部分から仔羊の部分への食感の変化、そして何よりお肉のミルキーさに感動でした。
仔羊の美味しさを堪能できるお料理でした。
◯L'Immigration
メインの後はロビオラボシナというチーズを主役にした一品でした。
焼いたロメインレタスにグアンチャーレを被せ、ソース状にしたチーズと頂きます。
ミルキーで濃厚なチーズのソースとロメインレタスの組み合わせはベストマッチですね。グアンチャーレ塩味と旨味も美味でした。
◯Eden
アレナさんのデザートはいつもコンセプトに驚きますが、今回はルーベンスの「アダムとイヴ」をモチーフにしてありました。
ミントのジュレの中にオレンジのブランマンジェ、カモミールと蜂蜜のアイスクリーム、ライムとレモンのディスクを重ねてあります。
甘酸っぱい味わいの中に爽やかな風味を感じられ、ブランマンジェやアイスクリームの優しい甘さも組み合わさり、幸せになれるデザートでした。
◯Antoinette
薄生地の中にいちご、チョコレートガナッシュ、フランボワーズのエスプーマ、バラのエスプーマを重ねてあり、その上に帽子のつばに見立てたホワイトチョコが飾られています。
崩すことを勿体なく感じさせる造形美で、食感と味の複雑さ、いちごの酸味でまとまる味わいが絶品です。
どの一品一品も味、見た目共にインパクトがあり、4時間程の時間もあっという間に感じます。
様々な美味しいワインも頂け、近々また伺いたいですね。