2回
2025/08 訪問
料理、サービス、雰囲気のすべてが高い次元で調和
レフェルべソンスでのランチ体験は、以前からの期待を裏切らないものでした。平日のランチタイムにも関わらず店内は満席で、人気の高さを改めて実感。スタッフのおもてなしは非常に高いレベルで、最初の挨拶から最後の見送りまで、一貫して温かみと細やかな気配りが感じられました。特に印象的だったのは、二日酔いでアルコールを控えた私に対して、ティーペアリングを勧めてくれたこと。お酒が苦手な人や飲めない人でも楽しめる工夫がされており、料理とお茶のマリアージュという新しい体験を提供してくれました。
料理のスターターとして提供された「60種類の野菜のサラダ」は圧巻。さまざまな色・形・味わいの野菜が一皿に美しくまとめられ、それぞれの野菜が持つ個性を一口ごとに楽しめる構成でした。フレッシュさだけでなく、火入れやマリネ、ピューレ状など多彩な調理法で仕上げられており、野菜のポテンシャルをここまで引き出せるのかと感心しました。
看板料理である濃厚な蕪の一皿は、ボリューム感と滋味深さが見事に調和。口に入れた瞬間に広がる濃密な旨味は、ほっとするような安心感を与えてくれます。素材の良さを最大限に生かしながら、シンプルでありながら力強い味わいに仕上がっていました。
そして鮎のフリットは、今まで体験したことのない驚きの一品。カリッと香ばしい衣の中に、ほろ苦さと旨味が詰まった鮎の身が閉じ込められ、そこに合わせられたメロン風味の冷製スープが絶妙なコントラストを生み出していました。甘みと苦味、温度差が織りなす味覚のバランスが新鮮で、夏らしい爽やかさを演出していました。
今回は体調の都合でフルペアリングを楽しめませんでしたが、次回は万全の状態で、ワインとの組み合わせも堪能したいと思わせる体験でした。料理、サービス、雰囲気のすべてが高い次元で調和し、再訪を強く誘うレストランです。
2025/08/23 更新
今回で2度目の訪問となるレフェルベソンス。前回は体調の都合でワインペアリングが楽しめなかったため、今回は料理とワインの両方をしっかり味わいたいという思いで伺った。平日の昼間ということもあり、客層は8割以上がインバウンド。静かな緊張感と、国際的な空気が自然と混ざり合う独特の雰囲気だ。
序章から穏やかに始まり、最初に印象的なのはやはり“季節の野菜のサラダ”。一皿の中に無数のテクスチャーと香りが折り重なり、単に野菜の美味しさを引き出すだけでなく、食材の背景や季節性までも伝わってくるような構成。レフェルベソンスらしい「静かなインパクト」を感じる。
しかし、やはり最も印象に残るのは”蕪のステーキ”。通年サーブされる名物ながら、訪れる季節によって味わいの輪郭が変わるのが面白い。今回は、甘みの立ち方が前回よりも柔らかく、じんわりと広がる旨味の奥に、ほのかな土の香りとローストの香ばしさが共存していた。見た目はシンプルながら、実際に口に入れるとその奥深さに毎回驚かされる。
魚料理は、香ばしく炙られた皮目が特徴的な白身魚に、旨味の強いソースが添えられ、爽やかな青い香りのピュレがアクセントとして効いていた。皿の構成が美しいだけでなく、香り・食感・温度のバランスが丁寧で、シェフの繊細な感覚を感じる。
肉料理も見事だった。牛のステーキは火入れが非常に上品で、ナイフを入れた瞬間にしっとりとした質感が伝わり、食べると舌の上で柔らかく解ける。過度に主張しないソースが肉の旨味をしっかりと支え、付け合わせの野菜やピュレの苦味・香りが全体の骨格を整えている印象。クラシックな構成の中に、レフェルベソンスらしい“静かな洗練”がある。
締めのパスタと肉団子は、日本の食文化へのリスペクトが強く、コースの余韻を優しく整える存在。デザートの構成も軽く、最後まで疲れさせない。
今回はワインペアリングも楽しめたが、料理それぞれの香りの細部を拾うラインナップで、ペアリングとしての完成度が高い。前回楽しめなかった分、今回ようやくレフェルベソンスの世界観をフルで体験できたと感じた。
全体として、過度な演出に頼らず、料理そのものの美しさと物語性で魅せる稀有なレストラン。再訪するたびに、新しい解釈と味わいに出会える一軒だと思う。