『書評 香港ガイドブック2冊』kasuganomichiさんの日記

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kasuganomichi 嚐味隨想                           メインテーマは「京都の好きな店を再訪」

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今回の香港旅行は2泊3日と比較的短期だったこともあり、ある程度下調べをする意味でも、久しぶりに新しいガイドブックを購入してみました。

ララチッタ・香港・マカオ ‘16最新版 JTBパブリッシング 1000円
32頁に、致命的な誤りがあり、かなり呆れました。

土鍋ご飯の店として、「永合成餐廳餅店」上環蘇杭街113至115號地下 が紹介されています。あっと思いました。

このお店が移転し、名前も「永合成馳名煲仔飯 」と変えたのは香港好き、煲仔飯好きにとっては常識かつ非常に重要な情報です。(新住所 西環德輔道西360號地下)

香港の食サイトとして有名なOpenriceはもちろん、食べログ香港にも載っていること。ちなみに新しい店の新規登録は私、初投稿は尊敬するマイレビュアーさんです。

この記事は、「一品で満足のご飯系メニュー」と題し、土鍋ご飯はこの店1つをトップに、そして3品も紹介している、それはいいのですが、「この本に掲載した記事やデータは、2015年9-11月にかけての取材・調査に基づいたものです。」(3頁)というのがまっかなウソであること、さらには、Openriceはもちろん、食べログさえもチェックしていないことが判明しました。

まあ、このララチッタというシリーズのキャッチは「大人カワイイ女子旅案内」ですから、もともとあまり期待はしていませんでしたけれど。と思ったらコーディネーションの一人に例の札付き日本人香港ゴロ、辻村撤漏が加わっていました。やはりねえ。

さて、もう一冊は
まっぷる 香港マカオ ‘17  昭文社 1000円

ララチッタと価格は同じですが、こちらのほうが情報量は多く、またスマホ対応などもあるようです。また、先ほどの永合成の移転・改名はクリアしています。(24頁)

ただねえ、字体にやる気の無さが出ます。「欣図軒」「麦文記」などという表記を見ると、おっ、新店か?と思ってしまいます。「欣圖軒」「麥文記」が正しいし、現地の香港人に見せても理解してもらえない可能性があります。

あと、お店についてのコメントが何というか、陳腐か無駄。32頁、粤軒のシェフが「料理が大好き」という情報は、読者にとって何か意味があるのでしょうか。こんな記事を通したデスクの頭の中は茶碗蒸し状態なのでしょう。

ついでに食べログにも言いたいことがあります。何度言っても聞き入れてくれないのですが、香港(台湾も同じ)の中華料理店は、漢字表記をメインにしてください。香港のかなりの人が英語を解しません。とくにタクシードライバーは8割近くが広東語オンリー。英語名は混乱のもとにはなっても、助けにはなりません。

話しを戻しますと、この本それなりの情報量はありますが、目がちかちかしてまともに見られない。(ララチッタみたいに食べ物の写真にお星さまイラストを入れるのもどうかなと思いますが)

さて、結論。ガイドブックは、現地でネットがつながるのであれば不要かな。まあ地球の歩き方の最新版くらい持って行ってもいいですが。

昔から、香港ガイドブックの比較評価などをやっていて、これって実際に現地に行かないで同種のガイド数冊にある情報をばらして合体させて作ってるのでは?と疑いたくなるような悲惨なものも多かったです。旅行代理店、という概念と同様、旅行ガイドブック、というものも近い将来存在しなくなるかもしれません。


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