3回
2017/01 訪問
香港春節旅の掉尾を飾るにふさわしい晩餐
さて、春節香港最後の夜、インターコンチネンタルホテルでは午後4時までのレイトチェックアウトをしっかりと使い、さらにラウンジで過ごしたあとは、予約してのこちら。午後6時すぎに2名で入店。
こちらではコスプレ関羽さんはいませんが、利是が飛び交い、家族が集まる光景はやはりあちこちで、そしてにぎやかに。特にすぐ近くの大テーブル、おそらく12名くらいで3世代、文字通り世界中から集まったような感じです。中国人にとってファミリーとは企業的な意味を強く持つのだということを改めて印象づけてくれます。
何度となく来ているお店ですが、今回は少し豪勢に、しかし少量でというテーマでまいりましょう。ということで、結果的には3品だけに。
柚子醋香雜菌黑木耳 Assorted Mushrooms and Black Fungus with Yuzu Dressing with Yuzu Dressing キノコと黒木耳の柚子ドレッシング風味 $ 108
蠔皇原隻鮑魚(每隻) Braised Whole Fresh Abalone in Oyster Jus (Per Piece) あわびのオイスターソース姿煮 (1個) $ 280 ×2
燒雲腿拼片皮雞(半隻) Crispy Chicken served with Crispy Yunnan Ham and Prawn Crackers(Half)骨なしクリスピーチキンの中国ハムフライと海老煎餅添え (半羽) $ 310
まずは前菜としてのキノコサラダ。これ、参りました傑作です。中華でゆず、というので少し警戒していたのですが、とにかくうまい。さりげなく柚子の香り。こりこりした歯触りのキクラゲ。これはいいスタート。
次は連れが初めてだという鮑。まあこのお値段でしたら日本の吉浜産とかではなくて、おそらく南アフリカかオーストラリアでしょう。しかしねっとりした肉質、上等なオイスターソース、レタスに絡めても絶品です。ここで赤ワイン注文が決定。連れが選んだものはさすがに安くはないけど、実に深い味わいでアワビと合います。
そして、鶏。これも面白い一品。雲南ハムを揚げてあるのですね。それとクリスピーチキンを一緒に食べるわけです。独特の風味、そしてたまには去骨(骨なし)も食べやすいしいいものです。
これが最後の食事ですし、残したりしないよう、そして持ち帰りも難しいのでここで打ち止め。あとはサービスのデザートをつまみながらワインを堪能いたしました。
サービスも遺漏なく、気持ちの良い夜を過ごせました。全体として、シェフのセンスが光る素晴らしいディナーでございました。
Hong Kong Tatler Best Restaurants 2017 pp.82-83,263.
VISA 2017年5月号 特集『香港:先取り、新感覚飲茶』
「名シェフ、人気店が魅せるプレゼンテーション」22-23頁
InRed編集『欲張り女子の香港』宝島社 10頁
2017/12/29 更新
2014/12 訪問
久しぶりに欣圖軒でランチ
以前はときどき泊まっていたインターコンチネンタル香港、諸事情で今は旺角のランガムプレイスに定宿を移してしまった我々は、しばらく縁遠かったレストラン、欣圖軒を宿泊ホテルから2名でランチ予約しました。日曜日なので当然混んでいるが、1時半入店で窓際の席に案内されました。(気のせいか、ホテルレストランの予約は違うホテルでもコンシェルジュから予約を入れてもらったほうがいい結果となる傾向があります。ホテル同士のprofessional courtesyがあるのでしょう)
まず普洱茶。中国茶はよくわかりませんが、街場のレストランによくあるすぐ真っ黒になるやつではないことは確か。
点心は蟹皇蒸焼賣(豚肉蟹みそ入りしゅうまい)1品のみ。これは普通においしい。香焼軟骨鴿(小鳩のロースト1羽)。鴿は好物でしかも安いのでよく注文するのですが、これは最上級の仕上がりと申してよろしいでしょう。骨は多いが食べやすく切り分けられ、またフィンガーボウルも登場。鮮菌竹笙炒白露筍(ホワイトアスパラ・衣笠茸・きのこの炒めもの)はあっさりしたベジタリアン皿ですが、気品を感じる味わい。椒鹽田鷄腿(蛙の足塩コショウ炒め)筋肉質の高い鶏、という印象のカエルも広東料理が得意とする食材です。味付けがすこぶる良いのにただ感心。最後に楊枝甘露1個。予想通り、この店独特の、大仰な器とドライアイスもくもくのオーバープレゼンテーションに苦笑。味は焼賣同様、普通に美味しい。
トータル、税サ若干のチップで800HK$以下、は文句のつけようがないところでしょう。ニューイヤーイブに一人あたり最低消費(飲み物除外)1500HK$のディナーで注文に四苦八苦したのが思い出されます(野菜炒めみたいなの頼むとボーイに怒られる)が、低めのオーダーでも十分楽しめました。ここの調理技術の高さを確認いたしました。
ごちそうさまでした。
『家庭画報 2016年12月号』世界文化社「香港:エレガントな美食の新潮流」 106-107,114-115頁
CXの香港ガイド(内容充実!)にも載っています。
http://www.cathaypacific.co.jp/hongkong/food/detail/id/908/
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2011年12月、少し古いです。
欣圖軒で北京ダックの祝宴
グループ6名の中に新婚カップルがいたもので、お祝いの席を欣圖軒 Yan Toh Heen で、という企画に。最年長の男性の方が料理をお支払い下さり、私と連れがシャンパンを含む飲み物代を持つ、そしてメニューのコーディネートの栄誉は私、ということに相成りました。これは張り切らざるをえない状況であります。まずはレストランに連絡、北京ダックを予約します(24時間前までに)。だいたい1000HKSくらい。これは2コース、つまり、ミンチにしたアヒルの肉を野菜と炒め、レタスで包んで食べるという「おまけ」つき。
ほかに2品、鴿卵燉湯 ハトの卵と野菜の澄ましスープ
花膠燉竹笙醸官燕 燕の巣、魚の浮き袋、衣笠茸の煮込み
あとはデザート、楊枝甘露と芒果布甸。
スープはこちらの上湯の質の高さを実感できる、すばらしい味わい。
燕の巣は他人の財布でなければまず私は頼まない代物。おいしゅうございました。
レタス包みは、まあ想像の範囲内。
やはり特筆すべきは、北京塡鴨。特徴として、①透き通らんばかりに皮だけを薄く削いだダック②それに負けずに薄くてサイズも小さい皮。
6名であっという間にいただけちゃいました。
で、ハプニング発生。私はだいぶ酔っていたので、正確な原因は不明ですが、クーラーからボーイさんがシャンパン取り出して注ごうとした時に床に落としてしまったようです。マネージャーがすっ飛んできて陳謝、そして、かなり空きかけだったにもかかわらず、同じシャンパンの新品を下さるとのこと。
私こういうシチュエーションでどうしたらいいのか、よくわからないまま、「落としたボーイさんがかぶるのだったら要らない」と申し上げたら、心配ないとのことだったのでご厚意に甘えることにしました。
デザートでは、マンゴプリンが意外においしかった。小さな木製の棚のようなものに盛られたプチフールはともかく、巨大なクラッシュアイスの山に果物を突っ込んだやつもお店のサービスで出てきてしまいました。
とにかく、私の香港経験の中でも最も贅沢な夕餉の一つでした。心から楽しむことができました。
一人当たり価格は我々が把握していた飲み物代プラス食事代の推測に基づいて、この回は一人一万円強といたします。
これだけ各種ソースが並ぶと、どれがどうだかよくわかりませんが、どれもおいしい。
蟹皇蒸焼賣と鮮菌竹笙炒白露筍
香焼軟骨鴿。絶品。レモン汁と塩コショウどちらでも。
椒鹽田鷄腿
楊枝甘露。ポメロとタピオカがよい舌触り。
この写真ではよくわかりませんが、景色はなかなか。
ここから’11年の写真。ここが麗晶軒だったころからの翡翠のディスプレイ
鴿卵燉湯
花膠燉竹笙醸官燕
北京塡鴨登場。つややかな皮の表面の照り具合だけで美味しいとわかります。
丁寧に削いで供されます。ちなみに奥のシャンペンが後で空を飛ぶことに・・・
ちょっと引く残骸。ただこれからミンチになって再登場します。
超薄型のダックの皮と小ぶりで薄いパンケーキ
巨大なサービスのデザート
楊枝甘露 芒果布甸
2017/09/22 更新
4.7[ 料理・味4.8 | サービス4.2 | 雰囲気4.5 | CP4.2 | 酒・ドリンク- ]が私の評価です。
こと香港の中華に関するかぎり、あの悪魔のガイドブックの☆はまったくもって信用しておりません。
くわしくはこちら。
場所が変更になったという噂でしたが、エントランスが変わっただけ。かつては宴会場の方向から半地下に進んだのですが、今はブッフェレストラン”Harbourside”の方向から半地下に進みます。
ただ、その間の光景はすごい。すみません、ちょっと気合い入りすぎの印象。(写真をご覧ください)
ホテルのフロントを通しての予約だけに、外の景色も周りのテーブルの観察もできる最上の席。
課題は、一人1万円を超えないこと。
クルミのあめだき
アミューズ 茄子のコンポート
どちらも安定したうまさでこれからの晩餐の期待を上げてくれます。
柚子醋香雜菌黑木耳 108
キノコと黒キクラゲの柚子ドレッシング
同時に登場するのが、6種のソース。これは遊び甲斐がありますなあ。
さっぱり和風のドレッシングですが、ちゃんと中華になっているのがおもしろい。
ここで、いつものダブルスープシェア作戦。今回の選択は
無花果海參燉羊肚菌 200
なまこの柔らか煮とイチジク、キノコ
こういう取り合わせを自然にさりげなくするんだ。かなわんなあこれ。美味しすぎますわ。
鮑魚絲韮皇瑤柱羹 200
スライスあわびのスープ 干し貝柱とニラネギ入り
アワビの強烈な旨味がかくもおだやかに提示されて、黄韮の使い方がうまいですね。
香燒軟骨鴿 138
小鳩のロースト
貧乏なkasuganomichi家の頼みの綱、ハトちゃんです。とにかくお安い。で、香港中のハトローストの中でも断然高い。頭蓋骨は私の担当なんですが、この料理で初めて完全に食べちゃった。どこか残るはずなのに。脳味噌だけでなく、頭も、くちばしも。すごい焼きの技術に感服。まあ、食べる方も食べる方かもしれませんけど。
脆皮龍崗雞 290
広東風ローストチキン
定番ですみません。でもこれ今回まだ食べてなかったし、ついオーダーしちゃいます。でも本当にうまい。パリッとした皮、しっとりした白い肉。レモンでも胡椒でも塩でも各種ソースでも。うまい。うまい。ああああ。(落ち着け)
風沙鹿兒島黑豚茄子 290
鹿児島産豚肉と茄子のニンニク炒め
初めていただく料理がこれまた出色のできばえ。豚肉やわらかく、茄子はさらにふんわりと。両方一緒に口に入れると、そこはもう別天地の気分。
実は空港でもどこかレストラン行くつもりだった(結局ラウンジだけ)のでこれでおしまい。最後のプチフルはサービス、連れが食べるので包んでもらいました。季節がら月餅なんかもあって、おいしかったそうです。
上記お値段に1割のサービス料、そこからホテルでもらった135元クーポンを引いて1213.6。一人9100円と課題はクリア。
なおチップは、クーポン利用の際に少しトラブルがあって、なし(こちらが怒って、ではなくお店がチップを受け取らなかった。)
驚きのある安定。王道中の王道。麗晶軒に店名が変わってもこのままでいてほしい。タイヤ屋の骸骨による☆の上げ下げなんかくそくらえです。
ELLE gourmet 2019年3月号 講談社 124頁