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お店外観
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カツ丼(豚汁、お新香、冷奴付き)1100円税込
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カツは立派なポーション。
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七味を少し掛ける。
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カツ断面。肉がとても柔らかく、脂身もしっとり。カツ丼なのに衣もしっかりと豚肉にはり着いている。
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カツ、アップ。
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具だくさんな豚汁
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漬物と冷奴。漬物は糠の浅漬け、豆腐も旨い。丁寧に切られ、冷たくスッキリした味がカツ丼のとても良い箸休めになる。全く隙が無い。
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卓上。今どき珍しくちゃんとしたおしぼりが付いてくる。左から爪楊枝、ミルで挽く岩塩、七味、醤油、辛子、ソース。
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楊枝は1本づつ個包装
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メニュー
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店外に掲げられたメニューボード
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年季の入った天然木の看板
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お店入口
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いきなりこんな事を書くのも何だが、バカ舌を正直に告白すると、出前のかつ丼が好きだ。
(もうすっかり出前を頼まなくなったので好きだったと言うべきか)
適度に熱さが落ち着いてカツと玉子が蒸され、出汁と馴染んだかつ丼を、熱さを気にせずバクバクかき込めるのもかつ丼の美味しさだと思っている。
出前だと大抵のかつ丼は美味しく食べられる。
逆にそれほどでもないかつ丼をお店で出来立て熱々、上顎をやけどしながらハヒハヒ言って食べていると、自分は一体何をしているのか分からなくなって来る。
そこで外でかつ丼を食べる時は、掻き込む醍醐味以上の満足感のある、美味しそうなかつ丼のお店を探して行くようにしている。
自分で勝手に「東京かつ丼選手権」と題して。
(別に東京でなくても良いのだが語呂が良いので)
かつ丼は色々なジャンルの料理店で出している。
蕎麦屋のかつ丼、中華料理店のかつ丼、とんかつ屋のかつ丼、街レストラン、定食屋でも。
蕎麦屋のかつ丼で出色のものにはまだ出会っていない。横浜で一番有名な蕎麦屋「角平」さんのかつ丼も、肉の分厚い凄まじいのが出て来るが、かつ丼として本当に素晴らしいかと言うと、どうか?現在は2150円と値段もなかなか。
蕎麦屋さんはカエシという、醤油・味醂・砂糖を煮返してから一週間ほど寝かせて丸みを出した、割下を作る際の強力な武器があるが、カツが弱い。
角平はお店でカツを揚げているが、殆どの蕎麦屋さんは仕入れに頼っている。(一部お店で揚げ置きしているところもある)
角平にしても豚肉の筋切りや脂身の成形はお粗末。
肉の扱いに関しては疑問が残る。
蕎麦屋さんの場合、メインの揚げ物は天ぷらの為、適した油の違うトンカツを揚げると油代もかさみ、作業効率も悪くなるのだろう。
メニューにかつ丼もカレーライスもあるが、カツカレーの無いお店はまず、カツを仕入れていると見て良いと思う。(カツカレーはかつ丼のように煮て再加熱出来ないので)
かつ丼で最も大事なカツが弱いのだから、味付が良くてもなかなか出色のかつ丼を求めるのは難しい。
中華のお店は大抵自店でカツを揚げており、ボリュームがある上、玉子の扱いも上手かったりして、たまにおっ、というかつ丼に出会う。伝説の名店、西荻窪の坂本屋さんに、遂に伺う事なく閉店されてしまったのが心残りだ。
そして本命はとんかつ専門店のかつ丼。まずカツが旨いし、それがラードで揚げられたカツだとかつ丼にした時の香りがとても良い。
今まで食べた中で心に残ったのは、銀座の「とん喜」さん。初めて食べた時「うわ〜、これがとんかつ屋さんのかつ丼かぁ」と感激した。
私が食べログの口コミ投稿を初めた、2021年の11月の事。(その口コミに頂いたイイネは1つだけ。今も投稿を続けられている女性のレビュアーさんからだった)
とんかつ屋のかつ丼と言えば、それ以前にもかつてのとんかつ最高峰、先代の創業店主の松井孝仁氏が揚げていた頃の神田「やまいち」でも食べた事があるが、感動するほどではなく『特ロース定食にしておけば良かった』と後悔したほど。もちろん素晴らしアタマの乗ったすごく美味しいかつ丼だったが、何と言うか「見た通りの味」という感じで、うわぁ〜っとウットリするような感動は無かった。
(ただ、こちらやまいちさんのトンカツ、特ロースは衝撃的で、脂身がしっとり柔らかでなく、むしろキシッとしているくらいなのに脂身をあまり好まない私が虜になるほどの旨さ、惚れ惚れするような男前のトンカツだった。私は高田馬場時代の成蔵や大阪のマンジェでも、当時のやまいちの特ロースにはとても敵わないと思っている。店主がご病気で亡くなって、奥様がお店を復活させてから一度行ったが、それ以来行っていない。残されたご家族も頑張って良いとんかつ屋さんだと思うが、天才的だった先代との埋めようのない差を感じて、先代の事を思い出し、涙が出てくるからだ)
昔、先輩が言っていた「かつ丼って不思議で、カツが立派で良いトンカツだからって美味しい訳でも無いんだよなぁ」という言葉を思い出す。
後で知ったのだが、「とん喜」のかつ丼は平田牧場三元豚、揚げ油はラード100%、パン粉は武蔵小山の中屋パン粉工場に特注したものを使用。燕楽さんの三原則と非常に近い。
残念な事に今年2024年12月30日で閉店となり、47年の歴史に幕を閉じられた。
いつもながら前置きが長くなってしまったが、
この12月の初め頃、久し振りに美味しいかつ丼がどうしても食べたくなり、以前から気になっていた池上と千鳥町のとんかつ燕楽さんに、日にちを別にして2軒ともお邪魔することにした。
両方とも口コミの評判がとても良く、どちらから先に伺うか迷ったが、初訪問予定の日の現地到着時間が遅めになってしまうこともあり、先ずはランチタイムが30分長い池上の燕楽さんへ。
ところが池上の燕楽さんは13時30分にしてカツ丼がまさかの売切れ。
そこから約800m離れた千鳥町の燕楽さんへ、14時00分のラストオーダーに間に合うように小走りを交えた早歩きで、本当の汗と冷や汗を同時にかきながら急いだ。
明けて67歳にもなるのに、しょっちゅうこういう小学生のような展開になってしまう。
しかし先日お邪魔した「はじめ鮮魚店」の時もそうだったが「小走りは三文の得」なのだ。
13時49分にお店に到着して、お店の扉を開けると
広々と落ち着いた店内。
ゆったりした席間隔のカウンター3席と大きめのテーブル席1卓、小上がりにテーブルが2卓。
先代ご夫婦と2代目のご夫婦と思われる4人のお店の方が、穏やかに感じ良く迎えてくれた。
ピークタイムはとうに過ぎており、先客はカウンターに1人とテーブル席に1組。
「かつ丼をお願いします」
注文してかつ丼の到着を待つ。
カウンターの向かいに広がる厨房は本当にきれい。
調理台も換気口もステンレスがピッカピカ。
「新しい店を誇るより、古くても磨き抜かれた店を誇れ」という店舗の格言を地で行ってるお店だ。
卓上にはソース、辛子、醤油の他、個包装の爪楊枝、岩塩の入ったミル。
今時珍しくオシボリも出してくれる。
先代と思しき方がキャベツやお新香を切り(多分豚汁の野菜も)、2代目と思しき方は揚げに専念している感じ。
先代の目立たないが無駄のない正確な手元を、見て見ぬふりをしながら期待が高まる。
2代目は、この後割り下で煮るカツを逆算して早めに油から引き上げ、少し休ませているような…。
◆かつ丼 1100円税込(豚汁、お新香、冷奴付)
かつ丼のアタマははふっくらと厚みがあり、堂々とした大きさのロースカツ。燕楽らしい、ひと混ぜしかしていない玉子がトロンと乗っているメインのかつ丼。
非常に綺麗な切り口の糠の浅漬けとオカカもしっかり掛かった冷奴、大根や人参まで美しく切られた具沢山な豚汁。
それぞれの品に一切の手抜かりなく、全く隙のないラインナップ。
これだけの景色の御膳が旨くない訳が無い。
かつ丼の端のカツとご飯を一口。
「うわぁ、旨〜い!」
良いラードであげられたカツと、割り下と、玉子と、ご飯の素晴らしい香りのハーモニーが鼻を抜けていく。火通りも完璧で、カツの肉はとても柔らかく、脂身までしっとりしている。
もちろん肉自体も品のある旨みが感じられる。
銀座のとん喜さんで気付かされた、とんかつ屋さんのかつ丼の美味しさの頂点を感じた。
私にとって間違いなく、これまで沢山食べて来たかつ丼の中で、今食べているかつ丼が1番。
人生最高のかつ丼に出会ってしまった。
気持ちかために炊かれたご飯もかつ丼によく合い、
キリッと冷えた浅漬けのお新香、冷奴は熱々のかつ丼の最高の箸休め。豚汁も濃過ぎず薄過ぎず、かつ丼との調和が取れている。
これで1100円ってすごい。
お店の方は終始穏やか。
私の後からいらした常連さんと思しきお客さんとも、とても穏やかに言葉を交わしている。
お店の雰囲気も最高だ。
中目黒から千鳥町に移られた当時の口コミ(食べログ以外の口コミも含む)を見ると、千鳥町より池上を上に評価するものが多かった。
2代目がどういう修行をされたのかは不明だが、日々研鑽され、二世代で素晴らしいお店に磨き上げられたと思う。
こちらのお店がある限り、美味しいかつ丼が食べたくなったらこちらに伺えば良いという安心感すら覚える。
ご馳走様でした。