仕事とはいえ・・・。契約の延長に判を捺した瞬間から・・・何なんだろう? マジで。
北風と太陽 とか言ったところで、立場によって そんなものは変わるだろう?
「好き♡」 と愛を叫ばれても、受け手によって、北風にも太陽にもなるだろう?
そんなことも分からないのか・・・。
マジで、バカだネ♡・・・。
ホテルのベットはフカフカで、キングサイズ。
天井からはつるし飾りに間接照明・・・。
ホームキッチン設備に、バーカウンター。
同階には、常時、スタッフが居てくれる・・・。
さっきまでの砂埃とラクダの尿の匂いは・・・夢だったのか?
ジャグジーでシャンパンを飲みながら・・・とにかく明日のために、まとめ・・・て、みる。
・・・。中東・・・イラクは、パズルで出来ている国だ。
外務がまとめるネット情報だと、
人種的にアラブ人が多く80%、クルド人が15%、その他が5%。
宗教が、イスラム教シーア派が60%、スンニ派が30%、その他諸々と。
もともと、イラクと言う国があったわけではない。
第一次世界大戦までは、広大なオスマントルコの一部だった。
勝手な戦争の戦勝国のイギリス、フランスが、世界地図の上で、定規でシャーと線を引き分割してしまった。
中東、アフリカ・・・地図の上で、国境が直線になっている国は、全部、そう言う分け方をされた。
そこに住んでいた人々の生活も、習慣も風習も、それに付随する環境の変化や地域性も全部無視された。
だから・・・当然の様に、その地域に住む人達の「帰属意識」の中に、「国」と言うくくりは薄い。
薄いと言うか、学ぶと言う環境がある基準で整っていない地域には、「国」と言う概念を持つ人は基本的には居ない。
そうなると、人々が持つ帰属的な一体感は、血族、家族、そして宗教となり宗派意識となる。
「シーア派」か「スンニ派」か。
また、国ではなく、民族的な意識が重要になる。
「アラブ」か「クルド」か。
それまでは、各自のくくりで、住み分けていた世界が、ある日突然、「国」と言う線引きの枠の中での同居が始まってしまった。
勝手に、枠の中で始まった社会は、当然、ルールの統一性を話す場も無く、ただただ互いが主張を繰り返し、宗教と民族としての譲れない根源のために、殺し合いを始めてしまう。歴史的には、長い年月をかけて、その対立はどちらかが駆逐され同化、消滅するまで続く。100年だろうが、1000年だろうが・・・。何年でも、どちらかが主張しなくなるまで・・・。
サダム・フセインは、そんな社会を建前だとしても、「国」としてまとあげた。
その、方法が許すべきことが出来ない恐怖政治であったが・・・今、起きている現状よりは、テロは無く人も死んでいない社会であった。
公共の場、街の憩いのレストラン、子供の誘拐、意味の無い略奪、銃撃・・・。
フセインの居たイラクは、今よりも血は流れてはいなかった。
スカル&ボーンズの議長も務めた パパ・ブッシュは、
北風と太陽 の使い方と どの立場でモノを見るか をまだ理解していた。
・・・。
世論の予測通り、1990.8にフセインのイラクは、クェートに侵攻し、そして占領する。
それに合わせて、1991.1.17未明に、ほぼアメリカが主の名目多国籍軍が空爆攻撃を開始し、湾岸戦争が始まる。
同年、2.24に空爆後の平地に、満を持してサウジアラビアに集結していた50万人のアメリカ兵がクェートになだれ込む。
二日後、2.26には、イラク兵は駆逐され、クェートは解放される。同時にイラク国境にアメリカ兵は一時待機する。
メディアは、アメリカの破竹の進撃を大々的に伝え、総司令官のシュワルツコフは、独占取材の中で
「このままバグダッドに侵攻し、フセインの体制を踏み潰すことを大統領に進言している最中だ」
と、言い放った。
しかし、パパ・ブッシュは、頑として首を縦にはふらず、2.28に戦闘停止命令を下す。
その後、長い交渉の末に、4.6にイラクが停戦協定を受け入れたため、アメリカ並びに多国籍軍は攻め込むことは出来なくなった。
・・・。
パパ・ブッシュは、国境で進軍を止め、イラクの混乱を避けた。
重石を完全に取り去った後に起こる、長い長い血の混沌を理解していたから。
独裁や支配の変革は、そこに住む当人でしか解決出来ないことを歴史の中から学んでいたから。
人間の環境の変化は、一時的に起こったようにみえようが、起こってしまった解決には長い時間がかかるのを知っていたから。
そのための環境づくりであり、人づくりであり、教育であるから・・・。
パパ・ブッシュは、それらを深く理解し、お金や名声に揺らぐことない信念を持ったベーカー国務長官やパウエル統合参謀本部議長など身を呈して進言できる、本物の大人が脇を固め、またそれらの進言を慎重に精査する胆力も持っていた。
・・・。
しかし、その後、2003にイラク戦争を息子・ブッシュは、それありきの感覚で始めてしまう。
ドイツ、フランスなどは、国際社会の意味をハッキリと意見し、開戦を強固に反対し、国務長官になっていたパウエルも粘り強く息子・ブッシュに慎重な決断を進言したが、
チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官など、火事場のどさくさ紛れの目先のお金に目がくらんだ者達の傀儡となり、息子・ブッシュは、パパ・ブッシュを越えるタイミングを自ら失ってしまった。
・・・。
結果的に、アメリカは戦争に勝った気取りだけで、何の手出しも出来ない状態を自ら作り出してしまった。
スンニ派とシーア派はテロのにつぐテロの応酬で、なんの罪もないない人達の命と生活を奪い、クルド人は曖昧な意見で自分達の統治を始めてしまった。
・・・。
息子・ブッシュは何も分かっていなかった・・・では、本来なら済まされない。
国としてのイラクに何が必要だったかをちゃんと表明しないとイケない。
03.5には、シーア派指導者が独自のイスラム国家の樹立を主張しだした。
しかし、イラク国内の治安生活に何の変化も無く、宗教対立は相変わらずで、略奪強盗、爆弾テロは報道にも流れなくなった。14.6にはイスラム国に占領され、17.4にはイラク軍がモスルを奪還と宣言したが、今も平安が戻ったかのかは・・・。
・・・。
トランプは、カードを切るが、回収をまだ試みない。
配りっぱなしのカード・・・相手は意外と手強い役が揃っているかもしれない。
・・・。・・・。・・・。
花の中の花の 隣 の切実なる人達と話す前、coordinatorさんとブギーマンの3人でソムリエさんに会いに行く。
車の中でブギーマンは「狩りに行く気分だ・・・」とつぶやいた。
私は「狩られる気持ち・・・」・・・だった。
通された部屋で、
久しぶりに会ったソムリエさんは、私の顔に一瞬驚いた表情をした後に、しばしうなずき、微笑んでくれた。
ブギーマンに意識を戻した後は、ソムリエさんは仕事を粛々と進め出した。
「あなた方が、ドイツ産に多大な安心感をお持ちになっているのは私も存じておりますが・・・。今回は、オーストリア産を嗜む方々の中に入りるとお聞きしましたので・・・。それでしたら、G34と・・・女性にならG26でしょうか・・・」
セラミック基複合材と炭化ケイ素を重ねて作った裏生地の入ったスーツの襟が、今更ながらにゴワゴワする。
「・・・特殊形状のグリップ。容易に弾倉を交換できるマグゥエル・・・銃口も少しだけ放熱カスタマイズしてあります」
真剣に説明を聞き、ガチャガチャとイジリ倒すブギーマン・・・。
私とcoordinatorさんは、その説明台から少し離れたとこで壁に掛けてあったTTIのカスタムAR、TR-1を見ていた。定番ARでもゴツくてヤバいのに、オプティクスはレシーバートップにTrijiconの1-6x24 Accupointスコープと、同じくTrijiconのRMRをアングルマウントしてあった・・・。ちなみにストックはBCMのGUNFIGHTERストック。激ヤバだ~♡
ブギーマンはソムリエさんの説明に納得したようで、イロイロ追加注文をしながら、コチラを向いて、
「少しは触って置いたらどうですかね? ガードが全員居なくなって、ポツンと置き去りになっても・・・。最後は結局、自分の身は自分で守らないと・・・私が言うのもナンですが・・・ねぇ。銃の一つもイジレないとか・・・じゃ・・・」
「いやいや・・・そちら様は、よろしいんですヨ」
ブギーマンの注文を階下に電話していたソムリエさんが、慌てて会話に入ってくる。
ちょっと変な空気が・・・しばらく流れる・・・。
・・・。
注文に間違いがないかブギーマンに最終確認をしたソムリエさんが、あらためて私を向いて、
「KimberのSolo CDP。 アンビのセフティとマグキャッチ。 グリップはCrimson Trace社のレーザーに交換済みです。それと延長の弾倉は12発に。予備はいつもの6つ・・・」
『・・・ありがとう♡』
この部屋に入って・・・初めて口を開いた。
・・・。・・・。・・・。