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パコ崎ミャ子は、どうすればイイ?
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パコ崎ミャ子 (東京都) 認証済
この口コミは、パコ崎ミャ子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.7
2015/06 訪問
鏡よ鏡よ鏡さん。私の・・・。あれ、目尻のシワ・・・。
親友が飼い犬のようにまとわりつく、その先生は独身。もうすぐ4〇歳になるはず。全く見えない。若い。その昔、親友は仕事で知り合ったと言っていたが、今となっては、始まりが何だったのかはどうでもよくて。そんな緊張感はなく、師匠と弟子?。もしくは、父と娘。愛人関係・・・どれにも見えないなー。なぜなら、その先生は、やんちゃ坊主が大人になったというより、そのまんま、やんちゃ坊主だから。先生を見ていると、神様が愛するとするならば、こういう人を愛するのだろうと思える。やんちゃな行動とは裏腹に、裏表なく、誰にでもフラットに接する。博識高く、本物の博士でもある不思議な人だ。しかも医療系の中心にいる仕事。親友が、男女の関係なく好きになるのも見ていて分かる。尊敬に裏打ちされた関係だ。仕事が死ぬほど忙しい先生だが、たまーに、「飯でも食おーぜ」と二人を呼んでくれる。私の知り合い中でも、かなり特殊な人だ。約束の時間に、喜び勇んで駆けつけると、ひと足もふた足も早く親友と先生は、盛り上がっていた。「失礼しまーす」と入っていくと、「早かったね。遅くても全然大丈夫だったのに。ウソ、ウソ」フォローをすぐ入れ冗談にする親友。いつもの親友からは感じない、微妙な違いを感じ取る。「忙しいのに、わりーな。付き合わせちまって」助かったという感じを先生からは、ハッキリ感じ取る。ヤレヤレ。すっきり綺麗に洗われたジョッキで、きっちり泡でフタがされた、冷え冷え生ビールを飲ませてくれ、しかも気持ちよく接してくれ、顔まで覚えてくれる。なぜにミシュランは、星を一杯くれないのだろう?で、お馴染み、そう、焼肉を焼肉として、本気で食べるなら、ここ、叙々苑 游玄亭 西麻布本館 様「叙々苑サラダ」生ビールで乾杯し、胡麻のキラメキとキュウリの瑞々しさが目に眩しい。 整った繊維質が、噛み締める歯に、清涼感をもたらし、ビールの喉越しを増幅させる。ゴキュゴキュと、嬉しさでいつもより広がった食道に、気管もつられ、慌てて真似をする。通りが良くなった通路をストレスなく、ゆっくりポップの香りが通り抜ける。・・・。「ミャ子、誕生日おめでと、な」ぉおっ、先生。覚えていてくれたんだ。Thank you.・・・。「カクテキ」刺激的で、ピンクの下地に三回塗りのフェラーリレッドのような色彩。トロっとした質感が、いつもの大根にからんでいるとは到底思えない。いつもの大根ではないと思うが。シャクっと咬む歯の行動に、喜びを感じる。甘さの後の辛味が、大根の水分で抑揚になる。箸が止まらなくなる。ビールもポールポジションを死守しながら、レースを作っていく。・・・。「先生は、結婚しないの?」ストレートな親友の質問。いつものアイコンタクトは無い。場の雰囲気無視の捨て身の攻撃。まだ、肉食ってねーのに。それだけ、この勝負にかける意気込みが、珍しく空回りしている・・・親友。・・・。「つぶ貝 」白い肌が、適度に潤い、焼いてしまうのがなんだか少し可哀想だな。なんてなことを微塵も思わず、焼き上げられちゃった。うんめー。酒進むわ。マジで。アワビなんかよりずっーと柔らかく、にゅ~コリと美味しい歯応え。淡白な味わいと思いきや、いやいや甘いですよ。これ。塩分のバランスにより、貝のもつ海の実力を垣間見る感じ。です。・・・。「俺の仕事は、親の死に目に会うことが出来ないもの。他人様の死に目に寄り添うもの。その覚悟がなくちゃ、やっちゃいけねーんだ。家族を持つと揺らぐんだよ。俺みたいなのは」・・・。カッコ・・・。・・・。私らみたいなモンにも、心意気みたいなものは伝わりますが・・・。ジャージに坊主頭に、「暑っつ」といって額に載せたメガネ。そのまま食べ進めるの? 元に戻さないのメガネ?おまけに片膝、箸はメンドクセーからと、フォークで食べている姿では、・・・言わない方がいいと思います。酔ってます?・・・それってギャグ?・・・。「ネギタン塩」表面をカリッと焼き、真ん中がプクッと少し膨らんでいる。厚みのラインをしっかり読み、静かにライディング。落ち着いてレモン汁と共に口に入れる。ネギのシャキシャキ感と、サクッと噛み切れる肉質の食感に歓喜する。レモンの酸味が、角なしで丸く丸くまとめる。何枚でも食べられる。塩気が肉の美味しさを最大限に引き出す。ギュっギュつと噛み切り、その存在を楽しむと、焼肉の世界に足を踏み入れた実感がする。幸せだ。・・・。「先生聞いて、ミャ子はね、○○さんのこと昔から、好いて、おますのヨ」「ワーっ、何言い出すの。バカ。ビッチ早すぎ!」食べ物の好き嫌いから、親友が酔っ払って変なこと言い出した。まだ、タン塩だぞ。タン塩。・・・。「壷漬ハラミ」今やメジャー過ぎて、独立リーグからの叩き上げとは誰も思わない。シャックリを生み出す意外と技巧派な一面をタレに漬け込まれ、全面へとまとっている。焼いて、立ち上る匂いも深く色立ち、こちらの意識を自信の表れか、美味しさの確信へと勝手に変えていく。タレにたっぷり付け食べる。柔らかい中にも、筋肉の繊維が心地よく感じられ、噛めば噛むほど美味みの泉が湧き上がる。美味みのポテンシャルは間違いない。早くも、放送席を呼ばれ、ヒーローインタビューの準備が始まってしまう。 ・・・。「○○って、○○か?」先生も何度か一緒に飲んでいる。「いいとこ突いてくるな~。ミャ子いいぞ~」先生に褒められると、ただただ嬉しい。・・・。「上ロース」光を緋色に反射する。正に、ローストする為に生まれた赤身肉。絹の用な滑らかな肉質は、赤身と油のバランスがとてもいい。適度な噛みごたえが、肉の旨味をブッシュと口腔内に撒き散らす。頬のガードで跳ねっ返り、舌の上に集まると、肉汁の甘味、油の甘味、ハイブリッドな美味みの変化に更なる食欲が湧き出る。・・・。「○○さんはね~何かつれないのよね~」うわっ。こっち見んなよ。変なパスだすなー「何、○○はシカトしてんのか!」先生っ、何か、声のトーンが、やんちゃする時の感じに変わっている。・・・。「上カルビ」やっぱり王道。箸で持つとロースとは違い、しっかりズッシリ感がある。それはサシの比重。甘さの比重。焼いた時、どのくらい甘さを残せるのかが勝負の分かれ道。当然、気合が入る。熱々を一口で頬張り、奥歯でズギュウゥゥンと噛みこめば、きめ細かい至福の甘い油の宝庫。タレの濃厚さが更に満足感をググッと押し上げる。ドンドンドーンと。ご飯が美味しいです。この組み合わせに異論はないでしょう。・・・。ご飯を食べない先生と、親友はビールが焼酎になり、日本酒へと進む。「ちょっと飲みすぎだよ」親友に水を向けても、関係ありませんと、ガッパガッパ。 往年のシューマッハのような安定感で飲んでいく。復活を心から祈る。・・・。「上レバー」いろいろな環境の変化で、苦難の時期を通って来ている苦労人。いたわるように焼き進める。ボソボソにならないように気おつけて。ある程度中まで火が通ったなーと申告があるまで待っていると、電車は行ってしまう。だから、ちょっと強引に、こっちから乗り込まないといけない。自己責任のうえで。甘味を感じるいろんなギリギリのところで食べれば、ごま油と塩で食べれた記憶を呼び戻す。あっーぁ。美味い。臭みのないレバーって濃厚の濃だけ食べてる感じがたまらない。これで貧血知らずだ。多分。・・・。「ミャ子、○○と連絡はどうしてるの?」先生がまた話をレールの上に戻す。「私なんかイイんですよ。それよりも親友が・・・」ニコニコ笑って、目がトロトロ気持ちよさげな親友が、突然、「何か休憩。ちょっとゴメン」テーブルに突っ伏してしまう親友。その内、クぅーと、可愛い寝息。「あれ・・・マジで寝てる?」「テンションかなり変だったし、疲れてんだろ、寝せとけ」先生が暖かい目をしながら言う。・・・。「上ミノ」ゆっくり、じっくり、ふんわり、焼き上げた食感は、まるで貝を食べてるみたいだ。ネイチャー様の説は、たまに正しいなーと感じつつ、歯切れがいいと言うけど、本当にこういうことナンダローと実感。包丁の入りがいいのか、鮮度なのか、ここのレベルはマジ高いっす。何か、たまにねタイヤ食ってるみたいのが、あるけどね。あっでも、結構そういうのも反芻する牛の気持ちで顎を動かしたりして、好きだったりして。ホントかよ。塩でも味噌でも美味い。ほのかな甘味が美味いな~。・・・。「ねぇ。先生っ、親友とはどうなってるの?」「どうもなってねーよ。楽しく飯食ってるよ」「えっー、それだけ?」本当に、先生はそうなんだろう。いろんな大事にする関係がある・・・。突き進むだけが愛ではないのかも・・・。立場とか、環境とか、好きだけで解決しないものも、あるのかも・・・、「なぁ、なぁ、それよりも○○だろ」「・・・。いや。別に。いいですよ・・・」「お前は、本当にいい女だぞ。顔もスタイルも内面も。道行く男の10人中、23人が振り向くよ」「何それ、数合ってないですよ!」「丁度その時、少年サッカーの試合帰りのバスが、通りかかったんだよ。ドライバーと監督も振り向いたから、プラス13人」「・・・。何それ。ハハッ」先生は、いくら飲んでも酔わない。いつでもクリアーだ。酔って乱れた時を見たことないから、余計そんなイメージが強い。でもね、24時間気持ちが緩まない緊張感も、こっちはフッと感じる時があり、何か可哀想な時もある。・・・。話しながら、自分のスマホをイジってた先生が、「おい、ちょっとスマホ貸せ。○○の番号ネーや」「え~っ。嫌ですよ。変なことするでしょ?」「しねーよ。○○の番号、俺のに入れるだけだから、貸せ」目の前の焼き海苔を食べたくて、まぁっいいかと面倒くさくなり、どこの砂場にもあった猫地雷を渡すつもりで、画面に番号を出し、指で摘んで「はい」と渡す。「焼き海苔」パリパリ海苔を一口。「おっ」海の味だ。ちょっと嬉しい。いい海苔は見た目の艶が全然違う。炙り方の善し悪しが、指先に触れた瞬間に分かる。口に入れて、溶けて逃げそうになるヒラヒラ感を逃さず噛み締めると、口の中の・・・。「あっオレ。久しぶり。今、パコ崎と飯食ってたら、お前のこと好きなんだってよ・・・」はぁ?ちょっと!「何やってんですか!」スマホを取り返そうとする動きを先生の右手の平で制され、一気に浮きかかった尻が、元の位置に静かに戻る。そのスローモーな動きとは真逆に、心の中は、な・な・何と言うことを。ちょっと待って。いや、待たないで。でも、レビューに、もう少し、このネタを引っ張ろうとか思ってたりなんかして。いや、そうじゃなくて。何で、そうなる。キャー。何なの、どうしよう。でも、ちょっと嬉しい。いろんなどうしようが、いろんな動物とともに頭の中で騒ぎまくっている。ギャーギャー騒いでる。いろんな方向から、超新型ダイソンに顔面を吸われているみたいな、制御できない動きだ。逃げ場なんかどこにもない。腹をくくるか! くくるのか?ログ10回目で突然エンディング? 早くね?遠くで「ぶぉ~ぉ」進軍の法螺貝とともに、「突撃!」と仲代〇矢がギョロ目で渋く発する。30乙女心が、右往左往する。ダ〇ボの耳なんか目じゃないほどの大きさに、ドバッと広げて聞いていると、「うん。えっ、そうなの~。何だ、お前もそうだったのか。伝わるんだな、そういうのは。ミャ子喜ぶぞ~。今日、会える? うん。じゃ、代わるから」「ほらぁ、これから会ってこい」と、ゆっくりスマホを渡される。うやうやしく受け取り、先生、マジThank you 最高の誕生日プレゼント。あんたは出来る人だと思ってたけど、本当感謝しかねーよ。潤んだ瞳で先生を見ると、「ニッコリ」うなずく。光り輝くお地蔵様のように見えた。頭の中は、多分、人生の中で、一番光速回転している。光速超えたかも。グランサッソ地下研究所に差し出して、再実験に使ってもらいたい。今度こそ頑張れ。でも、な・な・なんという展開だー。ギャー、えぇー、方角的にはどちらの方なの・・・カナ。WEST的な方なの・・・カナ。何となく。ウぎゃっ・・・。マジで・・・。とっさに、服の中、肌の上。今日、勝負〇ン〇だったっけ、とか考える。ヤべっ・・・違う。どうしよう。うわぁ・・・。どうしていいか、なんか必死に手についた、焼肉脂を髪に撫で付け、「うっ、うん」なんて咳払いをして、何を整えるのか分からなくなり、見えてないのに、一生懸命、顔を一番いい状態に作り直し、おもむろに、声のトーンを変え、「もしもし。すーいませーん。何んかー、かってにー・・・」「あっもしもし、ウルトラ警〇隊ですがどうしました?・・・」・・・? ・・・?・・・?おっ? ぉ・ぉ・ぉつ。みんなの平和を守るマジVer.のお方では、ありませんかー!・・・。・・・。・・・。「えっ・・・。あっ。すいません。ホントーにすいません。間違えました」慌てて、切ってしまった。「ふぅっ、テメー! ・・・ちょ、・・・ちょっとふざけんなー! 先生! 何やってるんですか!」ブッブー。ブッブー。ブッブー。「おい、怒ってないで、スマホ鳴ってんぞ」あーっ。てか、おっ。おぉーお。 スマホの画面が、見たことない赤色でチカチカしている。なん、なんじゃこりゃ。慌てて出ると「先ほど連絡を頂いた、ウルトラ警〇隊ですが、確認の電話です。大丈夫ですか?」「はい。はい。はい。本当にすいません。ちょ、ちょっちょっと間違って・・・。あの・・・。その・・・。」腹を抱えて、ゲラゲラ笑う先生を尻目に、ファンデーションを突き抜け、ブワッと一気に吹き出る経験のないほどの汗。見えない相手に立ち上がり、髪を振り乱し、必死に頭を下げ、心の底から本気で謝りまくる。・・・。・・・。・・・。抹茶アイスを泣きながら食べて、ほとほと疲れて、お開き。「じゃ、俺、帰る」「えぇー。これ置いて帰っちゃうんですかー。殺生なー」私が、親友を指して抗議すると「バーカ。もし、それを俺が送り届けたら、そいつに食われちまうだろ。狸寝入りだったならヨ。じゃな」パチンと戸を閉めて先生は帰っていってしまった。ふー。しょうがない。送るか。と気持ちを入れ直そうとすると、親友がパッと起き出し「バレたか・・・。据え膳に引っかからねーかー。肉食の本性を隠しきれなかったゼ」一言。「あっ・・・あんた。起きてたの!信じられない!」狸が寝たふりしていた。「いゃ・・・。ウルトラ・・・は笑った。マジ、ヤバかった」「・・・マジ。信じられない」・・・。「ギャハハっ」少しの間の後、なぜか二人でゲラゲラ笑った。涙を流しながら笑った。別に男と女の関係を美化するわけじゃないけど、「ミャ子らしいって何ですかね?」質問にならない質問に、先生が、スーと「鏡に映った顔がミャ子だ。その鏡に映らない部分がミャ子らしさだ。その映らない部分を見れた人が、ミャ子らしさを教えてくれる。必ず、そんな人が現れるよ。」と答えてくれた。何か全然分からないけど、そんな気がした。ただ、モテる男は、言うことが違うなーと感心した。親友は、先生の鏡に映らない部分を見ているのだろう。私も誰かのそんな物を見てみたい。そして、私のも見てもらいたい。叙々苑 游玄亭 西麻布本館 様美味しいです。それだけじゃなく、楽しい空間をいつも演出してくれる。ここに来るたび、毎回、前回はこんな楽しいことがあったっけと思い出し、今日は、どんな楽しいことが起きるのかな?と、ワクワクしてしまう。大好きです。御馳走様でした。
2015/06/14 更新
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一人で入りやすい
知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
親友が飼い犬のようにまとわりつく、その先生は独身。
もうすぐ4〇歳になるはず。全く見えない。若い。
その昔、親友は仕事で知り合ったと言っていたが、
今となっては、始まりが何だったのかはどうでもよくて。
そんな緊張感はなく、師匠と弟子?。
もしくは、父と娘。愛人関係・・・どれにも見えないなー。
なぜなら、その先生は、やんちゃ坊主が大人になったというより、
そのまんま、やんちゃ坊主だから。
先生を見ていると、神様が愛するとするならば、こういう人を愛するのだろうと思える。
やんちゃな行動とは裏腹に、裏表なく、誰にでもフラットに接する。
博識高く、本物の博士でもある不思議な人だ。しかも医療系の中心にいる仕事。
親友が、男女の関係なく好きになるのも見ていて分かる。尊敬に裏打ちされた関係だ。
仕事が死ぬほど忙しい先生だが、たまーに、
「飯でも食おーぜ」と二人を呼んでくれる。
私の知り合い中でも、かなり特殊な人だ。
約束の時間に、喜び勇んで駆けつけると、ひと足もふた足も早く親友と先生は、盛り上がっていた。
「失礼しまーす」と入っていくと、
「早かったね。遅くても全然大丈夫だったのに。ウソ、ウソ」
フォローをすぐ入れ冗談にする親友。
いつもの親友からは感じない、微妙な違いを感じ取る。
「忙しいのに、わりーな。付き合わせちまって」
助かったという感じを先生からは、ハッキリ感じ取る。
ヤレヤレ。
すっきり綺麗に洗われたジョッキで、
きっちり泡でフタがされた、冷え冷え生ビールを飲ませてくれ、
しかも気持ちよく接してくれ、顔まで覚えてくれる。
なぜにミシュランは、星を一杯くれないのだろう?で、お馴染み、
そう、
焼肉を焼肉として、本気で食べるなら、ここ、
叙々苑 游玄亭 西麻布本館 様
「叙々苑サラダ」
生ビールで乾杯し、胡麻のキラメキとキュウリの瑞々しさが目に眩しい。 整った繊維質が、噛み締める歯に、清涼感をもたらし、ビールの喉越しを増幅させる。ゴキュゴキュと、嬉しさでいつもより広がった食道に、気管もつられ、慌てて真似をする。通りが良くなった通路をストレスなく、ゆっくりポップの香りが通り抜ける。
・・・。
「ミャ子、誕生日おめでと、な」
ぉおっ、先生。覚えていてくれたんだ。Thank you.
・・・。
「カクテキ」
刺激的で、ピンクの下地に三回塗りのフェラーリレッドのような色彩。トロっとした質感が、いつもの大根にからんでいるとは到底思えない。いつもの大根ではないと思うが。シャクっと咬む歯の行動に、喜びを感じる。甘さの後の辛味が、大根の水分で抑揚になる。箸が止まらなくなる。ビールもポールポジションを死守しながら、レースを作っていく。
・・・。
「先生は、結婚しないの?」
ストレートな親友の質問。
いつものアイコンタクトは無い。場の雰囲気無視の捨て身の攻撃。
まだ、肉食ってねーのに。
それだけ、この勝負にかける意気込みが、珍しく空回りしている・・・親友。
・・・。
「つぶ貝 」
白い肌が、適度に潤い、焼いてしまうのがなんだか少し可哀想だな。なんてなことを微塵も思わず、焼き上げられちゃった。うんめー。酒進むわ。マジで。アワビなんかよりずっーと柔らかく、にゅ~コリと美味しい歯応え。淡白な味わいと思いきや、いやいや甘いですよ。これ。塩分のバランスにより、貝のもつ海の実力を垣間見る感じ。です。
・・・。
「俺の仕事は、親の死に目に会うことが出来ないもの。他人様の死に目に寄り添うもの。
その覚悟がなくちゃ、やっちゃいけねーんだ。家族を持つと揺らぐんだよ。俺みたいなのは」
・・・。カッコ・・・。・・・。
私らみたいなモンにも、心意気みたいなものは伝わりますが・・・。
ジャージに坊主頭に、「暑っつ」といって額に載せたメガネ。
そのまま食べ進めるの? 元に戻さないのメガネ?
おまけに片膝、箸はメンドクセーからと、フォークで食べている姿では、
・・・言わない方がいいと思います。酔ってます?・・・それってギャグ?
・・・。
「ネギタン塩」
表面をカリッと焼き、真ん中がプクッと少し膨らんでいる。厚みのラインをしっかり読み、静かにライディング。落ち着いてレモン汁と共に口に入れる。ネギのシャキシャキ感と、サクッと噛み切れる肉質の食感に歓喜する。レモンの酸味が、角なしで丸く丸くまとめる。何枚でも食べられる。塩気が肉の美味しさを最大限に引き出す。ギュっギュつと噛み切り、その存在を楽しむと、焼肉の世界に足を踏み入れた実感がする。幸せだ。
・・・。
「先生聞いて、ミャ子はね、○○さんのこと昔から、好いて、おますのヨ」
「ワーっ、何言い出すの。バカ。ビッチ早すぎ!」
食べ物の好き嫌いから、親友が酔っ払って変なこと言い出した。
まだ、タン塩だぞ。タン塩。
・・・。
「壷漬ハラミ」
今やメジャー過ぎて、独立リーグからの叩き上げとは誰も思わない。シャックリを生み出す意外と技巧派な一面をタレに漬け込まれ、全面へとまとっている。焼いて、立ち上る匂いも深く色立ち、こちらの意識を自信の表れか、美味しさの確信へと勝手に変えていく。タレにたっぷり付け食べる。柔らかい中にも、筋肉の繊維が心地よく感じられ、噛めば噛むほど美味みの泉が湧き上がる。美味みのポテンシャルは間違いない。早くも、放送席を呼ばれ、ヒーローインタビューの準備が始まってしまう。
・・・。
「○○って、○○か?」
先生も何度か一緒に飲んでいる。
「いいとこ突いてくるな~。ミャ子いいぞ~」
先生に褒められると、ただただ嬉しい。
・・・。
「上ロース」
光を緋色に反射する。正に、ローストする為に生まれた赤身肉。絹の用な滑らかな肉質は、赤身と油のバランスがとてもいい。適度な噛みごたえが、肉の旨味をブッシュと口腔内に撒き散らす。頬のガードで跳ねっ返り、舌の上に集まると、肉汁の甘味、油の甘味、ハイブリッドな美味みの変化に更なる食欲が湧き出る。
・・・。
「○○さんはね~何かつれないのよね~」
うわっ。こっち見んなよ。変なパスだすなー
「何、○○はシカトしてんのか!」
先生っ、何か、声のトーンが、やんちゃする時の感じに変わっている。
・・・。
「上カルビ」
やっぱり王道。箸で持つとロースとは違い、しっかりズッシリ感がある。それはサシの比重。甘さの比重。焼いた時、どのくらい甘さを残せるのかが勝負の分かれ道。当然、気合が入る。熱々を一口で頬張り、奥歯でズギュウゥゥンと噛みこめば、きめ細かい至福の甘い油の宝庫。タレの濃厚さが更に満足感をググッと押し上げる。ドンドンドーンと。ご飯が美味しいです。この組み合わせに異論はないでしょう。
・・・。
ご飯を食べない先生と、親友はビールが焼酎になり、日本酒へと進む。
「ちょっと飲みすぎだよ」
親友に水を向けても、関係ありませんと、ガッパガッパ。
往年のシューマッハのような安定感で飲んでいく。復活を心から祈る。
・・・。
「上レバー」
いろいろな環境の変化で、苦難の時期を通って来ている苦労人。いたわるように焼き進める。ボソボソにならないように気おつけて。ある程度中まで火が通ったなーと申告があるまで待っていると、電車は行ってしまう。だから、ちょっと強引に、こっちから乗り込まないといけない。自己責任のうえで。甘味を感じるいろんなギリギリのところで食べれば、ごま油と塩で食べれた記憶を呼び戻す。あっーぁ。美味い。臭みのないレバーって濃厚の濃だけ食べてる感じがたまらない。これで貧血知らずだ。多分。
・・・。
「ミャ子、○○と連絡はどうしてるの?」
先生がまた話をレールの上に戻す。
「私なんかイイんですよ。それよりも親友が・・・」
ニコニコ笑って、目がトロトロ気持ちよさげな親友が、突然、
「何か休憩。ちょっとゴメン」
テーブルに突っ伏してしまう親友。
その内、クぅーと、可愛い寝息。
「あれ・・・マジで寝てる?」
「テンションかなり変だったし、疲れてんだろ、寝せとけ」
先生が暖かい目をしながら言う。
・・・。
「上ミノ」
ゆっくり、じっくり、ふんわり、焼き上げた食感は、まるで貝を食べてるみたいだ。ネイチャー様の説は、たまに正しいなーと感じつつ、歯切れがいいと言うけど、本当にこういうことナンダローと実感。包丁の入りがいいのか、鮮度なのか、ここのレベルはマジ高いっす。何か、たまにねタイヤ食ってるみたいのが、あるけどね。あっでも、結構そういうのも反芻する牛の気持ちで顎を動かしたりして、好きだったりして。ホントかよ。塩でも味噌でも美味い。ほのかな甘味が美味いな~。
・・・。
「ねぇ。先生っ、親友とはどうなってるの?」
「どうもなってねーよ。楽しく飯食ってるよ」
「えっー、それだけ?」
本当に、先生はそうなんだろう。
いろんな大事にする関係がある・・・。突き進むだけが愛ではないのかも・・・。
立場とか、環境とか、好きだけで解決しないものも、あるのかも・・・、
「なぁ、なぁ、それよりも○○だろ」
「・・・。いや。別に。いいですよ・・・」
「お前は、本当にいい女だぞ。顔もスタイルも内面も。道行く男の10人中、23人が振り向くよ」
「何それ、数合ってないですよ!」
「丁度その時、少年サッカーの試合帰りのバスが、通りかかったんだよ。
ドライバーと監督も振り向いたから、プラス13人」
「・・・。何それ。ハハッ」
先生は、いくら飲んでも酔わない。いつでもクリアーだ。
酔って乱れた時を見たことないから、余計そんなイメージが強い。
でもね、24時間気持ちが緩まない緊張感も、こっちはフッと感じる時があり、何か可哀想な時もある。
・・・。
話しながら、自分のスマホをイジってた先生が、
「おい、ちょっとスマホ貸せ。○○の番号ネーや」
「え~っ。嫌ですよ。変なことするでしょ?」
「しねーよ。○○の番号、俺のに入れるだけだから、貸せ」
目の前の焼き海苔を食べたくて、まぁっいいかと面倒くさくなり、
どこの砂場にもあった猫地雷を渡すつもりで、
画面に番号を出し、指で摘んで「はい」と渡す。
「焼き海苔」
パリパリ海苔を一口。「おっ」海の味だ。ちょっと嬉しい。いい海苔は見た目の艶が全然違う。炙り方の善し悪しが、指先に触れた瞬間に分かる。口に入れて、溶けて逃げそうになるヒラヒラ感を逃さず噛み締めると、口の中の・・・。
「あっオレ。久しぶり。今、パコ崎と飯食ってたら、お前のこと好きなんだってよ・・・」
はぁ?ちょっと!
「何やってんですか!」
スマホを取り返そうとする動きを先生の右手の平で制され、
一気に浮きかかった尻が、元の位置に静かに戻る。
そのスローモーな動きとは真逆に、
心の中は、
な・な・何と言うことを。ちょっと待って。いや、待たないで。
でも、レビューに、もう少し、このネタを引っ張ろうとか思ってたりなんかして。
いや、そうじゃなくて。何で、そうなる。キャー。何なの、どうしよう。でも、ちょっと嬉しい。
いろんなどうしようが、いろんな動物とともに頭の中で騒ぎまくっている。ギャーギャー騒いでる。
いろんな方向から、超新型ダイソンに顔面を吸われているみたいな、制御できない動きだ。
逃げ場なんかどこにもない。腹をくくるか! くくるのか?
ログ10回目で突然エンディング? 早くね?
遠くで「ぶぉ~ぉ」進軍の法螺貝とともに、「突撃!」と仲代〇矢がギョロ目で渋く発する。
30乙女心が、右往左往する。
ダ〇ボの耳なんか目じゃないほどの大きさに、ドバッと広げて聞いていると、
「うん。えっ、そうなの~。何だ、お前もそうだったのか。
伝わるんだな、そういうのは。ミャ子喜ぶぞ~。今日、会える? うん。じゃ、代わるから」
「ほらぁ、これから会ってこい」と、
ゆっくりスマホを渡される。
うやうやしく受け取り、
先生、マジThank you 最高の誕生日プレゼント。
あんたは出来る人だと思ってたけど、本当感謝しかねーよ。
潤んだ瞳で先生を見ると、
「ニッコリ」うなずく。
光り輝くお地蔵様のように見えた。
頭の中は、多分、人生の中で、一番光速回転している。光速超えたかも。
グランサッソ地下研究所に差し出して、再実験に使ってもらいたい。今度こそ頑張れ。
でも、な・な・なんという展開だー。
ギャー、えぇー、方角的にはどちらの方なの・・・カナ。
WEST的な方なの・・・カナ。何となく。
ウぎゃっ・・・。マジで・・・。とっさに、服の中、肌の上。
今日、勝負〇ン〇だったっけ、とか考える。
ヤべっ・・・違う。
どうしよう。うわぁ・・・。どうしていいか、
なんか必死に手についた、焼肉脂を髪に撫で付け、
「うっ、うん」なんて咳払いをして、何を整えるのか分からなくなり、
見えてないのに、一生懸命、顔を一番いい状態に作り直し、
おもむろに、声のトーンを変え、
「もしもし。すーいませーん。何んかー、かってにー・・・」
「あっもしもし、ウルトラ警〇隊ですがどうしました?・・・」
・・・? ・・・?・・・?
おっ? ぉ・ぉ・ぉつ。みんなの平和を守るマジVer.のお方では、ありませんかー!
・・・。・・・。・・・。
「えっ・・・。あっ。すいません。ホントーにすいません。間違えました」
慌てて、切ってしまった。
「ふぅっ、テメー! ・・・ちょ、・・・ちょっとふざけんなー! 先生! 何やってるんですか!」
ブッブー。ブッブー。ブッブー。
「おい、怒ってないで、スマホ鳴ってんぞ」
あーっ。てか、
おっ。おぉーお。 スマホの画面が、見たことない赤色でチカチカしている。
なん、なんじゃこりゃ。
慌てて出ると
「先ほど連絡を頂いた、ウルトラ警〇隊ですが、確認の電話です。大丈夫ですか?」
「はい。はい。はい。本当にすいません。ちょ、ちょっちょっと間違って・・・。あの・・・。その・・・。」
腹を抱えて、ゲラゲラ笑う先生を尻目に、ファンデーションを突き抜け、ブワッと一気に吹き出る経験のないほどの汗。
見えない相手に立ち上がり、髪を振り乱し、必死に頭を下げ、心の底から本気で謝りまくる。
・・・。・・・。・・・。
抹茶アイスを泣きながら食べて、
ほとほと疲れて、お開き。
「じゃ、俺、帰る」
「えぇー。これ置いて帰っちゃうんですかー。殺生なー」
私が、親友を指して抗議すると
「バーカ。もし、それを俺が送り届けたら、
そいつに食われちまうだろ。狸寝入りだったならヨ。じゃな」
パチンと戸を閉めて先生は帰っていってしまった。
ふー。しょうがない。送るか。と気持ちを入れ直そうとすると、
親友がパッと起き出し
「バレたか・・・。据え膳に引っかからねーかー。肉食の本性を隠しきれなかったゼ」一言。
「あっ・・・あんた。起きてたの!信じられない!」
狸が寝たふりしていた。
「いゃ・・・。ウルトラ・・・は笑った。マジ、ヤバかった」
「・・・マジ。信じられない」
・・・。
「ギャハハっ」
少しの間の後、なぜか二人でゲラゲラ笑った。
涙を流しながら笑った。
別に男と女の関係を美化するわけじゃないけど、
「ミャ子らしいって何ですかね?」質問にならない質問に、
先生が、スーと
「鏡に映った顔がミャ子だ。その鏡に映らない部分がミャ子らしさだ。
その映らない部分を見れた人が、ミャ子らしさを教えてくれる。必ず、そんな人が現れるよ。」
と答えてくれた。
何か全然分からないけど、そんな気がした。
ただ、モテる男は、言うことが違うなーと感心した。
親友は、先生の鏡に映らない部分を見ているのだろう。
私も誰かのそんな物を見てみたい。そして、私のも見てもらいたい。
叙々苑 游玄亭 西麻布本館 様
美味しいです。それだけじゃなく、楽しい空間をいつも演出してくれる。
ここに来るたび、毎回、前回はこんな楽しいことがあったっけと思い出し、
今日は、どんな楽しいことが起きるのかな?
と、ワクワクしてしまう。
大好きです。
御馳走様でした。