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パコ崎ミャ子は、どうすればイイ?
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パコ崎ミャ子 (東京都) 認証済
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1回
夜の点数:4.5
2015/08 訪問
遊びすぎて分かる。ヤッパり実家が一番落ち着く。
ちょっと長い夏休みの最後に、実家に顔を見せに戻る。羊羹とお茶を入れてもらい、家族で団欒。「そうそう、お爺ちゃんの骨董品がね、ハハっ」勿体ぶった話を祖母が始めた。祖父とは会ったことは無い。私が生まれる前に亡くなっているから。お盆が来ると祖母は、「お爺ちゃんは道楽が過ぎて、身上を潰しそうになった」と、笑いながら話してくれる。それが口火で、楽しかった祖父との思い出を聞かせてくれる。何度聞いても飽きない。楽しい話だから。祖父は家業には気持ちが入らず、趣味だった骨董品の収集にだけ力を注いだ。そうだ。茶器、書画、それと刀剣にも興味があった。特に誰かの作品を追うわけでも、こだわりがあった訳でもなく、人に薦められると、何でも欲しくなったそうだ。そういう力の入れ方だった。祖父が亡くなった時、家中に溢れた「玉石混交」と言うより、「石だけ」の骨董品の処分に困った家族は、形見分けと称して、欲しいと言う人達にそのほとんどを引き取ってもらった。中には、「生前に代金を支払い、譲り受ける約束をしていた」と語る人もいたらしい。理由はどうあれ、狭い家のゴミ掃除になると、喜んで持って行ってもらったそうだ。家族が、「良かった。助かった」と当時の事を話していたので、私も、「そう、それは良かったね。掃除が楽で」くらいにしか思っていない。先日、実家に祖父と親交があった方のお孫さんが、ひと振りの刀を持って来た。取り出した刀袋の裏側に、隠し袋が縫い付けてあり、その中に紙が一枚。「この刀は、窪田清音が愛弟子 清麿 が萩での作。自分の死後、長男である私の父○○に譲る。子々孫々まで大事にするように。ただ、家業存亡の危機には○○にて売却し、足しにしろ」的な覚書が入っていた。そうだ。源 清麿(みなもと きよまろ)は、江戸時代後期に活躍した刀鍛冶で、「四谷正宗」の異名をとった。イロイロな逸話のある人で、現代でも人気がある・・・らしい。その祖父と親交があった方のお孫さんは、お父様が最近亡くなった折に、その刀を譲り受けた。そのうち鑑定か研ぎにだすつもりで、触っている内に、刀袋の裏側の違和感に気づいたらしい。紙には、住所と祖父の名前が書いてあった。当然、その刀の来歴を知るよしも無く、何となく気持ち的な問題で、登録書と共に実家に持ってきたらしい。剣道の有段者で、それを活かす職業で、一本筋の通った立派な方と、対応した父は話していた。しかし、祖父が書いたものであったとしても、それを受け取る謂れがないと、そのまま大事にしてくださいと、一緒に持ってきて頂いた羊羹と祖父の覚書だけコピーさせてもらい、そのままの状態で持って帰っていただいた。あの時、価値の分かる人に受け継いでもらったから、その刀は生き生きとしていた。あの時、実家に残されたなら、朽ち果ててしまうか、誰からも忘れられた物になっていたはずだ。丁度、剣の道に生きる方に刀は惹かれたのだろう。久々の家族団らんで、楽しそうに父が話す。清麿が本物なら50,000,000円だって。祖母も父も母も、笑ってそんな物、最初からウチには有る訳が無い。だって。うん。そう思う。父は祖父の字が見られただけで、嬉しいそうだ。お盆には、亡き人の話が家族をつなぐ。・・・。中野の知り合いの家へ、祖母の代わりで新盆の提灯を届けに、父とタクシーで行く。帰り道、車の中で「昔、爺さんとよく来た立ち飲み屋が、四谷にあったなぁ。何かの縁だ、寄っていくか?」と、急に、父と立ち飲みなんて、ちょっとどんなテンションにしていいのか迷うが、何だかシミジミと嬉しくなり、ニコニコ着いて行く。鈴傳 四ツ谷 様店前に立つと、堂々たる佇まい。これは、普段なら可成り二の足を踏みまくるタイプのお店だわ。いえいえ、チャラついた私が、神聖な場所を乱してはいけないと思う感じです。「飲みは、こっちだ」全然気にせず、ズンズン入っていく父。ちょっと待って・・・と、着いて行く。ふぅ~。店内のお酒の間をすり抜け、カウンターの前を通り、立ち飲みスペースに進む。オォ~。こんな感じなんですね。サラッと飲むより、意外としっかり飲んでしまいそうな空間だ。奥の立ち飲み用のテーブルに通されて、感じの良いお姉さんにシステムを説明される。なるほど・・・ふむふむ。私はビール。父は薦められた日本酒。お刺身盛り合わせ、お新香、煮玉子、冷奴。カウンターのケースに、どれも美味しそうなお料理が大皿にもってあり、目移りする。美味しそうにお酒をゴクッと、喉を鳴らして飲む父の横顔は、子供の頃に見たより、少し老けた・・・。まさか、父にビールを注がれる日が来るとは・・・。何かね。変な感じ。二人で飲むの初めて。・・・。結構・・・。楽しい。お刺身が美味しい。マグロが、薄切りなのに味がする。舌にザラツク筋の感じが無い。失礼だが、こんな場所のクオリティーじゃないと本気で思う。シメ鯖も、酸っぱすぎなくて変にお酒を意識させない、良い塩梅。それだけで、立ち飲みとは思えない、おつまみのレベルの高さが伝わる。「仕事は、人のために成っているのか?」すぅーとお酒を飲み込んだタイミングで話してくる父には、何でも見透かされている感じがする。「うん。そうであってほしいけど、どうかな」「・・・。自分のために働くうちは、まだまだヒヨっ子だ。と昔、爺さんに言われたなここで・・・」「へー」「爺さんからは、仕事は何にも学べなかったと思ってたけど、最近、人としての生き方は学んでたみたいだ」「何それ? 道楽したくなった?」「ハハッ、仕事は人間関係なんだよ。お金儲けじゃないということだ」「・・・?」「一人では何にも出来ない。でも、一人からしか始まらないと言うことだ」「・・・。はぁ」ポツポツ話す親子の会話は、意外とこういう場所が合うのかも。個室で、お互いの視線を合わせては照れるだけだし。昔々、酒屋さんや料理屋さんは、日本酒を水で割って出していた。あそこの酒屋は調合が上手い、なんて言われて。薄めないお酒は、わざわざ「原酒」と呼ばれる。「原酒」を水で割る行為を「玉をきかせる」とも言う。親子水入らずでも、十分に楽しいが、そこにお酒が入れば、「磨き」が入り、玉のように美しく貴い時間にさらに変化する。いい空間にあるいいお酒は、そうであって欲しい。なんてね。美味しいおつまみと、美味しいお酒。最高です。楽しい時間を有難うございます。鈴傳 四ツ谷 様御馳走様でした。
2015/08/16 更新
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食べ放題
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ペット可
クーポン
テイクアウト
家族・子供と
デート
女子会
合コン
大人数の宴会
接待
一人で入りやすい
知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
ちょっと長い夏休みの最後に、実家に顔を見せに戻る。
羊羹とお茶を入れてもらい、家族で団欒。
「そうそう、お爺ちゃんの骨董品がね、ハハっ」
勿体ぶった話を祖母が始めた。
祖父とは会ったことは無い。
私が生まれる前に亡くなっているから。
お盆が来ると祖母は、
「お爺ちゃんは道楽が過ぎて、身上を潰しそうになった」
と、笑いながら話してくれる。
それが口火で、楽しかった祖父との思い出を聞かせてくれる。
何度聞いても飽きない。楽しい話だから。
祖父は家業には気持ちが入らず、趣味だった骨董品の収集にだけ力を注いだ。そうだ。
茶器、書画、それと刀剣にも興味があった。
特に誰かの作品を追うわけでも、こだわりがあった訳でもなく、
人に薦められると、何でも欲しくなったそうだ。
そういう力の入れ方だった。
祖父が亡くなった時、
家中に溢れた「玉石混交」と言うより、「石だけ」の骨董品の処分に困った家族は、
形見分けと称して、欲しいと言う人達にそのほとんどを引き取ってもらった。
中には、「生前に代金を支払い、譲り受ける約束をしていた」と語る人もいたらしい。
理由はどうあれ、狭い家のゴミ掃除になると、喜んで持って行ってもらったそうだ。
家族が、「良かった。助かった」と当時の事を話していたので、
私も、「そう、それは良かったね。掃除が楽で」くらいにしか思っていない。
先日、実家に祖父と親交があった方のお孫さんが、ひと振りの刀を持って来た。
取り出した刀袋の裏側に、隠し袋が縫い付けてあり、その中に紙が一枚。
「この刀は、窪田清音が愛弟子 清麿 が萩での作。
自分の死後、長男である私の父○○に譲る。子々孫々まで大事にするように。
ただ、家業存亡の危機には○○にて売却し、足しにしろ」
的な覚書が入っていた。そうだ。
源 清麿(みなもと きよまろ)は、江戸時代後期に活躍した刀鍛冶で、「四谷正宗」の異名をとった。
イロイロな逸話のある人で、現代でも人気がある・・・らしい。
その祖父と親交があった方のお孫さんは、
お父様が最近亡くなった折に、その刀を譲り受けた。
そのうち鑑定か研ぎにだすつもりで、触っている内に、刀袋の裏側の違和感に気づいたらしい。
紙には、住所と祖父の名前が書いてあった。
当然、その刀の来歴を知るよしも無く、何となく気持ち的な問題で、登録書と共に実家に持ってきたらしい。
剣道の有段者で、それを活かす職業で、一本筋の通った立派な方と、対応した父は話していた。
しかし、祖父が書いたものであったとしても、それを受け取る謂れがないと、そのまま大事にしてくださいと、
一緒に持ってきて頂いた羊羹と祖父の覚書だけコピーさせてもらい、そのままの状態で持って帰っていただいた。
あの時、価値の分かる人に受け継いでもらったから、その刀は生き生きとしていた。
あの時、実家に残されたなら、朽ち果ててしまうか、誰からも忘れられた物になっていたはずだ。
丁度、剣の道に生きる方に刀は惹かれたのだろう。
久々の家族団らんで、楽しそうに父が話す。
清麿が本物なら50,000,000円だって。
祖母も父も母も、笑ってそんな物、最初からウチには有る訳が無い。だって。
うん。そう思う。
父は祖父の字が見られただけで、嬉しいそうだ。
お盆には、亡き人の話が家族をつなぐ。
・・・。
中野の知り合いの家へ、祖母の代わりで新盆の提灯を届けに、父とタクシーで行く。
帰り道、車の中で
「昔、爺さんとよく来た立ち飲み屋が、四谷にあったなぁ。何かの縁だ、寄っていくか?」
と、
急に、父と立ち飲みなんて、ちょっとどんなテンションにしていいのか迷うが、
何だかシミジミと嬉しくなり、ニコニコ着いて行く。
鈴傳 四ツ谷 様
店前に立つと、堂々たる佇まい。
これは、普段なら可成り二の足を踏みまくるタイプのお店だわ。
いえいえ、チャラついた私が、神聖な場所を乱してはいけないと思う感じです。
「飲みは、こっちだ」
全然気にせず、ズンズン入っていく父。ちょっと待って・・・と、着いて行く。ふぅ~。
店内のお酒の間をすり抜け、カウンターの前を通り、立ち飲みスペースに進む。
オォ~。こんな感じなんですね。サラッと飲むより、意外としっかり飲んでしまいそうな空間だ。
奥の立ち飲み用のテーブルに通されて、
感じの良いお姉さんにシステムを説明される。なるほど・・・ふむふむ。
私はビール。
父は薦められた日本酒。
お刺身盛り合わせ、お新香、煮玉子、冷奴。
カウンターのケースに、どれも美味しそうなお料理が大皿にもってあり、目移りする。
美味しそうにお酒をゴクッと、喉を鳴らして飲む父の横顔は、子供の頃に見たより、少し老けた・・・。
まさか、父にビールを注がれる日が来るとは・・・。何かね。変な感じ。
二人で飲むの初めて。・・・。結構・・・。楽しい。
お刺身が美味しい。
マグロが、薄切りなのに味がする。
舌にザラツク筋の感じが無い。失礼だが、こんな場所のクオリティーじゃないと本気で思う。
シメ鯖も、酸っぱすぎなくて変にお酒を意識させない、良い塩梅。
それだけで、立ち飲みとは思えない、おつまみのレベルの高さが伝わる。
「仕事は、人のために成っているのか?」
すぅーとお酒を飲み込んだタイミングで話してくる父には、何でも見透かされている感じがする。
「うん。そうであってほしいけど、どうかな」
「・・・。自分のために働くうちは、まだまだヒヨっ子だ。と昔、爺さんに言われたなここで・・・」
「へー」
「爺さんからは、仕事は何にも学べなかったと思ってたけど、最近、人としての生き方は学んでたみたいだ」
「何それ? 道楽したくなった?」
「ハハッ、仕事は人間関係なんだよ。お金儲けじゃないということだ」
「・・・?」
「一人では何にも出来ない。でも、一人からしか始まらないと言うことだ」
「・・・。はぁ」
ポツポツ話す親子の会話は、意外とこういう場所が合うのかも。
個室で、お互いの視線を合わせては照れるだけだし。
昔々、酒屋さんや料理屋さんは、日本酒を水で割って出していた。
あそこの酒屋は調合が上手い、なんて言われて。
薄めないお酒は、わざわざ「原酒」と呼ばれる。
「原酒」を水で割る行為を「玉をきかせる」とも言う。
親子水入らずでも、十分に楽しいが、
そこにお酒が入れば、「磨き」が入り、玉のように美しく貴い時間にさらに変化する。
いい空間にあるいいお酒は、そうであって欲しい。
なんてね。
美味しいおつまみと、美味しいお酒。
最高です。楽しい時間を有難うございます。
鈴傳 四ツ谷 様
御馳走様でした。