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パコ崎ミャ子は、どうすればイイ?
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パコ崎ミャ子 (東京都) 認証済
この口コミは、パコ崎ミャ子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.9
2017/03 訪問
豚の角煮に醤油をかける・・・。それが、私の流儀。・・・なんか、違うな。ははっ。
「旬とか、時季外れとか、そんなことはドウでもいいんだ。黒々と見えてもお日様にかざせば、茄子色とも言われる濃紺の紫色。そんなドコにでもある長茄子を、一口には少し大き目の乱切りにして、粉をはたく。ごってりとまぶすのではなく、本当にきめ細かい粒子をはたく。切り出した茄子の表面に、それと色艶黒く紫の皮に、薄く、うすーくはたく。それをキンキンに琥珀の波も揺らぐ高温の油に、弾け飛ぶのもいとわずに「エイ!ヤァー」と入れる。一気に入れる。ぐゅちゅぐちゅ、何てな音は愚の骨頂だ。全然ダメだから、気を付けろヨ。こう、バチバチとかゴチゴチとか、弾け飛び何かが生まれ出すような、そんな飛び出す勢いの音じゃなければダメだ。数十秒その阿鼻叫喚の末に待てば、黄金と彩つき、食欲という香りをまとった茄子の最上級の姿に出会える。それを熱々のうちに、生姜の効いた少し甘めの醤油ダレにからめる。タレは、飴色で少し葛アン的なとろみもを感じれるタレなら、なおよろしい。どちらにしろ、熱々が勝負。作る側も、当然食べる側も。ハフハフして、口の中で角のしっかりした茄子を回しているうちに、何故か茄子は溶けてなくなってしまう。生姜の香り、醤油の深さ、茄子の瑞々しいまでの甘さだけ残して。頭には、「・・・はて?そういえば、茄子・・・は?」と疑問符だけが取り残される。だから、ここはもう一つと、少し大き目に切られた乱切りの茄子。湯気もモウモウと立ち上り、目に映る熱々で香りまで灼熱の、その茄子を「えいっ」とばかりに口に放り込む。もう、溶けて消え入る天女の衣のような茄子。生姜の地鳴りのような生命感だけの香り。何はともあれ、お醤油様の存在。酒でも、飯でも・・・。槍でも鉄砲でも持って来いの旨さだ!」・・・。 姜汁茄子 (揚げ茄子の生姜ソースがけ)・・・。気が早く・・・せっかち・・・。式まで待てず・・・。結婚のお祝いをワザワザ届けに来てくれた、ロマンスグレーで長身の作家先生・・・。ふふふっ。「おい。これ・・・」テレたお顔を見るのも、久々だ・・・。作家先生が再婚後、東北の地に移り住んでからは、ホントにたまに取材やら収録なんかで来た東京でしか、会うことはない。私から連絡するのは恐れ多いので、連絡は待つだけの身だ・・・。でも、隣の局や、定宿のホテルのラウンジからとか、はたまた気持ちがノッテ、お酒が進みすぎて酔っ払った中華料理店から、ふっと思い出した時にだけ電話をくれる・・・。「元気なのか?」行動はせっかちで、意外と落ち着きがないのに、話す声は低くゆっくりのトーン。そんな、ささやくような声で、ボソボソと電話をくれるだけで、マジ有難いし、私を忘れないで気にかけてくれるのが・・・とっても嬉しい~♡。何の前触れもなく、こちらの都合なんて微塵も考えない呼び出し・・・だったとしても。「お前の家のホテルの足元・・・けやき通りが見える店だ」慌てて、メークも出来ているのかどうか最終チェックもそこそこで、すっ飛んで行く。でも、ただ会えば、昨日も一昨日も普通に話したような感覚になる。不思議な感覚だ。「おい、東京はアレもコレもダメで、しかもタバコもダメ。ダメダメ老人には、ダメな街に成ったな」「やぁ、久しぶり」何てな切り出しはいつもなく、今、この瞬間に思ったことを話し出す・・・。少し、お痩せになられたか、たいして好きでもない珈琲を飲みながら、話をしてくれる姿・・・。ホントに少年みたいな大人は、…マジヤバい。ヤバすぎて・・・ホント・・・ヤバい。ははっ。新刊の核になった、別れの話・・・。家族の話。友人の話。歳を重ねる話・・・。そのうち、何週間前の連載エッセイの中でのタバコとお寿司屋の話・・・。そして食べ物の話・・・「虚栄舌」の話。「昔は、沢山の人が集まるときは、ドカッと中華料理だった」をかわきりに、中華料理の醍醐味の話になった・・・。小皿懐石のような中華が嫌いなわけではない。酒のつまみには最高だとの話・・・。でも、たまには、大皿に豪快に盛られた迫力の料理を沢山の家族や仲間達と共に、ワイワイ言いながら、笑いながら味わう楽しみを持ちたいとの話。・・・で、最近食べた、秀逸な一品。姜汁茄子 (揚げ茄子の生姜ソースがけ)・・・の話。たまらない話だ・・・。・・・。・・・。・・・。私の中で、中華料理は祝いのお料理だ。祝い事、幸せ事で、見知った人達が集まり、よりよい親睦を正に深める料理。大皿に盛られた色彩豊かな技の味わい達は、その見た目、香り、熱気で卓を取り囲む全ての人達を笑顔に導く。大人も子供も、クルクルと回る円が止まるたびに、自分の取り皿に好みの味だけ取り分ける。楽しくて美味しい。自然と会話もはずみ、声もだんだんと大きくなる。卓が埋め尽くす小皿に占領される頃には、空間に笑い声が、こだまか輪唱か、響きわたる。必ず心地よい汗が少しにじみ、心地よい満腹感と、人と人との共有感に安堵する。大皿に盛られた色彩豊かな技の味わい達は、人の心も彩付かせる。・・・。・・・。・・・。昔、フリーの編集者をしている友達に、「今、縁あって担当している作家さんなんだけど、もう一回飛べそうなんだけど・・・どうしたらイイ?」と、中華料理店で円卓をグルんグルん回している時に、相談された。ドサッと大皿に盛られた、赤くツヤツヤの海に泳ぐ輝くエビやら、緑とお肉の細切りが、月明かりのような色で手ぐすね引いている歯ごたえさんとか、スケルトンに魅せる向こう側に、甘い味噌と、日焼け以上、丸コゲ未満の味わいを包んだお方・・・。皆々様を勝手に競うように、ワシワシと食べながら、話半分で聞いていた。結論は、「ちょっと仕事、手伝って欲しい」。結構、シリアスなトーンの話だったけど、なんか、そこの事務所のお茶くみとか、そんな感じだと軽く考えていた。ただ、イメージがダンディーで有名な作家先生が、ホントはどんなだかミーハー興味があったから、ヒョコヒョコ着いていった・・・だけだった。しかし・・・。・・・そんだら、まんず、ひやかしとかではなく、マジで、ネタ出しとガッツリと編集の仕事だった・・・。ははっ。初日から何か、渡される添削前の生の未整理原稿が、全部、説教臭いか、ダメ人間ぷりが鼻に付く文章のオンパレード・・・。世代間とかでは全然説明できない・・・。引きずり感満載のボロボロで、プンプン臭すぎる昭和丸出しの・・・ただの羅列・・・。しかも、登場人物が全員、全く、ちっとも、全然、踊っていない・・・。てっ言うか、踊らない文章なんて誰が読むんだ? 疑問しか湧かない生原稿・・・。数日で飽き飽きで、へきへきになってしまった・・・。例えば、確か、こんな話・・・。学生時代に彼女の妊娠で入籍した。長女の後、次の年次女も生まれた。生活のために、大学を辞めて働き出す。先輩と地元の知り合いや伝手を頼っての日々・・・。段々と若さだけの勢いが落ちて行き、後戻りができないことに気づきだす。・・・だったら・・・代わりに、全てを終わりにしようか・・・。そんな事ばかり考える・・・。考えても、思っても、迫りくる現実。金に縛られる日々が続く。だんだんと全てが嫌になり、行ききってしまい、壊れ、そして何も感じなくなる・・・。酒とギャンブルと、言い訳のように、出会ってしまった光り輝く女性に溺れていく・・・。その後。奥さんと子供と別れて、10年が過ぎた・・・。ある日、下の子供が高校に入学したと別れた妻から連絡が来た。「一度、ちゃんと父親と話して、顔を見たい」と、どうしてもとの懇願らしい・・・。母親も困っていると・・・。迷ったけど、「二人の娘と会うこと」を承諾した。娘二人と会う当日、雀荘に電話がかかってくる。「約束の時間になったけど、今どこに居るの?」・・・と。別れた妻から雀荘に・・・「・・・今、どこ?」と。抜け出す切っ掛けも無く・・・今だ、乱れた生活は続いている。ちょっと走って約束の中華料理店に行くのに、若い時に感じなかったほどの、苦しさを感じる。倒れそうになるほど息が苦しいのは、歳を重ねたからか、背負う人の思いが重すぎるのか・・・。待ち合わせの中華料理店。玄関で別れた妻が待っていた。「中に居ます」と言いながら、折りたたんだ3万円をそっと手に握らせてきた・・・。「お前は、一緒に食べないのか?」と言う間もなく、「帰りは、家まで送って来て下さい」とだけ言うと、別れた妻は、くるっと踵を返して去ってしまった・・・。中華料理店に入ると、席に着くや否や、食事を頼む前から一方的に娘二人に話をした。人生とは。学校とは。勉強とは・・・。説教・・・と取られても・・・。「・・・何でも頼め」と言ったが、チャーハンやラーメン・・・。3人で1万円もかからなかった。酒も飲まず、一時間半、一方的に娘に向かって話をした。会計を済まして、呼んでもらったタクシーに娘を乗せ、長女に1万円渡して、「ほら、タクシー代。おつりは、2人で分けるなり、母親に返すなり好きにしろ」そして、浮いた1万円を握りしめ、元居た雀荘に向かう・・・。・・・救いようがない話だ。無頼とか武闘とか排他的自小説とか・・・正直、吐きそうな話・・・。私の勝手な思い込みで、楽しい家族の象徴のような中華料理店をキモいアクセントに使っているのも、腹立だしかった。排他的ネガティブを文学の深さとか、人の薄ら暗い真実みたいに書くのは、マジで勘違いだ。道で車にひかれた〇〇の死骸を瞬間的に見せられているようだ。気分が悪い。食事は、家族や愛する人との大切な時間・・・。そんな空間さえも、作れないのは・・・誰かのせいなのか?その時、身体ばかり大きくて、無知で子供の私は、救いようがない話を文字でつづるのは、本当に嫌だった。単純にhappyじゃないことを伝える意味が分からなかった。自分の嫌なことは自分の中で消化しろ。他人に無造作に、passを渡すな・・・。汚い文章の味わいは、すべからく不味い。だから・・・、・・・。・・・私は物語の最後を変えた。・・・。タクシーを見送る。後ろのガラス越しに娘二人が私を振り返り、じっと見ていた。その視線に気づいてしまったら、雀荘に向かって歩き出す一歩が止まった。徐々に遠ざかるタクシー。視界が、にじみだした・・・。・・・と。変えてしまった。・・・やってもーた。で、・・・読んだ作家先生がブチ切れして、当然、書いた本人の意図を読み取れない私は、結局退場・・・。ははっ。・・・。・・・でも、雑誌には、・・・私の改訂版が載っていた・・・。・・・。私が、編集の手伝いを辞めた後、時がそれほど経たずに、友達の編集者の読み通り、作家先生は再ブレークした。・・・。・・・。・・・。中華料理店の個室は、和食やフランス料理店のような緊張感とかとは、何かが違う空気が流れている。個室だから、数人の規模だから、対面する人の息遣いとか、気遣い、想い遣い・・・。そんな感じが伝わってくる。だから、こその中華料理。冷め気味のカラフルさや、銀食器の冷やかさではなく、熱々、出来立ての気ぜわしさ。「はい。はい! 出来たてを食べないと、美味しさが逃げちゃうよ~」少し、せかされて食べるくらいが丁度いい。そのほうが、食べながら話す小難しい話も、パパっと解決する感じするから。ははっ。業界は狭く、息苦しさもあったりもする。でも、その世界にどっぷり浸かる者にとって、それは家族間の行き違いとか、兄弟喧嘩のような苦しさというか、ただ酸っぱい苦々しさだったりする。だから一息入れる時や、息の継ぎ足しの合間に「ごめん」と挟めば、息が長く続く方も、それを受け入れることが出来る。・・・。私が、正式に今の会社の一員になったころ、作家先生から手紙をもらった。便箋にのる綺麗に座った文字だけで、男としての魅力が溢れていた。内容は、両親を大事にして会社を盛り立てろ的な激励文だった。変な謝罪文や、自説を曲げるような気の抜けた話じゃなくて、勢いのある叱咤激励・・・だったのが、・・・やっぱり・・・ぽくて、はははっ。大好感を持てた。その後、フリーの編集者の友達の仲立ちで、新刊の宣伝とかイロイロと私なりのお手伝いが、また出来るような関係になれた。私も少しは大人になり、感情的に言い放つことも少なくなった・・・と思う。へへっ。作家先生のお側にいて、何かと話をして飲みのお供もしたら、会社のOBだったり映像関連やCM制作も先輩だったことを知り、当時のエピソードとか面白い話を沢山聞かせてもらえた。良い時間を頂いた。感謝しかない。・・・。福島市 「中国四川料理 石林」福島に住む私の愛すべき師匠も、とうとう高校生になる。合格発表前に、お祝いの予約をする。でも、一度も入ったことのないお店は・・・心配。だから、親友と二人で、夕食のためだけに、新幹線に乗り食べに来た。階段を上がると黄金の龍のお出迎え・・・。そこに、お客さんが祈るのか、無造作にお賽銭が所々にそっと置かれている。お店に通うお客さんの思いなのか、その土地でのお店の愛され方を感じる~♡豚肉の湯引きガーリックピリ辛ソースがけ小海老のチリソースケチャップ味炒め蟹肉のスクランブルエッグ北京ダック6切れ牛肉の黒胡椒炒め酢豚黒酢味五目タンメンそして、揚げ茄子の生姜ソースかけ普段、「男が食い物にゴチャゴチャ言うなんて・・・」と言う、作家先生が、衝撃を受けた、一品。揚げ茄子の生姜ソースがけ (姜汁茄子) ・・・。はぁ~ん~♡もぅ~たまらない美味しさ。正に、酒でも、飯でも・・・。槍でも鉄砲でも持って来いの旨さだ!・・・。・・・。・・・。椅子に深く腰掛けて、透明すぎる拭きムラなどないガラス窓を背にして、けやき通りを見ている。左手はポケット。テーブルに乗せた右手の側はコーヒーカップ。放たれているオーラの周りに、タバコの煙も微かに見える。さすが~。作家先生様~♡ビル内の入り口を通り、多分テラス席に居るだろうとの思いが、向けている視線の先にその姿を捉えてしまうと、自然に進む足どりが、ゆるやかになり、止まってしまう・・・。そして、見入ってしまう・・・。そこに居る姿を。多分、70歳に程なく届くはずなのに、長身でスリムなのは変わらないけど、マジで絵になる姿・・・。ただ、座っているだけなのに・・・。空間が歪むほどの圧が凄い・・・。ははっ。男はこうじゃないとね~。孫と祖父ほど歳は離れているのに、・・・たまらないほどの、男を感じる。良い意味で、現役感が半端ない~♡一度だけ、お酒のガンガン回った席で、作家先生に「そう何度も美人をものにする秘訣は何ですか?」と聞いたことがある。少年ぽく笑った顔で、「二の足を踏んで誰も行かないなら、『俺が行ってやる』の精神だよ。・・・それが、俺の流儀だ」そう、言った~♡。うふっ♡
2017/03/10 更新
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知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
「旬とか、時季外れとか、そんなことはドウでもいいんだ。
黒々と見えてもお日様にかざせば、茄子色とも言われる濃紺の紫色。
そんなドコにでもある長茄子を、一口には少し大き目の乱切りにして、粉をはたく。
ごってりとまぶすのではなく、本当にきめ細かい粒子をはたく。
切り出した茄子の表面に、それと色艶黒く紫の皮に、薄く、うすーくはたく。
それをキンキンに琥珀の波も揺らぐ高温の油に、弾け飛ぶのもいとわずに「エイ!ヤァー」と入れる。一気に入れる。
ぐゅちゅぐちゅ、何てな音は愚の骨頂だ。全然ダメだから、気を付けろヨ。
こう、バチバチとかゴチゴチとか、弾け飛び何かが生まれ出すような、そんな飛び出す勢いの音じゃなければダメだ。
数十秒その阿鼻叫喚の末に待てば、黄金と彩つき、食欲という香りをまとった茄子の最上級の姿に出会える。
それを熱々のうちに、生姜の効いた少し甘めの醤油ダレにからめる。
タレは、飴色で少し葛アン的なとろみもを感じれるタレなら、なおよろしい。
どちらにしろ、熱々が勝負。作る側も、当然食べる側も。
ハフハフして、口の中で角のしっかりした茄子を回しているうちに、何故か茄子は溶けてなくなってしまう。
生姜の香り、醤油の深さ、茄子の瑞々しいまでの甘さだけ残して。
頭には、「・・・はて?そういえば、茄子・・・は?」と疑問符だけが取り残される。
だから、ここはもう一つと、少し大き目に切られた乱切りの茄子。
湯気もモウモウと立ち上り、目に映る熱々で香りまで灼熱の、その茄子を「えいっ」とばかりに口に放り込む。
もう、溶けて消え入る天女の衣のような茄子。
生姜の地鳴りのような生命感だけの香り。
何はともあれ、お醤油様の存在。
酒でも、飯でも・・・。槍でも鉄砲でも持って来いの旨さだ!」
・・・。 姜汁茄子 (揚げ茄子の生姜ソースがけ)・・・。
気が早く・・・せっかち・・・。式まで待てず・・・。
結婚のお祝いをワザワザ届けに来てくれた、ロマンスグレーで長身の作家先生・・・。ふふふっ。
「おい。これ・・・」テレたお顔を見るのも、久々だ・・・。
作家先生が再婚後、東北の地に移り住んでからは、
ホントにたまに取材やら収録なんかで来た東京でしか、会うことはない。
私から連絡するのは恐れ多いので、連絡は待つだけの身だ・・・。
でも、隣の局や、定宿のホテルのラウンジからとか、はたまた気持ちがノッテ、
お酒が進みすぎて酔っ払った中華料理店から、ふっと思い出した時にだけ電話をくれる・・・。
「元気なのか?」
行動はせっかちで、意外と落ち着きがないのに、話す声は低くゆっくりのトーン。
そんな、ささやくような声で、ボソボソと電話をくれるだけで、マジ有難いし、
私を忘れないで気にかけてくれるのが・・・とっても嬉しい~♡。
何の前触れもなく、こちらの都合なんて微塵も考えない呼び出し・・・だったとしても。
「お前の家のホテルの足元・・・けやき通りが見える店だ」
慌てて、メークも出来ているのかどうか最終チェックもそこそこで、すっ飛んで行く。
でも、ただ会えば、昨日も一昨日も普通に話したような感覚になる。不思議な感覚だ。
「おい、東京はアレもコレもダメで、しかもタバコもダメ。ダメダメ老人には、ダメな街に成ったな」
「やぁ、久しぶり」何てな切り出しはいつもなく、今、この瞬間に思ったことを話し出す・・・。
少し、お痩せになられたか、たいして好きでもない珈琲を飲みながら、話をしてくれる姿・・・。
ホントに少年みたいな大人は、…マジヤバい。ヤバすぎて・・・ホント・・・ヤバい。ははっ。
新刊の核になった、別れの話・・・。家族の話。友人の話。歳を重ねる話・・・。
そのうち、何週間前の連載エッセイの中でのタバコとお寿司屋の話・・・。
そして食べ物の話・・・「虚栄舌」の話。
「昔は、沢山の人が集まるときは、ドカッと中華料理だった」をかわきりに、
中華料理の醍醐味の話になった・・・。
小皿懐石のような中華が嫌いなわけではない。酒のつまみには最高だとの話・・・。
でも、たまには、大皿に豪快に盛られた迫力の料理を沢山の家族や仲間達と共に、
ワイワイ言いながら、笑いながら味わう楽しみを持ちたいとの話。
・・・で、
最近食べた、秀逸な一品。
姜汁茄子 (揚げ茄子の生姜ソースがけ)・・・の話。たまらない話だ・・・。
・・・。・・・。・・・。
私の中で、中華料理は祝いのお料理だ。
祝い事、幸せ事で、見知った人達が集まり、よりよい親睦を正に深める料理。
大皿に盛られた色彩豊かな技の味わい達は、
その見た目、香り、熱気で卓を取り囲む全ての人達を笑顔に導く。
大人も子供も、クルクルと回る円が止まるたびに、自分の取り皿に好みの味だけ取り分ける。
楽しくて美味しい。
自然と会話もはずみ、声もだんだんと大きくなる。
卓が埋め尽くす小皿に占領される頃には、
空間に笑い声が、こだまか輪唱か、響きわたる。
必ず心地よい汗が少しにじみ、心地よい満腹感と、人と人との共有感に安堵する。
大皿に盛られた色彩豊かな技の味わい達は、人の心も彩付かせる。
・・・。・・・。・・・。
昔、フリーの編集者をしている友達に、
「今、縁あって担当している作家さんなんだけど、もう一回飛べそうなんだけど・・・どうしたらイイ?」
と、中華料理店で円卓をグルんグルん回している時に、相談された。
ドサッと大皿に盛られた、赤くツヤツヤの海に泳ぐ輝くエビやら、
緑とお肉の細切りが、月明かりのような色で手ぐすね引いている歯ごたえさんとか、
スケルトンに魅せる向こう側に、甘い味噌と、日焼け以上、丸コゲ未満の味わいを包んだお方・・・。
皆々様を勝手に競うように、ワシワシと食べながら、話半分で聞いていた。
結論は、「ちょっと仕事、手伝って欲しい」。
結構、シリアスなトーンの話だったけど、なんか、そこの事務所のお茶くみとか、そんな感じだと軽く考えていた。
ただ、イメージがダンディーで有名な作家先生が、ホントはどんなだかミーハー興味があったから、
ヒョコヒョコ着いていった・・・だけだった。
しかし・・・。・・・そんだら、まんず、ひやかしとかではなく、マジで、ネタ出しとガッツリと編集の仕事だった・・・。ははっ。
初日から何か、渡される添削前の生の未整理原稿が、
全部、説教臭いか、ダメ人間ぷりが鼻に付く文章のオンパレード・・・。
世代間とかでは全然説明できない・・・。
引きずり感満載のボロボロで、プンプン臭すぎる昭和丸出しの・・・ただの羅列・・・。
しかも、登場人物が全員、全く、ちっとも、全然、踊っていない・・・。
てっ言うか、踊らない文章なんて誰が読むんだ?
疑問しか湧かない生原稿・・・。数日で飽き飽きで、へきへきになってしまった・・・。
例えば、確か、こんな話・・・。
学生時代に彼女の妊娠で入籍した。長女の後、次の年次女も生まれた。
生活のために、大学を辞めて働き出す。
先輩と地元の知り合いや伝手を頼っての日々・・・。
段々と若さだけの勢いが落ちて行き、後戻りができないことに気づきだす。
・・・だったら・・・代わりに、全てを終わりにしようか・・・。そんな事ばかり考える・・・。
考えても、思っても、迫りくる現実。金に縛られる日々が続く。
だんだんと全てが嫌になり、行ききってしまい、壊れ、そして何も感じなくなる・・・。
酒とギャンブルと、言い訳のように、出会ってしまった光り輝く女性に溺れていく・・・。
その後。
奥さんと子供と別れて、10年が過ぎた・・・。
ある日、下の子供が高校に入学したと別れた妻から連絡が来た。
「一度、ちゃんと父親と話して、顔を見たい」と、
どうしてもとの懇願らしい・・・。母親も困っていると・・・。
迷ったけど、「二人の娘と会うこと」を承諾した。
娘二人と会う当日、雀荘に電話がかかってくる。
「約束の時間になったけど、今どこに居るの?」・・・と。
別れた妻から雀荘に・・・「・・・今、どこ?」と。
抜け出す切っ掛けも無く・・・今だ、乱れた生活は続いている。
ちょっと走って約束の中華料理店に行くのに、若い時に感じなかったほどの、苦しさを感じる。
倒れそうになるほど息が苦しいのは、歳を重ねたからか、背負う人の思いが重すぎるのか・・・。
待ち合わせの中華料理店。玄関で別れた妻が待っていた。
「中に居ます」と言いながら、折りたたんだ3万円をそっと手に握らせてきた・・・。
「お前は、一緒に食べないのか?」と言う間もなく、
「帰りは、家まで送って来て下さい」とだけ言うと、別れた妻は、くるっと踵を返して去ってしまった・・・。
中華料理店に入ると、席に着くや否や、食事を頼む前から一方的に娘二人に話をした。
人生とは。学校とは。勉強とは・・・。説教・・・と取られても・・・。
「・・・何でも頼め」と言ったが、
チャーハンやラーメン・・・。
3人で1万円もかからなかった。
酒も飲まず、一時間半、一方的に娘に向かって話をした。
会計を済まして、呼んでもらったタクシーに娘を乗せ、長女に1万円渡して、
「ほら、タクシー代。おつりは、2人で分けるなり、母親に返すなり好きにしろ」
そして、浮いた1万円を握りしめ、元居た雀荘に向かう・・・。
・・・救いようがない話だ。無頼とか武闘とか排他的自小説とか・・・正直、吐きそうな話・・・。
私の勝手な思い込みで、楽しい家族の象徴のような中華料理店を
キモいアクセントに使っているのも、腹立だしかった。
排他的ネガティブを文学の深さとか、人の薄ら暗い真実みたいに書くのは、マジで勘違いだ。
道で車にひかれた〇〇の死骸を瞬間的に見せられているようだ。気分が悪い。
食事は、家族や愛する人との大切な時間・・・。
そんな空間さえも、作れないのは・・・誰かのせいなのか?
その時、身体ばかり大きくて、無知で子供の私は、救いようがない話を文字でつづるのは、本当に嫌だった。
単純にhappyじゃないことを伝える意味が分からなかった。
自分の嫌なことは自分の中で消化しろ。他人に無造作に、passを渡すな・・・。
汚い文章の味わいは、すべからく不味い。
だから・・・、
・・・。・・・私は物語の最後を変えた。
・・・。
タクシーを見送る。
後ろのガラス越しに娘二人が私を振り返り、じっと見ていた。
その視線に気づいてしまったら、雀荘に向かって歩き出す一歩が止まった。
徐々に遠ざかるタクシー。視界が、にじみだした・・・。
・・・と。変えてしまった。・・・やってもーた。
で、・・・読んだ作家先生がブチ切れして、当然、書いた本人の意図を読み取れない私は、結局退場・・・。ははっ。
・・・。・・・でも、雑誌には、・・・私の改訂版が載っていた・・・。
・・・。
私が、編集の手伝いを辞めた後、
時がそれほど経たずに、友達の編集者の読み通り、作家先生は再ブレークした。
・・・。・・・。・・・。
中華料理店の個室は、和食やフランス料理店のような緊張感とかとは、何かが違う空気が流れている。
個室だから、数人の規模だから、対面する人の息遣いとか、気遣い、想い遣い・・・。そんな感じが伝わってくる。
だから、こその中華料理。
冷め気味のカラフルさや、銀食器の冷やかさではなく、
熱々、出来立ての気ぜわしさ。
「はい。はい! 出来たてを食べないと、美味しさが逃げちゃうよ~」
少し、せかされて食べるくらいが丁度いい。
そのほうが、食べながら話す小難しい話も、パパっと解決する感じするから。ははっ。
業界は狭く、息苦しさもあったりもする。
でも、その世界にどっぷり浸かる者にとって、
それは家族間の行き違いとか、兄弟喧嘩のような苦しさというか、ただ酸っぱい苦々しさだったりする。
だから一息入れる時や、息の継ぎ足しの合間に
「ごめん」と挟めば、
息が長く続く方も、それを受け入れることが出来る。
・・・。
私が、正式に今の会社の一員になったころ、作家先生から手紙をもらった。
便箋にのる綺麗に座った文字だけで、男としての魅力が溢れていた。
内容は、両親を大事にして会社を盛り立てろ的な激励文だった。
変な謝罪文や、自説を曲げるような気の抜けた話じゃなくて、
勢いのある叱咤激励・・・だったのが、・・・やっぱり・・・ぽくて、はははっ。大好感を持てた。
その後、フリーの編集者の友達の仲立ちで、
新刊の宣伝とかイロイロと私なりのお手伝いが、また出来るような関係になれた。
私も少しは大人になり、感情的に言い放つことも少なくなった・・・と思う。へへっ。
作家先生のお側にいて、何かと話をして飲みのお供もしたら、
会社のOBだったり映像関連やCM制作も先輩だったことを知り、
当時のエピソードとか面白い話を沢山聞かせてもらえた。良い時間を頂いた。感謝しかない。
・・・。
福島市 「中国四川料理 石林」
福島に住む私の愛すべき師匠も、とうとう高校生になる。
合格発表前に、お祝いの予約をする。
でも、一度も入ったことのないお店は・・・心配。
だから、親友と二人で、夕食のためだけに、新幹線に乗り食べに来た。
階段を上がると黄金の龍のお出迎え・・・。
そこに、お客さんが祈るのか、無造作にお賽銭が所々にそっと置かれている。
お店に通うお客さんの思いなのか、その土地でのお店の愛され方を感じる~♡
豚肉の湯引きガーリックピリ辛ソースがけ
小海老のチリソースケチャップ味炒め
蟹肉のスクランブルエッグ
北京ダック6切れ
牛肉の黒胡椒炒め
酢豚黒酢味
五目タンメン
そして、
揚げ茄子の生姜ソースかけ
普段、「男が食い物にゴチャゴチャ言うなんて・・・」と言う、作家先生が、衝撃を受けた、一品。
揚げ茄子の生姜ソースがけ (姜汁茄子) ・・・。はぁ~ん~♡
もぅ~たまらない美味しさ。
正に、
酒でも、飯でも・・・。槍でも鉄砲でも持って来いの旨さだ!
・・・。・・・。・・・。
椅子に深く腰掛けて、透明すぎる拭きムラなどないガラス窓を背にして、けやき通りを見ている。
左手はポケット。テーブルに乗せた右手の側はコーヒーカップ。
放たれているオーラの周りに、タバコの煙も微かに見える。さすが~。作家先生様~♡
ビル内の入り口を通り、多分テラス席に居るだろうとの思いが、
向けている視線の先にその姿を捉えてしまうと、
自然に進む足どりが、ゆるやかになり、止まってしまう・・・。
そして、見入ってしまう・・・。そこに居る姿を。
多分、70歳に程なく届くはずなのに、長身でスリムなのは変わらないけど、マジで絵になる姿・・・。
ただ、座っているだけなのに・・・。空間が歪むほどの圧が凄い・・・。
ははっ。男はこうじゃないとね~。
孫と祖父ほど歳は離れているのに、・・・たまらないほどの、男を感じる。
良い意味で、現役感が半端ない~♡
一度だけ、お酒のガンガン回った席で、作家先生に
「そう何度も美人をものにする秘訣は何ですか?」と聞いたことがある。
少年ぽく笑った顔で、
「二の足を踏んで誰も行かないなら、『俺が行ってやる』の精神だよ。・・・それが、俺の流儀だ」
そう、言った~♡。うふっ♡