パコ崎ミャ子さんが投稿したBISTRO SUZUKI(福島/曽根田)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

パコ崎ミャ子は、どうすればイイ?

メッセージを送る

パコ崎ミャ子 (東京都) 認証済

この口コミは、パコ崎ミャ子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

BISTRO SUZUKI福島、曽根田/ビストロ、洋食

1

  • 昼の点数:4.9

    • ¥4,000~¥4,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2015/04 訪問

  • 昼の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

この店でチョコレートケーキを食べないと、今日の私は終われない。

仕事もプライベートもどん詰まり。
思い立って、昔、担当した先生に会いたくなり、わずか1時間だけの再会のために福島に来てしまった。
もともと、物を書く仕事は、頼まれてしょうがなくしていたのは知っていたけど、
その才能が埋もれてしまうのは、とても惜しい。
でも、今は別の才能で更に多くの人を引き付けている。
私もその一人だけど・・・。
結局、1時間では何の思いも伝えられずに、10年前の新人のように「はい、はい。」と小声で言うだけ。
正直、こうなると思っていたが、へこむ。へこむ。
核心を捉えない会話のメインは、なぜかフランス料理・・・。
フランス文学専攻だった私に気を使ってなのか、でもそのことは話したことがなかったはず。
昔から、不思議に何でも見透かされている。そこが心地よいのだが・・・。

短期留学と観光で一年行っていたフランスでは、
料理の出来不出来も最後のデザートで、評価が乱交下する。
だからどんな店でも、そこに行けば得意のパイやケーキを持っていて、
おすすめが必ずあり、心から楽しませてくれる。
それが名店の証。フランス料理の本物の証。
「だから、フランス料理とはデザートをいかに食べさせるかが、コースの善し悪し。」
とその時に学んだ。

別れ際、肉しか食べなかった先生が、激オシしてくる ピストロスズキ
知らない土地で場所を聞き、後顧の憂いを断ち切るために、溜息と共に入店。

L字カウンターのど真ん中で頂いたのは、ランチコースとわがままデザート。
地産地消を掲げての料理は、一品目から目に麗しい。

一目、視て
「あっ、分かっている。」
感嘆の準備を体が始め出す。

サラダは荒く手で割いた野菜とホタテ。日本での遭遇が異常に多く、実はフランスでは地方によりあまり食べない、バルサミコ酢ではなく、なんとイチジクの酢を使ったドレッシング。味の濃い、野性味の中に滋味が溢れる野菜には、このイチジクのドレッシングが最上の味と香りに引き立ててくれる。シャクシャクと噛む度に、頬の筋肉が脳に美味しい合図として小さくリズムを送り出す。

スープは、濃厚ポタージュ。美味しい。カップもスープもほんのり暖かくて、最高の味の演出をしてくれている。日本人は汁物と言えば、キンキンに熱くしなくちゃと言う人もいるけど、素材の味や風味を感じるには適温があるはず。今回の根菜を丁寧に下越ししたスープは、唇にほんのり温かく、舌の上に乗せてもやけどせずに形を作れるくらいでまさにベスト。こうなると、コンソメも味わいたい。多分、すっきり澄んだ、アクも旨みも味さえも取りきっり、日本に間違って伝わった流行りのアメリカンなものではなく、表面にスプーンを入れた時に少し抵抗の強い、濃いコンソメだと勝手に期待してしまう。

前菜には、ホッキ貝のキッシュ。ナイフがすっと2センチ入り、そこからパイ生地がサクっと切れ、白磁の皿にカチッと当たる。切った断面からほのかに湯気と磯の香りが立ち上がる。頬がほころぶ。一口食べると薄味かなと感じたけど、歯がホッキ貝を捉え出すと、塩味が、いやいや潮味が溢れて、噛む度にだんだん大きくなる旨みの波が、速度を増し押し寄せてくる。思わず、「あっー」と声が漏れてしまう。目の奥の方がとろけ出す。そのまま瞼を閉じて浸り続けたい。

メインには牛のステーキを別注。パリのプシュリ肉屋はどこも立派で、光沢のある赤い肉が花屋より鮮やかに陳列されている。その中から客の注文に合わせて肉を切り出す店員は、見事なナイフさばきで客の欲求を満たしていく。その光景を見れば、フランス人は肉食だと痛感する。それに憧れる今日の私はやっぱり肉をステーキを食べたい。もっか絶賛婚活中の身にはやはりステーキでしょう。この時間は絶対に異論は認めない。ガルル
出てきたステーキは、グリル鉄板で焼かれた、焼き目と香りすら美しい一品。フライパンとバターで焼いてしまうと油ぽくなり、最後の一口に到達する前に、肉にまとわりついたしつこさに飽きてしまう。でも、今口の中にあるステーキは違う。柔らかい肉質に、醤油風味のソースが最高。鼻を通る香りが漏れるのも勿体無い。フランス料理のソースもいいけど、日本人なら醤油なんだな。やっぱり。サーブされたパンも、もっちりしていてソースにピッタリ。何個でも食べてしまう。荒いライ麦の香りを楽しみたいのに、勝手に胃の中に消えていってしまう。肉、パン、肉、パン。この流れ作業が仕事なら転職したい。10年やり続けても、愚痴一つなく、この仕事の素晴らしさしか語れない人になれると思う。

しかし、ここのシェフは「分かっている」。
心にしみる料理は、食べる者の準備も必ず必要だけど、準備不足の私にさえ、
「あなたのことは分かっている」
料理で語りかけてくれる。泣きそうになる
本当に失礼だが、福島でここまでフランス料理本来のあの暖かさに会えるとは、
正直、驚愕を超えて、ノリだけで、川向こうに意識が渡ってしまうほどだ。

デザートは、わがままチョコレートケーキとたっぷり生クリーム。それと挽きたてコーヒー。
先生おすすめチョコレートケーキは、ガトーショコラタイプで濃厚。しっとりと体温と調和し、脳の真の部分に伝わる。これは美味しいし、うーん確かに美味しい。全ての料理の最後に、こんな口と一体化する濃厚なデザートは、虫歯なんて些細なことだと認識を狂わす。絶対に断ることが不可能な、悪魔からの魅惑のアプローチ。全身がしびれる美味しさに浸りながら、頭の中で、「心配ご無用。先生の本職は○○〇。コネを使って直してもらうから。」と妄想とも幻想ともつかない考えが、ぐるぐる回ってしまう。

気づけば、残り少なくなったチョコレートケーキを大事に大事に、
少しずつフォークで、それこそ大事にこそいで食べている。
このケーキが無くなった時、
私の憂いも無くなっているといいな
そう思いながら、ゆっくりゆっくり味わう。

人が生きていると、必ず来る節目というか分岐点というか、
選択によっては、後から後悔するような時期。
食べる行為は、前向きにしてくれる。それが美味しいものなら、強く背中を押してくれる。
決めるのは自分であっても、応援してくれる何かがあれば、より前に進む勇気をもらえる
福島での出会い、めぐり合わせは自分から動いたから。
悩んでも留まっても、そこから動き出す一歩の大事さが身にしみた。

「分かっている」シェフへ
御馳走様でした。

2015/06/17 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ