Shu-TSUTAさんが投稿した瓢亭 本店(京都/蹴上)の口コミ詳細

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瓢亭 本店蹴上、東山/日本料理

1

  • 昼の点数:4.6

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク -
1回目

2019/06 訪問

  • 昼の点数:4.6

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【京都蹴上】日本文化の体現者、食事以上のものがここにある。

結婚記念日(うちは年に二回ある)に、主人が予約してくれたお店。
瓢亭さん。
もちろん存じておりました。

お店に到着した際には、
おーーー、とうとう瓢亭に来ることになったかあ〜と感慨深く。
朝粥が有名ですが、お昼の懐石をいただきます。

まあ、とにかく玄関から食事をする小屋のようなところまでのアプローチに絶句。
なんという美しさ。石畳、その見事な日本庭園。

この梅雨入り前の時期に、東山からの涼しい風とみずみずしい空気が相まって、
新緑の葉に露を忍ばせております。

着物を着た給仕さんが振り返り振り返りしながら少しずつそのお庭を進み、
案内してくれた先は、一組ごとに貸し切り状態のお茶室のような小屋。

なんという贅沢な。
中に入ると男性だと完全に立ち上がることはできない天井の低さ。
お茶室のようです。

古めかしい木造と茅葺屋根の建物。
中に入ると2部屋あり、奥の部屋で食事をいただきます。
テーブルもありません。

今積んできたばかりといわんばかりの季節の花が花瓶にさされて持ってこられ、私達の前で飾られます。その奥には季節の句を記した掛け軸。

主人いわく、千利休のいうお茶室では掛け軸とお花以外の装飾品はおかず、侘び寂びを楽しむとのことです。

開き窓が放たれると、新緑の緑のお庭と水の音。
時折晴れ間がでると、水がテラテラと緑の葉々を照らし、なんとも美しいお昼間です。
夜や朝もいいけれど、もしかするとお昼の懐石が一番、お庭を楽しめてお得なのかもしれません。

さて、食事はどれも王道の和食です。
奇抜なものがなく、
この季節に出すべきものをすべて出してくださる。
鮎、青梅、鱧。

いつもこの時期に結婚記念日の食事をしているので
毎年鮎、鱧を頂いておりますが、
瓢亭さんはしっかりと間違いのない調理をし、
最高の状態で食材を頂いているような感じです。
おもすぎず、かるすぎず、日本の文化をしっかりそのまま受け継ごうという姿勢が伺えます。

わたくしが驚きましたのは最後にご飯と一緒にでてきたお茶。
湯呑です。

男性用と女性用の湯呑の、柄は同じながらも、その大きさが全く違うのです。
これをみてかわいいと感じ、そこに日本の文化を感じたのは私が日本人だからでしょう。

もし海外のフェミニズムの方がみると「なんという差別」とも取られかねないものですが、
日本の文化とはそういうもの。
昔からあったそういった感覚をそのまま、形として残し、
「これをうちは長年やってきとります」といわんばかりに堂々とした所作でお茶を注ぐ女将。

女将はこのお茶を入れにだけ、登場されるのですが、
「ぶぶはここにおいておりますので」と京都弁で案内されるその存在がまた、この空間のテーマパークぶりを象徴しております。

ああ、ここには食事を食べに来たのではない。
本物の日本文化を体験しにきたんだ。
テーマパークなんだ。

女将のここでしか聞けない京都弁を聞き、そう思った次第でございます。

お食事はもちろんおいしかったのです。
しかしここの魅力は違うところにあるといっていいでしょう。

京都のど真ん中、東山からの風が通り抜けるこの場所で、こんなに立派な広い庭園が隠れていることを誰が想像するでしょう。
何年にたてられたかもわからない茶室が何棟かあることを、
だれが想像するでしょう。

そしてその侘び寂びを感じる茶室から、立派な庭園を見て四季を感じ、
そして畳に正座をして食べる懐石。
今回わたくしははじめて「侘び寂びとはなんぞや」を少し理解できた気がするのです。

そんな2時間強のすべてに、「経験」にお金を払っているんだと感じました。


一人23000円...
主人から聞いたときはびっくりいたしましたが、
納得のお値段でございます。。

2019/06/18 更新

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