本日は2食のみいただきます。1軒目が予約不可で一日中行列の大人気店なので、開店の10時の一回転目を目指し、ブランチとしていただきました。
世界一安いミシュラン☆付きとして名を馳せた点心専門店「添好運」が目的地です。世界初の三つ星中華「龍景軒」の点心師の方が作ったお店とのことです。これまで数回通っています。なお、安い☆付きのお店は日本も含めてだいぶ増えましたので、今は世界一安いわけではないと思われます。
ところで、点心と飲茶の違い、香港で観察しての私の印象を以下に書かせていただきます。点心は料理の種類としたときに、では飲茶とは何か、私は香港の重要な文化の一つだととらえています。例えばガイドブックにも載っている「倫敦大酒楼」に休日の朝に訪問してみると、いろんな客層のお客さんがいますが、みなさんあまり食事はしていません。年配の方々は大抵お茶だけを注文して新聞を読んでいます。やがて知り合いがやってくるとおしゃべりをはじめて料理も少しずつ注文します。家族連れも面白いです。小さいお子さんのいるご家族の場合、例えばお父さんと男の子が来ていろいろとお話しをしながら、お母さんが来るまでの準備(お箸をお茶で洗ったり)をします。お母さんは部屋の掃除でもしてから来るのでしょうか、女の子と一緒にやって来る頃には準備はすっかり終わっています。最近は減っているようですがお子さんたちはパジャマで来たりすることもあります。そして家族が揃ったら食事をしながら楽しそうにお話ししています。
これが朝の光景ですから驚きです。住居のエレベーターを降りるとそこにレストランがあるからできるわけですが、香港は日本以上に劣悪な住環境(狭すぎる)なためにかえってこういった食住接近が可能になったのでしょうか。それで結果的に家の外での人と人との交わり合いが発達したのかもしれません。こういったことが長寿世界一の秘訣なのかもなあ、なんてことも思ったりします。
さて「添好運」に戻りますが、ここは人気が高くて長居しづらくまた狭かったりすることもあって、残念ながら必ずしもそういった飲茶をする場所にはなっていません。点心専門店と言っていいでしょう。
ちょっと早めに着いてみると行列がありません。なんでだろうと考えてみたところ、平日に訪問するのは初めてだということに気が付きました。これまでも平日に訪問すべきでした。
今回は5種類注文しました。しめて約1,400円、他のお店の点心より高めですが、それでもやはり安いです。全体的な味の特徴としては甘さが挙げられると思います。ただ、単に甘いわけではなく、味のバリエーションを広げていることが美味しさの秘訣の一つかと思います。
いただいた料理の内容と印象は以下のとおりです。なお、料理名はわかりやすいように意訳しています。
☆蜂蜜味焼豚入り中華風クレープ
焼豚が良いのでしょう。様々な味のバランスがよく、高貴な仕上がりです。
☆オレンジの皮味牛肉ミートボール
酸味がとてもよく合っています。歯応えもいいです。
☆ブラックビーンズ味スペアリブ
油を多用しているのに爽やかです。
☆豚と海老入り潮州式餃子
高級中華の点心となんら変わりません。
☆中華風ピロシキ
甘いですがそれが高貴さにつながっているのでしょうか。
食べ終わってみるとまだいけそう、でも夜になってお腹が空かないと困るのでこの辺りにしておきます。
少し移動して散歩をしていると、とある飲食店の前に長い行列ができています。店名を見ると「甘牌燒鵝」とあります。ガチョウのローストで有名な高級店ヨンキーの創業者のお孫さんが作ったお店で、こちらも☆付きなのに低価格なことで有名です。こちらにもいずれ訪問したいものです。
さて、ディナーはここ数年で一番好きな「香宮」です。六本木にも同じ表記の美味しい広東料理のレストランがありますが、関係はないと思われます。
カオルーン・シャングリラ内にあり中華風バリバリの派手さがありながらも落ち着いた雰囲気です。約23,000円の「料理長のおすすめテイスティングメニュー」をいただきます。
全体的には、このレストランの特徴である創造性が遺憾無く発揮された料理でした。それでも正統派から外れないのは素晴らしいことです。ただ、今回は後述するように味もサービスもこれまでと比較すると劣る部分がありました。
個々のお皿の内容と印象は以下のとおりです。
☆仔豚のロースト南乳風味、日本産帆立貝の四川にんにくソース、フランス産仔鰻の燻製
ここは前菜から素晴らしいです。爽やかなものから味の濃いものまで、どれも違和感のない美味しさです。
☆アラスカ産蟹肉とじゅんさい入り燕の巣のスープ
じゅんさいは日本のものとは異なるようです。あれこれ入っていますしとろみがあるので味がぼやけるかなあと想像しましたが、そんなことはなくまっすぐな美味しさでした。
☆スジアラの切り身のねぎ焼きと翡翠卵白蒸し
これは本日一番のお皿です。写真ではわかりにくいのですが魚の下に目玉焼きの白身の部分みたいなものがあります。これがとても美味しくて、スジアラと一緒にいただくとそのハーモニーは素晴らしいものでした。
☆角切り和牛、百合根、季節の野菜の黒胡椒炒め 鳥の巣バスケット仕立て
これは昨年もいただいたものでその時はとても美味しく感じたのですが、今回は肉の質がやや劣り、香りも弱め、その代わりに味は強めになり、繊細さが損なわれていました。
☆海老とウニ入りチャーハン
ウニはいらないかな。
☆香宮特製3種のデザート盛り合わせ
ここはデザートも美味しいのです。今回はゼリー状のものが良かったです。しかし、出てくるまでに30分以上待たされました。それはそれでもいいのですが、お茶がなくなっても継ぎに来ないし、そもそもサービスの人が足りませんでした。これまではこんなことなかったので残念です。
というわけで、いつも大満足のこちら、今回はいくつか不満を感じたので香港滞在最後のディナーとしては残念でしたが、また次回に期待したいものです。
今回の滞在は残念ながら明日までです。明日ももう少しいただきます。