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1位
7回
2019/02訪問 2019/03/23
訪問日の数日前に予約確認の電話をいただくのですが、その際にメニューを提案していただくことがあります。前々回は干し鮑のご提案をいただきまして、今回は「佛跳牆」のご提案をいただき、二つ返事でお願いしました。
とは言え、お電話いただいた際には中国語の読み(確か広東語のファッティウチョン)でこのスープ名を言われていたため、すぐにこのスープだとわかったわけではありませんでした。「様々な種類の乾物を使って・・・」という説明でやっとわかりました。わたくしは「ぶっ飛びスープ」と呼んでいますが、日本では呼び方が定まっていないようです。
茶禅華さんの凄いところの一つとして、中国本場の料理を次々と本場に遜色のない自身のスペシャリテにしてしまうことが挙げられると思います。開店当初からのスペシャリテである雉のスープや鳩の焼き物は、とびきりの美味しさながらも伝統的な中華料理というよりも創作的なイメージがありました。しかし、開店した年の終わり頃に供された上海蟹は、どこでもそれなりに美味しい紹興酒漬けだけでなく、日本では本場ほどの美味しさを感じることが少ない蒸しものでも本場レベルの美味しさを提供してくれました。そして先に挙げた干し鮑、これも香港でいただく干し鮑にまったく遜色のない美味しさであるどころか、食感やうまみの出し方には個性さえ感じられます。今や茶禅華さんのスペシャリテとなっているのも納得です。
そして今回は「佛跳牆」、直訳すると「仏が壁を飛び越える」でしょうか、名前の由来は「修行僧でさえ美味しそうな香りに壁を乗り越えてくる」と言われています。乾物などを長い時間かけて調理するスープなので今回のコースは税サ抜き36,000円と比較的高額となりましたが、中華料理の奥深い魅力を堪能するには最適の一品ですので、迷いなくお願いすることとしました。
とは言え、わたくしは佛跳牆をいただいた経験がそう多いわけではありません。一応日本と香港でいただいたことはありますが、ほんの数回だけですので上海蟹や干し鮑のように本場との比較はできませんが、感じたことを書かせていただこうかと思います。
なお、今回のコース構成は以下のとおりでして、終盤にパンチのある麻婆豆腐が出てきたものの、全体的には比較的穏やかな内容となっていたかと思います。前回は上海蟹が含まれていながらも後半には豪快な四川料理もいただいたりして、コース全体の流れも毎回変えていただいているようです。今回は佛跳牆以外の料理については特にコメントしませんが、コース全体、そして個々のお皿の満足度が申し分なかったことを申し添えておきたいと思います。
・西施細麺
・酒酔大蝦
・鮟肝皮蛋
・蜜汁叉焼
・柚子海蜇
・香佛跳牆
・清蒸鮑魚
・酸辣肉圓
・葱焼魚翅
・塩炒豆苗
・茶禅鹿肉
このメニュー表の中では6番目に供される佛跳牆、コースの中では前菜の終盤からメインに向けて盛り上げていくアクセルのような位置付けかと思われます。今回はメニュー表以外にも紙を渡されまして、この紙に佛跳牆に使われている素材が記載されています。それら素材は以下のとおりです。
鶏手羽先、キジ腿肉、ヒグマ腿肉、豚肩肉、鹿アキレス腱、干し貝柱、金華ハム、干しワニ肉、生姜、カソウカ、中国モリーユ茸、干し鮑、魚 浮き袋、干しナマコ、フカヒレ、朝鮮人参、干し山芋、干しリュウガン
約20種類、様々な獣肉や代表的な魚介類の乾物が用いられています。土に生える生き物、特に茸類は意外と少ないですね。
写真をご覧いただくとわかりますが、具材がてんこもりです。まずはスープのみをいただいてみましょう。写真ではわかりにくいですが実にクリアなスープです。そのイメージは、極上の和食のお椀の吸い地でしょうか。この段階で感想を聞かれ、上述のとおり答えたところ「シェフとしては和食の炊き合せのイメージです」とのこと、ふむ、ということは、具材と一緒にいただいてみるとより美味しさを感じることができるかと思いそうしてみます。なるほどなるほど、よくわかります。使用されている具材のうまみがうまく絡み合いながらも、それぞれのうまみが抜け切っているわけではなく素材の美味しさは残されています。特に鶏手羽先をいただいた時には、この馴染みのある食材だからこそ様々な乾物のうまみの絡み合いの凄さが感じられ、まさに和食の出汁が効いた炊き合せの絶品の一皿のような美味しさを堪能することができました。
ところで、茶禅華さんは「和魂漢才」といコンセプトを掲げておられます。文字でとらえますと、中国の知恵をツールとして日本の魂をもってして何かを成し遂げる、ということでしょうか。今回いただいた「佛跳牆」はまさにこのコンセプトを体現しているのではないでしょうか。調理技法も使う素材も中華料理そのものですが、いただいて感じるのは極上の中華料理をいただいた際に感じる奥深さと言うより和食をいただいた際に感じる滋味深さです。あるいは、ずしんと押してくる豪快さよりも針の穴を通してくる繊細さ、という感じでしょうか。どうしてそう感じられるのかはわかりませんが、思い返してみると干し鮑をいただいた際に感じたことも同様です。
ということで、この「佛跳牆」、茶禅華さんを代表する一品がまた誕生した、と言えるのではないでしょうか。茶禅華さん、どこまで進化していかれるのでしょうか。
中華料理の特徴とは何でしょうか?
もちろんいろいろあるかとは思いますが、卓越した素材の処理と調理技法により素材のポテンシャルを最大限に引き出すこと、というのがその一つとして挙げられるのではないかと思っています。
例えば乾物です。素材をそのまま使えばいいものを、時間と手間ひまかけて、わざわざ干して、そして戻して、とはなんて無駄なことをしているのだろう、と思えなくもありません。
しかし、そういった乾物のきちんとした料理をいただくと、そういう手間ひまがあるからこそ、この美味しさになっているのだ、ということが実感できると思います。
さてそれでは、中華料理ならではの乾物の料理とは何か?
「鮑参翅肚」の4種類が代表格になりますが、日本で多くの方が馴染みがあるのは3番目の「フカヒレ」ぐらいではないでしょうか。
1番目のアワビ、2番目のナマコはいずれもそれなりに馴染みのある海産物であるものの、「干しアワビ」「干しナマコ」さらに4番目の浮袋となると、召し上がられたことのある方はそう多くはないかと思われます。
その理由はいろいろあるかとは思いまして、お値段がそれなりにする、ということもありますが、手間ひまかかる割に需要がないから、ということも大きいのではないかと思われます。だからメニューに掲載されることも少なくなり、ますます食べる機会が減ってくるのでしょう。
しかし、香港の高級レストランでは干しアワビや干しナマコはまず間違いなくラインナップされており、これらがもう驚くほどの美味しさなのです。
では干しアワビの美味しさとはどういうことか、わたくしは次の2点と考えています。まずは食感、生のものでもアワビは独特の食感がありますが、干しアワビになりますと、歯を跳ね返す弾力のメリハリがより強くなる、そんな印象です。次に味、干しアワビでこそ感じられる独特の奥深いうまみが生まれてくるのと、丹念に煮込まれたソースとの組み合わせが圧巻の美味しさを感じさせてくれるのです。こういった料理をいただくと、まさに中華料理の素晴らしさを体験しているのだなあ、と感じます。なお、干しナマコや浮袋も魅力は異なるもののやはり圧巻の美味しさです。
さて、今回は、予約の最終確認時に「干しアワビはいかがですか?」というお話をいただきました。二つ返事で「是非とも」とお願いしましたが、その理由は、干しアワビを日本でいただける貴重な機会であることと、茶禅華さんなら本場に遜色ない美味しさで提供していただけるだろうと思ったからです。
ということで、いつも以上に楽しみにお伺いしました。
今回いただいたコースの内容は以下のとおりです。なお、干しアワビをいただいたこともあり、税サ抜きで30,000円となりました。飲み物はアルコールとお茶のミックスペアリングで9,000円でした。
・爽口冬瓜(冬瓜、貝柱、じゅんさい)
・紹興香魚(鮎の紹興酒漬け)
・五粮香魚(鮎の白酒揚げ)
・紫蘇海蜇(大連の海月、大葉)
・開水雉湯(雉のスープ)
・三杯鶏腿(三杯鶏の香りのみをまとわせる鶏腿肉、バジル)
・豆豉鯧魚(マナガツオの炭火焼き、仕上げに藁焼き)
・鳳尾茄子(蒸し茄子)
・吉浜干鮑(大船渡、吉浜産の干しアワビ)
・大原鮮鮑(大原産アワビ、フカヒレ、毛蟹)
他に、フルーツトマトと八角、魚香茄子、杏仁豆腐等を出していただきました。
コースの流れとしては、前半は鮎の料理で和の要素がかなり強い感じもしつつも、茄子の料理の仕上げなど、やはり茶禅華さんらしい繊細な中華料理のコースとなっています。メインの干しアワビは見た目は寂しさを感じるかもしれませんが、やはり茶禅華さん、圧巻の美味しさでした。
今回は、個々の料理の印象は干しアワビのみとさせていただきます。まずは食感についてです。供された際に「半分に切って召し上がってください」と言われまして、「干しアワビの食感を楽しむなら細かく刻む方がいいよなあ」と思いながらも半信半疑で半分をぱくっといただきます。なるほどなるほど、一言で言うと本場より柔らかでして、この柔らかさなら半分でいただく理由がわかります。なお、本場より柔らかと言っても単純に柔らかいのではなく、歯を跳ね返す弾力はきちんと残っているのです。これは実に素晴らしく、本場でいただく干しアワビとは異なる魅力です。ではうまみの方はどうかと言いますと、やや薄く感じるものの、濃厚な味付けをしているわけではないので、やはりちょうどいい感じです。というわけで、このシンプルな干しアワビ、まさに本場に遜色のない絶品でして実に美味しくいただきました。
ということで、本場の中華料理の王道中の王道とも言える干しアワビでも茶禅華さんは圧倒的な美味しさを実現してくださいました。なんとまあ、どこまで進化を続けるのでしょうか。
昨年の上海蟹コースはなんとか予約できたものの、ミシュランの2つ☆を獲得したこともあり、それ以降すっかり予約が取れなくなってしまいました。それでもなんとか訪問したいとオンライン予約の状況を日々チェックし、ショートコースながらもなんとか予約が取れました。約3ヶ月ぶりの訪問です。
ショートコース12,000円にお茶とアルコールのミックスペアリング(結果的に8,500円)を組み合わせました。コースの内容は以下のとおりです。なお、メニュー表には漢字四文字の記載のみで、()内は料理内容です。
・青豆豆富(スナップエンドウと豆腐)
・韮黄扇貝(帆立、黄韮、もやし)
・桜蝦春捲(蟹と蕗の薹の春巻き)
・銀耳海蜇(木耳とクラゲの足)
・雉雲呑湯(雉のスープ、広東白菜入り)
・塩焗鶏腿(鶏の腿肉)
・香港烤魚(金目鯛の炭火焼き)
・炒油麦菜(A菜の炒め)
・脆皮鴿子(小鳩の胸肉と腿肉)
・春雷驚龍(毛蟹と菜の花、おこげ)
・今日点心(あまおう、杏仁)
全体的には、やはりとても繊細と感じました。前半はその繊細さを丁寧に紡いでいく流れ、中盤のスペシャリテの雉のスープから後半の小鳩の焼きものと、個々が絶品ながらもその繊細な流れを崩さない、全体的にとても素晴らしい構成でした。
個人的には、初めてこちらを訪問したときと似たような内容だったため、初めて訪問した際の感動を思い起こされました。しかもそのときいただいた料理と同じもの(雉のスープ、金目鯛の炭火焼き、鳩の焼きもの)はパワーアップしているのが素晴らしいです。
以下はいくつかの料理の内容や印象です。
☆青豆豆富(スナップエンドウと豆腐)
スナップエンドウがこのように中身だけで供されるのはあまりないと思います。この食感が絶妙でとても心地よく、素晴らしいスタートです。
☆韮黄扇貝(帆立、黄韮、もやし)
帆立の食感は硬めでして、柔らかい方が美味しいのでは?という先入感を覆してくれました。何かの香辛料でしょうか、ほのかな中華っぽい香りがします。
☆桜蝦春捲(蟹と蕗の薹の春巻き)
中身は均一にしておらず、味わっていくうちに蕗の薹の苦さが感じられるように工夫されています。
☆銀耳海蜇(木耳とクラゲの足)
クラゲの足は中華料理でよくあるクラゲとは食感は異なり、表面がざらざらしているのとさくっとした歯応えが心地よいです。
☆雉雲呑湯(雉のスープ、広東白菜入り)
ふたを開けたときに感じる素晴らしい香り、なんだかこれまで以上にはっきりと感じられました。本当に滋味深くて素晴らしいスープです。
☆塩焗鶏腿(鶏の腿肉)
葱と香菜が真ん中に仕込まれています。なんてことない料理のように想像されるのですが、うまみがぎゅっと閉じ込められていてとても美味しいのです。もちろん火入れも素晴らしいです。
☆香港烤魚(金目鯛の炭火焼き)
2.3kgの金目鯛を12日熟成させたものとのことです。火入れが圧倒的に素晴らしく、もう言うことなしです。初回にもいただいて火入れの素晴らしさに驚かされましたが、どこまでも進化していくようです。
☆脆皮鴿子(小鳩の胸肉と腿肉)
こちらも素晴らしいスペシャリテ、今はベストの火入れを狙って胸肉と腿肉が別に供されます。特に噛むと肉汁が飛び出してくるような腿肉はやはり絶品です。食べていてよだれがどんどん出てくるような美味しさを感じていました。
☆春雷驚龍(毛蟹と菜の花、おこげ)
この料理の四文字メニュー「春雷驚龍」は熱々の毛蟹と菜の花をおこげの上にかける音を漢字で表しているわけです。味はさっぱりとしていて〆として最適と思います。
これまで何度か訪問させていただいた茶禅華さん、今回は11,12月限定の上海蟹コースということで、いつになく楽しみにお伺いしました。
個人的な話で恐縮ですが、上海蟹を初めていただいたのは十数年前でしょうか、香港の上海料理店で上海蟹尽くしのコースをいただき、特に蒸し上海蟹にほっぺたが落ちるかの美味しさを感じました。それからしばらくは毎年のようにそのお店でいただいていたものの、香港を訪問できるほどの連続した休暇を冬季に取得することが難しくなってからは日本で上海蟹をいただいています。
日本での上海蟹の印象については、漬けはそれなりに美味しいお店もありますが、韓国料理のカンジャンケジャンの方がコスパがいいなあと思ったり、蒸しは残念ながら日本では美味しいと感じたことがあまりありません。さて、こちらではいかがでしょうか。
今回いただいた上海蟹コースは税サ抜きで23,000円です。内容は以下のとおりです。なお、これまでは日本語メニューが記載されたメニュー表をお渡しいただいていましたが、今回は漢字の記載しかありませんので、記憶しているメニュー内容となります。
・岩茶奇蘭(岩茶入り素麺)
・酔大閘蟹(紹興酒漬け酔っ払い上海蟹)
・雪菜百頁(干し豆腐)
・雉雲呑湯(雉のスープ)
・脆皮魚捲(?の北京ダック風)
・醋椒活魚(確か尾長鯛の焼き物)
・鴛鴦蒸蟹(オスメス蒸し上海蟹)
・毛蟹魚翅(フカヒレの煮込み上海蟹入り)
・炒青江菜(青梗菜の炒め)
・茶禅烤鴨(鴨の焼き物)
・清湯蟹麺(上海蟹入り麺)
・普洱布蕾(プーアール茶味クレームブリュレ)
・柚子杏仁(柚子と杏仁のアイス)
・普洱湯圓(生姜プーアール茶と白玉)
全体的には、これまで以上に素晴らしい内容と感じました。全てのお皿で調理も味付けも理想のように思えます。コースの流れとしては、上海蟹を主役に据えるのではなくあくまでメインは別のもの(今回は鴨)でして、随所に登場する上海蟹は主役にされても十分の美味しさであっても他も美味しいので傑出することはなく、コースの流れが実にスムーズに感じました。
下の方に詳細は書きますが、漬けだけでなく蒸し上海蟹は適切な蒸し状態で、これまで日本でいただいてきた蒸し上海蟹よりはるかに美味しくいただくことができました。
それにしてもたいそうな人気店になってしまっています。今回はなんとか予約が取れましたが、ミシュランガイドの2つ星を獲得した影響もあるのか、もう予約がとても取れそうにない状況になってしまっています。今年は何度か訪問できましたが、来年は訪問できるのかどうか、心配ではあります。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆酔大閘蟹(紹興酒漬け酔っ払い上海蟹)
これは他店もなかなかなので傑出した美味しさとまではいきませんが、さすが茶禅華さん、きちんと美味しいです。
☆雉雲呑湯(雉のスープ)
スペシャリテの雉のスープの雲呑に上海蟹が入っています。上海蟹を感じたのはスープの方でして、ごくごくほのかな感じ、たまりません。
☆鴛鴦蒸蟹(オスメス蒸し上海蟹)
これは素晴らしいです。日本でこのレベルの蒸し上海蟹に出会ったことはありませんし、香港の上海料理店にも負けない美味しさです。味噌や白子の美味しさを損なわない適切な蒸し状態、オスとメスを組み合わせて美味しさを重層的に堪能させるという工夫、絶品です。
☆毛蟹魚翅(フカヒレの煮込み上海蟹入り)
フカヒレの煮込みが強い味だと上海蟹が入るとくどくなると思うのですが、バランスは秀逸です。もしかしたら煮込みの味を調節しているのかもしれません。
☆茶禅烤鴨(鴨の焼き物)
これは新作とのことで、抜群な火入れより味付けを重視しているように思える、茶禅華さんとしてはやや冒険的なお皿です。ソースは腐乳、奥には確か里芋が添えられています。一つずつ味を加えながら食べて欲しいとのことですのでそうしてみます。正直言いますと、鴨だけ、鴨プラス腐乳ではぴんと来なかったのですが、芋まで混ぜると絶妙の美味しさです。ただ、このお皿が茶禅華さんらしいかと言うと、ちょっとまだ消化できていません。ただ、来年の茶禅華さんの進化を予測させるお皿だなとは感じました。
☆清湯蟹麺(上海蟹入り麺)
これも上海蟹はほのかに香るだけですが、それがいいのです。
☆普洱湯圓(生姜プーアール茶と白玉)
香港で上海蟹をいただくと、いつも生姜と白玉が入っているお茶が出てきて、なんだろうこれはと思っていたのですが、上海蟹は体を冷やす食材であるので、生姜で温めて相殺する、という効果だそうです。いやあ、よく研究されていますね。
3回目のこちら、どのお皿も素晴らしいことはもうわかっています。今回は特にメインの前の3皿が怒涛の素晴らしさでした。いずれも創造性が感じられ、香港のような中華料理の本場のレストランに出てきたらかなり話題になりそうなお皿かな、と個人的には感じました。味は濃厚で、ぐいぐいと引き込まれていく、そんな感じがしました。前回の全体的に包み込むような感じとは対照的です。以下がその3皿の印象です。
☆スッポンをつめた南部鶏
見た目ではわかりませんが、中には刻んだスッポンとか野菜とかいろいろ入っています。食感的にはあえて例えるならハンバーグとか餃子とかそういった感じでしょうか。味はうまみたっぷりながら調和している感じもありとても美味しいです。香りもいかにも中華、という感じで食欲をそそられます。
☆ふかひれと黒鮑の煮込み
これはどちらかと言うと黒鮑が主人公と感じました。前回いただいたふかひれの姿煮も素晴らしかったのですが、こちらも鮑のうまみと濃厚なスープがぴったり合っています。
☆赤むつ(のどぐろ)の焼き物 発酵トマト
火入れはいつものように完璧です。味付けはかなり濃厚かつ少々辛めです。のどぐろとしては淡白に仕上げてあるようで、味付けと戦わずに上手く調和しています。
なお、今回もドリンクはアルコールとお茶のミックスペアリングをいただきまして、特にこれら3皿の濃厚さに合わせてくださった飲み物はかなりのぴったり感でした。飲み物単独でいただくとちょっと違うかなと感じても、お皿をいただいてからもう一度飲むとぴったりと来る、この感覚を生み出すペアリングが板についてきているような気がします。
1ヶ月ほど前に初訪問したこちら、その際はショートコースをいただきましたが、最高に美味しかったのでフルコースをいただきたく、再訪しました。予約は公式HPからです。
コースは税サ抜き18,000円、これにアルコールとお茶のミックスペアリング(結果的には9,000円)を組み合わせました。コースの内容は以下のとおりです。
・アオリイカの翡翠和え
・毛蟹を絹笠茸に詰めて
・アカザエビ紹興酒漬け
・車海老真丈の春巻
・雉の極上スープ 雲呑添え とうもろこしの香り
・鶏腿肉の黒胡椒焼き
・ふかひれ姿煮
・マナガツオの焼き物 葱と生姜
・千葉 中台菜園 広東白菜の瞬間炒め
・小鳩 胸肉 台湾香辛料《馬告》焼き 腿肉 五香脆皮仕立て
・担々麺
・青梅のシロップ煮
・杏仁豆腐 二つの温度で
全体的には、前回同様、圧倒されるレベルの美味しさでした。昼のショートコースより品数が多いこともあり、どのお皿も素晴らしい中での緩急が楽しめました。
雉のスープや小鳩の焼き物は前回と同じ(スープはクレソンの代わりにとうもろこし)で極上の美味しさを再び堪能し、こちらでは初めていただくアカザエビ、マナガツオや鶏腿肉も同様に極上の美味しさと感じました。
ドリンクのペアリングもアルコール、お茶ともに素晴らしいです。個人的には毎日中国茶を飲んでいることから、どんな中国茶をいただけるかについては特に気になるところでして、熟成が進んだ鉄観音(だったかな)の深い香り、デザートのタイミングで供される甘い烏龍茶(確か)には感動しました。
サービスも極上ですが、常連になると少し変わって来るのではないか、という気もするので、(常連になれるかどうかは別として)今後も楽しみです。
食べログの点数が4点をはるかに超えていると、予約困難であったり紹介制であったりで訪問の機会がなかなかありませんが、こちらはこの文章を書いている時点で4.44点の高得点であっても今のところ予約を取りやすいのがありがたいことです。
以下、いくつかの料理の印象です。
☆毛蟹を絹笠茸に詰めて
絹笠茸は香港なんかでいただくとかなり柔らかめですが、これはシャキシャキに仕上げてあります。なかなか新鮮に感じながら美味しくいただきました。
☆アカザエビ紹興酒漬け
実に繊細です。アカザエビのプリプリの仕上げも最高に素晴らしく、紹興酒の味付けも甘すぎたりせずに絶妙なバランスです。このメニュー名から想像する美味しさを上回っています。
☆雉の極上スープ 雲呑添え とうもろこしの香り
滋味深い、という言葉がこれほど適切に感じられるスープはなかなかありません。前回はクレソンが加えてあったのがとうもろこしに代わり、やや印象は変わりましたが、とにかく美味しいです。
☆鶏腿肉の黒胡椒焼き
これはありがちなお皿かと思いましたが、いただいてみると美味しいのなんのって、やはり火入れが最高で歯ごたえがとても心地よいのと、旨味がぎゅっと閉じ込められているのを感じました。
☆ふかひれ姿煮
これは一般的な中華料理のメニューですので、もしかしたら何かひねりを入れてくるかと勝手に想像しましたが、そんなことはなく直球勝負です。かなり濃厚なソースでして、このタイプですと「臥龍居」や「華都飯店」の味が気に入っているのですが、甲乙付け難い美味しさでした。こうやって一般的なメニューをいただいても料理長の実力をはっきりと認識することができます。
☆マナガツオの焼き物 葱と生姜
前回は金目鯛をいただきまして最高の火入れに圧倒されたのですが、今回はマナガツオ、異なる種類ですので前回程の美味しさではないかもな、とあまり期待はしませんでしたが、見事に美味しく仕上げています。やはり火入れはびっくりするほどの素晴らしさ、信じられないほどの極上の食感に大満足です。
☆小鳩 胸肉 台湾香辛料《馬告》焼き 腿肉 五香脆皮仕立て
数あるスペシャリテ的な存在のメニューの中、このメニューはこちらのレストランの看板メニューと言ってもいいのではないでしょうか。とにかく火入れが素晴らしく、肉のジューシー感、皮のパリパリ感、ともに最高で、口の中でお祭りでも開かれているのではないかと思える華やかさも感じます。
中華料理のレストランでは最近メディアに登場することが多いこちら、食べ友が是非行ってみたいとのことで、食べログのページからWeb予約(残念ながら今はできないようですが、公式HPではWeb予約が可能になっています)しました。
いただいたのは、土曜日ランチの税サ抜き12,000円のショートコースです。内容は以下のとおりです。なお、写真にはありませんが一緒に5,500円のお茶ペアリングをいただいています。
☆くらげ
アオサやとろろ昆布が和えられていて、くらげの食感もよく、最初から美味しいです。
☆叉焼
甘い味付けです。
☆雉の極上スープ 雲呑添え
雉の出汁を使っているとのことでして、滋味深くとても美味しかったです。クレソンもいい具合のアクセントになっています。香港でいただく極上の広東料理のスープと比較してもまったく遜色ないレベルでして、日本の中華料理のレストランでこのレベルのスープに出会えるとはなんと嬉しいことでしょう。
☆梅山豚 四川の香り炒め
香り付けと味付けで2種類の唐辛子と山椒が使われています。そのことを聞いて「複雑な味かな」と想像しましたが、いずれもがお互い相反しない、かつ協奏的な役割を果たしていて、ちょうど完成品と感じました。普段は広東料理を好んでいただいていますが、四川料理も奥深いなと感じました。
☆青梅のシロップ煮
爽やかな一品
☆金目鯛の炭火焼き 葱生姜風味
とても美味しくて感動しました。これまで私がいただいてきた中では最高レベルの料理です。火入れの素晴らしさは口に入れなくても色のグラデーションでわかります。写真では向こう側になってしまいましたが、皮のパリパリ感もたまりません。果たして食感は素晴らしく、金目鯛の概念を超えているとまで感じました。味付けも、雑味がなく透き通った奥深さと言うのでしょうか、崇高な感じさえ抱きました。
☆油麦菜の瞬間炒め
シャキシャキ感がたまりません。
☆小鳩胸肉 台湾香辛料《馬告》焼き、小鳩腿肉 五香脆皮仕立て
これも素晴らしいです。これまで鳩は中華料理としては香港でミンチのものしかいただいたことがありませんが、紛れもなく鳩だとわかりました。火入れはもちろん素晴らしく、肉のジューシー感、皮のパリパリ感、ともに最高です。
なお「馬告」は、雑誌「専門料理」2017年6月号でこのレストランが3ページにわたって取り上げられている記事の中で紹介されており、野鳥の臭みを和らげる役割があるそうです。なお、この記事では、上記雉のスープと梅山豚の炒めも取り上げられており、かなり凝った下ごしらえと調理がなされていることがわかります。
☆担々麺
辛さは後味として残る程度、ミルキーで美味しいです。
☆台湾式ライチ紅茶とパール
デザートもかなりいいです。これは紅茶の香りが気に入りました。
☆杏仁豆富 二つの温度で
冷たいのはシンプル、暖かいのは豆腐花に似ていると感じました。
☆お茶のペアリング
聞いたこともないお茶が次から次へと供されます。基本的には料理の香りに近いものがセレクトされているようです。出し方(水出しとか)も凝っています。やや辛い料理のあとに洗い流す、という役目のお茶が「実は苦いのですよ」ともう一度供されたのはなかなか興味深かったです。
全体的には、圧倒されるレベルの美味しさでした。特筆すべきお皿だけを挙げても、雉のスープ、金目鯛の炭火焼き、小鳩の焼き物と、どれか一つでも話題を呼ぶスペシャリテになり得るクオリティです。中華料理というカテゴリーになってはいますが、何料理とかを超越した奥深さを感じました。
香りはどれも素晴らしいです。嗅覚と味覚が大きく関連していることは数々の学術論文でも示唆されていることから、香りは味の一要素とも考えられるわけでして、そういう意味では香りを使いこなすことで味覚という範疇を大きく広げている、とも言えると思います。
サービスもとてもよかったです。説明はとても適切で、質問したくなるような興味をそそられます。その質問にも的確に答えてもらえて、舌だけでなく知的好奇心も満たされます。
店内の雰囲気も文句なし、落ち着いていて心が安らぎます。
今回はショートコースだったことが少々もったいなかったなあと感じたので、フルコースで再訪することにしました。月をまたいでの予約なのでメニューも変更があるでしょうか。いずれにしても次回がとても楽しみです。
2位
2回
2017/07訪問 2017/07/30
先日訪問したこちら、とても気に入ったのですが「土日はいつも家族連れとか大勢のグループで満席で、一人での訪問だと迷惑だなあ、再訪は難しいかなあ」と思っていたところ、「平日は余裕がある日もありますよ」とのことで、たまたま早く帰れた日があったので当日に電話で確認したところ、金曜日ではありますが空席があるとのことで、約1ヶ月ぶりに再訪しました。
前回はコースでしたが、今回はアラカルトです。事前予約でない場合はアラカルトになるようです。
この日、メインとしてメニューに掲載されていたのは千葉県産の金目鯛と北海道産の鴨、どちらも興味あると伝えたところ、金目鯛の方は前菜仕様でアクアパッツァとして提供していただけることになりました。
この日いただいたメニューは以下のとおりです。ワインについてもおすすめを何杯もいただきました。
・千葉県産金目鯛のアクアパッツァ
・ラグーソースのパスタ
・北海道産鴨のロースト
・牛乳プリン?のドルチェ
前回訪問時のコースも素晴らしかったのですが、今回のアラカルト、特に金目鯛のアクアパッツァとラグーソースのパスタは圧巻でした。前者は繊細、後者は豪快と感じ、そのスパンの広さも魅力の一つでしょうか。ただ、写真の色合いがよくなく、美味しさはうまく伝わらないかもしれません。
前回のことを明らかに覚えていただいていたこともとても嬉しく感じました。このことでもまた訪問したいと思わせてくれます。
土日の家族連れと平日の少人数の訪問はうまく棲み分けできているのかもしれません。今後もなんとか平日に時間を見つけて訪問したいものです。
以下、いくつかの料理の印象です。
☆千葉県産金目鯛のアクアパッツァ
こんなに美味しいアクアパッツァがあるものかと驚きました。ハーブが多少加えてあるものと思われますが、そういった配合や調理のプロセスがよく練られているのでしょうか、絶妙なバランスの味で繊細さを感じました。
☆ラグーソースのパスタ
前回コースでいただいたパスタは爽やかな印象でしたが、今回は大きく印象が異なり、豪快なイメージです。濃厚なラグーソースの中に平打ちパスタと様々な野菜が入っているのですが、これが実に調和が取れているのです。と言っても絶妙なバランスではなく、ラグーソースの強烈な主張に個々の素晴らしい素材がうまく合わせている感じです。この一皿で一つの食事の中の完成品と感じさせてくれ、そういう意味ではコースに入っていると逆に合わないかもしれません。
☆北海道産鴨のロースト
これはコースに含まれているメニューと同じと思われます。低温から高温のローストでちょうどいい歯ごたえでした。
電話で予約を試みるも、土日は人気で希望の日時では予約できず、時間を少しずらしてのスタートです。一人での予約を受け付けてくださり、ありがたいことです。
税サ込み10,000円のコースをいただきました。ソムリエがいらしたこともあり、ワインはおまかせでお願いして、最終的にはドリンク代は税サ込み5,000円となりました。内容は覚えている限りではありますが以下のとおりです。
・グリッシーニ
・カリフラワーのスープ
・お餅を揚げたもの大根味
・鰹のたたき、ゴルゴンゾーラ、ペコロス
・鮎のコンフィ、べったら漬、かぶ
・和歌山の釜揚げシラス、フリッタータ、赤パプリカソース
・トマトソースのパスタ、レモンピール
・マルゲリータとクアトロフォルマッジ
・北海道ハーブ牛の低温から高温ロースト、熟成マッシュルームソース
・パンナコッタとティラミス
全てが好みだったわけではないですが、味付けも食材の組み合わせもよく練られていて凝っていて、それであっても五味バランスの良い味わいで、レベルの高さに驚きました。このレベルの食事には都心まで出ていかないとなかなか出会うことはできませんが、近くに住んでいると気軽に都心レベルの味が楽しめるわけです。まあ、残念ながら特に休日は連日満員のようですので、思い立ってふらっと出かける、というわけにはいきませんが。
ソムリエの方がおられることもあり、ワインの方もばっちりです。写真を見返してみて、9種類(日本酒含む)も飲んだのかと驚きました。
訪問したのは休日のディナータイムであったこともあり、地元の家族連れと思われる方々が多くいらっしゃいました。でもうるさいと感じることはなく、明るい雰囲気の中気分よく過ごせました。それにしても、子供のうちからこんな美味しい料理を食べることができるなんてうらやましいものです。
シェフやソムリエ含め、スタッフの方々みなさんとても感じがよいです。常連になるとますます居心地いいでしょうね。
以下は、いくつかの料理の印象です。
☆鰹のたたき、ゴルゴンゾーラ、ペコロス
甘くて濃厚、しかし意外と鰹に合う美味しい味付けです。
☆鮎のコンフィ、べったら漬、かぶ
鮎はあまり苦くは感じませんでしたが、全体で五味のバランスが良く感じました。見た目では複雑なような印象ですが、いただいてみると意外とシンプルな味わいでした。
☆トマトソースのパスタ、レモンピール
シンプルなパスタにレモンの香りがいいアクセントになっています。
☆マルゲリータとクアトロフォルマッジョ
ピザは普段ほとんど食べないのですが、薪の焦げ臭がいい感じで美味しくいただきました。
☆北海道ハーブ牛の低温から高温ロースト、熟成マッシュルームソース
これは素晴らしいです。熟成マッシュルームソースというのが、なんだか経験したことのない複雑だけどくせになりそうな味です。ピザ用の釜も使っている火入れもなかなかです。
ディナーは5,000円、7,000円、10,000円とあるのですが、これはメインの違いが大きいようです。この日は、松坂豚、鴨、牛という違いがあったと推定しました。
3位
3回
2020/05訪問 2020/06/27
【テイクアウト】並ばずにこの極上のカレーをいただけるのは嬉しいことです。
(期間限定投稿の予定です。)
「ビートイート」さんは、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、2020年4月上旬以降店内での営業を自粛されています。これを書いている6月時点でも再開の見込みはアナウンスされていません。
ランチはいつも行列、ディナーは一月分の予約があっという間に埋まってしまう人気店ですので、既にたくさん入っていた予約を断るのも大変だったかと思われます。
通常営業時は、ランチはカレー(ジビエ含む)、ディナーはジビエを中心としたおまかせ料理、という提供形態でして、カレーのテイクアウトでもしていただけないかなあ、とSNSから発信される情報を日々チェックしていたところ、まずは冷凍のカープカレー(鯉のカレー)が5月21日に「スペーススパイス」というサイトを通じて販売されました。即日完売で再入荷があるのかどうかはアナウンスされていません。鯉とはなんとも珍しいですが、さすがビートイートさん、くせはなく仕上げてあり、シャープな辛さと複数の素材に由来する甘さがいいバランスです。レシピ付きで意外とシンプルな調理のようですが、鯉のカレーとなると挑戦する方は多くはないかもしれません。
そして、5月30日(土)31日(日)に店頭でのテイクアウトが提供されることになりました。12~16時までの1時間おきの時間指定です。当日訪問でも大丈夫なようでもありましたが、人気店ゆえ念のため事前予約しました。内容は、カレー3種類(函館あかり農場の豚と蝦夷鹿のキーマカレー、サグチキン、ブリのかれー)とライス、副菜のセットでして、2,200円でした。
ほぼ時間通りに到着すると、前のお客さんの会計が終わったところ、わたくしの会計が終わるとすぐに次の方がいらっしゃる、という感じで次々にお客さんは来られていましたが、通常のランチタイムのように並ばなくていいのは助かります。
上述のセットの料理はそれぞれのカレーが別の容器に入れられ、手提げ付きの紙袋で渡されます。ビートイート印が押されていてオシャレです。紙おしぼりやスプーンも入っていますので、このまま近くの公園でいただくというのもいいかもしれないですし、レンチン可能な容器ですから家まで持って帰ってゆっくりといただくのもいいでしょう。わたくしが持ち帰ったときはまだ温かい状態でしたのですぐにいただきました。
内容や見た目は、インド・ネパール系のカレーのようですが、やはり抜群に美味しいです。サグチキンは良質な鶏肉がごろっと入っていて味はと言うと濃厚にほうれん草らしさを存分に感じるとともにシャープな辛さ、ブリのカレーはほのかな甘みのような何か隠し味がたまりません。函館あかり農場の豚と蝦夷鹿のキーマカレーは獣らしさを感じさせずもビートイートさんらしい奥深さ、そしてそれらと相性ピッタリのどこかしら果実味のような豊穣さを感じる日本米、さりげない副菜もきちんと美味しく全体としても大満足です。
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その翌週もテイクアウトの提供がありましたので予約してお伺いしました。今回は「ツキノワグマのビリヤニとチキンカレー、キュウリのラエタのセット」2,200円です。クマビリは年に何度かしか供されない貴重なメニューでして、通常でしたら大行列ですがテイクアウトですから難なく購入できました。
まずはビリヤニをそのまま一口、うーむ美味しい、ツキノワグマの肉からの奥深さ(どう表現したらいいのやら)が全体を支配しています。ここにチキンカレーやらキュウリのラエタやら付け合せのレモンを掛けたりしてみます。すると、これらのそれぞれの酸味がいずれもビリヤニと素晴らしいマッチング、「なんて美味いんだ」とつぶやきながらいただきました。店主は天才じゃないかと思いますよ。もう一つお願いしておけばよかった、と思うほど今回も大満足でした。
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その翌週からは、金土がカレーメニュー、日曜日がビリヤニの提供となっています。今回は、まるどりビリヤニ、イノシシのキーマカレー、プラムのラエタ付きのセットです。写真ではわかりにくいのですが、ビリヤニには鶏の足がごろっと入っています。そしてしっかりとスパイスに浸かっていたのでしょう、かぶりつくと香りが実に豊穣です。ビリヤニ自体も前回よりも濃い香りと感じられました。そしてイノシシのキーマカレーは、獣臭さを上手にスパイスで中和しつつもイノシシの魅力を引き出して奥深さを感じさせる絶妙のスパイス使い、ラエタは酸味と甘さが共存していて、ビリヤニにイノシシのキーマカレーとラエタをかけると何とも言えない不思議な味わいながら超絶美味しいのです。いやあ、今回も大満足でした。
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カルダモンチキンカレー、梅といわしのカレー、蝦夷鹿のキーマカレー、ライス+副菜、のセットをいただきました。メニュー名どおりカルダモンの華やかな香りたっぷりのチキンカレー、逆に渋さあふれるキーマカレーが素晴らしいのはもちろんのこと、梅といわしの相性のよさをカレーに落とし込んで全く違和感を感じさせないのはさすがです。
これまでカレー百名店を20軒ほどは訪問しましたが、個人的にはここが圧倒的に美味しいと感じています。表題に「カレーの女神様!」と書きましたが、カレーが美味しいと言うより、カレーというツールを使って美味しい料理を提供してくださる、そんな感じです。ですので、カレーというカテゴリーを超越したスケールの大きい美味しさなのだと思います。
やっと2回目のレビューですが、これまでの訪問回数は20回ほどです。これまでいただいた料理のうち一部の写真は1回目のレビューに掲載していますのでよろしければご覧ください。もうレビューを書くつもりはなかったのですが、どんどん進化しているので、突き動かされて書いている感じです。
この日はカレー1種が売り切れで残り2種、ポークビンダルー、エビとレモンのカレー、これらに副菜、パパド、ライス、ダル、サンバルが付いて1,700円、オプションでエゾ鹿のキーマカレー400円、ワタリガニのカレー600円、しめて2,700円でした。(お酒をぐびぐび飲んだのでお会計は5,000円超えです。)カレーでこの値段というのは高く感じられるかもしれませんけれども、カレーに限らずに2,700円でこの美味しさを楽しめるか、という観点からすると、CPも素晴らしいと言えます。
酸味が特徴的なポークビンダルーがどう表現されているのか、興味深く伺いました。ワタリガニもゴージャスなメニューですが、食べるのが面倒くさいのでちょっと迷いつつも注文しました。
やはり期待をはるかに上回る美味しさでした。もっとも印象的だったのはワタリガニのカレー、こんなにカニのうまみをカレーに落とし込むことができる方はほかにいらっしゃるだろうか、と思えるほどの美味しさです。手と口のまわりをべたべたにしながらしゃぶりついていただきました。スパイスはいつもながらの絶妙な使い方、あくまでワタリガニの美味しさ、いやワタリガニ本来の美味しさ以上の何かをカレーという表現方法で引き出しています。
ポークビンダルーもやはり素晴らしかったです。ポークがきちんと食感もよく仕上げてあって、「ポーク」ビンダルーである必然性を十分感じますし、酸味はシャープながらも尖がり過ぎずにやさしく感じられます。ほんとこのあたりのセンスは抜群の絶妙さです。南インドのミールスのようなルックスをしていながら、個々のカレーが美味しすぎてまぜまぜするのがためらわれるほどです。
カレーがここまで素晴らしいのに、ジビエ料理とか魅力的な店主とかお客さんの素敵さとか、このお店はとにかく素晴らしい要素満載でして、これらについてはまたいずれ機会がありましたら書かせていただきます。
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たまには追記しておきます。2020年1月に、有頭エビのカレー、チキンカレー、イノシシのキーマカレーという組み合わせでいただきました。やはり抜群に美味しいです。有頭エビのカレーはビスクのようなニュアンスも感じられる味わい、チキンカレーは名前は単純ながら油の使い方やチキンの柔らかさが完璧で極上、イノシシのキーマカレーに至ってはそのうまみが唸るような美味しさでした。この翌週にいただいたイノシシのキーマカレーは山椒が効いているのですがセンスがいいのかとってもよく合うのです。いやはやもう凄すぎます。
フェイスブックにその日の空き状況が掲載されており、予約満席の日が多い中、たまに空きがありそうな日にお店を覗いてみても結局は行列ができていたり満席だったりで、なかなか訪問が叶いませんでしたが、やっとたまたま空席があった日に訪問できました。
2,400円のカレープレートをいただきました。6種類のカレーや3種類の副菜などが含まれていて、全体として調和がとれていまして、プレート全体で完成品であると感じました。
味として素晴らしいと感じたのは辛さです。辛さというのは、刺激に負けて味を感じないことがありますが、ここの辛さは刺激はほとんどないのにシャープな辛さです。全体では甘いカレーや副菜もあり、総合的に味のバランスがとてもよいのです。
さて、予約だと2人以上必要でジビエコースになるとのことで、ここまで来てくれる人を誘って再訪しました。2枚目以降の写真がそのジビエコースで5,500円(冬は確か7,000円)になります。
いきなり魚介類と山菜で始まりましたが悪くありません。その後もそんじょそこらの食堂より美味しいだろうというお皿が続きます。そして、鹿のローストは丁寧に何度にも分けて火入れされたもので、柔らかく仕上がっていました。
そしてメインはイノシシのお鍋、味付けはマイルドで出汁が効いていてよかったのですが、量で失敗してしまいました。若い方々が客層の中心ですから、中高年の我々には少々つらかったです。
とは言え、カレーとビリヤニはいただきます。カレーは甘い味でしたが、前回同様シャープに感じられました。
なお、飲み物も個性があります。珍しいらしい生のネストビールは美味しかったです。ワインもいいらしいですが今回はいただきませんでした。日本酒は私にはちょっと合いませんでした。
その後もたまにお店を覗いており、満席のことも多いですが、なんとか運よく席にありつけた時も何度かあります。何度いただいても美味しいです。しかし冬になってくるとジビエ目当てで予約でほぼ満席のようです。また来年の春以降を楽しみに待ちたいと思います。
4位
2回
2017/07訪問 2017/08/20
こちらは、料理、アルコール、サービス、どれも素晴らしいと感じたので再訪です。ディナーで訪問したかったのですがなかなか予定を確保できず今回もランチ、約1ヵ月半ぶりですがメニューがすっかり入れ替わっています。前回スペシャリテと聞いていたスープドポワソンも今回はありませんでした。
今回も好みにズバっとはまった料理をいただくことができました。特にメインについては、フレンチでいただく魚として想像していた概念を覆された程に美味しかったです。
アルコールは今回控えめのハーフペアリングにしましたが、それでも種類は多く出していただき、どれも美味しく、うまく合わせていただきました。大満足です。
前回訪問時の会話を覚えていただいていて、その後日談、みたいなお話もしていただけたのは嬉しかったです。こういったことがあるとまた次回来たいなあ、と思います。次回こそはディナーで訪問したいものです。
ランチは税サ抜き5,800円のおまかせコース1本です。今回の内容と印象は以下のとおりです。
☆アミューズ
蟹とセロリ
セロリがいいアクセントで今後のお皿に期待がかかるスタートです。
☆前菜その1
雲丹とパプリカのスープ
周りに添えてあるハーブも使われており、これも爽やかできちんとそれぞれの味が協調して美味しいです。
☆前菜その2
蛸と季節野菜のサラダ、ビーツのソース
爽やかなお皿が続きます。味と食感、いずれもバランスいいです。
☆前菜その3
鮎のグリエとメロン、蓼添え
キュウリウオ目の鮎にキュウリ属のメロンを添える、香りをきちんと考えての組み合わせと思われます。
☆メイン
マナガツオ、白味噌とヘイゼルナッツのソース
これは抜群に素晴らしかったです。火入れは見た目ではまあ普通かなあと想像したのですが、実際いただいてみるとかなりの身のふわふわさでした。ソースも奇を衒っているようにも思えるし合うのかなあ、と少々不安を感じたのですが、その不安は見事に吹き飛ばされました。なんでこんなに合うのかと驚きの素晴らしいソースです。
☆デザートその1
葛切り、バニラ味
☆デザートその2
シャインマスカットとかブルーベリーとかいろいろフルーツにパウダーの内容は失念
ミシュランガイドに星が付いているレストランの情報をあれこれ探していたところ、魚介類をメインにしているということで興味を持ち、公式HPより予約しました。ありがたいことに一人での予約がOKでした。
どういうところかあまり知らずに予約したのですが、予約後に調べてみて、オシャレな外観や内装、料理の見た目の美しさなどから、おそらく若い女性が中心の客層で、おっさんが一人で訪問していいものかと直前になり悩み、少々胃がきりきりしながらの訪問です。
いただいたのは税サ別5,800円のコースです。ちょうどメニューを見直して価格を改定したあとのようです。アルコールは控えめにしておくつもりでしたが、シャンパーニュが濃厚な感じもありちょっと面白いなと感じ、以降はペアリングのワイン(最終的に3グラス相当で3,500円)をいただきました。食事の内容は以下のとおりです。ただ、説明していただいた内容をあまり覚えていないので、ごく概要の記載となります。
☆スタート(キャビア乗せサブレ)
☆前菜その1(イカ、柑橘系のソース)
イカに柑橘系を合わせるのは爽やかでいいですね。
☆前菜その2(稚鮎、山菜)
稚鮎と山菜(種類失念)の苦さが心地よく、軽やかなソースとの相性も最高です。このソースのおかげで稚鮎という食材でもきちんとフレンチとして感じさせてくれてお皿全体ではとても気に入りました。
☆スペシャリテのスープドポワソン
スペシャリテなだけあってかなり美味しいです。似たメニューはよく見かけますが、ここのはかなり濃厚です。それでいてくどくないです。お魚をまるごと使っているので濃厚になっていて、でも苦味もあるので柑橘類でやわらげているとのことでした。そういう手の込んだことからくる複雑さは感じることなく、すんなりいただけました。
☆メイン(金目鯛)
写真でもわかるでしょうか、火入れが素晴らしいです。金目鯛であることをしっかり残しながらフレンチに昇華しています。金目鯛はそのものの味が強くてフレンチで使うのは難しいようにも思われますが、もともとフレンチの代表的な素材かと思ってしまう程に味付けにも違和感がなく、実力の程がわかります。
☆デザートその1(枇杷とかパッションフルーツとか)
へぇ、枇杷にパッションフルーツですか、枇杷の甘さ、パッションフルーツの酸っぱさ、それらの特徴をうまく組み合わせた絶妙な美味しさです。
☆デザートその2(玉露とか佐藤錦とか)
最後まで手抜きがなく美味しいです。
☆小菓子とお茶
☆ワインペアリング
白ワインが中心でした。リースリングやフランス産の日本酒もあり、いろんな種類を楽しませてもらいました。変化球が多い感じもしますが、この価格でこれだけ楽しませてもらえると満足です。料理に合わせて選んだ理由の説明も説得力がありました。
全体的には、魚介類メインだからとか、見た目の美しさとか、そういうことに関係なく、しっかりと練られていて個性があるのに味の印象はシンプルで地に足の付いた美味しさを感じました。海外の方々が多かったことからすると、その美味しさがその方々の国々でも評判になっているのかもしれません。
冒頭の方で「胃がきりきり」と書きましたが、結果的にはサービスもよく、おっさん一人でも居心地よく過ごせました。考えてみれば、魚介類中心のメニューは肉類がしんどくなってきた世代への訴求力があるわけで、実際のところこの日の客層は、海外からの方々を除くと、落ち着いた年齢のご夫婦らしき方々ばかりでした。
サービスもよく、と書きましたが、高貴さとフレンドリーさのバランスがよいと感じ、居心地はとてもよかったです。海外からのお客さんへの対応も見ていて気持ちよかったです。
レストランを出てからは、シェフとマネージャーがしばらく見送ってくださいました。おっさん一人での訪問なのにこうまでしていただけてとても嬉しく感じました。
再訪必至、次は白ワイン好きの人とディナーに伺うつもりです。
5位
5回
2018/09訪問 2018/10/24
申し訳ないなと思いつつも、こちらには直前に電話して訪問させていただくことが多く、今回もふと中華料理をいただきたくなり、仕事帰りに電話したところ空席があったので訪問しました。
こちらはコースでもアラカルトでも楽しめます。しかもありがたいことに一人でもどちらも楽しめ、アラカルトですとメニューによっては量を調節してくださいます。メニューをながめてみて、今回はアラカルトでお願いすることとしました。お願いしたのは以下の料理です。
・大根餅 空心菜 腐乳 炒め
・五島列島 スジアラ切り身 松茸の酢橘風味炒め
・ラムチョップ 四川薫るスパイシー炒め
・丹波山村 原木舞茸春巻き 栗の香り
・乾燥すっぽんのえんぺら 黄にら 天然塩炒め
・からすみチャーハン
・パープルクイーン<赤梅>のシャーベット 白桃スープ
いつも思うのですが、日本の食材をここまで中華料理に自然体で取り入れているのは素晴らしいです。もちろん料理としてはきちんと中華料理であることが感じられる味付けと香り付けです。かと言って強すぎない味付けで体に負担を感じないのもありがたいです。
次回かその次にはこれからシーズンの上海蟹をいただいてみたいと思っています。
以下は個々の料理の印象です。
☆大根餅 空心菜 腐乳 炒め
空心菜の食感が最高に仕上げられており、味付けはマイルドで品がいい炒め、いきなりとても美味しいです。
☆五島列島 スジアラ切り身 松茸の酢橘風味炒め
松茸って強すぎる食材と感じていますが、このお皿はしっくりと合っていて素晴らしいです。スジアラは清蒸が最高に美味しいですが、やはり美味しいのはさっきまで泳いでいたもの、そのことを知ってなのか、蒸しものにせずに炒めるのも潔さを感じます。
☆ラムチョップ 四川薫るスパイシー炒め
麻辣は弱めながらバランスが秀逸で、甘さが際立たされています。
☆丹波山村 原木舞茸春巻き 栗の香り
とても熱々に仕上げてあり、栗の香りがきちんと感じられます。
☆乾燥すっぽんのえんぺら 黄にら 天然塩炒め
食感は他の中国乾物に負けますが、味付けは薄めでさすがこのお店ならではの美味しさです。
☆からすみチャーハン
ブロック状になっていることで食感と香りが効果的に感じられます。
☆パープルクイーン<赤梅>のシャーベット 白桃スープ
甘さと酸味の競演が見事です。
最近お気に入りのこちら、これまでは毎回コース料理といただいていました。ホームページのメニューをながめてみるといろいろと興味深い食材が掲載されていることから、今回はアラカルトでお願いしました。
今回一人での訪問ですので3,4皿が限界かな、と思っていましたが、なんともありがたいことにメニューによっては量を調整して下さるとのことです。結局以下のように7品もいただくことができました。
・ホッキ貝白キクラゲ花山椒天然塩炒め
・アブラボウズの香り醤油蒸し 天然山菜添え
・台湾たくわんの卵焼き・台湾の味
・干しナマコの煮込みたまり醤油仕立て
・地鶏たっぷり唐辛子花椒炒め
・黄ニラシラス塩スープ麺
・杏仁豆腐(アイス、エスプーマ、お餅)、柑橘ゼリー
今回アラカルトに挑戦してみてよかったです。これまで以上にこのレストランの素晴らしさを感じることができました。素材、味付け、調理のいずれもバラエティに富んでいながら素晴らしく、「まだこんな美味しいメニューがあったのか!」と一品一品驚くことしきりでした。本当にこちらは奥深いレストランです。
上記7品にドリンクとしてビール1杯、紹興酒グラス2杯いただいて約16,000円でコスパのよさにもびっくりです。後述するようにサービスも相変わらず素晴らしいです。
これらのアラカルトメニューはコースに組み込むことも可能、とのことですので、次回以降はそういったリクエストもしてみたいと思います。
以下はいくつかの料理の内容と印象です。
☆ホッキ貝白キクラゲ花山椒天然塩炒め
いきなり想像を上回る美味しさです。香りはもちろん素晴らしいのですが、提供温度やほのかな生姜味が絶妙です。ホッキ貝も素材がよいことを感じさせてくれます。
☆アブラボウズの香り醤油蒸し 天然山菜添え
これも素晴らしいお皿です。アブラボウズという魚は初めていただきました。北海道で獲れたとのことです。(確か)14kgという巨大な個体なので、例えばハタ類の大きな個体同様に身は細かくほぐれるのではなくやや大きな最小単位です。ですので蒸しものには合う魚と思います。その最小単位はハタ類のようにプリプリではなくもう少ししっとりしています。名前のとおり脂がとても多いとのことですが、そのことからも蒸しものがいいでしょうね。合わせてあるのは山菜で、中華料理としては異質な感じもしますが、脂が多いことからもいい選択です。もちろん脂はくどくないほどまで落とされており、山菜含め稀有な美味しさでした。なお、ナポレオンフィッシュが入ることもあるとのことで、いつかいただける時を楽しみにしていようかと思います。
☆台湾たくわんの卵焼き・台湾の味
外はパリパリ、中はフワフワの仕上げで、かなりの技術が必要とのことです。ですので台湾でも修行経験のある料理長が自ら調理されます。たくわんのシャキシャキ感もなかなかです。
☆干しナマコの煮込みたまり醤油仕立て
日本で干しナマコがいただけるとは、なんと素晴らしいことでしょう。ナマコは最近は需要が少なくメニューから外すお店もあるとのことです。干し鮑とともに中華料理の奥深さを堪能できる素晴らしい食材だと思うのに残念なことです。ナマコや鮑は和食で新鮮なものをいただくより、いったん干して旨みを濃縮させる中華料理の方が断然美味しいと思います。さてこのお皿、見た目よりあっさりの味付けになっていて、だからこそナマコの旨みを感じられるようです。
☆地鶏たっぷり唐辛子花椒炒め
麻と辣がそれぞれに感じられます。素晴らしいです。
☆黄ニラシラス塩スープ麺
薄い塩味が絶妙です。出汁は控えめですが黄ニラは濃厚で、黄ニラが口の中に残る後味が素晴らしいです。
☆杏仁豆腐アイスエスプーマお餅アイス柑橘ゼリー
実は最初は別のデザートをお願いしたところ、前回と同じと覚えて下さっていたためこのメニューに変更しました。1ヶ月以上前なのにすごいと思うとともに、この舌を巻く素晴らしいサービスもこのお店の大きな魅力です。でこれですが、三種の杏仁豆腐の食べ方を堪能でき、興味深いお皿でした。
今シーズンも上海蟹を何度かいただきましたが、最近お気に入りのこちらでもいただいてみたいと思いまして、そろそろシーズンの終わりかとは思いましたが、年が替わってから「オス・メス食べ比べコース」税サ抜き18,000円をいただきました。内容は以下のとおりです。
・運気の上がる前菜盛り合わせ
・8年物紹興酒に漬けた酔っ払い上海蟹(1/2杯)
・色々乾物の蒸しスープ
・上海蟹味噌の小龍包とパイ仕立て
・上海蟹姿蒸し(オス・メス各1杯ずつ)
・フカヒレ姿の上海蟹味噌煮込み
・牛筋の四川麻婆豆腐 ごはん
・本日のデザート
オス・メス1杯ずつ同じ調理法でいただいてみると、違いがよくわかりますね。上海蟹の旬の時期(10月から1月頃)は、まずはメス、次いでオスと言われていて、すなわちこの時期は断然オスが美味しいわけですが、今回もそう感じました。荒っぽく言ってしまえば甘い唐墨といったイメージの白子が最高に美味しいです。以前よくいただいていた香港でもオスが重宝されていること(オス、メスという選択をしたことはないけどおそらくオスが優先的に供される)を思い出しました。一方メスは内子と味噌がビジュアル的にオスより映えますが、時期的にも蒸しものより漬けの方が美味しく感じられます。なお、足が並べられるなどとても手の込んだ供され方ですが、足は置いておいて胴体からいただくのがいいかと思います。
上海蟹がこれでもかと主役になっているコースではありますが、香辛料使いが素晴らしい前菜盛り合わせの美味しさは健在ですし、麻婆豆腐も辛さとピリリ加減がちょうどよく、美味しくいただきました。
早い時期にするか遅い時期にするか悩みどころではありますが、来年もこちらでこのコースをいただいてみたいものです。
とある平日、仕事を終えて帰宅途中に「中華が食べたいなあ、先月行った麻布長江は美味しかったなぁ、今度はフカヒレの姿煮が食べたいな」なんて思いつつ、こちらのHPを見てみると、なんと当日の予約ができるではないですか、スマホからさくっとオンライン予約して、1時間後にはレストラン到着です。
税サ抜き9,500円のコースをお願いしました。内容は覚えている限りではありますが以下のとおりです。
・生牡蠣の上にオイスターソース
・儚く消えゆく麻婆豆腐
・前菜(豆腐、水蛸、鴨、ザーサイ、秋刀魚、くらげ、よだれ鶏)
・酸辣湯(柑橘系、胡椒?、もう一つ不明)
・青菜の炒め(色々なソース、龍眼、棗、醤油、クコノミ、香辛料)
・フカヒレの白湯スープ、山芋、広東白菜
・五島列島のスジアラのソテー、雲南省のポルチーニその他珍しいキノコ
・牛タンの煮込み、15種類のスパイスソース
・沢庵入り炒飯
・ココナッツと巨峰のシャーベット
・東方美人とライチのお茶のブレンド
全体的には、個性的でありながら普遍的な美味しさを感じる、素晴らしい料理でした。前回感じた、香辛料の巧みな使い方により感じるコース全体の立体感も感じることができました。わたくしの好みにもばっちり合います。コスパも素晴らしいと思います。
マネージャーの方は前回来たことを覚えていてくれていました。とても嬉しいことです。
味が好み、居心地がいい、スタッフの方が覚えていてくれる、直前でも一人訪問の予約可能、ということで、わたくしにとっての好きなレストランの要素満載です。また思いついた時に直前の予約を入れての訪問でお店にはご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、何度も通ってみたいものです。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆儚く消えゆく麻婆豆腐
正にそのとおりの柔らかすぎるくらいの食感(中は豆乳)で素晴らしい命名です。辛さより香りを感じます。
☆前菜
前回も感じましたが、それぞれ香辛料と言うか香りが素晴らしいです。水蛸や鴨に異なる種類の山椒でぴりりというのがいい感じです。
☆フカヒレの白湯スープ
フカヒレはこの価格ですから極上とまではいかないものの、スープは濃厚ながら少し抑え目で品があります。三つ葉はちょっと強いですが、広東白菜はとても美味しく、山芋もよく合います。フカヒレスープは「茶禅華」「臥龍居」「華都飯店」と好みのレストランがいくつかあるのですが、ここもそれらと同等に好みとなりました。
☆五島列島のスジアラのソテー
キノコの出汁が出ていて絶妙な味と香りです。スジアラは三週間寝かせたものということですがなかなかの素材で、ソテーなのに蒸しものに近い食感、豪快さだけでなく繊細さも感じます。この出来はこれまでは香港でしか出会ったことがありません。
☆牛タンの煮込み、15種類のスパイスソース
カレーみたいな味で辛めですが、様々なお米と一緒にいただくといい感じです。
☆沢庵入り炒飯
パラパラ感はもう少しあるとより好みですが、仄かな香りとシャキシャキな歯ごたえがいい感じです。
某予約サイトを通じて数日前に予約しました。当日はほぼ満員のようでした。一人の予約を受け入れてくださるのでありがたいです。
税サ抜き5,000円のおまかせコースをいただきました。再訪するとメニューを入れ替える等するそうです。今回の内容は以下のとおりです。香辛料の説明もいろいろしていただいたのですが覚えていないために記載できずすみません。
・アミューズ
子持ち鮎とだだ茶豆のスープ
・前菜盛り合わせ
干し豆腐、落花生、なんとか茸(名称失念)、合鴨ロース、さんま、グアバとスターフルーツ、よだれ鶏
・磯つぶ貝とツルムラサキのオリーブ醤炒め
・海老の蒸し餃子
・三豊茄子の炒め
・フカヒレとカキと卵白の炒め
・オリーブ牛の牛筋の麻婆豆腐
・デザート
黒酢のムース
・金萱茶
全体的には、香辛料をとても効果的に使って、立体感(味と香りの次元)を感じました。四川料理をベースにしているようですが、辛さはそれほど強くありませんでした。好みではない味のものもありましたが、どのお皿もレベルが高いとともに個性が感じられ、大満足で再訪必至です。一人での予約も取りやすいですし、メニューの入れ替えもされますので、いろんな面でありがたいお店です。
室内はシンプル、ホールの方々は所作が丁寧で、説明もいろいろしていただけます。落ち着いた気持ちでゆったりといただくことができました。ガラス越しに見えるキッチンはスペース的に余裕がありそうで、清潔感も感じられます。
担々麺なんかも提供しているランチタイムにはないかなと思っていたのですが、帰り際には料理長がお見送りしてくださいました。嬉しいことです。
以下は個々の料理の印象です。
☆アミューズ
鮎が柔らかく、苦さはもちろんありながらも五味全体のバランスが良く、これからが期待できるスタートです。
☆前菜盛り合わせ
それぞれの味付け、香り付けがよく練られていて、バラエティに富んだ素晴らしい前菜盛り合わせです。「趙楊」の前菜を思い出しました。なお、これは縦に供されまして、運気が上がるように下から上に食べてほしい、とのことでした。
☆磯つぶ貝とツルムラサキのオリーブ醤炒め
ツルムラサキがシャキシャキに仕上げてありました。
☆海老の蒸し餃子
ほのかな塩味だけのシンプルな味と感じました。
☆三豊茄子の炒め
唐辛子は香り付け、という説明でしたが、確かに味というより香りでした。茄子はとても柔らかく仕上がっていました。
☆フカヒレとカキと卵白の炒め
何かわかりませんが旨味が濃厚です。いろいろ入っている割に味のバランスもいいですし、とても美味しくいただきました。
☆オリーブ牛の牛筋の麻婆豆腐
香りはとても辛そうで、まいったなあと思うも、口に運んでみるとちょうどいい辛さでした。もう少しピリッとした感じがあると奥行きが増すのではないかと感じました。牛筋の食感もグッドです。
☆黒酢のムース
黒酢でデザート、うーむ、好きな味ではないけれども美味しくて、まいりました、という感じです。
☆金萱茶
とても甘く、最後にはぴったりです。別途鉄観音も注文しまして、こちらも素晴らしかったです。お茶はセレクションもよく、煎れ方にもこだわっているようです。
6位
1回
2017/09訪問 2017/10/14
徳島県への旅行の際に訪問しました。
これまで訪問された方々のレビューを読ませていただき、徳島市からはるか遠い山奥にあるのかなあ、というイメージを持っていましたが、空港から車で1時間ほどですし、確かに市街地ではないですが山奥というほどでもないようです。東京からの訪問でも楽々ランチタイム開始の12時に間に合いました。
趣のある一軒家、落ち着くつくりのお庭を見ながら、清潔感あふれる室内に入ります。今回は2階のお部屋でいただきました。店名が入った素敵な掛け軸もあり、シンプルで落ち着く室内です。
料理長の奥様でしょうか、ご挨拶いただき食事が始まります。今回は10,000円のコースをいただきました。内容は以下のとおりです。
・スッポン
・カマス寿司、無花果のゴマ和え、銀杏もち、栗の酒煎り
・ノコギリガザミの真丈
・お造り(車海老、鯛、鱧)
・高知県安田川の鮎の塩焼き
・鮑と冬瓜の餡掛け
・栗ご飯
・すだちシャーベット
・栗きんとん
奥行き感がありながらも味が薄いからか、いただいているときは強烈な印象を持ったりしたわけではなく、あっさりと終わりました。でも、今こうやって思い起こして文章を書いていると、味や印象がしっかりと記憶に残っていることがわかりました。ああ、なんて美味しかったのだろう、という余韻を今でも楽しんでいます。味だけではなくなんと言いますか感覚的な部分でも和食の理想形の一つの姿を教えていただいたのかなあ、というふうにも感じています。(感じたことをどうもうまく文章で表現できませんが、ご容赦ください。)
以下はいくつかの料理の印象です。
☆スッポン
この透明感はなんなのでしょう。これから始まる料理の深淵に吸い込まれていく感じです。
☆カマス寿司、無花果のゴマ和え、銀杏もち、栗の酒煎り
いずれも美味しいのですが、特にカマス寿司のあぶりがいい感じで気に入りました。
☆ノコギリガザミの真丈
この吸い地にはまいりました。出汁は薄い味なのですがとてつもなく奥深さを感じます。その中でやや強い味のノコギリガザミが躍動しているのです。それを抱擁するかのようなやさしい味わいの吸い地で、お椀一つが物語のようです。
☆お造り
どれも美味しいのですが、特に車海老がプリプリでした。
☆高知県安田川の鮎
今年は高知県の他の川での天然鮎もいただき、それもかなりの美味しさでしたが、こちらも負けずに美味しいです。食感としてはふっくら感が素晴らしいです。内臓は除去してあり、苦さは中庸でした。
☆鮑と冬瓜の餡掛け
これだけ味(特に生姜)が強めでした。でもしつこい味ではないのです。
☆栗ご飯
栗が2つ目でして、この甘さが素晴らしかったです。
☆すだちシャーベット
すだちなので当たり前ですが酸味がいい感じです。
☆栗きんとん
栗は3種類目ですがこれは甘さ控えめ、味は違えどもいずれも栗の美味しさを引き出していて素晴らしいです。
7位
1回
2017/09訪問 2017/10/10
京都への旅行者としての利用です。
京都の高級料亭としては珍しくオンライン予約が可能で、某予約サイトを通じて予約しました。このサイトにランチタイムにラインナップされているのは全11種類、税サ込み約8,000円から約50,000円、今回は下から2番目の約10,000円のコースをお願いすることにしました。
小雨の日、祇園の街並みには雨も似合う気がします。到着すると、来てくれるのを本当に楽しみにしていた、と言わんばかりのお出迎え、鞄を拭くタオルを渡してくれるだけでなく、傘も拭いてくれるという丁寧さです。通されたのは京都の料亭で和食をいただくのならこういう部屋だよなというイメージそのものの和室の個室、庭も素敵です。このお部屋そしてここまでのおもてなしだけでコース代元取ったと思えるぐらいと感じ、安価なコースにしたことが申し訳なく思えてきました。
さて、料理の内容は以下のとおりです。
・くるみ豆腐、おくら、雲丹
・鱧のお椀、無花果
・お造り(鯛、鮪)
・鱸の焼き物、きゅうりおろし
・素麺(鶉の卵、みょうが)
・野菜の焚き合わせ(茄子、椎茸など)
・珍味(ホタテと青唐辛子と大根おろし、白木耳の和え物)
・ご飯
・フルーツ
このお値段のコースなりの食材を使われているのだと思われますが、それでもそれら食材が精一杯美味しくなっています。高い価格帯とかけている手間はあまり変わらないのかもしれません。したがってこのコースでも満足度はかなり高いのですが、素材が良くなるとその分だけ、あるいはそれ以上に美味しくなるであろう確信も感じました。次回の京都訪問時はこちらに必ず再訪し、もう少し高いコースをお願いしようと決めています。
居心地も最高によいです。着物の女性が一皿一皿供してくださるのですが、なんか雰囲気がとてもよいのです。これが京都流サービスかととろけそうになりました。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆くるみ豆腐、おくら、雲丹
くるみの味が濃厚で、最初からインパクトがあります。
☆鱧のお椀
これは実に透き通った感じです。出汁がとても気に入りました。濃くも薄くもなくちょうどいい味、それでいて奥行きがある感じです。どんぴしゃ好みです。
☆鱸の焼き物
これが今回のメインでしょうか。鱸はどうも美味しくいただく機会が少ないなあ、と個人的には感じていますが、きゅうりおろしという味付けで精一杯美味しく仕上げてあります。
☆素麺
鶉の卵とみょうががとてもよく合っていて美味しいです。
☆ご飯
美味しくてお櫃を空にしてしまいました。
(今回、写真の撮影許可は得ましたが、掲載は控えさせていただきます。)
8位
1回
2017/12訪問 2017/12/31
東京在住の者ですが関西旅行へ行くことになり、さてどこで食事しようか、大阪以外で中華料理でも食べてみようか、と検索したところ、点数の高いこちらが見つかり、ありがたいことに一人でのオンライン予約も可能なので訪問してみることにしました。
アクセスを調べてみると、阪急甲陽線の苦楽園口駅から徒歩13分とのこと、土地勘がないとちょっと大変ですね。余裕をもって向かいましたので少し早めに着きました。
この辺だな、しかしこの真っ黒なお店は何だ?と思っていると、店名のロゴが光っており、なんとかここだとわかります。しかし扉はここでいいのかな?夜で暗いので少々不安です。雨天のこの日、傘を上手く閉じられずにまごまごしているとさっと扉が開きます。迎えてくれたのは若い女性のマネージャー、シンプルだけれども高級感を感じられる店内を席まで案内していただき、一言二言会話を交わします。
なんということでしょう、この時点でサービスパーソンとしての彼女にすっかり魅了されてしまいました。なぜなのでしょう、理由を今でも探していますが、明確にはわかりません。サービスという仕事が心底好きなのだろうな、だからその仕事一つ一つに心が入っているのだろうな、そんなことかもしれません。まあ、わたくしの好みのサービスにドンピシャだったということもあるでしょう。
この日はなぜかわたくし一人で貸切状態、申し訳ないなと思いつつも、ゆったりと食事とサービスを堪能できそうです。お店側としても、たった一人の客が東京から来た、という状況はびっくりだったようです。
ディナーの標準的なコースをいただきました。税サ抜き10,000円です。ドリンクは、1杯目としてシャンパーニュをいただいたら美味しかったので、それ以降はペアリングをおまかせしました。かなりの種類となりましたが結果的には約5,500円とリーズナブルでした。
コースの内容はメニュー表によると以下のとおりです。
・始まりの一杯
・牡蠣 柿
・春捲 蓮根 サーモン いくら トマト モッツァレラ
・金時人参 帆立 牛筋 林檎 カシューナッツ
・フォアグラ 無花果
・高原但馬鶏 牛蒡 金柑 陳皮 豆鼓
・上海蟹 ズワイ蟹 慈姑 ミモレット フォアグラ 山芋 安納芋 乾焼
・鰤 百合根 蕪 柚子 金華ハム 鶏節
・鰆 焼腸 ポワロー 白葱 鼓油 葱油 XO醤
・A5大和牛 剣イカ 白子 カリフラワー チョリソー クレソン 黒椒醤
・杏仁豆腐 栗 プーアル茶 きな粉 紹興酒
・林檎 パイ 焼き林檎 マスカルポーネ 金木犀
・プティフール
・珈琲or中国茶
食材のみメニューに載せるというのは最近よくありますね。それにしても、この食材の羅列からは料理内容はまったく想像できません。
全体的には、味や食感の組み合わせが絶妙で、最初から最後まで美味しくいただきました。おそらくですが、それぞれのお皿のメインの食材のうまみ等を中心に据えて、それを幹にして食感や味の枝を構築する、そんな思想のもとに各お皿が作られているのではないか、と感じました。
味はどちらかというと濃厚、コースが進むにつれその度合いが増していきます。
中華料理の味付けが随所でされていますが、中華料理ということはあまり感じませんでした。調理技法が多岐に渡っているため、モダンフレンチの方が近い印象でした。
サービスに関しては、前述のようにわたくしにとってはしっくりくるとしか言いようがありません。後半、時間もできましたので少しお話もできました。料理もとても気に入りましたが、彼女のサービスに接するためだけだとしても再訪したくなるほどです。
個人的な理由で合わなかったのは食事の量です。特にメインの魚と肉の大きさにはびっくり、コスパがよいとは言えますが、残すことはポリシーではないので完食するのは胃袋が小さくなってきた中年のおっさんにとってはちょっとしんどかったです。ま、それでもデザートは別腹に入ってしまうのですが。
というわけで、帰りはカロリー消費と酔い覚ましを兼ね、阪神間モダニズムの面影漂う?高級住宅地を夙川駅まで歩きました。雨上がりだったこともあり、お腹はしんどいながらも、幸せな気分を感じながら心ではスキップしながら帰途につきました。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆始まりの一杯
内容は牛蒡の上湯スープです。最初の方にこういった感じで出汁とかを出してくるのがよくありますが、個人的にはピンときません。でもこちらのは、牛蒡が上湯スープにとてもよく合っていました。秋は松茸を使う等、季節で変えたりするそうです。
☆金時人参 帆立 牛筋 林檎 カシューナッツ
様々な食感や味を合わせており、美味しくも楽しい一皿です。
☆高原但馬鶏 牛蒡 金柑 陳皮 豆鼓
耐熱フィルムを使った調理、フレンチでは聞いたことがありますが中華では初めて見ました。この調理のおかげで味が染み渡っていました。
☆鰤 百合根 蕪 柚子 金華ハム 鶏節
鶏節というのをかけて仕上げています。和食っぽい食材が多いですが、味としても和食に近い印象、でも地に足の着いた感じがありきちんと美味しいです。
☆鰆 焼腸 ポワロー 白葱 鼓油 葱油 XO醤
焼き方は中華の技法かどうかわかりませんが、適切な火入れと感じました。焼腸とかXO醤とかばりばり中華の食材や調味料を使っていますが、全体ではそれほど中華らしく感じなかったのは不思議です。
☆A5大和牛 剣イカ 白子 カリフラワー チョリソー クレソン 黒椒醤
和牛に黒椒醤ということで、これは一番中華らしさを感じた一皿です。
9位
1回
2017/12訪問 2017/12/23
リッツ・カールトンの中華料理と言うと、香港の「天龍軒」が世界的には最も有名ではないでしょうか。ミシュランガイド二つ星ですし、102階にあって星付きレストランとしては世界一の高い位置にあると言われています。
ところがその「天龍軒」、わたくしの口にはあまり合いませんでした。ヌーベルシノワっぽい食材の組み合わせも味付けも食感も、どこかちぐはぐに感じられました。(日記に感想を書いていますので、もしご興味ある方がいらっしゃいましたらご覧いただけましたら嬉しいです。)
そんなわけで、失礼ながらこちら「香桃」さんにもあまり期待していなかったのです。なんとなく訪問した、そんな感じです。
さて、税サ抜き14,000円の楊琴コースをいただきました。内容は以下のとおりです。なお、北京ダック1,300円と白トリュフ(イーフー麺用)3,800円を追加しています。
・焼き物入り盛り合わせ
・鮑のオーブン焼き ポルトガル風
・松茸 鶏肉 棗入り蒸しスープ
・神戸牛肉の炒め ポルチーニソース
・スジアラの潮州豆醬蒸し
・海老のチーズ煮込みイーフー麺
・燕の巣入りマンゴープリンと中国菓子
料理のスタイルとしては正統派の広東料理でして、「天龍軒」とはかなり異なる内容です。全体的には、タイトルに書いたとおり、本場香港でいただく良質な高級広東料理に全く遜色ない美味しさと感じました。特に、メインの肉の味付け、魚の火入れは秀逸と感じました。あまり期待していなかっただけに嬉しい誤算です。
香港で味わう高級広東料理に似たような味かつ同レベルのレストランには日本ではあまり出会えていないので、今回の訪問はとっても嬉しい経験となりました。
個々の料理の印象は以下のとおりです。
☆焼き物入り盛り合わせ
焼き物は3種、焼豚、ローストダック、鶏でして、どれも柔らかめに仕上げてあります。甘めの味付けもグッドです。
☆鮑のオーブン焼き ポルトガル風
香港ですとこのメニューでは鮑ではなく法螺貝を使うことが多いようでして、ミンチの肉が入っていたり味が濃い目だったりするので、やはり法螺貝の方がいいかもしれません。
最後の料理までいただいてみて本場の味に近いことがわかったので、「それでは鮑はオイスターソース煮込みでいただくのがいいかも」とメニュー表を調べてみると、吉浜産の三十八頭で12,000円、うーむこれはなかなか手が出せません。
☆北京ダック
北京ダックが薄餅とぴったりくっつけられて、北京ダックの歯応えが直に感じられます。甜麺醤はまんべんなく塗られているわけではなく、あとからじわっと染みてきて味として感じられるのがいい感じです。
☆松茸 鶏肉 棗入り蒸しスープ
これはもう少し深みがあるとよかったです。
☆神戸牛肉の炒め ポルチーニソース
ポルチーニソースってどんな感じになるのかと若干不安を感じていましたが、黒胡椒とかも使っているのか、結果として味も香りもきちんと広東料理でしたし、和牛が香港では特にその柔らかさが結構重用される食材であることもおそらく理解しての堂々たる素晴らしい広東料理の一皿でした。
☆スジアラの潮州豆醬蒸し
これも素晴らしいです。スジアラの豪快な身を適切な歯応えに仕上げており、香港でいただく蒸し物にかなり近い出来と感じました。これでもう少し繊細さが加われば完璧ですが、素材の鮮度が香港にはかないませんので、そこまで求めるのは酷かもしれません。
☆海老のチーズ煮込みイーフー麺(白トリュフかけ)
白トリュフがどんなものか、これまで経験がなくよくわかっていないのですが、結果として独特の甘さとなっていました。チーズとの相性はよかったです。
☆燕の巣入りマンゴープリンと中国菓子
マンゴープリンは果実自体は少な目ながらもかなり濃厚な味、右の豆腐みたいなものはマカオのお菓子とのことでしたが、これがココナッツの香り、甘さと酸味がいいバランスでとても美味しくいただきました。
10位
1回
2017/11訪問 2017/11/23
静岡県内のフレンチでは食べログの点数がNo.1のこちら、近くへの旅行の際の予定に組み込んで訪問してみることとしました。今のシェフに代わってからのレビューはまだ件数が少ないようです。HP等によると海外で修行されて、おそらく日本のレストランは初めてのようですね。
食べログの予約機能を使いまして「季節のテイスティングコース」をお願いしました。税サ抜き9,500円です。内容は以下のとおりです。なお、ノンアルコールのペアリング4種2,800円を組み合わせました。
・野菜の滴 緑茶の薫り
・長谷川さんのマッシュルーム
・シュークリーム
・人参
・ピーマン(写真撮り忘れ)
・自家製リコッタ
・秋のスープ
・功刀さんの3年物の虹鱒
・駿河牛
・桜えびのカルドソ
・ノイリープラ
・カシスとショコラ
・小菓子
全体的にはとても満足、表題に書いたとおり、味付け(例えば甘さと酸味)、食感(例えばふわふわとコリコリ)、いずれもお皿の中での組み合わせが素晴らしかったです。どちらかというと軽い味でモダンフレンチになるかと思いますので、そういった料理をお好きな方には気に入っていただけるかもしれません。
コースの流れとしては、前菜の前のスナックでおっ、と思わせ、前菜でなかなかいいではないか、と感じさせ、メインでさすがだなあ、と感心させられ、喜びが徐々に増幅されていった感じで、気持ちとしてもとても嬉しく感じながらいただいていました。
ノンアルコールのペアリングは、お魚に白ワインの味、お肉に赤ワインの味のものを組み合わせる、という一見安易なものでしたが、これらがきちんと美味しかったとともに、その前のガス入りハーブジュース(だったかな?)とそのあとのホエイも少し味付けが修飾されて、その工夫がきちんと満足感になりとてもよかったです。
サービスについては、タクシーが到着して出迎えてくださったところから親しみのある非日常感を感じさせてくれて、終始居心地よく過ごさせていただけました。
東京からの距離の割には鉄道利用だと時間がかかるのが玉に瑕ですが、逆に非日常感を感じることができていいとも言えるかと思います。ぜひまた訪問してみたいものです。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆人参
いろいろと乗っかっていて複雑ではあるのですが、口に入れた時にその様々な味の組み合わせによる美味しさにおっ、と思わされました。
☆自家製リコッタ
味に関しては、チーズの酸味と花のソースの甘さが絡み合いとても爽やか、食感に関しては柔らかいチーズに林檎のシャキシャキの食感がいい組み合わせ、全体では味も食感も大満足、ぐっとテンションが上がっていきます。
☆功刀さんの3年物の虹鱒
これも素晴らしい今回No.1のお皿でした。味付けとしては魚の出汁のソースとのことです。歯応え的には、コリコリの小さな野菜が組み合わされて、中が半生のふわふわの食感といいハーモニーです。味的には上記自家製リコッタの爽やかさとは対照的に甘さや酸味は控えめで渋い味です。しかしくすんだ味ではなくきちんと奥行きのある美味しさです。出汁が効果的に使われているのだと思われます。それにしても、もう少し華やかな味付けにしたいと思うのが普通でしょうに、このような控えめな味に抑えておくとは、若いシェフのお仕事としては意外ですがさすがと思いました。
☆駿河牛
シンタマのローストです。やや歯応えがありますが、硬いのではなく弾力がある感じです。あまり経験がない食感だったので、火入れが適切かどうかはわたくしにはわかりませんでした。
☆桜えびのカルドソ
カルドソとは、調べてみるとスペインのスープ雑炊のようです。シェフが修行されていたスペインで覚えたのでしょうか。ビスクのような濃厚さで美味しいです。
2017年に食べログを始めました。
おかげさまで素敵なお店にいくつも出会うことができました。
1~5位は東京都内で複数回訪問したお店を挙げています。
6~10位は旅先等で訪問したお店を挙げています。
1位の「茶禅華」はとにかく衝撃的な美味しさと感じています。
中華料理の可能性を大きく広げた素晴らしい料理を提供してくださいますし、
お店の設え、素晴らしいスタッフ、いうことなしです。
2位の「ドンブラボー」は美味しさがどんどん進化しており、
イタリアンの概念をどんどん広げてくれているように思います。
国領という食通にはなじみのない土地ですが、
地元に愛されています。
3位の「ビートイート」もカレー×ジビエというこれまでにない料理です。
でも奇を衒った感はなく、カレーもジビエ料理も素晴らしく美味しいです。
喜多見という東京のはずれにあり、こじんまりとしたお店、
でも雰囲気含めてはまっています。
こちらも地元に愛されていますね。
4,5位のお店も、料理が美味しいというだけでなく、
スタッフ陣が素晴らしいです。
いずれもずっと通い続けたいお店です。
6~10位のお店もそれぞれ感銘を受けましたが、
東京からは遠くにあるゆえ、再訪できていません。
でも、その地を訪れる際には真っ先に伺いたいお店です。
2017年はコメントのやり取り等で多くのレビュアーのみなさまにお世話になりました。
この場を借りてお礼をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。