3回
2020/08 訪問
夏のイカニカごはん。
自由が丘駅から閑静な住宅街を抜けて徒歩15分ほど。産業能率大の向かいにある素敵な古民家カフェ。ゆったりした時間が流れていてとっても好きな雰囲気です。
かなり久しぶりの訪問になってしまいました。
前回は真冬でストーブが焚いてありましたが
猛暑日のこの時は正反対の季節を愉しみに。
さまざまな形の花瓶とうつわと、文学が中心の本棚と、
窓の外には無造作に生い茂る草木。
静かで、透明感のある気配がたまらない。
真あじとショウガの炊き込みごはん
お惣菜・すり流し・お味噌汁(¥1,200)
前回、売り切れになっていて食べられなかったイカニカごはん。
精進料理のような感じで、味付けはシンプル。
炊き込みごはんはふっくらとして生臭みがなく、
とにかく優しさを感じるお味でおかわりしたかったです。
お惣菜の素材も特別なものは使っていないけれど、
色、切り方、食感、これがひとつの表現になっている。
ミニトマトはちゃんと湯剝きしてあり
ナスには細かい切り込みが入っている。
すり流しという日本のスープは鮮やかなピンク色。
ビーツを使っているそうで、これがぎゅっと旨味が凝縮されていて美味しい。
次はカンパーニュとすり流しのセットを食べようかな。
ここに来ると気持ちも身体も軽くなって、
どういう作用が働いているのか、自分自身が整う感じ。
実家に似ているからかな。不思議な場所でもある。
もっともっと通いたい。
2020.08.23.sun.13:00-
2020/10/30 更新
2018/01 訪問
日常の風景と、暮らしの楽しみ方。
2018.01.07.mon.14:00-
自由が丘のはずれにある、フラワースタイリスト平井かずみさんが主催されているカフェです。
こちらのお店を知ったのはもうずっと過去のこと、tumblrで流れてきた写真がとても素敵で、
いつかまた東京に行く機会があったらうかがいたいと思いながら、
田舎で退屈な日々を過ごしていたことが思い起こされます。
上京する前だから、6,7年ぐらい前のこと、オープンは2009年というのだから、
飲食店の入れ替わりが早い自由が丘では、かなりの年月を重ねられ、
時間のぶんだけ風合いの増したカフェという表現がしっくりきそうです。
そもそもイカニカって不思議で可愛らしい響きだけれど、
どういう意味なのかなあってずっと思っていて、
カタカナ表記だとまるでピンとこないのですが、
どうやら古語、みやび言葉のようで、
漢字で書くと「如何にか」、今の言葉でいうと「いかがでしょうか?」
「どうでしょう?」といったニュアンスになるのでしょうか。
ずうっと頭の隅にありながらなかなか足が向かなくて、
おじゃまするのが今になってしまったのですが、
お正月の過食を解消すべく、軽めの(といっても健康的でしっかり栄養になるような)
ごはんがいただきたく、そういえばイカニカさんのご飯は純和食、
それも精進料理みたいな内容だったことを思い出してうかがった次第。
築40年程と思われるの古い一軒家では、
カフェのほかにもお花のレッスンや書道教室を開いていたり、
うつわや雑貨をおすすめされていて、先入観からどうしてもプロデュースが巧いだの、
センスが良いというありきたりな言葉で括ってしまいたくなりますが、
もう一段階その上を行く確固たるスタイルを日常という場所から離れずに提案しています。
内装や家具の配置、お料理のお味や魅せ方だとか、もちろん書き出してみるとぬかりないのですが、
なにより空間の息づかいが本当に素晴らしいのです。
しっとり雨の匂いを含んだぴりりとした冬の外気から、
アラジンストーブのじんわりとした暖かさが作り出す室内へ足を踏み入れた瞬間の、
肌に吸いつく気配がなんとも言えず心地良くすっかり心を奪われてしまいました。
玄関で靴を脱いで上がるスタイルに、実は少し抵抗がありました。
しかし一歩足を踏み入れるなり、「お客様」として初めて訪れるお店というこちら側の構えが
一瞬にして取っ払われてしまうような、知り合いの家に遊びに来たような、
実家に帰ってきたかのような、居住空間としての生活感がちゃんと染みついている場所なのです。
そこに暮らす人たちの歳月を映し出す、確かな風合いの感じられる空間。
狭いアパート暮らしだから私は特にそう感じてしまうのかもしれませんが、
このような場所をカフェと呼んでいいのか少し躊躇われてしまいます。
外食にはどうしても煌びやかさ、美しさ、
スタイリッシュな非日常的な空間や時間を求めがちだけれど、
もちろんカフェなら居心地のよさとか演出とか個性とか、味わいたいものです。
でも、こちらはそんな華やかさとは少し離れた異質なおもてなし。
あるのは日常の風景と、楽しみ方。
ここでは暮らすということを、ちょっぴり立ち止まって意識してしまうのです。
形やサイズの異なるテーブルと椅子がぽつんぽつんと配置され、
白い壁と棚にはたくさんの器が並び、ひかえめながら充実した本棚。
一昔前の芥川賞作家の作品が多く見えていました。
築年数を感じさせるサッシ周りはリネンやドライフラワーで彩られています。
日常の中に取り入れられたお花や器の数々。
住宅街だからとっても静かで、アスファルトに染み入る雨の音まで聞こえてきそうな環境で、
BGMのアンビエントやジャズに紛れて、
目黒通りを走る車の音だって遠くのほうからちゃんと聞こえてくるのです。
お食事のメニューは3つ。
残念ながらこの日はお目当てのイカニカごはんは完売してしまっていて、、
残る2つは「すり流し」という野菜のスープと黒糖カンパーニュのセット、
季節野菜とひき肉のカレーライス。
デザートはベイクドチーズケーキとガトーショコラの2つで、
どちらもハーフサイズが用意されているのが嬉しいです。
季節野菜とひき肉のカレーライス・サラダ付き(¥1,100)
ごはんものがいただきたかったので、カレーライスを注文しました。
この日は根菜とひき肉のカレー。
大好きな蓮根と牛蒡が大きめにゴロゴロとカットされて煮込まれていました。
お味は正真正銘の家庭的なもので、どこか物足りなさを感じつつも、
おうちご飯の味にほっこりします。
旬の食材を使ってお料理に季節を取り入れるのもまた、
暮らしを楽しむ、日常に彩りを添えるという意味では大前提のおもてなしです。
ごはんはもっちりとした黒米、セットのサラダは大根と人参とパプリカ、
水菜を千切りにした、カラフルな一皿です。
サッパリとしたビネガーのドレッシングで和えてあって、酸味が箸休めにちょうどよく、
カレーとの相性も考えられ、一手間かけて工夫されていると感じました。
ガトーショコラ・ハーフサイズ(¥300)
カフェオレ(¥400)食事注文のため¥200引き
お腹に余裕があったので、ハーフサイズならと思い、甘い物を追加でお願いしました。
イカニカさんの定番人気はチーズケーキなのですが、
ハーフサイズが終わってしまったとのことで、ガトーショコラをいただきました。
クーベルチュールチョコレートを使用した、シットリ系テリーヌのような口当たりの
濃厚なガトーショコラは、ハーフサイズでもじゅうぶん満足できるデザートでした。
しっかり洋酒をきかせ、ほのかにバニラの香りがし、
香ばしい胡桃のコーティングには和菓子のような甘さを感じました。
みりんのような、お味噌のような、
口に含むとチョコレートに変化が生まれる独特のお味が不思議な塩梅で絶妙でした。
カフェオレは手のひらに馴染む、まんまるとしたうつわでのサーブ。
時間をかけてじっくり淹れていただいたので、丁寧な心づかいがお味に現れるようでした。
質素な食事をと思ってうかがったはずなのに、フルコースでいただいてしまいました...(笑)
お食事は営業時間内であればいつでもいただくことができ、
予めお取り置きをお願いすることも可能だそうです。
お客様がいなくなったタイミングで室内のお写真を撮らせてもらいながら、
壁にかけられた言葉や小さなお花のさりげない存在感に心がとても穏やかになり、
古い家屋の再生方法とその愛で方に興味津々となりました。
ちょっとした工夫で日々の暮らしを生き生きとしたものにするヒントを教えられ、
実家のような佇まいに、幼少期を懐かしく思い出してみたり、
体の内側からゆっくりとあたたまってゆく、しんしんとしたストーブの熱が愛おしかったり、
ただいるだけで幸福な気分が呼び起こされます。
唯一気になったのは、大きさの異なる椅子を使用しているため、
たまたま私の選んだ席の椅子が小さくて、1時間ほどでお尻が痛くなり
とてもじゃないけれど座っていることができなかったこと。
慎重にお席を選んだほうがよさそうです。
草花の生い茂る夏はもっと贅沢な空間になるのではないかと、今から楽しみでなりません。
田舎のスローな暮らしが恋しくなった時、こちらにうかがったら元気になれそうです。
カレーライス(根菜とひき肉)
ガトーショコラ(ハーフ)とカフェラテ♪
内観
内観
内観
外観・築40年ぐらいの民家です。
ガトーショコラ 1/2
サラダ(千切り大根いろいろ)
カフェオレ
内観
内観
内観
内観
玄関・こちらで靴を脱ぎます
入り口♪
2018/01/12 更新
体に染み入るような、優しいイカニカご飯が恋しい。
久しぶりに穏やかな家を訪れたいなと思い、
インスタグラムをチェックしたら移転するというお話で、
カフェ営業は1/31までだと、、なんと、あと2日。
初めておじゃましたのが2018年1月、
そのあとコロナ禍の夏に二度うかがって以来。
日本家屋の持つ静謐さ、堅実さ、気配、
穏やかな音楽と、心地よく流れる時間。
確か、イカニカという言葉は古語で、
漢字で書くと「如何にか」だったと記憶している。
だから、こちらに自然と足が向くということは
自分がいま置かれている状況を正視して、
心と身体のバランスと、過去と未来と現在と対話する時間が必要なタイミングなのだと、
なんとなく、呼ばれるような感じでいた。
言葉をいくらでも書き連ねることができそうだけど、
一言だけ、とても好きな場所のひとつでしたね。
本日の定食(¥1,300)
菜の花としらすの炊き込みごはん
うっすらとやさしいお出汁の味がする、
薄味でシンプルなたきこみご飯。
菜の花の茎はほどよく固さが残っており、
ご飯の柔らかさも、さらっとかきこめる絶妙な炊き方。
副菜も特に凝ったものではないけれど、
特筆すべきはやはりすり流しだなあ、
色も美しいけれど、パンにもごはんにも合う不思議なスープ。
ドリップコーヒー(¥500)
チーズケーキとガトーショコラ ハーフ&ハーフ(¥600)
ミニサイズでちょっとずつ頼めるのが嬉しい。
チーズケーキは初めて食べたけれど、
底のクッキー部分には胡桃が入っているようで、コクがあって濃厚。
チーズの部分は固すぎずほろりとした食感で、かなり好きなタイプ。
ガトーショコラにも胡桃がしのばせてあって、
ビターなチョコレートとの相性もばっちりです。
コーヒーはやや酸味があり、中浅煎ぐらいの豆と思われます。
カップは男性的な印象のうつわでしたが、
持つと軽くて口への当たりがよく、スイーツのお皿とも素敵な組み合わせでした。
1/31でカフェの営業は終了となりますが、
2/10〜28まで、こちらの建物で店主様の描き溜めた絵やコラージュ作品を飾られるそうです。
食事の提供はありませんが、甘いものとドリンクは注文できるみたいなので、
興味のある方は最後にうかがってみてください。
通常営業と異なるため、必ずインスタグラムなどチェックしてから行かれて下さいませ。
取壊し後はこの場所にマンションが建設されるとのこと。
移転先は緑が丘駅の近くで、3月中のオープンを予定されているそうです。
2023.01.30.mon.14:00-