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昼の点数:4.8
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¥3,000~¥3,999 / 1人
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料理・味 4.8
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.8
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| サービス4.0
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| 雰囲気4.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク- ]
甘さと記憶と
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写真には写っていないが左手には幼稚園か何かがあったはず。通りは住宅街で店舗は少ない。閑静。
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開店前に到着。混んでくるとこちらのベンチに並ぶのだろう(この時はコロナの終わり頃の時期だったため、一度に入店できる組数を制限していた)
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紙袋は、私が学生だった頃からこのデザイン。一番シンプルな金平糖の小袋も変わっていない。味の種類はとても増えたが。
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ひとつぶのサイズ感はこんなもの。とても硬く引き締まっている。おじいさんのお話によると十年どころか百年もつらしい。
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2025/03/13 更新
百万遍から西へ、とうに営業をやめてそうな出版社やおでん屋の看板を見ながら南に折れてしばらく歩くと、唐突に濃厚な甘味を感じる。
空気が甘いのだ。金平糖を炊いているのである。
緑寿庵清水。金平糖の老舗名店である。とはいえ私が学生をしていた頃はこんな有名店というほどでもなく、お客もまばらで、暇な時に思い立って訪れてもさまざまな金平糖を買うことができた。
その中の一度はご主人と思われるお爺さん(当時)がいらして、金平糖の作り方、鍋がこう回って、砂糖液を特殊な道具(実物を見せてくれた)でかけて。鍋はとてつもなく大きい。とても嬉しそうに語ってくれた。金平糖を金平糖たらしめるツノがどうやってできて、どんなふうに育っていくのか。大学の先生が研究してくれたこと。マンガ美味しんぼに取り上げられたこと(ちょうど、雑誌に載った直後くらいの時期だった)。できたばかりの新しい味。作るのが難しかったソーダ味のこと。
一介の学生に過ぎなかった私に、いろんな金平糖を試食させながら教えてくれた。
言ってしまえば暇だったからできたのだろう。現代の混み具合ではとても、そんな交流はできそうもない。
そうして手に入れた金平糖の小袋は当時は数百円で、学生でも手土産にできる範囲だった。帰省のお土産。地元で私を可愛がってくれたご近所のおばさんに。当時闘病生活を送っており、その励みになればとこの綺麗な菓子を選んだ覚えがある。
もう少し俗なところでバレンタインのお返しに。根がズボラで返しそびれてしまうので(そもそも三月は大学にいないことが多い)、チョコとの物々交換に持ち歩いていた。サークルから研究室と色んなところで背伸びした義理と義理とのやりとりを、精一杯格好つけて演じていたはずだ。
お店に近づくにつれ蜜の香りは強まっていく。甘い時代の記憶もまた煮詰まって、否応なしに蘇ってしまう。糖の結晶の芯にいつまでも眠っていた若い夢のように。