2回
2022/08 訪問
『草原に輝くオープンテラスのイタリアンレストラン』
軽井沢にある1日1組のみのレストラン『フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ (Fogliolina della Porta Fortuna)』が夏の約2ヶ月間のみテラスレストラン『アルベリーニ』に変わります。
予約してくださった友人のはからいにより、貴重なお席をいただくことができました。
小林シェフのお店は、銀座エッフェの時代以来となります。
自分の店に流れる時間は完璧なる非日常でなければならない」と小林シェフ。2002年、中目黒にオープンした時から、その考えは変わっていないそう。2013年、軽井沢に移転され、日常からの距離を物理的に長くして、旅路という扉までのシチュエーションを設けた上に、冬と夏で営業形態、空間、店名までも変えました。
冬の間は、1日1客というリストランテ。夏になると、店名を「アルベリーニ」に変えて、トラットリア料理を屋外で提供、”天井のないレストラン”になります。
オーナーシェフは小林幸司さん。大学在学中に調理師免許を取得し、26歳でイタリア料理店を開く。3年後に閉店。89年渡伊、シエナの料理学校を経て、ウンブリア州「リストランテ・ヴィッサーニ」に入る。オリジナリティの高い料理を学び、後半は料理長。91年帰国、西麻布「マリーエ」、銀座「ラディーチェ」等を経て、02年「フォリオリーナ…」開店。09年トラットリアとして再スタート。11年1月「フォリオリーナ…」を再生。
ランチのコースは「おまかせ」。黒板メニューの内容は、その日によって変わるのだそうです。
テラスでは、掲げられたサルディーニャの旗が、きらきらとはためいていました。
【乾杯】
「イタリア ビオ リモナータ」
シチリア島の有機レモン使用のイタリアン・レモネード。イタリア・リミニのガルバニーナ社のオーガニックイタリアンソーダで、使用する水はすべてアペニン山脈の雪解け水が源泉の天然水だそうです。
【自家製天然酵母のパン】
アニスシードとフェンネルシードを練り込んだ、むちっとしたほんのり甘いパンです。
【軽井沢野菜の炭火焼き】
細長く切った茄子、パプリカ、甘長唐辛子、モロッコインゲン、人参などの軽井沢のお野菜を芳ばしく炭火焼きに。イタリアのニンニク、アンチョビなどをオリーブオイルで和えたものでマリネ。オレガノ(ハーブ)をのせて。残ったガーリックオイルはパンで拭って最後まで美味しくいただきました。
【イイダコとひよこ豆のトマト煮込み】
旨みの乗った夏のイイダコをほろほろに軟らかくなるまで煮たナポリ料理。タイムを散らして。食感の好いひよこ豆とタコの旨みの出たソースも美味しいです。
【仔羊のトリッパ】
仔羊のトリッパに、クローブなどのスパイスを利かせ、香味野菜のソフリットとトマトで煮込んだイタリアの定番もつ料理 トリッパの煮込み。上からとろーりとチーズが覆います。丁寧に下処理されて臭みを抜いたトリッパは噛み締める度に旨味が滲みます。旨みが溶け出たソースも抜群です。
【生ハムメロン】
ロンバルディアのマントヴァメロンと、腿の形のままのノンプレスのももの生ハムをのせて。赤肉メロンの華やかな香り、甘さと生ハムのすっきりとした塩気の組み合わせはやはり鉄板です。
【ドルチェポルコ&仔羊】
小林シェフがテラスでお肉をずっと焼かれていました。
選んだお肉はイタリアのドルチェポルコとオーストラリアの仔羊。仔羊はアバラから背肉、ポルコとどちらもこんがりと肉の旨味を閉じ込めてこんがりと火入れされ、柔らかくも肉汁ジューシー。
ソースはソースはイタリアンパセリ、ミント、タイム、マジョラム、レモンバーベナ、ケッパー、アンチョビ、レモンの花からとったハチミツにオリーブオイルを加えてピュレにした風味豊かなサルサベルデ。
【サルディーニア産フレーゴラ、ピカンテデイオ】
こんがり焼いたスカンピ、プチトマトとフレッシュバジル、を入れたフレーゴラに、ミント、ウイキョウを添えて、最後にすりおろしたボッタルガをかけて。魚貝の旨味が溶けだしたブロードにもちっとしたフレーゴラが良く馴染みます。カラスミの香りがより重厚感をもたらします。
【ドルチェ】
「ラム酒とブルーベリーのジェラート」
ミルキーでラムの豊潤な香りと共に口の中でスーッと儚く溶けていきます。
【食後の飲み物】
「アイスコーヒー」
美しい緑に囲まれ、小林シェフの優しい笑顔と共にリラックスしながら食事を楽しむことができました。素晴らしい夏の思い出になりました。皆様ありがとうございました。
2022/08/14 更新
軽井沢にある1日1組のみのレストラン『フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ (Fogliolina della Porta Fortuna)』
夏はトラットリアとして営業されるアルベリーニに、冬はリストランテのフォリオリーナとして内容も変わる、こちらに伺わせていただきました。
自分の店に流れる時間は完璧なる非日常でなければならない」と小林シェフ。2002年、中目黒にオープンした時から、そのお考えは変わっていないそう。2013年、軽井沢に移転され、日常からの距離を物理的に長くして、旅路という扉までのシチュエーションを設けた上に、冬と夏で営業形態、空間、店名までも変えました。
オーナーシェフは小林幸司さん。大学在学中に調理師免許を取得し、26歳でイタリア料理店を開く。89年渡伊、シエナの料理学校を経て、ウンブリア州「リストランテ・ヴィッサーニ」に入り、のち料理長までに。91年帰国、西麻布「マリーエ」、銀座「ラディーチェ」等を経て、02年「フォリオリーナ…」開店。09年トラットリアとして再スタート。11年1月「フォリオリーナ…」を再生。
お店の名前、Fogliolinaはイタリア語で「小さな葉」、 Porta Fortunaは「幸せを司る」どちらが欠けても成立しない、二人の料理人からなるレストラン。
厨房で料理を作るのは妻、葉子シェフ。コースは数日ごとに変わり、その後、同じ皿を作ることがないというのがポリシー。
コースを組み立てる上でまず行うことは食材の確認。食材は小林シェフが選んだものではなく、信頼する業者が選んだものを使うのだとか。
お1人のみアルコールペアリング、3人はノンアルペアリングを。
駅に到着したときは、太陽が出ていて晴れていたのに、途中から、雪が舞い降りてきました。
お家の中には暖炉があり、とても暖かく、そして、窓の外はとてもロマンティックです。
【乾杯】
「デュク・ドゥ・モンターニュ」
シャルドネ系フルーテイなスパークリング。
【前菜】
「鴨肉 カチョカヴァッロラグサーノチーズ」
鴨のもも肉を塊ごと焼いて、小さく切り、オーブンで焼いた北イタリア・エミリオロマーニャのカルチョフィに合わせて。シチリアのモディカーノのいう牛の乳できたカチョカヴァッロラグサーノチーズとアーモンドを加えて炒めた野菜スープを煮詰めてピュレ状にして添えて。最後にココナッツのローストを砕いて散らして。
【前菜】
「鴨と鮑とスフォルマ―ト」
鴨とフォアグラを塩で焼いてにんにくとエシャロット、シチリアのくるみを野菜のブロード足して濾してピュレに。ホロホロ鶏の玉子と合わせてスフォルマ―トに。鮑には、種を抜いた黒オリーブの実を加え、煮込んで肝と合わせて。
上にはイタリア産紫のカリフラワーのフリット、ピエモンテのCrutin(クルティン)というトリュッフ入りのチーズ、黒トリュフを削って。スフォルマ―トにおいては、日本一だと思う。どういった技法を用いているのでしょう。
【ドリンク】
「白ワイン・(ノンアル」
アニスシード入り、ソーヴィニヨン・ブラン。
【パン】
「自家製天然酵母の生地にアニスシードを練りこんで焼いたパン」。
「自家製天然酵母の生地にサフランの葉のめしべを練りこんで焼いたパン」
【ズッパ】
「ポロ葱とエシャロットのズッパ、猪のオーブン焼きを添えて」
ポロ葱とニンニクやエシャロットのスープに、ねずの実(ジェニファーペリー)の薄切り、野菜を加え煮込み、ミキサーにかけて濾したズッパ。ここへ赤うしのミルクのパルミジャーノチーズを加え、猪のアバラ肉の塩漬けを入れてオーブン焼きに。
ジロール茸を割いて焼いてローストにしたものをのせて、シチリアのボッダルガを散らして。色々な食材を加えながら、最後は綺麗に調和した、奥深い味わいです。
【ドリンク】
「赤ワイン・(ノンアル」
バニラビーンズ入り、メルロー。
【プリモ】
「タリオリーニ ホロホロ鶏 ジェローネ」
ホロホロ鶏の胸肉を刻んでサルメリアの松の実を加え、ジェローネ(きのこ)、イタリア産皮付きニンニクを炭で蒸したものを加えて、タリオリーニに混ぜて。ベルサ(ちりめんキャベツ)とフォンタナチーズを焼いて、すべてを包み込んで。
ソースはニンニクとホロホロ鶏の卵黄で作ったソースを合わせて。
どこにも食べたことの無いアッと驚くこの調合。これだけの食材を用いて素朴な味でありながら、その奥底の力強さに驚かされます。
【セコンド】
「野生の山鳩」
ピエモンテ州トスカーナの野生の山鳩の胸肉を強火で休ませることなく火入れし、カルトンチェッロを添えて。オリーブの実、ベネトのピアーベチーズ、鳩の心臓やレバーと混ぜてピュレに。上にはトピナンブール(菊芋)のチップス(スライスしたフリット)をのせて。“赤いラデイッキオのソース”、トーストしたシチリアのノッチョーラを砕いて。柔らかい山鳩は、野趣あふれるというよりも、くせのない優しい味わい。火入れも良く、ソースが良く馴染みます。
【テイ】
「スパイステイ」
フェンネルシード、アニスシード、ミントの香りに近いタイムをミネラルウォーターで抽出して。
【チーズ】
「ネーヴェ デル グラッパ」
白カビを熟成させたヴェネト産ネーヴェ デル グラッパに衣をつけてスプマンテと共にベニエにして。刻んだ林檎にカルヴァドスの蜂蜜で煮詰めたものとシチリアのピスタチオを合わせて添えて。揚げてモチっとしたチーズを口にすると中でトローリと溶け出します。
【ドルチェ】
「マンダリンのスープ、チョコのムース」
マンダリンオレンジを皮ごと使い、ラム酒とオレンジの蜂蜜を濾して仕上げたスープに、61%カカオチョコレートにホロホロ鶏の卵黄を練り、ピュレにしたもの、メレンゲを浮かべて。
【小菓子】
「ケーク、チョコ」
薄力粉とホロホロ鶏の卵黄、マスカルポーネの生地に、リンゴをを練りこんだケーク。61%のチョコを使い、ポモドーリ(ドライトマト)とギリシャのコリントレーズンを加えたチョコレート。
【食後の飲み物】
「エスプレッソ」。
天界にいるかのような至福の時間でした。最後は奥様も厨房から出てこられて、ご夫婦で、手を振って下さり、お店の門を出ました。新幹線で雪世界の中、下界に帰らねばなりませんが、心はとても温かいものになっていました。