2回
2023/03 訪問
「季節の移ろいを料理に映す」
浜松を代表する日本料理屋「勢麟」
他にはグループ会社としては鰻「麟」があり、焼鳥屋「焼き鳥 幸羽」をオープンさせたばかり。自らを料理屋ではなく「食べ物屋」と名乗る店主の長谷部敦成さんが提供するのは静岡の豊富な食材。
鰹節、昆布などの出汁を使わず“生出汁”をすべての料理に活かす。遠州灘の新鮮な魚介なら、生出汁を引けますと。
大徳寺黄梅院和尚の筆「一以貫之」を掛け,初心を忘れず道を進みたい」という大将の想い。
3月、本来であれば、ふぐ、をテーマに料理が構成されますが、大将曰く“早くも赤くて(使えない)”、ということで、
「天ぷら屋」天ぷらの時期のコース。
有り難いお席をいただきました。感謝です。
目の前のお調理風景だけでなく、大将、との軽快なトークも愉しみました。
「麟」の塚本大将もいらっしゃいました。その時のお話しなども。
【乾杯】
「ペリエ」「緑茶」
【先付】
「赤貝と菜の花の辛子和え」
朝掘りたての愛知一色の赤貝、菜の花を和辛子で和えて。
【ふぐの茶碗蒸し】
ふぐの出汁のみを軸にし、ふぐの身を加え、昆布や鰹節は使用せず。
【お造り】
『ホシカレイ」
目の前で切り出しされたばかりの新鮮なホシカレイ。張りのある身の弾力感が素晴らしい。
ポン酢と畑で採れた葱、もみじおろしを添えて。
ここから、天ぷらです。
「天つゆ」「塩(ゲランド)」「鬼おろし」
【大車海老】
【大車海老】
愛知一色の立派な大車海老。
衣の調理法を変えたそうです。衣が軽くて、いくらでもいただけます。
【グリーンアスパラガス】
先ほどから、若大将がグリーンアスパラガスに、細かく隠し包丁を。かなり太いから、火の通りを均一によくする為でしょうか。まずは、軸の方から。ざっくりとしたみずみずしいグリーンアスパラガス。次には、頭,穂先を。柔らかな食感でジューシーと、食感の対比を愉しみます。
【目板鰈】
さくっと揚がった、ほわほわ柔らかな白身魚.
【椎茸】
お店用に作ってもらっている原本椎茸。びっくりサイズと肉厚でありながら、旨味も濃厚。
【赤いか】
むっちりと、中心部は、すっと歯が通る柔らかさ。
【うちの畑の新玉ねぎ】
甘くてジューシーな新玉ねぎの天ぷら。揚げることでより、甘さが倍増。下処理でザクザクと生の新玉ねぎを切る大将に、目にしみませんか?と伺うと、その成分が出来ない手法で、育てているのだとか。
【トマト】
ご近所の農家さんからのフルーツトマトのようなみずみずしく、甘いトマト。お口直し。
【朝採れスナップエンドウ】
噛んだ瞬間ぷちっと豆が弾ける、揚げたてならではの食感。揚げることで甘味が引き出されます。
【めごち】
地元のメゴチ。ふっくらと揚がっています。
【明日葉】
今朝山でつんできた明日葉。エグミが皆無で青みが綺麗。
【蕗の薹】
蕗の薹の蕾揚げ。花が開くと、映えるが、あえてツボミの方が美味しいと!
【浜名湖の穴子】
揚がった穴子を2つに切ると、ふあ〜と湯気が。サクサクした衣に、ふんわりとした穴子。天つゆでいただくのが好み。
【深川めし】
大きなお釜が登場。昭和時代、(写真で)よく見たUFOのアダムスキー型。そのお釜で炊いたご飯に、浅利の身入のアサリスープを注いでお雑炊“深川めし”に。こちらも、鰹節などの出汁は使用せず、アサリと醤油、水のみで仕上げたスープとのこと。
今はほとんど中国からの浅利の稚魚を育てたものが出回っていますが、これは国産100%、貴重にして高値の、愛知·姫島の浅利だそうです。
【香物】
「蕪、赤蕪、人参の糠漬」
【デザート】
「アイスクリームに、摘みたての甘いいちご“紅ほっぺ”をのせて。1日置くと甘さが増しますが、摘みたてのフレッシュないちごを味わってほしいと。
【お茶】
お店の畑で心を込めて育てられた野菜や、地元の旬の食材を調理され、どれも端正な日本料理ながら、長谷部大将ならではの感性も宿ります。お見送りも嬉しく、感動のひと時でした。
2023/03/26 更新
浜松を代表する日本料理屋「勢麟」
自らを料理屋ではなく「食べ物屋」と名乗る店主の長谷部敦成さんが提供するのは静岡の豊富な食材。
遠州灘の新鮮な魚介なら、生出汁を引けますと、鰹節、昆布などの出汁を使わず“生出汁”をすべての料理に活かします。
店内に、大徳寺黄梅院和尚の筆「一以貫之」を掛け,初心を忘れず道を進みたい」という大将の想い。
有り難いお席にお誘いいただきました。
前回伺った際、ふぐのテーマの時期でしたが、早々時期終わりと、天ぷら屋さんでしたので、ふぐリベンジの形になりました。
虎河豚の時期のコース。
遠州灘で採れた天然の虎河豚を使います。今日は約5キロの虎河豚ということです。
【乾杯】
「緑茶」
【摺り流し】
虎河豚の皮からひいたお出汁に蕪の摺り流し、醤油を合わせて。 河豚の深い味わいに蕪の優しい甘みが合わさります。
【河豚の茶碗蒸し】
虎河豚の身からひいたお出汁に、玉子、地元原木しいたけを加えた茶碗蒸し。
椎茸が品良く香り、そのエキスがじんわりと美味しい。
【虎河豚お造り 】
大将が目の前で切り分けた虎河豚のてっさ。もみじおろし、芽葱、とポン酢で頂きます。
厚みをもたせたふぐの柔らかな身質に、驚きます。程よい弾力感と旨味が広がり、美味しいです。
【虎河豚煮凝り】
ゼラチンは使用せず、ふぐの皮、水、柚子、醤油のみ。ふぐの持つゼラチンで固めた煮凝り。
【虎河豚白子の炭火焼き 】
ぷっくり膨らんだ焼き白子。朝採れの白子だそうです。表面にあてた塩と共に。熱々でクリーミーな白子です。
【里芋饅頭】
地元の里芋を使い、その中に 香箱蟹の身を詰めた里芋饅頭。出汁餡をかけて。
【虎河豚の唐揚げ】
まるで流木のような豪快なふぐのから揚げ。山椒と。さくっと揚げたふぐは、骨の間のぷりっとした身をいただきます。
コラーゲンもたっぷりで、食べごたえありました。
【河豚魚汁(ふぐ鍋)】
ふぐの身、白菜、椎茸などのお野菜を味噌でじっくり炊いた、漁師料理“河豚魚汁(ふくとじる)”。別名ふぐちり、ふぐ鍋。七味と。
ふぐと野菜からの旨味が染み出して、ほっこりと暖まる一品です。
【 河豚魚汁の雑炊】
河豚魚汁に羽釜で炊いたお米、おこげを加えて、煮た雑炊。溶いた玉子と旨味のあるお粥が溶け合います。
江戸時代にはフグ鍋は、「鰒汁(ふくとじる)」と呼ばれ、またフグ汁は、「鉄砲汁」とも呼ばれたそうです。(当たると死ぬから)
【香の物 】
「蕪、紅心大根、大根」
【デザート】
「紅ほっぺ」
特別に育ててもらっている、大きな紅ほっぺ。 15時に摘んだばかりの超フレッシュな甘いいちご。
「アイスクリーム」
ミルキーで後味爽やか。
最後に今後の新たな展開のお話しを伺いました。大将は、まだまだやりたいことがいっぱいありそうです。寂しいような、でもワクワクするような。浜松がより活気づきそうです。