『劣悪居酒屋の利益のカラクリ』kuidouraku11さんの日記

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呑兵衛の居酒屋ガイド

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よく、劣悪(Z級)居酒屋はどうやって儲けているのですか?と質問を受けます。低質なサービスを繰り返せば客離れを起こして経営が成り立たないでしょう、というご意見です。

私も最初はそれを不思議に思ったのですが、段々とその仕組みが理解できるようになってきました。Z級居酒屋というのはインターネット集客と客引きに支えられた新しい経営業態とでもいうべきものなのです。
まず、経費内訳を考えてみます。

【飲食店の経費比率】
食材仕入れ・・・30%
人件費  ・・・30%
家賃   ・・・10%
水道光熱費・・・ 5%
その他経費・・・10%
粗利   ・・・15%

こんなところでしょう。飲食店であれば、どんなジャンルでもこの経費比率は似たようなもので、経営指南書を見ても顧客満足度と適正利益のバランスはこの位が最適値とされています。
しかし、Z級は違います。そもそも「客の満足など不要」という酷い考えを持っていますから、まず食材などの質をトコトン落とします(食材仕入れ30→15)。
続いて人件費も最低人員しか雇いません(人件費30→15)。Z級居酒屋で呼んでもスタッフが来ない、ドリンクがいつまで経っても来ないなどの怒りレビューが上がるのはそのためです。
さらに家賃も削ります(10→5)。私の低評価レビューを注意深く見て頂ければ、普通は客など来ないような裏路地やボロビルにZ級は存在していることが分かるでしょう。週末などでエレベーターの能力を超えた居酒屋ビルに遭遇したことはありませんか?言ってしまえば、そのような欠陥ビルにこそZ級は潜んでいるのです。

一方でこのままでは客は絶対に来ませんので、食べログなどの口コミサイトを駆使し、場合によってはステマなどを大量に使い、何としてでも一見の客を掻き集めます。ダブルネーム(1店で二つの店名を持つ)のもその手段の一つです。
また、路上客引きとも契約し街から客を無理やり引き込みます。この経費は売上の2割程度もあれば足りることでしょう。

これで収支が出ました。
【Z級の経費比率】
食材仕入れ・・・30%→15%
人件費  ・・・30%→15%
家賃   ・・・10%→ 5%
水道光熱費・・・ 5%→ 5%
その他経費・・・10%→10%+20%(広告宣伝費+外注費)
粗利   ・・・15% ➡ 30%

ほら、儲かりましたでしょ。
これがZ級居酒屋の儲けのカラクリです。
ステマを何十人も使うことなんて余裕でできることなんです。
でもそれは、低質なサービスの代替えとして行われているものなのです。

そして極めつけは客の詰め込みです。店内の環境などに考慮せず、席をすし詰めに作れば1.5倍の収容も可能です。これはイコール売上ではありませんが、週末・忘年会などの繁忙期には効果的で、更に売上増=収益増につながります。上記の粗利にブーストが付くのですから、儲かって儲かって仕方がない訳です。

ここまで読んだ皆様には少なからず心当たりがあるのではないでしょうか。
食べログの居酒屋ジャンルでは、しばしば★1.0の酷評レビューが上がります。
これらの多くは、実を言えば組織的に計画的に作られた劣悪な環境だったという事です。
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