2回
2018/05 訪問
【庶民の贅沢】居酒屋の最高峰とはこういう店さ (1回目)
食べログに関わるようになってから、諸先輩から色々な助言をいただける機会を持つようになりました。何百万円もかけて得た実学情報をご好意で頂けるのです。こんな有難い事はないと思っています。
何せ私は、呑兵衛であるといっても決して食通ではありませんし。これまでの人生でも、食への関心を殆ど持ってこなかったため、料理や酒についてはろくに知識もありません。そして、気まぐれで各地の繁華街を広く浅くうろつくものですから、贔屓店のストックも少なく、自信を持って紹介できる店というのも決して多くはないのです。
その惨状は、美食や通の世界を知る人から見れば「人生の楽しみを知らない」として、可哀そうに思えるのでしょう。そして、少しは向学の気持ちがあるならと、最良のカードを切って紹介をいただきました。
それが当店【光壽(こうじゅ)おおやま】です。
このレビューに記載の写真は5月末の訪問時のものです。
料理をコースで22品、それに合わせたプレミアム日本酒を溢れるほど飲ませていただいて、料金はわずか8,000円(税込み)の設定です。料理の手間とお酒の価値から考えると、申し訳なくなるくらいの激安設定であり、恐れずに表現するのであれば、私の感覚では1万5千円くらい取られても良いのではないかと思っています。
そして訪問後、当店の図抜けた素晴らしさを表現するのにはどうすれば良いか、正直なところかなり悩みました。
私のような粗舌の凡人が、特A級である当店の料理や酒を語って説得力が出るだろうか。
それとも、紹介者様と店主・女将さんとの会話を拾って、当店の素晴らしさを何とか伝えようか。
あるいは、より舌の肥えた人を紹介して、その人に語ってもらおうか。
・・・これについては、いずれも否という結論です。
何故なら当店は、私のテリトリーである居酒屋というジャンルにギリギリ入る店であり、その最高峰の店と感じたからです。ここは何としてでも自分の言葉で表現しなければなりません。
そこでひとまず、当店の素晴らしさを「体を使って」表現する方法を思いつきました。
直ぐに2回目の訪問をしたのです。もちろん、もう一度行きたいという意味もあって。
そんな訳ですので、「1回目訪問」の当レビューは、間もなく上げるであろう「2回目訪問」の前口上みたいなものです。(現在鋭意作成中w)
写真も撮影順に並べてあります。
料理は下に記しますので、参考にしていただければと思います。
【料理】
じゅんさいお吸い物
山東菜 おかひじき おかわかめのおひたし
メレンゲとカボチャのペースト
白バイがい
トマト出汁浸し
胡麻豆腐焼
根曲がり竹
こしあぶら天ぷら
こしあぶらタルタル
白いいちご
春巻き
ローストビーフ
ふき
鰻肝
ぶどうチーズ生ハム巻き(チーズはブルサン)
カマンベール味噌漬け
アナゴ焼き
かつを 海ぶどうと
マグロ
ほや塩辛
黄ニラ
すき焼き
鯛茶漬け
酒粕ジェラート
2018/06/18 更新
私は年に200日、350店ほどの居酒屋を訪問する、典型的な呑兵衛というべき人間です。
ただし、その嗜好にはかなり偏りがあって、これまで大衆向けの和食料理店やチェーン系の居酒屋ばかりを訪問していてきました。価格帯もBC級には多少強いですが、美食を極めるようなS級とか、逆にコスパを極めるような立ち飲み店などの訪問経験は殆どありません。どちらにブレても緊張してしまい、現時点ではさほど楽しいとは思えないのです。
それが、食べログに関わってから少しづつ変わってきました。
まずは、先輩レビュワー様の記事を見るにつけ、庶民として頑張れば手が届くような「A級」の店に行ってみたくなったのです。そしてさらに、自身と方向性が合うレビュワー様が、その中でも高く評価する「特A級」の店については、特に情報を求めるようになりました。
そしてそれを最初に意識したのが かんだ光壽 でした。
このお店は日本酒好きの間では知らない者はいないと評される超有名店で、予約しなければ入店すらできない程の人気店でもあります。そんな店に飛び込みで戸を叩くこと10数回。平日ですら振られ続けでしたが、ある日客の出入りの隙間に偶然当たり、店内で素晴らしいもてなしを受けます。当日の出来事は私にとってはかなりの衝撃で、レビューも拙いながら3000文字を費やしてその素晴らしさを表現させていただきました。
https://tabelog.com/rvwr/004200896/rvwdtl/B268560673/
そんな時、普段の居酒屋レビューを見る中で、大先輩レビュワー様の当店【光壽おおやま】の紹介記事にたどり着きました。光壽? 新店? これだけで興奮のあまり血の巡りが早くなってしまいそうです。
さっそくお願いして訪問の段取りをとっていただくことになりました。
なお、その際のコースについては、当店の1回目訪問として、下段に短いレビューを記載させていただきました。
そして今回は、間を置かずに2回目の訪問になります。当店はそれだけ魅力的だという事です。
今回は知人と3名での訪問になります。
当店のビルは1.2階は別の料理店が入っており、光壽おおやま の看板を見つけるのは少し苦労するかもしれません。綺麗ですが慎ましい外観は店主の方針を語っているような気がします。
階段を一直線に3階まで上がります。やや激しい雨天の中でしたので笠置きにビニール傘を突っ込んで店内に入ります。
店内はやや細長い構造で、真っすぐに伸びる通路と壁沿いにある不思議な席、その先に厨房を囲むL字のカウンター。それと今回は屋外にテーブル席が作られていました。当日は平日でしたのでカウンターで収まりましたが、これからは他の席も活用されることになるでしょう。
オーナーの大野さんと美しい女将さんが迎えて下さいました。
早速カウンタの短辺に座ってビールをいただきます。大野さんに過日のもてなしのお礼をしつつ、本店開店時の苦労話をいただきながら知人を待ちました。
店内を細かく見まわすと、堅苦しくない雰囲気でありながら、手入れの行き届いているのに気づかされます。前回から2週間程度の間を空けての訪問なのですが、微妙に配置を変えたりの工夫にもいろいろ見えます。テラス席などは照明も美しく設置されており、これならパーティどころか接待でも十分耐えられる良環境に変わっていました。
また、後述しますが入口に近い席にも微妙な変化が起きていました。遅れて到着した知人が、その素晴らしい写真を眺めながら入店してきます。
さて、今回も料理、日本酒ともおまかせコースになります。
余りに盛りだくさんな内容のため、まずは情報整理を兼ねて一覧にしてみようと思います。
【料理】
じゃがいものポタージュ
しじみのお椀
コロッケ
トマトの漬け(蕎麦のかえしに漬け込んだ)
お浸し
・おかひじき
・山東菜
・おかわかめ
酒粕に漬けたチーズ(女将オリジナル)
ごま豆腐わさび(くずで練っている)
牡蠣味噌漬け(燻製)
はまぐりの酒蒸し
金時人参
さわら
ぶどうチーズ生ハム巻き
ミソロース
ホタルイカの沖漬け
まぐろ・和からし付き
すき焼き
うなぎの肝
雲丹からすみの磯部
※ 他1~2品
酔いの回った後半に、写真撮り忘れと記載漏れを連発しています。ただコースとしては21~22品が出るのだという事はご理解いただけたと思います。
さて、午後7時過ぎに料理提供を始めていただいたのですが、当店での楽しみは何より、料理に合わせた希少な日本酒を楽しめることです。しかも、より詳しい説明を望めば、オーナーや女将さんから柔らかく解説をいただくことができます。
この料理の拘り、日本酒との相性、私のような勉強中の身にはとても貴重な教義となりました。
料理も酒も私たちの箸の進み具合を見て出していただけるのですが、そこはカウンターならではの楽しみがあります。人の好みにはいろいろ違いがあるもので、少なくとも今回の知人3人の絶賛する酒、料理は大きく割れていました。
知人Aはごま豆腐に感動し、続いて女将さんのオリジナルだという酒粕漬けのチーズに感動しています。松の寿 純米吟醸 無濾過 生原酒、風の森 純米大吟醸 キヌヒカリ との相性に顎が外れるほど喜んでいて、料理の消化が遅れている私の卓上をジッーと見続ける始末。あんまり煩いので半分だけお裾分けです。女子か貴様はw
オーナーはそれを見て、そっとお替りのサービスをしていただきました。
知人Bはマグロの熟成具合と、今年最後になるであろうホタルイカの旨味に痺れ上がっています。もともと焼酎がぶ飲み派の大呑兵衛であるBは、希少な酒には全く無感動(のフリw)でしたが、美味い摘みには過激に反応してくれました。特に牡蠣の味噌漬けの濃厚なこと。それに燻製の燻りがちょっと入っていて、ずっと食べていたいと宣っていました。そして、そんな日本酒音痴のBでしたが、その態度が崩れる瞬間が来ます。三井の寿(みいのことぶき)純米吟醸 大辛口 です。
このダブルラベルで有名な九州のお酒は、スラムダンクという有名漫画に登場する三井寿君のモデルになった事でも知られていて、個人的には初めて飲む機会に恵まれたことになります。私も興奮してしまいましたが、Bもスマホを取り出して写真を撮っています。奥さんに自慢でもするんでしょうか。
ちなみにワタクシは、当店ならではの希少な品評会クラスのお酒に大喜びをしていたらしいです。
らしいというのは、店を出てからの記憶も含めて定かでないことと、当日同行したA・Bが「今まで見たことのないくらいの満面の笑顔で酒を飲んでいた」という証言によります。
町田酒造は最近首都圏の日本酒BARなどで評判を呼んでいる群馬県前橋にあるメーカーさんです。私も地理的な近さからその名前は見聞きしていましたが、そのラベルを見て驚きました。オーナーさんとの信頼関係を示す、当店【光壽】のオリジナルブランドです。
佐賀県/馬場酒造場の能古見 純米大吟醸 はそれ自体も知られた銘酒ですが、よく見ると何だか手張りのラベルが貼ってあります。なになに…
「袋吊り雫、柄杓汲み」
げ。げげげげ。
こんな素晴らしいものをワタクシたち頓珍漢3人組に飲ませちゃっていいんですか。
お酒の製法については少しですが勉強しましたから、これが美味しいところだけを特に選んだ品だってこと・・・だけは分かります。オーナーさんの話によれば提供は僅かに6本。
いや、あの。それ、一般市場に流通しているって言いません。こういうクラスのお酒を普通に提供してくれているから、当店はたまらないんです。私的にはこれだけで訪問した価値がありました。
それと忘れてはいけない当店の魅力についてです。
これは個人的に思っていることなのですが、当店の一番の凄いところは、お酒を造る人といただく人の間を繋ぐ存在として、本当に両者の事を考えている自己研鑽に溢れている点にあると思います。
私は客としてはだたの呑兵衛であり、お店からすれば何百人も相手にする中の一人に過ぎない存在です。でも、そんなつまらない相手に対して、一席入魂というか、万全の努力というか、奉仕の精神といえばいいのか、とにかく当店は、沢山の感動を貰うことができる場所なのです。
一方で、当店のオーナーさんは全国にある蔵人の方々とも親交があるようで、それゆえに希少酒の入手と提供が可能になっていて、系列店の品揃えの良さはご存知の方も多いと思います。その証拠として一枚の写真(一番最後の写真)をアップします。壁沿いの席に何十枚かのスナップ写真が飾ってあるものです。
呑兵衛であれば諳んじれるような、超有名ブランドの瓶を手に持って、多くの酒造関係者が笑顔を見せている写真です。子供の様に可愛いであろう自身の銘柄と共に。。。
いえいえ。
違いますよ。
自分の商品でない銘柄と共にです。
これが何を意味するかは分かりますよね。
私は「当店に栄えて欲しい」と心から思うからこその写真だと思いました。
さて、今回のレビューも気が付けば4,000文字近くになっています。レビュワーとしての義務は最低限は果たせましたでしょうか。そして次からは、当店は完全に楽しんで飲みまくりたい店ですから、もうレビューはしないと思いますのでそろそろ締めようかと思います。
こんなに楽しんで、お腹いっぱいになって、希少なレビューを書かせてもらって、支払いは僅かに税込み8,000円です。
あ、一応同行のA・Bへの謝恩会だから3人分で24,000円になります。
当店【光壽おおやま】は東武東上線大山駅から徒歩3分ほどの場所にあります。池袋駅からは各駅停車でわずか3駅という至近距離です。この安価な料金との最高のサービスのミスマッチがあるため、いつまで予約が取れる状態が続くのかはわかりません。もし。日本酒に一見あり、あるいは庶民的な価格で贅沢をしてみたい、と思う方がレビュワー様におられましたら、是非ともご訪問頂ければと思います。
ハードルを上げるつもりはさらさらありません。ただ、私が見たところ、当店は居酒屋ジャンルの最高峰(※個人の見立てです)のお店です。あるいは美人女将(2回目)の知的な笑顔を拝みに訪問しておくのも損はありませんよw
それに、当店を口コミ5件などという状態もしておくのは、層々たる美食家もおられる食べログレビュワー陣の名折れですぞ。
あんまり放置してるとメディアが嗅ぎつけちゃうかもね。
ごちそうさまでした。またお伺いしたいと思います。