goodmanKobaさんが投稿した吉平(東京/築地)の口コミ詳細

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吉平築地、築地市場、東銀座/とんかつ、揚げ物

1

  • 昼の点数:5.0

    • ¥3,000~¥3,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 5.0
1回目

2025/11 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥3,000~¥3,999
    / 1人

築地の吉平にて、リブロース200gを

吉平が戻ってくる。
それだけで、世界の色が変わった。

神田の吉平に最後に行った2023年8月のことを、僕は忘れたふりをして生きてきた。けれど本当はずっと胸の奥に刺さっていた。あの日の熱気、油の匂い、カウンター越しに見たマスターの背中。店を出るときに無意識に「また来ます」と言った自分の声までも、今思えば痛いほど鮮明だ。

その「また」が、いつまで経っても来なかった。店が静かに扉を閉じた瞬間、僕の中で何かがぽっきりと折れた。毎日の中で、言葉にできない“欠け”みたいなものができてしまい、それを直す術もなかった。

そんな2年間だった。



その沈黙を破ったのは、ある日の午後にふと開いた吉平のXだった。

「新店舗決定」

その文字を見た瞬間、心臓を鷲掴みにされたようだった。呼吸の仕方を忘れて、気づいたらスマホを強く握りしめていた。目の奥が熱くなって、胸の奥がぎゅっと締めつけられて、鳥肌が一斉に立ち上がった。

僕は自分でも驚くほど、吉平が好きだった。ただ好きだった、なんて軽いものじゃなく、生活の軸であり、週の終わりのご褒美であり、心を守る“家”みたいな存在だった。

浅草橋と神田の時代に、何度通ったかなんてもう思い出せない。数えようとしたことすらない。気づけば、生活の呼吸と同じリズムで、僕はそこに通っていた。

吉平は、僕の胃袋の一部であり、心の一部でもあったのだと思う。だからこそ、その喪失は大きく、その復活は、言葉にできないほどの救いだった。



復活の知らせから数ヶ月後、築地の吉平の暖簾をくぐった瞬間、胸の奥が勝手に震えた。

店内の空気、光、温度、木の香り。それらが一瞬で心の深部に流れ込み、閉じていた何かをそっと開いた。

そして、カウンターの向こうに立つマスターと店長。変わっていなかった。時の流れなんて、ふっと笑い飛ばすように。
ただそこに立っていた。その姿を見た瞬間、胸の奥の堰がきしんだ。

神田時代とはオペレーションが違う。だけど、二人が放つ“吉平のリズム”は、魂の部分でまったく同じだった。

店長の芯の強さが少し増したようで、マスターはいつも通り落ち着いていて、二人のやりとりは、懐かしさと幸福と安心をまるごと運んでくる。

その景色を眺めながら飲む赤星は、まるで失った時間を少しずつ取り戻していくような味がした。



2年間、僕は吉平を探していた。似た店を巡り、高い評価のとんかつを食べ漁り、時に希望を持ち、時に落胆しながら。

けれどどの店でとんかつが揚がる音を聞いても、どうしても吉平のマスターの姿が浮かんできた。

衣の繊細さ、油の温度を読む目、リブロースの脂の「甘さ」を最高潮に高める揚げ方。職人の背中には、誤魔化しの余地なんてない。

本物だけが持つ匂い、気配、説得力。僕が追い求めていたのは、まさにそれだった。そして今日、ようやく本物に戻って来られた。



皿の上に現れたリブロースは、ただの料理以上のものだった。見た瞬間、胸が熱くなった。

ひとくち噛んだ瞬間、堰が切れた。美味い、とか、柔らかい、とか、そんな単純な言葉ではまったく足りなかった。

「戻ってきたんだ」その事実が味となって舌に広がり、涙腺までまっすぐ届いてきた。

マスターの揚げる脂身は、世界のどこにも存在しない甘さだ。優しさと凄みと温度が共存した奇跡のような甘さ。わさびを乗せることで完成するというのも、吉平だけが到達した唯一の境地だ。

興奮で手が震え、気づいたらあっという間に完食していた。本当は、もっとゆっくり、ひと噛みひと噛みを胸に刻みたかったのに。でも次があると思うと、それでよかった。



吉平、
あなたの復活は、
僕の人生の一部を救ってくれました。

長い2年だった。
本当に長かった。

でも今日、はっきりわかった。
とんかつは単なる食べ物じゃない。
人生だ。
記憶であり、時間であり、感情であり、
時に支えであり、祈りのようなものでもある。

帰ってきてくれて、本当にありがとう。
どれだけこの日を待っていたか、
どれだけあなたが必要だったか、
ようやく言える気がする。

#吉平

2025/12/10 更新

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