2回
2018/10 訪問
こだわりの逸品がある店
なんだか誰にも教えたくない。
有名になってほしくない。
そんなお店を見つけてしまいました。
東京から出張で名古屋の千種駅というところにやってきました。ちくさ駅と読むらしい。
お店をぶらぶらと探していると信号の角に一件の居酒屋さんがあった。
一見さんは入りずらそうな趣(おもむき)。
『ううっ、どうしようか』
とりあえず小窓から店内をうかがう。
大将が野菜を切りながらカウンターのお客と話すのが見えた。
店構えに反して優しそうな大将っぽい(願望)
席は空いているようなので勇気を出して暖簾を左手ではねて席に着く。
メニューを見るとマグロと締めのそば、それと地酒がうまそうだ。
取り合えず石川県の地酒を注文。
なんとも贅沢な一杯。
さしみとそばが絶品だった。
名古屋への出張は憂鬱だが、この店にこれる楽しみができたのはありがたい。
2018/10/23 更新
名古屋・千種駅近くの「逸歩」に腰を落ち着けた瞬間、ふと胸の奥が静かにほどけた。過剰な飾り気も、気取った演出もない。ただ、丁寧な所作と、客の呼吸にそっと寄り添う間合いがある。九鬼周造が『いき』の構造で語ったように、媚びず、驕らず、どこか控えめで、それでいて凛とした気配が漂う。まさに「意気地」と「色気」と「諦念」を含んだ、日本独特の美学だ。
料理は奇をてらわぬが、どれもきちんとした火の入りと余韻のある味わい。酒をすすめる声も柔らかく、こちらの酔いの歩幅に合わせてくれる。その自然な距離感が心地よく、私は改めて、自分の中に流れる日本人の感性を思い出した。ここが居心地よいのは、味だけでなく、この「いき」が空気のように満ちているからだ。『逸歩』は、日常の隙間にそっと灯る、小さな“日本の美”を感じさせてくれる店である。
日本酒が好きな私はその時のおすすめが入れ替わるのが楽しみなのだ。写真のおでんの大根は柔らかく絶品。
ぜひ食べていただきたい。
焼き魚も家では食べる人が少なくなった昨今、わたしの注文のレギュラーにした。
母や友人と語り合う場所としてここは拠り所としている。