@verさんが投稿したにしむら(福岡/博多)の口コミ詳細

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にしむら櫛田神社前、渡辺通、博多/寿司

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2025/08 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

博多の美食家がひた隠す、看板なき鮨の聖域。1993年生まれの情熱が、江戸前の伝統を未来へと昇華させる。

ご覧いただき誠にありがとうございます。皆様からの「いいね」、「フォロー」、「お店の保存」をしていただければ幸いでございます。

福岡・博多の喧騒から少し歩を進めた住吉エリア。
目的の住所に辿り着いても、そこにあるのは何の変哲もない雑居ビルだけ。店を示す看板はどこにも見当たらない。

期待と一抹の不安を胸に階段を上ると、静かに灯りがともる扉の脇に、凛とした小さな表札が一つ。「鮨 にしむら」。

この控えめな表札こそが、知る人ぞ知る美食の扉を開けるための唯一の鍵だ。この時点で、今宵の体験が特別なものになることを確信する。

扉の先で我々を迎えるのは、清々しい檜の香りと、一点の曇りもない白木のカウンター。

そして、そのカウンターに立つのが、1993年生まれという若き店主、西村大将その人だ。その若さとは裏腹に、彼の経歴は鮨の世界の王道を突き進んできた証そのものである。ミシュラン三つ星の誉れ高き名店「鮨 さかい」で厳しい修行を積み、系列店「我逢人」では若くして大将の重責を担った。

その鋭い眼差しと無駄のない流麗な所作からは、自らの鮨道に対する厳格な哲学と、誰にも負けないと自負する努力の跡が滲み出る。

しかし、会話を交わせば、古き良き時代の職人のような義理人情に厚い一面も覗かせ、そのギャップに心を掴まれる。
彼の握る一貫は、単なる料理ではなく、彼の生き様そのものを映し出す鏡なのだ。

その緊張感と心地よさが同居する空間を、奥様である女将の柔らかなサービスが優しく包み込む。韓国語にも堪能で、海外からの客人を流暢にもてなす姿は、この店がすでに国境を越えて注目されている証左であろう。

供された「十四代」がグラスに注がれると、いよいよ珠玉の饗宴が幕を開ける。

つまみは、繊細な仕事の連続だ。

富山湾の宝石「白えび」の透き通るような甘みから始まり、続く「白甘鯛」には度肝を抜かれた。
3日間という時間をかけて丁寧に熟成された身は、ねっとりと舌に絡みつき、アミノ酸の旨味の塊となって爆発する。添えられた梅肉ソースが、その濃厚な味わいに鮮やかな輪郭を与え、完璧なバランスを創り出していた。

愛知県産の特大あさりから抽出したスープは、五臓六腑に染み渡る滋味深さ。

そして、この日のハイライトの一つ、「ボタン海老の卵黄ソース」。海老の味噌と卵黄が織りなす濃厚なコクと甘みは、それだけで一つの完成された料理だが、真骨頂はその先にある。残ったソースに、赤酢のシャリを追い飯として投入するのだ。この背徳的ともいえる組み合わせが、口福の絶頂へと誘う。

濃厚な鮟肝と奈良漬けが奏でる食感と味のコントラストも見事であった。

そして、握り。
シャリは硬めに炊き上げられ、赤酢の塩梅も絶妙。口に含んだ瞬間にハラリと解け、ネタと渾然一体となって昇華していく。

丁寧な包丁が入れられた「烏賊」の甘み、「のどぐろの漬け」は、極上の脂を漬けの仕事で旨味へと変換させる離れ業。

「佐賀県産の小鰭」は、締め加減が寸分の狂いもなく、江戸前鮨の真髄を見せつけられる。

そして、中とろ、赤身、大トロと続く鮪の三重奏。香り高い赤身の酸味、バランスの取れた中とろ、そして口の中で甘やかに溶けていく大トロの圧倒的な存在感。

天草産車海老の弾けるような食感と力強い甘み、雑味の一切ない「赤ウニ」のクリーミーな口溶けも、ただただ感動するほかなかった。

一貫一貫に込められた、大将の情熱と物語。ここは、ただ空腹を満たす場所ではない。
若き才能の未来を共に祝福し、食を通して得られる縁の尊さを再認識させてくれる劇場だ。

次回の訪問を固く心に誓い、感動の余韻に浸りながら、再び静かな夜の街へと戻った。

2025/08/11 更新

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