1回
2025/05 訪問
目の前で繰り広げられる“ご馳走”の真髄
新鮮な海鮮もほぼ全て見せて下さいます
まだ生きています
テーブルの様子
テーブルの様子
外観
案内看板
外観
看板
看板
大将と弟子の皆さんで、集めた山菜
目の前で焼いて
綺麗なアナグマの肉
2025/05/06 更新
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別府の静かな坂道にひっそりと佇む、日本料理の名店「廣門」。街の喧騒から離れた住宅街に、整えられた植木と小さな庭を擁する一軒家風の店舗は、どこか温かみと品格を感じさせます。
一斉スタート制のこの店に、私は開始時刻の1時間も前に到着し、周囲を散策。敷地内には2〜3台分の駐車スペースがあり、開店の30分前には店主が丹念に植込みに水を撒いておられ、その姿からもこの店が大切に育まれていることが伝わってきました。
定刻が近づくと、次々とタクシーで予約客が集まり始め、いよいよ期待が高まります。靴を脱いで店内へ上がると、弟子の方々が一組ずつ丁寧に席へ案内。全席カウンターで、目の前には「本日の食材と生産者一覧」とドリンクメニューが並び、料理への真摯な姿勢が一目で伝わります。
始まりは、宮崎茶房の「さきみどり」緑茶。すっきりとした一杯で気持ちが整います。続いて煎りたての大分・豊後高田産の蕎麦茶がふわりと香り、五感が徐々に研ぎ澄まされていきます。
①最初の一皿は、採れたての山ウド。実物を見せてから目の前で切り分け、みずみずしさを塩でほんのり引き立てた一品です。続いて山ウドと炊いた猪肉は、焼き・切り・盛り付けすべてを目の前で。調理のライブ感が味わいに奥行きを加えます。
香ばしく焼かれた筍に、クリーミーな筍ペーストを絡め、大分の山椒の葉を添えた一品では、食感と香りの妙を堪能。吸い物には特大ハマグリと天然山山椒が使われ、貝の旨味と山椒の清涼感が絶妙な余韻を残します。
続く魚介のお造りや、よもぎを使った葛焼きまで、どれも驚くほどの鮮度と丁寧な仕事ぶり。
とりわけ、食材の多くを調理前に見せてくださり、生産地や生産者の話を交えながら進むスタイルには感動を覚えました。調理の多くを客前で行い、素材の変化までもが演出の一部となる贅沢な体験。
山菜ご飯は、目の前で刻んだ山菜を混ぜ込んで炊き上げる土鍋ご飯。量の調整も丁寧に尋ねてくださり、残ったご飯はお土産に包んでもらえました。味噌汁には魚のあらや海老の出汁が惜しみなく使われ、ぬか床80年の漬物も深い味わい。
全体を通して印象的なのは、大将と弟子の皆さんが山に湧水を汲みに行き、山菜を採り、農家を訪ねて直接仕入れるという“ご馳走”の原点に立ち返る姿勢です。味つけは極めてシンプルながら、素材の力を信じ、それを最大限に引き出す巧みな技が随所に光ります。
まさに、心と体が喜ぶ「本物」を味わう時間でした。再訪を願わずにはいられません。ご馳走さまでした。感謝♪＼(^o^)／