レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
3位
1回
2018/07訪問 2018/07/20
7月の3連休初日の夜に訪問。店内は予約でいっぱいです。レジ横で名前を告げると、カウンター席に案内されました。
料理はニシ貝の酒煎りからスタート。出汁などは使われておらず、調味料はお酒だけ。しかし、小さな器の中に貝の持つ旨味が凝縮していました。
次は、ワタリガニの煮こごり。身を大きめに取っているため、殼が多少入っている可能性があるので、注意しながら食べてくださいとのこと。調味料はほとんど使用されておらず、素材そのものの味を感じることができました。
3品目は、塩茹でしたものと生の伊勢海老の上に生ウニが乗った一品。伊勢海老の甘みとウニの程よい塩加減が口の中で見事に調和します。これも、使っているのはほんの少しの塩だけとのことでした。
4品目は、真名鰹の塩焼き。すだちを搾っていただきます。焼き加減はレアで、身は柔らかくジューシー。臭みも全くありませんでした。
5品目はお造りで、大トロ、鰹のスモーク、おこぜの3種盛りです。お醤油とポン酢の好きな方でいただきます。大トロは、これでもかというくらいの分厚さ。おこぜのお造りは初めて食べましたが、身は淡白で、てっさに近い味わいでした。
6品目は、お椀に入った鱧のしゃぶしゃぶ。すだちが一緒に入っています。優しい味で、梅肉とともに熱々のうちにいただきました。
7品目は、うなぎとクリームチーズと茄子の茶碗蒸し。面白い食材の組み合わせでしたが、大将曰く、創作料理ではなく、和食の基礎の上に成り立っているとのこと。これらのバランスを考え、料理として成立させるのは容易ではないと想像できます。
8品目は、箸休めとして提供された青梅の水煮。他のお店には真似できないと大将が自負するだけあって、渋味や苦味などが一切なく、ほんのりと甘い水煮でした。
9品目は、イサキと季節野菜の酢ジュレがけ。生のイサキの下には、季節の野菜とむき海老やイチジクなどが隠れていました。穏やかな酸味のジュレ状のお酢が、それらをひとつにまとめ上げています。
10品目は、肝ソースでいただく鮑のソテー。上には、糸状の青のりと鰹節が乗っています。身は、鮑に対するこれまでの印象が変わるほどの柔らかさ。これはお店の看板料理となっているとのことです。
11品目は、炭火焼風ローストビーフのべっ甲あんかけ。食べ応えのある赤身肉の下には、格子状の切り込みが入った茄子が。塩分控えめなあんかけは、あくまでもお肉が主役であることを物語っています。
12品目は、お味噌汁、鱧の子ご飯、香の物。お味噌汁は、これまでに出てきた魚などのアラで出汁を取っているそうです。
〆のデザートは、自家製のわらび餅、抹茶アイス、マスカット、桃の最中。
これほどの品数ですが、料理は次から次に登場してきました。また、気配りの行き届いたおもてなしと焼酎や日本酒の品揃えは申し分ありません。そして何よりも、素材の味を大切にする熱い大将の心意気が感じられる良いお店でした。
7位
3回
2020/01訪問 2020/01/03
昭和50年創業のとんかつの老舗です。改装オープン後、初めて行ってみると、年末にもかかわらず、店内では多くの人たちが順番待ちしていました。
レジ横の端末を操作し受付を済ませると、番号の記載された紙が発行されます。15分ほどで自分の番号が呼ばれ、厚揚げロースかつ膳(大)を注文。普段は1,800円しますが、土日祝の開店から16:00までは、1,650円になるようです。
しばらくしてから運ばれてきたとんかつは、「厚揚げ」の名のとおり分厚く、想像以上に柔らかく仕上がっています。キャベツ、ご飯、赤だしに、大根おろしとお漬物がセットになっており、キャベツ、ご飯、赤だしはおかわり自由。ソースは、和風と洋風の2種類が卓上に置いてあり、ジューシーなとんかつをどちらの味でも楽しめるのが良いです。
今回、たくさんのお客さんで賑わうのも納得できました。次回は、数量限定の六白黒豚のとんかつを頼んでみたいと思います。
8位
9回
2024/06訪問 2024/06/14
場所は東洞院三条。夢処 漁師めし 雑魚やを中心とする「雑魚やグループ」が展開するお店のひとつであり、こちらの店舗は"手の届く贅沢"がコンセプトとなっています。
店内はカウンターのみで構成。旧暦の月名が付けられた月替りのコースが基本ですが、コースのメニューをアラカルトでオーダーすることも可能となっており、3月は新わかめやホタルイカ、4月は桜鯛や白子筍、5月は鯵や小鮎など、旬の素材を使った料理が味わえます。
お酒の品揃えも充実。地元京都のお酒をはじめ、伯楽星やくどき上手など、全国の名酒が揃っています。
スタッフの方々も気さくで、満席の状態でも簡潔な説明とともに適切なタイミングで料理を提供してくださいます。
このお店を利用するためには、然るべきステップを踏む必要があるので、それがあまり多くの人には知られていない理由かもしれません。
10位
1回
2018/04訪問 2018/05/01
ゴールデンウィーク初日の夜、岡山旅行の1番の楽しみであったこちらのお店に伺いました。1ヶ月近く前に予約の電話をしましたが、開店から19時までの2時間という条件付きでなら、席の用意が可能とのこと。さすが、人気店です。
まずは、清水白桃ハイボールとしまあじのお造り、それから、お店の名物である鰆の塩たたきを注文しようとしました。しかし、残念ながら、楽しみにしていたお店の名物は今日は無いようでした。
代わりにお願いしたのは、お店の方におすすめされた金目鯛のあぶり。はじめから少し塩がしてあり、わさびと一緒にでいただくと、噛みしめるたびに上質な脂と甘みが口いっぱいに広がっていきます。これは絶品です。
その後は、おこぜの唐揚げ、通常サイズの3個分はあろうかという特大はまぐりの酒蒸し、コロダイの煮付け、希少性の高い海老として知られる団扇海老の塩茹で、〆の海鮮丼を、グラスになみなみと注がれた岡山や高知の日本酒とともにいただきました。お会計も想定の範囲内に収まり、お店を後にするときの満足感は、相当なものでした。
ちなみに、わたしがお店にいる間、ひっきりなしに電話がかかってきていましたが、当日予約や飛び込みのお客さんは、当然の様に断られていましたので、事前予約なしの入店は、ほぼできないと考えてよさそうです。
ペアリング3杯付きのディナーコースを予約し訪問。オープンと同時にシェフが自らかけた暖簾をくぐり、手入れの行き届いた前庭を通ってお店の中へ。店内は広々としており、高級感と落ち着いた雰囲気が同居しています。
はじめに、ペアリングの杯数を増やすことも可能だと案内を受けましたが、予約どおりの杯数でお願いし、料理がスタートしました。
オードブルは、祇園で最も予約を取るのが難しいことで知られる有名割烹も使用している京都大原山田農園の半熟卵と信州サーモンのスモーク。パリパリのサーモンの皮とグリルされたアスパラガスが添えられています。燻製の香ばしさと、ほどよい酸味と甘みのあるフランボワーズのソースが見事に調和しています。
次は、お店のスペシャリテである、大根の奈良漬が巻かれたフォアグラのコンフィ。数種類のフルーツを使用したソースとともにいただきます。シェフの真骨頂、"和と仏の融合"を体現する逸品です。
スープは、レタスの冷製スープ。ハモン・セラーノと胡桃のクリーム、ブラッドオレンジのソースを少しずつ溶かし入れながらいただきます。スープの甘味、ソースの酸味、生ハムの塩味と胡椒の辛味のバランスが素晴らしい一品です。
4品目は、ホタテのタルトレット。ホタテで取った出汁とヘーゼルナッツのエスプーマとともにいただきます。
ポワソン(魚料理)は、ホタルイカのソースの上に真鯛のグリルとアスペルジュ・ソバージュ、隣に豆ご飯のガレットが添えられた一皿。アスペルジュ・ソバージュは、ヨーロッパでは春を告げる山菜として知られているそうですが、希少性が高く、日本ではあまり出回っていないもの。今回初めて食しましたが、クセがなく、ほんのりとした甘さがありました。
ヴィアンド(肉料理)は、バスク産豚ロースのロースト、アルザス風ニョッキ、京野菜のグリルが盛られた一皿。じゃがいもを使わずに作るアルザス風ニョッキには、豆乳のソースがかかっていました。
デセール(デザート)は、砕かれたクッキーの上にいちご、山椒のパンナコッタ、レモンとオリーブオイルのジェラート、いちごのムースにイタドリという山菜のムースが乗った盛り沢山の一皿。
最後に、プティ・フール(小菓子)と紅茶で、コースの時間は2時間強ほど。スペシャリテをはじめ、シェフの世界観を堪能しました。間違いなく京都を代表するレストランのひとつであり、私にとって、これまでのベストレストランとなりました。