『そば百名店巡りの思い出』Avignon_mats1984さんの日記

2025年５月、そば百名店EAST踏破。
思い起こすと2021年１月。その前年末、毎年の恒例で訪れていた室町砂場がコロナ対応で年末営業の方式を変えていたことに気付かず、門前払いを食って悶々としたまま年明けを迎え、「何か足りていない」という感覚を埋めるために訪れたのが松翁。
この時、食べログを使い始めたばかりで、「何か百名店ってのがあるらしいぞ」と調べてちょっとキャッキャしながら行ってみたのだが、ここの天ざるがあまりに美味しすぎてカルチャーショックを受け、かんだやぶそばと室町砂場以外にも美味い蕎麦屋があるんだなと探し始めた。
しかし、2020年版の蕎麦屋百名店は、地方のお店やロケーション的にどうなんだろうと思うお店も多く、そのわりにかんだやぶそば、まつや、室町砂場みたいな名店がランクインしておらず、あまり食指が伸びないでいたのだが、2021年版では東京の老舗蕎麦屋が数多く入ったことでちょっと試しに行ってみるかと訪ね始めた。時期は前後するが、吾妻橋やぶそばとの出逢いが、その後の泥沼の百名店行脚を後押しした。あのお店は百名店（EAST）を巡り終えた今でも自分の中でのNo.1蕎麦屋だけれど、あのお店に早々に出逢ってしまったことで、「これを超えるお店がこの中にあるだろうか、あるなら出逢いたい」というモチベーションを作ってしまったのだ。

その後、１年で50ヶ店以上を踏破したのだが、2022年５月に更新された2022年版では多くのお店ががらっと入れ替わり、積み上げた百名店訪店数も▲39ヶ店のマイナスをくらい、50メダルはおろか30メダルも剝奪され、地方・秘境の蕎麦屋が数多くランクインしてきたことで一度は打ちのめされてやる気を失ったのだが、何とか立て直して2023年末までの2年で75ヶ店まで追い詰め、その後、関西の蕎麦屋（中にはやたらロケーションの悪い蕎麦屋も幾つか）をとりあえずつぶしに行っていたら、2024年春にさらっとEAST・WESTで分断されてひっくり返される。
幸い、そのころには仙台に転勤していたから、分断されたことはけして悪いことではなかったのだが、「わかってたら休暇を取って掘りに行った関西の蕎麦屋を攻めた時間を、関東の高得点な蕎麦屋を掘るために使っていたのに」というのは偽りのない感想。
ただ、ニセコのいし豆が筆頭だが、長野の丸富、新潟の宮野屋、村山のあらきそばあたりは、ぱっと見てどうやってアプローチしたらいいのか、結構まじめに悩んだ。特にいし豆。冬の間は無理だな、と思ったし、2024年版が更改された時には長野で幾つも未踏の蕎麦屋があったから、そっちを優先した結果、１年経ってしまった。

ということで、足掛け４年余りを要したが、幾度となく泣かされた。他のジャンル（ハンバーガーとかピザとかとんかつとか）ではドラスティックに入れ替わることがあまり無いように見えるのだが、何故か蕎麦屋は更新されるたびに半分近く入れ替わったりするので、更新された直後はいいのだが、年を越してしまうと入れ替わりに備えて高得点な蕎麦屋を回りつつ百名店の未訪店も回るようなことをする必要が出て来る。そもそも、「これ、どうやって行くんだ？」と動線が描けないようなお店も多数。
いざ行ってみたら、蕎麦切れにて早仕舞い、で打ち払われたことも幾度となく。
でも一番泣かされたのは、予約を取って、そこに到るまでの動線も確保できて、準備万端に素振りして当日を迎えてみたら、店主の体調不良で臨時休業みたいなことで、この４年間で２回ほどあった。これ、不思議なんだけど他のジャンルのお店では滅多にない。蕎麦屋に行く回数が圧倒的に多いからたまたま引く確率が高かったということなのかもしれないが。これがあるから最後の志ま平も、当日、お店を訪れたその時までドキドキしていた。

まあでも。
色々あったけど、蕎麦屋目掛けて旅行を組むというのは、やり出すと中々クセになる面白さがあって、まずたどり着けるか、辿り着いた先で蕎麦にありつけるか（早仕舞いになっていないか）、そのドキドキを超えた先で頂く蕎麦が、必ずしも自分にとってそこまで好きな蕎麦でないこともまあまああるので、この丁半博打のようなスリルが、中々にアドベンチャー。
総括すれば「楽しかったぜ」となるのだが、今は達成感が優っているけれど、じきにロス状態になりそうな気もしており、次なる目標をどうしようかなと思案中。
蕎麦屋以上にアドベンチャー感のある食堂の百名店はしんどそうだし、蕎麦屋百名店のWESTを攻めようにも、仙台に棲んでいるかぎり西側を攻めるのはいろんな意味でツライからなぁ…。うなぎ、天ぷら、フレンチあたりをつまみながら、東北の名店を掘りにでかけるか…。
最も、次の蕎麦屋の百名店が更新されたら、また新たにアドベンチャーを求めて出かけて行くような気もするんだけど、今はいったん、達成感に浸ってゆっくりしようかな（と、書いた２日後に2025年版が更改されたり…みたいなことが笑いごとでないのが、食べログの百名店）。