Avignon_mats1984さんが投稿したル・マンジュ・トゥー(東京/牛込神楽坂)の口コミ詳細

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この口コミは、Avignon_mats1984さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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ル・マンジュ・トゥー牛込神楽坂、牛込柳町、神楽坂/フレンチ

1

  • 夜の点数:5.0

    • ¥50,000~¥59,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク 5.0
1回目

2023/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

もともとワインを好きで飲んでいたので、フレンチは全く縁が無かったわけではない。
しかし特に好きというわけでもなかったし、「高級」と名のつくものについては全く縁なく、いや、避けて過ごしてきた。
変わり目は、コロナだ。
コロナを機にまじめに自炊をするようになり、谷シェフのレシピ本に出逢った。レシピを見て四苦八苦しながら料理を作ってワインを合わせているうちに「フランスワインを飲むならやっぱりフランス料理だな」と思うようになり、やがて「本物」を味わいたくなり、〈シェ・イノ〉をはじめ色んなフレンチ・レストランへ行くようになった。総て谷シェフのレシピ本との出逢いあってのことだ。
私にとって谷シェフは、食の価値観を変える転換点に居た、そしてコロナを乗り切る上で大いなる力をくれた大恩人なのだ。
一回でいいから谷シェフの料理を味わいたい、〈ル・マンジュ・トゥー〉へお伺いしたい、と事あるごとに言っていたら、たまたま縁のある人とつながり、紹介を得てうかがうことが出来た。

何でこんなことを書くのか?
私はこの店に、「5.0」以外の点数を付けられないのだ。バイアスかかりまくりなので、いつにもまして信用しないでほしい。これから書くのはレビューなんてものではなく、感動を書き記しておくだけだ(フレンチのレビューでは大なり小なり、そういう傾向はあるのだけれど)。
そうは言うものの、「こんなにも料理で感動できるのか」と思えるような料理の数々と、緩急も料理との相性も素晴らしいワインペアリング、心地の好いサービスを受けることができた。〈ル・マンジュ・トゥー〉での食の体験を上回るものは、私の豊富とは言えない食の経験の中では、ちょっと思い当たらない。キャリア的・年齢的には円熟の域に達しながら、なお研ぎ澄まそうとする炯炯とした眼差しを感じる。つい最近うかがった〈コート・ドール〉は完成されていたが、谷シェフの料理は終わりが見えない。「この次」がありそうなのだ。ゆえに、料理には感動だけでなく、凄みがある。ご紹介いただいた方には感謝しても感謝しきれない。(現在、営業日を絞りつつ1日2組まで、いわゆる一見さんお断りで、新規には紹介が無いと行くことができなくなっている)
言う間でもなく谷シェフの料理が素晴らしい店なのだが、この店は、メートル・楠本さんの柔らかい接客、ワインのリコメンドといった部分も大きく、厨房とサービスが両輪でバランスしている店だとも感じる。最後に挨拶にお越しいただいた谷シェフの面白すぎるお話しによると、アルザスでの修行時にヒントを得たものらしいけれど。
なお、方々でレシピ本を出版されていることもあり、著作権の問題があるらしく料理の写真撮影はNG。お会計も、昨今の情勢でワインも食材も値上がりしたのが影響してか、水・ワインペアリング込で50,000円を少し超えた。だが、それすらも甘受しようと思えるほど、この店で過ごした3時間余りの時間は、幸福に満ちていた。

以下、当日の料理およびサービスを受けたワインのメモ書きのようなもの。

①トマトのコンソメ
…N.V. Daniel Dumont, Champagne, Grande Reserve Brut
 料理名はコンソメだが、トマトのゆるいジュレのようなものとして出て来る。時間をかけてトマトの美味しいところを抽出し続けて出す一品。

②エスカルゴ
…Comte Lafond, Sancerre, Grand Cuvee Blanc, 2020
 ローリエ、唐辛子などの中に、ブルゴーニュ産のエスカルゴが潜む。葉っぱの中に隠れるカタツムリを探すような楽しみのある一皿。
 草の香りをまとうエスカルゴに、ソーヴィニヨンブラン100%のサンセールならではの、草の香りが合う。

③蕪のブランマンジェ(サマートリュフとトリュフソース)
…Cuilleron-Villard-Gaillard, Condrieu, 2020
 繊維の無い、なめらかな蕪を食べている感じ。そこへ、料理の必然として添えられるトリュフとトリュフから作ったソースがまじりあう。
 ここに合わせるのは南仏・ローヌの至宝、コンドリュー。一見して繊細無比な品に、厚みのあるワインが合うのだろうかと思ったが、間に潜むトリュフソースがいい働きをしているかのように感じた。

④マグロのヅケ、にんにくのピューレ、香草、ビーツetcを使ったサラダ
…Josmeyer, Le Kattabe, 2021, Alsace
 料理の説明の最後に「サラダ・ニソワーズのように混ぜて召し上がってください」と言われる。そう言えばあれもツナを使う料理。
 だがここにアルザスのリースリングを合わせようなんて発想はまず出て来ない。シェフの料理とワインをともに知り尽くしているがこそのチョイス。このペアリングには恐れ入った。これは長年一緒に店をやって気脈を通じた楠本さんが居てこそ実現されるものだろう。

⑤フォアグラのスープ、フォアグラ、鴨のソーセージ
…Louis Jadot, Morey St. Denis, 2016 (Bourgogne)
 全体の折り返し地点でシェフのスペシャリテ。フォアグラの美味しいところだけを抽出したなめらかなスープ、スプーンで切れる柔らかなフォアグラの下に、サイコロ状に細かく切られた鴨のソーセージが沈められている。
 これにモレ・サン・ドニが完璧な相性。これはシャンボールミュジニーでも、ジュヴレイシャンベルタンでも成し得ない。そのどちらの要素も備え持つ偉大なる中庸な村のワインだからこそ、この完璧な一品と婚姻したのだと思う。永遠に味わい、永遠に語っていきたいほど、料理そのものも、あるいはワインとのマリアージュも素晴らしかった。

⑥ジュ・ド・ブッフ(牛ホホ肉の煮込み、揚げ茄子とキノコ)
…Ch. Giscours 2013 (Bordeaux)
 ワインとの組み合わせは鉄板と言えば鉄板。でも揚げ茄子を使う牛ホホ肉の煮込みなんてまず出逢わない。どこでも出て来る品と言ったらそれまでだけど、こんなに研ぎ澄まされた牛ホホ肉の煮込みにこの先出逢えるのだろうか。

⑦カンパチのサバイヨンソース、姫牛蒡
…Marc Colin, Saint Aubin 1er Cru Sous Roche Dumay, 2020 (Bourgogne)
 生のカンパチにサバイヨンソースと牛蒡を乗せてオーブンで焼いたような料理。カンパチの半生加減と牛蒡が、不思議とサバイヨンソースに合う。酸も優しくリッチなSaint Aubinがソース、それと牛蒡の余韻にぴったり。料理としても、あるいはワインとの相性を考えても、牛蒡は必要不可欠なものとして存在していた。
 シェフいわく、魚種を指定してしまうと面白くないので、「魚○kg」って頼んでいるらしいが、そうしたらカンパチが来て、「これ、どーすんの」ってご友人の鮨屋に聞いて処理してみたんですって。

⑧鳩のロースト
…Domaine Julien Gerard & Fils, Nuits St. George Les Bousselots, 2016 (Bourgogne)
 もうね、完璧なんです。鳩。そしてニュイ・サン。火入れの完璧さ、ソース。生のような味わいの胸肉。驚くほど柔らかく、その滋味を余すことなく封じ込めたモモ肉。グリーンピースとタケノコが布かれ、ソースをまとう。跪いて食べます。

⑨桃と牛乳のソルベ
 マダム曰く「この料理は何もしていません」という、冷やした桃の上に牛乳のソルベが乗った品。

⑩黒ビールのエクレア
 最近、エーグルドゥースとコラボしているらしい。〈ル・マンジュ・トゥー〉特別仕様のエクレア。

2023/07/31 更新

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