2回
2016/11 訪問
美味いと感じる神経に直撃
私への影響度がトップレベルに強いレビュアー様の、高評価レビューに惹かれたお店
私は呑まないので大概車で来ますが、19時で止まるパーキングメータがあって、宝町ランプも近くてアクセスいいです
入り口はクリスマスツリーが飾られ明るいですが、お店の中はシックな照明抑えめな雰囲気です
飲み物はミネラルウォーターが主ですが、良い銘柄があると嬉しいですね。シャテルドンスパークを頼みました
オリーブ - 形が面長なフルーティーなオリーブです。なんか、気分はイタリアン
マッシュルーム - 写真を間違って削除してしまい、載せていません...硝子の器に白い石が詰められていて、上に白い真円の玉が乗っています。殻はカカオバターで、ムーズのマッシュルームが入っており、一口で行きます。甘くないですが、割れる食感はまさにチョコレートで、マッシュルームの旨みとトリュフの香りが広がります。カカオの薄さにテクニカルの高さを伺わせる一品
豚の皮揚げ - 3日間乾燥させた豚の皮を揚げて、上にホタテを削ったパウダーをかけています。ややしっとりとした食感で、後から豚の香りがやってきます
このあたりまでは、結構冷静に「うん、美味しい」という感覚でした
香箱蟹 - 香箱蟹の旨み強いです。一緒に入っている角切りの野菜と泡立てたムースの一体感。際立った味付けはないのですが、香箱蟹の味一辺倒という訳ではなく、得体の知れない美味しさに体がざわつく感覚を覚えます。百聞は一食にしかず、ということわざが脳裏をよぎります
鰆 - 42度のオリーブオイルで一時間低温調理した鰆。上はコリアンダーです。食感は生のしっとり感ですが、味は火が通った感じに仕上がっています。鰆の旨みを爽やかなコリアンダーが引き出しています。キッチンで黙々と造っているシェフが「どう、美味しいでしょ?」と、私の味覚神経を直接触れてきた錯覚に陥るような絶妙な一品
タラの白子 - 今まで一番旨いと感じた白子は、トロッとして旨みが溶け出す感じでしたが、この白子はフワッと軽く舞い上がるような食感で、初めての感覚でした。上に乗った揚げたもの(何だか忘れた)が見た目の想像よりも軽く柔らかく、天空への誘なわれるような錯覚
ナメタカレイ - ケールを揚げて載せています。下にしいたけのソースがひいてあり、丸いのは卵黄のソースです。しいたけのソースは柔らかい風味のしいたけが心地よく、卵黄は低温調理で火が通り切る直前で、半熟卵のようなストレートな味ではなく、ほのかにスパイスが効いた感じで卵黄のコクが引き出されています。このソースがカレイの旨みによく合います。今週、平日に食べたものの記憶が飛び、天使が祝福するかような幸福感に包まれます。生きててよかった、神様ありがとー
猪 - 猪でここまでキメの細かくて柔らかい肉があったのか?と驚きました。隣に脂身がカットされていて、甘さに二度目の驚き。ソースで引き出されたのか、本来の甘さなのか?今までで、最も甘さを感じる脂身でした。また、知らない世界へ足を踏み入れた...
猪の肉が柔らかすぎて、ナイフに押されてしまったので、ナイフに切れ味がもっと欲しいなと感じました
オレンジ - 炭酸につけてマリネしたオレンジのプレデセールです。上にビールの泡で作ったムースがあり、お店の方の説明では「これ単体では凄く苦い」というのを確かめました。確かに苦い、でも、オレンジの甘味と不思議なくらい一体感を出しながら、ほのかな炭酸が広がります
アンデスカカオ - インカのめざめなどで作ったペーストに炒ったアンデスカカオを乗せたデザートです。かすかな甘味とカカオの優しい風味、ペーストとパウダーが融合する瞬間、脳内で雷鳴を聞く衝撃が走りました
今まで、衝撃的に美味い!!!と最も感じたのは、今は閉店したブルガリカフェ表参道のカクテルグラスに入った小さなパンケーキでしたが、その衝撃波再びでした
さつまいもにシナモン - 中はペースト状のサツマイモで、シナモンで周りを固めたお茶菓子です。アンデスカカオでパンチドランカー状態だったので、記憶がほとんどありませんが、サツマイモの甘みとシナモンの爽やかさが印象的でした
他のレビューでも、柔らかい食感とか、優しい味とか、同じ言葉を使ってしまいますが、シック プッテートルの料理はプラスアルファを感じます。複数の論理で一つの答えを出すような、集中した一点の濃密な世界へ誘ってくれます
すっかり、この店のとりこになったかもしれません。これはシック プッテートルの料理への、恋かもしれません
お店を出るときにシェフが挨拶してくれて、いい年してテンション高めに褒めちぎる私は、はたから見たら、変かもしれません
2016/12/04 更新
先週末、食べログアワードでシルバー獲得が発表されました。食べログアワードは2016年に美味しいと感じた上位3店を投票します。この店は席数が14席しかありません。席数が倍あれば投票できる人は倍いますから、アワード取るには大型店は有利なわけです。席数が少ない小さな店ほど、アワードでの価値は高いといえます。この店に来たお客さんが「一番美味しい!」と思わせるハイレベルな料理を提供する力があるわけです。(内緒ですが、私は1位に入れました)
今回も悶絶でした
生ハム - ハムの旨みがじんわり広がる、最初のジャブ、という感じの一品でした
カカオ - 絶妙な固さのカカオドームから広がるマッシュルームのほのかな甘みに今回も悶絶でした
洋なしとフォアグラ - 弾力が心地よい一品。一見「合うの?」と思わせる洋ナシが、フォアグラを上品な甘みと柔らかな酸味で切れ味のいい後味に仕上げています
グリーンピースとスナップえんどう、つぶ貝、クルトン - 春の芽吹きをイメージした料理。少し冷製仕上げから弾けるようなグリーンピースが、まだ冷たい地面から芽吹くような錯覚を起こさせる、ぶっ飛びの食感。目の前に静かな高原で小さな芽吹きを見ているような錯覚に陥ります。細長く切ったつぶ貝のしっとり&プリッ感に、高原の爽やかで少し冷たい風を見る感覚
鱈の白子 - ミルキー感を感じる白子の甘いコクにフリーズです。上にかかったフリットが少し柔らかさを残して揚げていて、もさっとした食感を消すために、大根(?)か何かを湯通ししてシャクッとした食感を与えています。妖精が羽根を広げて舞い始めるような感覚。人生の危機に走馬灯が流れた時、この料理が出てきそうな気がしました
鰆、押し麦、大根、春菊ソース - 43度で火を通したサワラはしっとり、押し麦がプリッとした食感。生姜のピリッとした辛みが流星群のように弾けながら、はかなく消えていく感覚。じっと星空を見つめてしまう
京鴨、金時人参、発酵にんにく - 発酵によりニンニクのにおいが消せて、旨味だけを出せるそうです。鴨が上品で柔らかかったですね。皮もしっとりと歯切れがよく、驚きました。鴨の上品さと金時人参の甘さが合います
ピロシキ - 同じ鴨から作ったピロシキですが、上品過ぎて笑っちゃう一品。揚げた衣の食感が独特の低反発で、これが驚きでした
オレンジ、レモングラスのムース、菊の花、生姜のスプレー - オレンジの甘味と酸味に、キリッとしたレモングラスのムースが乗せてあり、菊の花、そして仕上げにしょうがで作ったスプレーをかけてあります。冷たい湖の湖面に花びらが流れるような感覚を受けます
カカオのデザート、じゃがいも、玉ねぎ - 説明で「砂糖を使っていません」という前置きに、カカオを使いながらもさっぱりとした味わいかな?と思ったら、甘みがしっかりあります。玉ねぎから作った甘みは他のデザートとは異なるコクの甘み。カカオのドライな食感とジャガイモムースの織りなす食感の融合も凄かったです。感動しました
ビーツ - 形は洋なしとフォアグラに似ていますが、下に薄いビーツ、中のムースは爽やかな酸味で、満腹な人には最後の一品に相応しく、私には「コースをもう一周したい」と感じる一品
シェフが作る食感と味の組み合わせには、これは夢?魔法?という感覚になります。味覚神経をブンブン揺さぶられる演出には、ひたすらに凄いな、と...感嘆するのみです