2回
2025/11 訪問
共生と調和、この土地と食材へのリスペクト
大分県国東市。こちらのオーベルジュを訪ねて、初めて国東半島にお伺いしました。
11月末。ようやく秋色を帯びてきた山々に囲まれた日本の原風景の中に、築100年ほどという古民家をリノベーションした美しい日本家屋。
和モダンの装いのお部屋は木目と塗り壁が印象的。広々としていて、テレビや時計のない穏やかな空間です。
夜になると周囲には灯りもなく物音を感じない静けさで、家屋の近くまでウリ坊が遊びに来たりするのだとか。
1日1組のみという贅沢なおもてなしのディナーは、調味料以外、全て国東半島のものを使われているのだそうです。
まずは、ビールとスパークリングワインで乾杯。
⚫︎アオリイカ 塩かぼす
カブのマリネ。
繊細な風味と甘さ、香りを楽しむひと皿。
⚫︎銀杏 コンテ
フランスのコンテチーズのタルト。
銀杏の香り、満遍なく口当たりの良い食感と最後に甘み。
⚫︎かぼちゃ ハナミョウガ
3種のかぼちゃのサラダ。
バターナッツ、日本かぼちゃ、コリンキー。
落花生のローストで食感と風味のアクセント。
ハナミョウガの香り付けを。
白ワインをグラスで。
ロワール地方のソーヴィニヨンブラン。
⚫︎鰆 青蜜柑
「国東さわら」に認定された肉厚の鰆は焼き目の香ばしさと脂の優しい甘み。
青蜜柑のソースにクレソン、ハーブ。
青蜜柑は素朴で、懐かしいような穏やかな甘さ。
白ワインのグラスを追加。
ブルゴーニュ地方のソーヴィニヨンブラン。
ワイルドハーブティー。
たんぽぽ、よもぎなどの香り、滋味深い。
⚫︎テングニシ貝 菊芋
原木栽培のキクラゲ、ジャガイモとスープ仕立てで。
様々な食材が調和したスープ、口当たりの違いを楽しめました。
パンは、お隣の豊後高田市のヒビノパン。
素朴で美味しくて、お代わりをいただきました。
⚫︎鮎並 ツルムラサキ
アイナメは肉厚っ。大きな個体なのでしょう。
生海苔、お魚のソースが秀逸。
ほうれん草、ツルムラサキ、ムラサキバジルの香りとアクセント。
赤ワインをグラスで。
ブルゴーニュ地方のピノノワール。
⚫︎猪 里芋
猪は、里芋で包みこんで、大地のまろやかさを纏う。
猪のブイヨン、椎茸、柚子を削って。
山椒のようなペッパーの風味。
⚫︎鹿 きのこ
雌鹿のもも肉、赤ワインソースで。
原木栽培のなめことごぼうを添えて。
なめこの大きなこと…びっくり。
ワイルドな香りもありましたが、繊細で洗練された火入れ、肉質。
⚫︎栗 梨 カナクギノキ
栗と梨のデザート。
裏庭のカナクギノキで香りを付けたアイスクリーム。
最後にカヌレ。
表面がパリパリっと、香ばしく香りの良いこと。
この夜のコースはここで結び。
シェフと奥様の温かいおもてなしに触れながら、穏やかで楽しい時間を過ごすことができました。
あっという間の2時間半超。
明るくて優しい雰囲気の奥様はとてもお話上手。お話を引き出したり広げたり、自然な流れで会話が弾みます。
ご主人のシェフは紳士的で穏やかなお人柄。それがお料理にも表われるのでしょう。全てのお皿が丁寧で繊細、そして食材やこの地へのリスペクトを感じる素晴らしいコースでした。
心と身体が満たされ、リセットされるような感覚。大切なものを想い出すような優しい時間の流れ。
ぜひまた、ゆっくりとした癒しを求めて訪れたい大切な場所を見つけたような感覚です。
ご馳走さまでした(^^)
お世話になりました。
1泊2食で1名税込30,000円(ドリンクは別途)。
2025/12/11 更新
ゆっくりと目覚めた朝。お部屋から外を眺めると、余計な人工物はほとんど目に入らず、ただただ山々の緑と空の青、静寂さ。
この場所だけ時間が止まったような感覚になります。
朝のご馳走は昨夜とは一転、美しく洗練された和食を用意していただきました。
シェフが「この風景を見ながらだったら…」と、朝食には和食を出すようにされたそう。
なるほど。
確かにおっしゃるとおりです^ ^
お料理の内容は次のとおり。
いんげんの胡麻和え、かんひじき、お豆腐。
原木なめことほうれん草のおひたし。
キジハタの煮付け。
マナガツオの味噌焼き。
なすの煮浸し。
しいたけ、里芋、あげのお味噌汁はかぼすを添えて。
ご飯は土鍋で炊いた両子米(ふたごまい)。
デザートには、大きくてジューシーな梨。
昨夜と同じシェフが作られたとは思えないような、驚きの和のクオリティ。
極上の和朝食です。
シェフのセンス、懐の深さに感動させられました。
お茶碗は、過去にこの古民家の持ち主さんが使われていたものだそう。
新しいものと古いものが融合する、美しい価値観。
今回の滞在を通して、シェフと奥様、そしてこの国東という土地のファンになってしまいました。
朝食の土鍋ご飯をペロリと平らげたところ、奥様が「次はもっと大きな土鍋をご用意しますね(^。^)」ですって。
次回、お伺いする機会を楽しみにしています。
ご馳走さまでした(^^)