2回
2025/11 訪問
日本酒の知識と探究心に感嘆、福島のプロフェッサー
美味い日本酒をゆっくりとということで当店に伺う。
福島の通りに面したビルの4階。
提灯で迎えられる。
最初にお通しである赤だしが通される。
店主にお勧めとのことで重厚感のある日本酒が供される。北西酒造の「リミテッドエディション」。華やかかつ芳醇な薫り、キリッとした辛口ではあるが、その後に甘い余韻が残る。思わず唸る。
続いて宮泉酩醸「冩樂」が提供。バランスの取れたお酒として勧められる。こちらも入手困難な人気品種。甘い薫りは広がるがくどさはなく、旨味と甘味が適度に口中を駆け抜ける。なるほどと膝を打つ。
あてとしてオーダーした、トマトのクリームチーズ和え、アーモンドの山椒キャラメリゼ。
トマトの酸味とチーズの旨みは素晴らしい。また、アーモンドの山椒キャラメリゼはカリッとした食感が口の中で弾け飛び、山椒の爽やかな香りが鼻腔を闊歩する。そこに日本酒「冩樂」を合わせると脳内が捻転する。素晴らしい響宴。
最後に木屋正酒造「而今」。スッキリとした飲口、安定の旨さに満足。
店主はコミュニケーション能力が高く、時折サッカーなどを交え分かりやすく喩えてくれる。日本酒の知識は豊富で、自ら酒造り、地方の酒蔵なども訪問され、探究心が尋常では無い。まさに福島のプロフェッサー。
アラカルトに日本酒を頂き6,000円強。
ご馳走様でした。
日本酒 ぽたん
2025/12/10
この度は「日本酒ぽたん」へお越しいただき、ありがとうございます。
当店までの道中の情景が浮かぶ素敵な文章、大変嬉しいです!
私たちは常時100種類ほどの日本酒をご用意し、お客さまの好みに寄り添えたらと考えております今回ご提供したお酒、またお食事もお好みにあったようで嬉しい限りです!
当店は固定の日本酒はなく、お客さまには一期一会の出会いも楽しんでいただけたらと思っております!またいらっしゃる際には、また違ったお酒との出会いを楽しんでいただけると嬉しいです。
またお会いできます日を、楽しみにしております。
これからもお客様が素敵な日本酒に出会えますことを祈っております
日本酒ぽたん
オーナー 久米
2025/11/15 更新
物事に於いて認識が変化する時は必ずと言っていい程ある。パラダイムシフト、青天の霹靂、まさにそんな時間だったのかも知れない。
寒さが増し空が漆黒に覆われる頃当店に伺う。
店内は暖色で仄かに明るく外の世界とは一線を画す。
日本酒を呑むために作られた落ち着いた設えは非常に居心地が良い。
店主の笑顔に迎えられ着席する。
事前に予約し料理と飲み物は全ておまかせとする。
◎IMA 牡蠣のための日本酒 今代司酒造 店主より牡蠣に合わせるのではなく食前酒としてということで供される。アルコール度数は12度と低く、酸味の中に適度な甘味を感じ、日本酒を感じさせない味わいに震撼する。
◾️ゆめのかとシャインマスカットの白和え フルーツの甘みや香りと白和えの複雑な味わいが渾然一体となり、日本酒をいざなう。
◎3粒 冬のおとずれ 大嶺酒造 泡と澱により白濁したその姿はまさに冬のおとずれ。一口含むと甘みがあふれ酸味が清々しく、それらが飲みやすさを助長する。
◾️新潟郷土料理のっぺ ここで新潟の郷土料理を持ってくるところが店主の計算を感じずにはおれない。しいたけや鶏肉などの具材が里芋のとろみを纒う。それぞれの素材の味がいきいきとする。
◎湊まち 濤TOU 今代司酒造 IMAと同酒造であるが味わいは全く異なる。辛口で日本酒らしく旨味が広がる。
◾️鯵のなめろう 味噌と生姜の力強さにより鯵の脂を堪能する。その味の深化に日本酒を欲する。
◎黒へもじ 秋鹿酒造 店主よりチョコレートの様な味わいとのことで半信半疑に一口頂く。まさにチョコレートの様な芳醇かつ重厚な味わいにたじろぐ。
◾️焼きカマンベールチーズと金山寺味噌 カマンベールチーズを焼くことで香ばしくかつ金山寺味噌の発酵からくる甘味とが素晴らしい。
そこに黒もへじのコラボレーション。抜群の組み合わせに店主の想像力の高さが伺える。
◎作 奏乃智 清水清三郎商店 作の中でも爽快な透明感を追求した奏乃智。その通りスッキリとした爽やかな飲み口は、料理中盤の落ち着いた構成にしっかりと馴染む。
◾️栃尾の焼き油揚げ 生姜醤油で 一口頬張ると香ばしくパリパリに焼き上がった表面にふわふわの内面とのコントラストが楽しい。たっぷりの葱と鰹節が盛られ、生姜醤油をかけて頂く。そこに作と合わせると素晴らしいアンサンブルを奏でる。
◎天賦 西酒造 富乃宝山で知られる鹿児島の西酒造が本気で醸す日本酒とのこと。甘み、辛み、苦み、酸味のバランスが取れた飲み口に日本酒の深さを知る
◾️蓮根の明太子はさみ揚げ 蓮根に明太子を挟み海苔を巻き揚げられる。蓮根のシャキシャキとした食感と明太子の濃厚な味わい、そして海苔が醸す風味により、日本酒を呑みたい衝動にかられる。
◎田酒 特別純米生酒 西田酒造店 新酒らしくお米の香りが漂い、果実味や爽やかな旨みが口の中に広がる。この時期にしか味わえない貴重な味わいにしばし時を忘れる。
◾️和牛すき焼き風 和牛はジューシーで甘味が強くそこにすき焼き風のタレと黄身が乗る、まさに王者の雰囲気を醸し出す。そこに日本酒を組み合わせる極上のひと時を生み出す。
◎土田生酛 土田酒造 適度な酸味と旨味にクリアな後味は食材を邪魔することなく食中酒として最適である。
◾️牡蠣の炊き込みご飯 牡蠣の旨みが米一粒一粒に染み込み、ご飯も素晴らしい。
最後に店主に複雑な味わいの食後酒としての日本酒を追加で注文。
◎九尾 黄金熟成酒 天鷹酒造 甘味があり濃密かつ複雑な旨味を感じる。アルコール度数19度と重厚な飲み口。締めに最強の日本酒となる。
その夜は、豊富で奥深くそれぞれ個性のある日本酒の世界を垣間見た瞬間であった。
手が込み日本酒に合わせた丁寧な料理とその計算された構成に終始感嘆する。
何より店主の知識量の豊富さには平伏しかない。
料理とお酒全ておまかせして14,000円強。
ご馳走様でした。